【インタビュー】池田朱那「気持ちを楽にして挑めました!」長編映画初主演の想いと撮影秘話
映画『17歳は止まらない』(8/4公開)で、長編映画初主演となる池田朱那(いけだあかな)。大河ドラマ「青天を衝け」をはじめ、井桁弘恵と姉妹役を演じた現在公開中の映画『釜石ラーメン物語』など、活躍の幅が広がる彼女に話を聞いた。
北村美幸監督による映画『17歳は止まらない』は、東映ビデオ(株)が 2021年6月に立ち上げた新たな才能を発掘する新プロジェクト【TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY】の記念すべき第1回製作作品。畜産×女子高生という異色の組み合わせを題材にした本作は、女子高生たちの青春映画という枠に収まらず、動物たちの生と死にも焦点をあてている。
池田朱那は、主人公・瑠璃を演じ、クラスメイトには、片田陽依、白石優愛、大熊杏優。そして、瑠璃に一目惚れする高校生のマサル役には注目の若手俳優・青山凱。さらに主人公・瑠璃が密かに想いを寄せる森先生役を中島歩が務める。
池田朱那インタビュー&撮り下ろしフォト
■長編映画初主演!
-主演としての本作への取り組みをお聞かせ下さい。
池田朱那(瑠璃 役)
長編映画の主演は初めてだったので、しっかりしなきゃという意気込みはありましたが、みなさんがすごく支えてくださったので、それがプレッシャーになることはなく、気持ちを楽にして挑めたかなと思います。
-いわゆる座長として現場に居るということで意識されたことはありますか?
池田朱那
緊張しちゃうのでそれを意識し過ぎないようにしましたが、私自身が明るく居ようとは務めました。
-演じられた瑠璃(るり)というキャラクターをどう捉えられましたか?
池田朱那
脚本を読んだときに、とても素直で真っ直ぐで、何事に対しても全身全霊で取り組む、明るくて魅力的な女の子だなと思いました。
そういう瑠璃の魅力を私が壊さないよう、いいものにしなきゃって、まずそのように思いました。
-池田さんご自身と似ている点、違う点という観点で言うといかがですか?
池田朱那
私と似ている部分は常に明るいところと、自分で言うのもなんですが、天真爛漫なところです(笑)私、よく天真爛漫だって人から言われるんです。とにかく元気なところは似ているかなって思います。
違う点は、瑠璃は思っていることはズバズバ言うし、やりたことは後先に考えずに行動しますが、私はこれを言ったら相手がどう思うのかなってウジウジ考えてしまうタイプなので、そういう点です。なので、そういう瑠璃の性格は魅力的でいいなって思います。
-瑠璃は男の子に好きって言われても、すぐに嫌いって言い返したりしますが(笑)、池田さんはいかがですか?
池田朱那
私はやっぱり気を使います。たとえばお友だちだとして、変な答え方をしたら、今後気を使わせてしまうかもしれないとかいろいろ考えて、「今後も友だちでいようや!」っていう感じで答えると思います。瑠璃みたいに「嫌い!やめてくれよ、チンパンジー!」とは絶対に言わないと思います(笑)
■救われた中島歩さんの言葉
-瑠璃を演じるにあたって、北村美幸監督に相談されたことや、逆に監督からの演出は?
池田朱那
監督からの演出はほんとに無かったんです。撮影では、どのカットも監督が一発OKをくださって、しかも何も言わずに次のカットにどんどん進んでいくんです。
なので、最初は監督が私が演じたいようにさせてくれるのかなって思っていたんですけれど、途中から「ほんとに大丈夫なんだろうか?」って不安になってきてしまって、あるとき、監督に「今ので大丈夫でしたか?」って聞きに行くと、「僕の思った通りをそのままやってくれているので何も言うことはありません」っておっしゃってくださって、そこからは更に自信を持って撮影に挑めました。
-先生役の中島歩さんとの共演の印象は?
池田朱那
中島さんからは、ほんとうに救われた言葉を休憩中にいただいたんです。
瑠璃は、人によって見せる顔が違う子で、友だちに対しては17歳の等身大の女の子、マサルに対してはちょっとツンケンしたり口が悪かったり、そして先生に対しては上目遣いでちょっと可愛く見せたりと、いろんな顔がありすぎて、キャラが定まってないんじゃないかって急に不安になったことがあったんです。それを中島さんにポロっと話したことがあって、そうしたら中島さんが「そもそも生きている人間が一つのキャラのまんま誰にも同じ顔をする人なんていないし、みんながみんな、違う目を持っているんだから、それはとても魅力的なことだし、むしろ面白いと思うよ。」って言ってくださって、それに感動してしまって、そこから更に自信を持てるようになったんです。
私はこの映画の中、その一言で救われたので、ほんとうに感謝しています。これからもその言葉を心に置いて演じていけるんじゃなかなと思っています。
-なるほど。中島歩さんの言葉で、演じる上での道が開けたとおっしゃる共演の俳優さんの話は他にも聞いたことがあります。
池田朱那
そうなんですか!でも気取った感じはなく、ポロリと冗談めかした感じで言ってくれるのが素敵なんです。でも私だけじゃなかったんだ(笑)
-お芝居としての中島さんとの共演はいかがでしたか?
池田朱那
これも中島さんが言っていたことですが、「僕は家で、台本を覚えるときのセリフは棒読みで感情を入れて言わない。現場に入って初めて生まれる感情が本当だから、家でのそれはウソになってしまうから。」と。
たしかに、テスト、本番とそれぞれで私が違うことをしたら、中島さんからは違う返しがあって、それが私にとってすごく新鮮で、私も芝居の中に入り込めたし、ほんとうに素晴らしいなって思いました。
■「あぁ、これが高校生だ!」
-瑠璃に迫るマサル役の青山凱さんとの共演はいかがでしたか?
池田朱那
青山さん自身が「あまりお芝居はしたことが無いんだ」っておっしゃっていて、でもそれが私には新鮮に感じられて、とてもナチュラルなお芝居ができたなって思います。それは、凱さん本人がとてもナチュラルで、休憩中にもすごく笑わせてくれますし、初対面でしたが、お芝居でも緊張がほぐれて、瑠璃がけっこうきついセリフを言っても、嫌な感じに見えないシーンが出来上がったなって思います。
-たしかに、瑠璃がいろいろきついことを言っても、マサルは大きく受け入れていて、へこたれない感が出ていましたね。
池田朱那
そうなんです!!凱さんがウッとなりながらも、それを喜んでくださるので(笑)、私もお芝居しながら楽しくなっちゃって。それは凱さんが、そういう受け取り方をしてくれるから2人のシーンが成り立っていて、それがすごくありがたかったです。
-撮影全体を通して楽しかったことはありますか?
池田朱那
撮影は全体的に楽しかったんですけれど、その中で、印象に残っているのは同級生の女の子4人のシーン。
撮影当時私は20歳でしたが、どうしても高校生の気持ちは忘れつつある中、現役高校生だった片田陽依(モモ役)ちゃんが近くに居てくれたので、私自身も「高校生ってこうだった!」思い出しながら、すごいピュアな気持ちになりながら、リアルな女子高生を演じられたなって思います。
おかげで、4人の女の子の掛け合いシーンはほとんどがアドリブだったんですが、「あぁ、これが高校生だ!」って思いながら、自然に演じられたのが楽しかったです。
■俳優魂がすごい犬!
-瑠璃は、農業高校で畜産を学ぶ高校生ですが、池田さんは動物はお好きですか?
池田朱那
大好きです!以前家でトイプードルを飼っていたり、犬は大好きでしたし、実家はけっこう田舎にあって、家の前に牛がいたり、鶏の声で朝は起こされたりしてました。
なので、撮影現場の農場に行ったとき、「この匂い、懐かしい!」って思いました。
陽依ちゃんも虫や動物が大好きで、一緒にカエルを探して見つけたら2人で「可愛いね♪」って言い合ってました(笑)
-劇中、瑠璃が犬をあやすシーンがありますが、あれはほとんど素で?
池田朱那
素でやるともっとすごいことになっちゃうから、あれでもけっこう抑えてます(笑)
劇中のコーギーちゃんは元気で走り回っていますが、実は撮影の合間はすっごく大人しかったんです。なので、撮影が始まるまでこんなに大人しくて大丈夫かなって心配になっていたんですけれど、ビックリしたのは、テストでも全然走ってくれなかったのが、いざ本番の撮影がスタートしたら、急に今までにないぐらいそこら中を走り回ってくれたんです。
「なんだこれは!?俳優魂がすごい犬だな!!」って思いました(笑)それも楽しい思い出です。
■延々と字を書くことが好き。
-井桁弘恵さんと姉妹役で出演された映画『釜石ラーメン物語』が先日公開されました。それにちなんだ質問ですが、池田さんはラーメンはお好きですか?
池田朱那
好きです。でも実は、『釜石ラーメン物語』に出演したことがきっかけで好きになったんです(笑)
釜石ラーメンって、さっぱりとした味が特徴なんですが、その影響もあって、今は塩ラーメンがお気に入りです。
-オフの日の好きな過ごし方や趣味は?
池田朱那
映画を観たり、あと、これはあまり理解してもらえないことなんですが、私、延々と字を書いているんです。
-それは日記とかではなく?
池田朱那
ではなくて、たとえば好きな小説や歌詞を丸々書き写したりします。私は、字が綺麗な人が好きなんですが、それは字ってその人の人間性を表しているように感じてしまうところがあるので、美しい字を書きたくて、夜な夜なひたすら字を書いています。今は、小川洋子さんの「密やかな結晶」という本をルーズリーフに書き写していて、今は40枚目くらいです。
だから、台本を覚えるときも、趣味を兼ねて、台本を書き写しています。
これがいいなって思うのは、読むだけだと流れてしまいますが、書いていると、ひとつひとつの単語に触れている時間が長いので、その単語の意味を深く考えるんです。それがセリフの解釈を深めることに繋がるので、他の人にもお薦めしたいんですが、絶対に誰もやってくれないので(笑)
-なるほど。お聞きしていて思ったのは、例えば町の散歩でも、自転車やランニングで駆け抜けるよりは、ゆっくり歩いて、ひとつひとつの街角の風景を感じることに近いのかなって。
池田朱那
そうかもしれないです!私はゆっくり歩いて散歩することも好きです。
■俳優のお仕事を頑張っていきたい!
-池田さんはスカウトがきっかけで芸能界に入られたそうですが、もともと芸能界には興味がありましたか?
池田朱那
保育園に通っていたとき、保護者に披露するためのお遊戯を稽古していたとき、私はセリフの無い木の役だったんすけれど、おばあちゃん役の子がセリフがぜんぜん出てこなくなっちゃって。でも、私はそのセリフもぜんぶ覚えていたので、自慢気にそのセリフをこそこそって言ってたら、先生が「池田さんがこの役で」と言ってくださったんです。
本番では、私はお芝居ってなりきるものでしょって思っていたので、おばあちゃん役を腰を曲げてガラガラ声で演じたものだから、保護者の方々が笑ってしまって、でも、私は「笑われた!」って思って本番中に号泣しちゃったんです(笑)
でも、たぶんそのときから“お芝居”というものが好きだったんです。
小学生になって野球をやっているときでも「私は俳優になる」って言ってたそうなんです。私は覚えていないんですけれど。
その後、野球をやめることになったんですが、私は何かをやっていないと心が空っぽになってしまう気がしたので、いよいよ俳優をめざすことを決めて、母と東京に来たときにスカウトしていただきました。
-では今後も俳優のお仕事を?
池田朱那
はい、俳優のお仕事を頑張っていきたいです!
-最後に本作の見どころ含めたPRメッセージをお願いします。
池田朱那
思ったこと、やりたいことに真っ直ぐに全力に進んでいく瑠璃という17歳の女の子の等身大の魅力を描いた物語です。
映画をご覧になる方は、そういう瑠璃を見守りつつ、きっとご自身の高校時代も思い出したりもすると思いますので、そのように楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
池田朱那(いけだ あかな)プロフィール
2001年10月31日生まれ。群馬県出身。
2022年公演の舞台「群盗」ではヒロインに抜擢され 、2022年、ABCテレビ 高校野球ショートドラマ「ふたりの背番号4」、配信ドラマ「ケアニンShort Films season2」では主演を演じ、「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」、(19/河合勇人監督)、「許された子どもたち」(20/内藤瑛亮監督)、「彼女が好きなものは」(21/草野翔吾監督)、「20歳のソウル」(22/秋山純監督)、大河ドラマ「いだてん」(19/NHK) 、「青天を衝け」(21/ NHK)、よるドラ「ここは今から倫理です。」 (21/NHK) 、「八月は夜のバッティングセンターで。」(21/TX) ドラマW「ワンナイト・モーニング」(22/WOWOW) 、「対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~」 (23/Lemino)など多数。映画『釜石ラーメン物語』が公開中。
■撮り下ろしフォトギャラリー
[スタイリスト:船橋翔大/ヘアメイク:中島康平/インタビュー・写真:三平准太郎]
映画『17歳は止まらない』
《INTRODUCTION》
畜産×女子高生という異色の組み合わせを題材にした本作は、女子高生たちの青春映画という枠に収まらず、動物たちの生と死にも焦点をあてた作品です。「普段の食事は動物たちの命をいただいている」という事実を改めて体感させるストーリーは秀逸で、ヒロイン・瑠璃のエネルギッシュさは、特別審査員を務めた足立紳(監督・脚本家)から「ずっとこのヒロインを観ていたいなあと思わせるものがあった」と太鼓判をおされた作品となります。
監督・脚本を務めるのは、異色の経歴を持つオールドルーキー・北村美幸。309本のシナリオの中から選ばれた生命力あふれる瑞々しい17歳の物語は「青春映画を撮るのに年齢は関係ない!」そう思わせる傑作!
主人公・瑠璃に扮するのは、「青天を衝け」(21/NHK)、『20歳のソウル』(22)など話題作に出演し、今後の活躍が期待される池田朱那。
そのクラスメイトには映画、ドラマ、舞台など、それぞれで活躍する片田陽依、白石優愛、大熊杏優が出演します。瑠璃に一目惚れする高校生のマサル役には注目の若手俳優・青山凱。さらに主人公・瑠璃が密かに想いを寄せる森先生役に、『偶然と想像』(21)、『愛なのに』(22)の中島歩も出演し脇を固めます。
動物たちの生と死に向き合いながら、悩み、成長していく17歳の女子高生たちの青春映画、どうぞご期待ください。
《STORY》
瑠璃(池田朱那)は農業高校で畜産を学ぶ二年生。母ひとり子ひとりの家庭で育った瑠璃は動物の世話で忙しい学校生活と家計を助けるためのアルバイトを両立させながら、モモ(片田陽依)、彩菜(白石優愛)、くるみ(大熊杏優)らクラスメイトと共に家畜たちから「命をいただく」という尊さを学んでいる。
ある日、瑠璃はモモと近隣の高校の文化祭へ遊びに行き、同い年のマサル(青山凱)を紹介される。瑠璃に一目惚れしたマサルは後日猛アタックをかけるが、農業高校教師の森(中島歩)に想いを寄せている瑠璃はそっけない。森への情熱を募らせた瑠璃はある日、森の家へ押しかけて強引に思いを伝えようとするが・・・。
出演:池田朱那
片田陽依 白石優愛 大熊杏優 青山凱 中澤実子
ジョカベル美羽 安部夏音 三好紗椰 / 中島歩
監督・脚本:北村美幸
音楽:林魏堂
主題歌:カネヨリマサル「GIRL AND」(Getting Better/Victor Entertainment)
製作:與田尚志
プロデューサー:佐藤現 岡田真 久保和明
TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY 第一回製作作品
製作:東映ビデオ 制作プロダクション:レオーネ 配給:東映ビデオ
©2023 東映ビデオ
公式サイト:toei-video.co.jp/17sai-ha-tomaranai/
公式Twitter:@TV_NCF
予告編
2023年 8月4日(金)新宿シネマカリテほか全国順次公開
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