【インタビュー】山本千尋「ホストクラブ初体験はとても居心地が良かった!」
7月25日(火)深夜25時より放送スタートしたTBSドラマストリーム「埼玉のホスト」で主演を務める山本千尋に、連続ドラマ初主演の意気込みとドラマの魅力、そして、役作りのための人生初のホストクラブ体験などを聞いた。
山本千尋 インタビュー&撮り下ろしフォト
■連ドラ初主演としての想い
-連ドラ初主演を務めることになったお気持ちをお聞かせください。
山本千尋(荒牧ゆりか 役)
私でいいのかなって、まず驚きました。自分の経歴で言うと、アクション作品とか身体を動かすようなキャラクターになるのかと思ったら、私自身行ったことがないホストクラブの経営をコンサルタントする役で、最初はほんとに私との共通点が見つからなかったのもあります。そういう中で、山本千尋が良いって推してくださったプロデューサーの皆さまにほんとに感謝だなという想いです。
-演じられた“荒牧ゆりか”は、最初は無機質な雰囲気ですが 、終盤になって人間らしさや可愛らしさも出てくるようになります。演じる上でそのあたりのさじ加減はどのようにされましたか?
山本千尋
エーイチ(舞台となる埼玉のホストクラブ)のホストを演じられたみんなと一緒に役が作られていって自然なお芝居ができたという感覚があります。
みんなの挫折と成長を見ていくうちに、最初は、ホストなんて所詮・・・っていう感覚を持ったコンサルタントのゆりかが、心を開く瞬間が出てきて、そして彼らに寄り添うようになり、ゆりかもまた自分自身の過去のコンプレックスから救われるようになっていきます。
-他のインタビューで「真逆な役柄だけど自分の特性を活かせる」とおっしゃってましたが、具体的に教えてください。
山本千尋
ゆりかには格闘技をやっていた過去がある点です。福本大晴くん演じる“岩槻キセキ”がこの夏一番のヒロインなのに対して、ゆりかはこの夏一番のヒーローだと思っています(笑)
-連ドラ初主演としての撮影を通して、俳優として学んだことや成長したなと思うことがあれば教えてください。
山本千尋
初めて、いわゆる座長というものを任せていただきまして、今までだと現場では自分のことを考えることが多かったのですが、今回は自分よりみんなのことを考える機会がとても多かったです。
以前は、撮影からの帰り道は自分自身の反省会だけでしたが、今回は、今日はこの子はこうだったな、ちょっと連絡してみようかなとか、そういった意識が強くなりました。
いつも以上に考えることは多くなりましたが、でもそれがすごく幸せに感じて、数々の作品で主演をされている方のすごさを、自分が初めて座長を務めたから実感できました。また、私は自分が引っ張っていくというよりは、みんなにサポートされながら座長として居させてもらっているという感覚の方が強かったです。
-撮影現場の雰囲気はどうでしたか?最初と最後で変わっていくこともあったのでしょうか?
山本千尋
みんな、終始仲が良くて部活みたいなところがあったのですが、ひとりひとりにスポットが当たる大事なシーンでは、意見を言い合える仲間でもありました。こうしたいとか、あれは良くなかったとか。
それは、ひとりひとりが自分の役にやり甲斐と愛着を持って、作品に対してこうしたいという想いが強かったからこそできたとことだと思います。
そしてそれを見守ってくださる木村了さん(浦西コバト役)や守谷日和さん(吉見大鉄役)がいてくださったので、ほんとにこんなに恵まれてていいのかと思うキャストとスタッフの皆さんに巡り会えたなと思います。
-ご自身で意見されることもあったのでしょうか?
山本千尋
はい。たとえば大晴くんとの胸キュンシーンでも、客観的な目線だと、こうした方がいいよねという話し合いができました。私自身はラブコメは初めてなので、こういうやり取りができたことはとてもありがたかったです。
■ホストクラブ初体験!!
-山本さんが今まで演じられた役と随分違う役でしたが、演じるにあたって準備されたことは?
山本千尋
キャラクター自体はみんなと一緒に作っていくものなのですが、個人的にやったことはこれまで行ったことが無かったホストクラブにスタッフさんと一緒に行ったことや、ホストの歴史を調べたりしたことです。コンサルタントという仕事についても調べました。
自分が経験が無いからこそ、とても初歩的なところからスタートしまして、まずはそういった知識をつけようというところから始めました。
-初めてのホストクラブはいかがでしたか?
山本千尋
百貨店で接客されているような居心地の良さといいますか、気持ちの良い挨拶から始まるとても素晴らしい空間でした。
-山本さんがもし姫側になるとしたらエーイチやLOVE2000の誰に接客されたいですか?
山本千尋
みんなのことを見すぎてて、もうキュンという対象に入らなくて接客されたいというのはないですね(笑)
先ほどお話した、ホストクラブ体験のとき、現役ホストの方々に接客していただいて、みんながハマる理由はこれか!って心を奪われる体験でした。それを知ってしまったから、エーイチはぜんぜん違うじゃん!って(笑)
-ホストの方たちのプロ意識というのはどういうところに感じられましたか?
山本千尋
美意識が高くてとても洗練されているんです。立ち振舞いもそうですし、話しているときの所作がきれいだったり、目を見てくれたり。
あと、他の姫に呼ばれるとき、後ろ髪ひかれるように行くんです。そうするとこっちも「行っちゃうの?」って寂しくなってまた会いたくなるような、そういう存在に感じさせてくれるところがホストの素晴らしさだなって思いました。
■みんなのことが愛おしくて仕方がなかった
-撮影中のハプニングとして印象に残っていることは?
山本千尋
木村さんと守谷さんが可笑しくて可笑しくて。笑いたくないのに笑ってしまうということが連続してあって、何度もNGを出してしまったり。
あとは、最終話に近づくにつれ、もうみんなのことが好きすぎて、思い入れが強すぎて、泣いちゃダメなシーンでも涙が出てしまって、それは私だけなじゃくてみんなも。「待って待って、みんなまだ最終回じゃないから。」とお互いツッコミ合いながら(笑)
でもそれだけ私だけじゃなくみんなも思い入れが強いんだなと思うと、主演をさせていただいている身として、そういうチームに居れたことがあまりにも嬉しくて、みんなのことが愛おしくて仕方がなかったです。
-胸キュンシーンで印象に残っていることは?
山本千尋
ゲンジ役の楽駆さんと、キセキ役の福本大晴くんとは三角関係みたいなところがあったので、お二人のお芝居にはほんとうにキュンとしましたし、なによりもまっすぐにぶつかってきてくれるので、その一生懸命さに心打たれました。ただ、コンサルタントって、姫ではないから、姫側の人たちがちょっと羨ましくなりました(笑)
-福本大晴さんと楽駆さんとの三角関係も気になるところですが、お二人の印象について演じる前と後で特に変わったのは?
山本千尋
特に変わったのは楽駆さんです。この現場では、唯一年齢が同じなのが楽駆さんで、とても大人びててクールでしっかりされている方というイメージだったんですが、オフになった瞬間、ツッコミどころ満載な方でした(笑)
大晴くんは、周りへの気配りが行き届いている方です。制作発表会見でも話に出ていましたが、チームみんなのことを思ってくれています。彼自身は、お芝居にすごく真面目で、繊細で、関西人だし関西弁で明るく振る舞っているんですけれど、実は内に抱えているものがあるのかなって、でもそういった部分が“キセキ”にも似ているところもあったり。
歳は3つ下ですが、彼から学べることはたくさんあって、彼のおかげで、お芝居を作る環境ってこうだよねと初心に戻らせてもらえるような方でした。
-神戸市ご出身の山本さんですが、福本さんや守谷さんと1対1になると、思わず関西弁が出たりすることはありますか?
山本千尋
この2人と一緒になると、セリフも関西弁になりがちで、録音部さんに「(標準語とは)イントネーションが違う」って指摘されることがありました(笑)
■「報恩謝徳」の気持ちを忘れないように。
-“ゆりか”は自分の信念を貫いて仕事をやるというキャラクターですが、山本さんご自身はいかがでしょうか?
山本千尋
「報恩謝徳」の気持ちは忘れたくないという想いはあります。武術というアスリートの生活から始まったので、スポーツはほんとに独りでできるものではなくて、綺麗事に聞こえるかもしれませんが、優勝したとしても自分の喜びより、まずは周りの人への感謝だなと感じたのが正直な気持ちでしたし、本当にその通りなんです。
俳優業も、独りじゃまったく成立しないですし、だからその気持はずっと忘れずにいたいなと思います。まずは周りの方に感謝して、時間はかかっちゃうかもしれないですけれど、ひとつひとつ恩返しできるようになりたいなと思います。
-そういう意味では、今回初座長を経験されたというのはひとつの恩返しになりますね。
山本千尋
はい。ひとつでもいい報告ができていればいいなと思っています。
たとえば、大河ドラマに出演したことも、私のデビュー作の撮影地が太秦だったので、古き良き時代劇を支えてきた方々への良い報告となりましたし、今回、初めて連続ドラマで主演させていただいたというのは、10周年の中で、「いつか連ドラ主演してね」って言ってくれていた方への報告にできます。
なので、今後も「報恩謝徳」の気持ちは忘れずに居続けたいなと思います。
■コンサルしてみたいこと
-演じられた“ゆりか”はコンサルタントですが、山本さんが、コンサルしてみたい分野はありますか?
山本千尋
動物保護という分野でコンサルしてみたいかもしれないです。大河ドラマ出演のとき、乗ることはなかったんですけれど、乗馬クラブの先生とお会いしたりして、動物保護という世界を知って、自分もやってみたいなと思いました。
-逆に、コンサルされてみたいことはありますか?
山本千尋
誰か支えて!私の成功する道を教えて!ってずっとコンサルしてほしいです(笑)
でも、“ゆりか”を通して、コンサルタントというお仕事もほんとうに大変だなということと、同時に、毎日人のことを考え続けて、それが成功したときは、自分のこと以上に喜びがあるんだというのは、とても素晴らしいお仕事だなと感じました。
■これまでの10年。これからの10年。
-芸能生活のこれまでの10年を改めて振り返っていかがですか?
山本千尋
挫折ばかりの10年でした(笑)
上京してから、こんなに厳しい世界なのかということを痛感しました。でも今振り返ると、挫折が早かったからこそ、めげない力がついたかもしれないです。挫折ってあとになればなるほど、折れやすいかもしれないので、早くから挫折を経験していると、これぐらいのことはあるよねっていう精神でいられると思うんです。なので、1周回って良かったなって思います。
-例えばどんな挫折がありましたか?
山本千尋
どの現場にいっても、私の芝居ってダメだなって思うことがあったり、アメリカに行ったときはしばらく仕事から離れることの不安もあったり、そういうこと繰り返しでした。でも、周りの方たちが自分に力をくれる言葉をかけてくださったりするので、そういうことがモチベーションになって楽しいからこのお仕事を続けているんだろうなって思います。
-誰しも完全な精神状態を保ち続けることは難しいですが、とはいえ、最近はお仕事も楽しめるようになってきたと?
山本千尋
お仕事はずっと楽しいんですが、独りになったときにいろいろ考えすぎちゃうことが、最近は減ってきたかなと思います。
それは、ここはこれだけ練習を積み重ねてきたから大丈夫だ、ここは負けないはずだという気持ちを持てることが増えてきたからかもしれません。
-次の10周年へ向けての抱負や夢はありますか?
山本千尋
賞をもらうことやこの役をやれたらというのはゴールではなく、ステップアップのひとつであるということと、たくさんあるそのひとつひとつが目標であり、叶えていく10年でありたいと思っています。
■ワインとそれに合う食事が私のご褒美!
-山本さんといえば、アクション俳優としての側面も大きいですが、ふだんやられているトレーニングなどがあれば教えてください。
山本千尋
意外とシンプルで、腹筋背筋がマストで、週四でランニングを5~7kmぐらいしています。あと週一でボクシングに通っています。
-ジャッキー・チェンなどのアクション映画が大好きだとか。
山本千尋
ジャッキー・チェンさま、ジェット・リーさま、ユン・ピョウさまが大好きです!この話をし出すと私は止まらなくなるぐらい大好きです。
-最近の映画に絞るとお気に入り作品はありますか?
山本千尋
試写で観た『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023年9月日本公開)は、とても面白かったです!真田広之さんとドニー・イェンが出演されていたので、時代劇+中国映画が大好きな私としては激アツな2人が出ているなっていうので、最高の作品でした。
-格闘とはちょっと違うジャンルになりますが、最新作が公開されたばかりの『ミッション:インポッシブル』シリーズのトム・クルーズさんのアクションへの取り組みはいかがですか?
山本千尋
トム・クルーズさんのアクションへの姿勢は並大抵のことではできないと思うので、 普段の取り組み含めて、普段からご自身を高めていらっしゃるんだろうなということころがすごいなって思います。
-オフの日の好きな過ごし方は?
山本千尋
美味しいごはんとお酒をいただくことです!
普段の食事は和食ベースなので、ご褒美の日は、ワインが好きなので、ワインに合う食事、たとえばフレンチやイタリアンなんかでテンションを上げてます!
■コンプレックスを乗り越えて成長していく物語
-最後に本ドラマの見どころ含めたPRメッセージをお願いします。
山本千尋
登場する男の子たちそれぞれがコンプレックスを抱えていて、それは「エーイチ」だけではなく「LOVE2000」の方もですが、その中で後悔や挫折も繰り返していて、ただ、この仲間に出会えたおかげで、乗り越えられたり、成長していく、まさしく青春群像劇になっています。
スマートでかっこよくて神々しいのが「LOVE2000」。そしてうって変わって、ほんとにホストなの?って思うようなちょっとおバカで天真爛漫で、でも憎めないような愛おしいホストクラブが「エーイチ」。その対照的な部分も見どころです。
ドラマを観た方が、明日またがんばろうって思えるような、そんな背中を押してくれるような明るい、そして力強いドラマになっています。
ちなみに、木村了さん演じる“浦西コバト”は、埼玉県のマスコットキャラ“コバトン”が由来で、劇中も隠れコバトンが登場しますので、それもぜひ見つけてみてください。
山本千尋(やまもと ちひろ)プロフィール
1996年8月29日生まれ、兵庫県出身。3歳から中国武術を習い、数々の世界大会で優勝。JOCジュニアオリンピックカップでは3連覇の実績を持つ。女優をはじめてからは、2015年に映画『太秦ライムライト』でベストアクション女優優秀賞を受賞。近年では、ドラマ『着飾る恋には理由があって』、『未来への10カウント』などに出演、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では暗殺者トウ役で話題に。映画『キングダム2 遥かなる大地へ』では羌象役、Netflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン2』ではリサ役を務めた。
■撮り下ろしフォトギャラリー
[ヘアメイク:清水恵美子/スタイリスト:岡本純子/インタビュー・写真:三平准太郎]
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TBSドラマストリーム『埼玉のホスト』
《STORY》
数々の飲食店の経営を立て直し、業界では名の知れた人物である荒牧ゆりかは超優秀なコンサルタント。そんな中、ゆりかのもとに「歌舞伎町トップホストクラブからの買収危機にある、埼玉のホストクラブ“エーイチ”の経営を立て直してほしい」という依頼がくる。冷徹なゆりかはバシバシと「エーイチ」のダメな点を挙げていき、ナンバーワンホストを見つけるために “スカウト活動”に勤しむ。しかし遂に見つけた青年は
「植物としか喋れない超奥手な農家の息子」! あらゆる策略を立てながら「エーイチ」を立て直すために奮闘するゆりかとホストたち。一方で、買収を企てる歌舞伎町No.1ホストにはある秘密があり・・・。「埼玉のホスト」と「人を信用しない女」が送る新しいラブストーリー&青春コメディ!
出演:
山本千尋・・・荒牧ゆりか 役
福本大晴 (Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)・・・岩槻キセキ 役
楽駆・・・赤坂ゲンジ 役
木村了・・・浦西コバト 役
中沢元紀・・・高崎セン 役
田中洸希・・・行田マモル 役
濱尾ノリタカ・・・枚方祥太朗 役
守谷日和・・・吉見大鉄 役
中山咲月・・・成城マコト 役
製作:『埼玉のホスト』製作委員会
制作プロダクション:TBSスパークル
脚本:伊吹一
音楽:青木沙也果
主題歌:Sean Oshima「回せ回せよ哲学を -Imagine-」(A-Sketch)
挿入歌:りみー「この物語はフィクションです」(SoCo Records)
プロデューサー:杉田彩佳
協力プロデューサー:磯山晶
配信プロデューサー:今井夏木 杉山香織
演出:古林淳太郎 坂上卓哉
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/saitamanohost_tbs/
公式Twitter:@drama_streamtbs
公式Instagram:@tbs_drama_stream
公式TikTok:@drama_stream_tbs
7月25日(火)地上波放送スタート 毎週火曜深夜25:00~25:30
7月25日(火)地上波放送後、「TVer」「TBS FREE」にて無料1週間見逃し配信
先行有料配信:日本国内では7月18日(火)より「Netflix」にて毎週火曜配信その後、海外にて順次配信を予定
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