最優秀女優賞・上白石萌音「温かいおせっかいをいっぱいしていきたい」第16回TAMA映画賞授賞式【完全フォトレポート】
2024年11月30日、パルテノン多摩大ホールにて、第16回TAMA映画賞授賞式が行われた。本記事は、そのうち、最優秀女優賞を受賞した俳優・上白石萌音(『夜明けのすべて』)の受賞スピーチを特集。
受賞スピーチ【完全】レポート
上白石萌音
この度は映えある素敵な賞をいただき、ほんとうにありがとうございます。
『夜明けのすべて』という映画とのご縁と、一緒に映画を作った監督をはじめ、素晴らしいチームの皆さん、そしてこの物語を世の中に生み出してくださった瀬尾まいこ先生に心から感謝申し上げます。
そして、先ほど河合さんがおっしゃいましたが、ほんとに映画とその作り手への愛と敬意を感じられる、本当に温かい映画祭だなと今日、ここに立って感じて、喜びが何倍にもなっているところです。ほんとうにありがとうございます。
‐上白石さんは「この映画が好きです」といろんなところで言われる度に「わかります。私も好きです」お話されているそうですが、どういうところがお好きですか?
上白石萌音
うわっ!?だいぶお時間いただきます(笑)
この映画は、私が演じた、PMS(月経前症候群)に悩まされている女性・藤沢美紗と、松村北斗さん演じる、パニック障害を持った山添とのお話なんですが、PMSとパニック障害が主題でないというところが私は好きです。
それは一要素でしかなくて、それがきっかけで生まれる人と人のつながり、優しさ、面白さとかが主軸になっている映画で、押し付けが無いといいますか、自然に漂っている温かさのある作品だなと感じていて、そこが大好きです。
ほんとうなら「好きです」と言われたら、ちゃんとした大人なら「ありがとうございます」と先に言うべきなんでしょうが、私は「わかります」って言ってしまうぐらい(笑)、この映画が大好きです。
‐身体のリズムによる不調や心の浮き沈みに翻弄されながら、懸命に生きる藤沢さんを演じるうえで難しかったことは?
上白石萌音
私も生理が重くて、藤沢さんほどではないけすけど、生理前後はかなり心身が不安定になるので、この辛さもなにかの役に立つんだなと今回は思いました。
自分の心身を観察して、藤沢さんへの共感と理解をしたいなと思いました。
難しいシーンだらけだったんですが、現場に行けば、一緒になって同じ熱量で答えを探してくれるチームの皆さんでしたので、皆さんとたくさん会話を重ねて、話し合いながら、心強く撮影に臨みました。
‐受賞理由に「一生懸命な藤沢さんを愛情いっぱいで表現し、星空を見上げたときのような穏やかな幸福感を観客にもたらした」とありますが、ご自身ではいかがですか?
上白石萌音
なんて詩的で美しい評なんだろうと思って、とても嬉しくて、何度も読み返してしまいました。
特に役への愛情っていう点を評価していただけたのがとても幸せです。
‐舞台「千と千尋の神隠し」のロンドン公演、映画のナレーション、それから歌手としてライブツアーなど、活動の幅を広げていらっしゃいますが、今年を振り返っていかがでしょう?
上白石萌音
ありがたいことにたくさんの挑戦をさせていただいて、その度に壁にぶつかって、自己嫌悪と周りへの嫉妬に苛まれ続ける私ではありましたが、その度に周りの方々が、背中で示してくださったりとか、相談に乗ってくださったりとか、優しさを持って接してくださったりとか、ほんとうにたくさん支えていただいた1年だったなと思います。
このお仕事をする限り、と言いますかどんなお仕事でも、仕事をしていなくても、そういう負の感情は一生ついて回るものだと思いますが、その度に周りを見渡して、感謝してこれからも頑張っていきたいなと思います。
‐上白石さん、最後に今後の抱負や映画のご予定があればお願いします。
上白石萌音
映画はまた何作品か出演させていただいておりますので、ご興味あれば是非。
いつも楽しそうな、幸せそうな人でありたいなというのと、小さい頃から両親に「人の役に立ちなさい」と言われ続けてきたので、誰かの役に少しでも立てるような、藤沢さんのように温かいおせっかいをいっぱいしていけたらいいなと思っております。
■フォトギャラリー
[記事・写真:三平准太郎]
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