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朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』

【インタビュー】長濱ねる、たったひとりの初舞台に挑戦。「今の世界に目を向ける小さなきっかけに」朗読劇「東京の空」

朗読劇『東京の空』で初舞台に挑む長濱ねる。長崎出身の彼女が海老名香葉子さんの平和への遺志を朗読劇という形で継ぐ。本作への取り組みと想いから彼女が出演する最新映画のことまで、話を聞いた。

朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』は、2025年12月に逝去した作家・海老名香葉子さんの実体験を綴った物語だ。昭和8年、東京・本所の釣り竿師の家に生まれた「かよ子」が、温かな下町の日常から一転、昭和20年3月10日の東京大空襲で最愛の家族6人を失う壮絶な半生を描く。
本作は、長年平和の尊さを訴え続けた海老名さんの遺志を継ぐ追善公演であり、長崎出身で被爆三世の俳優・長濱ねるが、初舞台として一人きりで語り部を務める。演出は倉本朋幸が担当し、空襲から81年目となる2026年3月11日に上演される。悲劇を繰り返さないという強い願いと、未来への「平和への祈り」を届ける魂の朗読劇となる。

長濱ねる インタビュー&撮り下ろしフォト

‐ 今回が「初舞台」となりますが、出演オファーが届いた時の心境はいかがでしたか?

長濱ねる
私が長崎県出身であることや、被爆三世であるという背景を汲んでくださって、いただいたお話なのかなと感じました。それだけに責任も伴いますし、半端な気持ちでは参加できないなと、非常に気が引き締まる思いでした。
初めての舞台出演ですので、自分にとってもきっと特別な作品になるだろうなと思っています。

朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』

長濱ねる

‐ 2025年末に逝去された海老名香葉子さんの遺志を継ぐ「語り部」という大役ですが、どのような覚悟で臨まれていますか?

長濱ねる
演出家の方が実際に海老名さんと何度もお会いしてお話を伺う中で、海老名さんはこの物語を「作品として残してほしい」と願われていたそうです。私は一演者として、その物語を次の世代へ伝えていく役割をしっかりと担いたいと思っています。

海老名香葉子

海老名香葉子

‐ たった一人で舞台に立つ「朗読劇」という表現については、どのようなイメージを持っていますか?

長濱ねる
朗読自体も初めての経験です。今回は香葉子さんの視点で進んでいく物語ですので、単なる「説明役」としての語り部というよりは、香葉子さんの目線に立った自然体な語りで朗読できたらと考えています。

‐ 演出の倉本朋幸さんからは、どのような演出を受けていますか?

長濱ねる
一つ一つ丁寧に、細かくご指導いただいています。特に印象的だったのは、「あくまで香葉子さんの目線で話してほしい」ということでした。情報を伝えるのではなく、当時のありのままの記憶を、観客の皆さんと一緒に体験するように話してほしいと言っていただいたので意識しています。

朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』

‐ 林家三平さんが「ねるさんの魂の声が届くことを願っている」とコメントされています。その期待にどう応えたいですか?

長濱ねる
ただただ誠実に、真摯に、この作品に向き合っていくことに尽きると考えています。

‐ 3月11日の本番に向けて、現在のお稽古の状況はいかがですか?

長濱ねる
今は2度ほど本読みをさせていただいた段階です。初めての舞台で、かつ一人きりでの朗読劇ということもあり、まだまだ不安なところも多いですが、これからもっと内容を詰めていかなければならないと感じています。

朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』

‐ 台本に描かれている戦前の下町の活気について、どのような印象を持ちましたか?

長濱ねる
私は九州・長崎出身なのですが、今回、当時の墨田あたりの下町を再現したジオラマを見学しました。当時からすでに電車が通っていたりと、想像以上に栄えていたんだなという印象が強く残っています。

‐ 「被爆三世」という背景を持つ長濱さんにとって、東京大空襲というテーマに向き合うことへの想いを教えてください。

長濱ねる
長崎出身という背景はありますが、今の等身大の自分としてこの物語を受け継ぎ、力になれたらという願いを込めて表現したいです。

‐ 母・よしさんが語る「笑顔でいれば人に好かれる」という教えを、どう受け止めていますか?

長濱ねる
かよ子(香葉子さんの幼名)にとって、人生の大きな支えになった言葉なのだろうと思います。笑顔でいるにはあまりに壮絶すぎる体験をされている中で、それでもこの言葉を指標に生き抜かれた香葉子さんは、本当に強い方だと改めて感じました。母としてのその想いを、私もきちんと受け取って演じたいです。

‐ 疎開先の山から「真っ赤に染まった東京の空」を見る場面など、感情の作り方で意識されていることはありますか?

長濱ねる
毎回新鮮に、当時の記憶や思いに寄り添い、その瞬間に浮かんだ感情を大切にしたいです。私たちからすると戦争は「怖くて辛い記憶」というイメージで捉えがちですが、当時小学生だった香葉子が感じた、生活が一変することへの戸惑いや混乱といった素直な気持ちを、忘れないように受け取りたいです。

‐ 物語の終盤、アメリカへの憎しみが「悪いのは人ではなく戦争そのものだ」という悟りに変わります。観客にはどのようなメッセージを届けたいですか?

長濱ねる
日本では終戦から81年になりますが、今も世界のどこかでは絶えず戦争が行われ、罪のない子供たちが巻き込まれています。この物語を通して、それが遠い過去の記憶ではなく、今の状況にも繋がっているのだと感じてもらえたら嬉しいです。また、身近な人を大事にしようといった、小さな温かい気持ちを持ち帰っていただければ嬉しいです。

‐ 舞台セットについても伺いたいのですが、どのような空間になるのでしょうか?

長濱ねる
当時の町のジオラマが置かれたステージの真ん中に座ってお話しするような形になる予定です。

‐ ここからは長濱さんご自身のことについても伺います。俳優としての今後のキャリアをどう考えていますか?

長濱ねる
一つ一つの作品に真摯に向き合い、役者として一歩ずつステップアップしていきたいという気持ちがあります。

朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』

‐ 最新映画『ラブ≠コメディ』(2026年7月3日公開)では、アイドルという役柄を演じられますが、ご自身の経験が活きる部分はありますか?

長濱ねる
作中ではアイドルでありながら役者を志す女の子を演じており、中島健人さん演じる主人公とドラマ撮影の現場で切磋琢磨していく物語です。自分が今まで積み重ねてきたものが、どこかで役として生きていればいいなと思っています。

‐ 趣味の音楽や釣りについても、今も変わらず大切にされていますか?

長濱ねる
釣りは最近なかなか行けていないのですが、音楽はずっと大好きです。以前、Oasisの再結成ライブを観にマンチェスターまで行ったこともあります。

‐ 忙しい日々の中で、そうした時間はどのような存在ですか?

長濱ねる
自分の人生において、生活を何より大切にしたいと考えています。仕事は大好きですが、人生を豊かにするための時間を厭わずにちゃんと作っていきたいです。

‐ 今後、旅行などで訪れてみたい場所はありますか?

長濱ねる
ポルトガルに行ってみたいです。以前、写真集で見たポルトガルの街並みが本当に綺麗だったので、いつか訪れてみたい憧れの場所です。

‐ 最後に、この朗読劇を通じて、観客に一番持ち帰ってほしいことは何でしょうか。

長濱ねる
初めての一人朗読劇に足を運んでくださることが、本当にありがたくて嬉しいです。私の表現が誰かの生活を少しでも変えたり、「家族に連絡してみようかな」「おばあちゃん元気かな」と考えたり、今の世界に目を向けるような、小さなきっかけになれば嬉しいです。

朗読劇『海老名香葉子追善公演「東京の空」』

長濱ねる(ながはま ねる)プロフィール
俳優、1998年9月4日生まれ。長崎県出身。幼少期を五島列島で過ごす。
2019年に「欅坂46」を卒業。その後、俳優として活動し、2023年NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」に出演。以降「ウソ婚」、「若草物語 -恋する姉妹と恋せぬ私-」、「いつか、ヒーロー」、「おコメの女-国税局資料調査科・雑国室-」などの話題作に出演し、『未来電車 “あの日”を知らないあなたへ』では主演を務める。その他、日本テレビ「news zero」のコメンテーターや、J-WAVE「NTT Group BIBLIOTHECA~THE WEEKEND LIBRARY~」のナビゲーター、エッセイ執筆等、マルチに活躍。
3月配信「ストーブリーグ」、7月公開映画『ラブ≠コメディ』の出演が決まっている。

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:三平准太郎]

海⽼名⾹葉⼦追善公演「東京の空」

原案:海⽼名⾹葉⼦
出演:長濱ねる
上演台本・演出:倉本朋幸
プロデューサー:⽥中あやせ、林家まる⼦

日程:2026年3月11日(水) 13:30/17:00(2ステージ)
会場:日本教育会館 ⼀ツ橋ホール
協力:⼀般社団法⼈ 時忘れじの集い

〈全席指定〉
◎前売り・当日 ⼀般:6,000円
◎前売り券
ローソンチケットにて販売。(先着) https://l-tike.com/tokyo-no-sora/
L コード:35705
◎当日券
開演時間の40分前より、劇場受付にて販売予定でございます。完売の場合、販売はございません。

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