忌怪島/きかいじま

【インタビュー】川添野愛「20年越しで清水崇監督に直訴しました!」映画『忌怪島』

清水崇監督最新作映画『忌怪島/きかいじま』(6/16公開)にて、主演・西畑大吾(なにわ男子)演じる天才脳科学者・片岡友彦ら<シンセカイチーム>のメンバーとしてプログラマー役を演じた川添野愛。20年越しに清水監督に直訴するところから始まったという撮影エピソードを聞いた。

大ヒットを叩き出した『犬鳴村』、『樹海村』、『牛首村』の「恐怖の村」シリーズを生み出した東映と清水崇監督が手がける映画『忌怪島/きかいじま』。
2022年4月~5月にかけて奄美大島を中心に撮影が行われた本作では、島という閉鎖空間を舞台に今話題のVRの世界を表現。「VR」研究チーム“シンセカイ”に次々と降りかかる不可解な死と謎、解き放たれた「赤い女」の怨念、真っ赤に染まる島。現実と仮想という2つの空間で今までにない最強の恐怖が待ち受ける。

川添野愛 インタビュー&撮り下ろしフォト

■20年越しで清水監督に直訴しました!

忌怪島/きかいじま

川添野愛

-出演作品がホラー映画と聞いて最初にどう思われましたか?

川添野愛(プログラマー・三浦葵 役)
今までホラーと言うジャンルは自分で苦手だと思ってあまり触れてこなかったので、「ついに来たか!しかも清水崇監督・・・」って思いました。これまでまったく無かったわけじゃないんですけど、ここまで本格的なホラー映画は初めてだからです。

-今までご覧になったホラー映画があれば教えてください。

川添野愛
最後に観たのがテレビで、小学生のときで、これも清水監督作品の『呪怨』なんです。

-小学生で『呪怨』って怖いですよね・・・

川添野愛
ほんとにめちゃくちゃ怖かったです!
私、20年越しに清水監督に言いましたもん。「全国の小学生が、テレビで放送された日は寝られなかったぞ!」って。
当時、あんまりよくわからずに観始めちゃったもんだから、まんまと寝られなくなって、次の日、学校ではみんな『呪怨』のせいで寝れなかったよねっていう話をしていました(笑)
(※6月16日の初日舞台挨拶でも、西畑大吾が小学生のときにTVで見た『呪怨』がトラウマになって以後、ホラー映画を観られなくなったと清水監督に訴えかけていた。→ 記事リンク

-20年越しの直訴で、監督の反応は?

川添野愛
嬉しそうでした!(笑)

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■しっかりと人間ドラマが描かれている作品

-出演を決意されて、脚本を最初に読まれたときの印象は?

川添野愛
ホラーというジャンルへの知識があまりにも無く、先入観だけがあったせいか、思った以上にしっかりと人間ドラマが描かれていると思いました。すごく感情移入もしたし、清水監督と共同脚本のいながききよたかさんが伝えたいメッセージ性は、あくまでホラーというジャンルを通しているだけで、映画作品という意味では他の作品と変わらないんだなと思いました。
あとは、VRやメタバースをはじめ、専門用語が出てくるので、それを調べることから始めました(笑)

-プログラマー(衛星スキャン担当)・三浦葵役ということで、専門用語含めて、演じるにあたってとりくまれたことは?

川添野愛
プログラマーとしては、私自身が専門用語を言うセリフはそんなに無いんですけど、今目の前で起きていることを100%理解しているという居方を意識しました。
キャラクター性については、監督とたくさんお話しました。監督も若干“葵”の方向性を迷っているところがあったらしくて、「そこは川添さんと話して決めたかった」と思っていたからだそうです。
そして、(同じくプログラマーで、生駒里奈が演じる)“未央”とのバランス感もあったんですが、生駒ちゃんと会えたのは撮影の直前だったんです。最終的にはやってみるしかないねという話にもなったんですけれど、私があまりにもキャラクター性について長く監督と話していたから、監督がキャラクターひとりひとりの人物設定をA4一枚にまとめて配ってくれました。そこにはすっごく細かく書かれていました。

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プログラマー(衛星スキャン担当)・三浦葵(川添野愛)

-“葵”についてはなんと書かれていましたか?

川添野愛
“葵”は一見おっとりしていて、穏やかで柔らかい印象だけど、実は人一倍冷静に客観的に状況を見る人で、自分の置かれている立場もそうですし、今起きていることに対しても。また、他のメンバーと過去にどういうことがあったかなども書かれていました。

-“未央”との関係性について、とにかくやってみようということになったとお話いただきましたが、実際にやってみて変わった部分はありましたか?

川添野愛
事前に監督と話しをしていた“未央”像は、「キリっとしていてはっきりと物を言うタイプ。でも割りと熱くなりやすいところもある。」
でも、実際に生駒ちゃんが“未央”をやっていると、生駒ちゃん自身が持っているものと合わさった“未央”になっていて、私はすんなりと受け入れることができました。

忌怪島

<シンセカイチーム>後列:川添野愛/平岡祐太/山本美月/水石亜飛夢、前列:西畑大吾/生駒里奈

-劇中、川添さんは何度か恐ろしい体験をしますが、そういった撮影はいかがでしたか?

川添野愛
演じている側はとても冷静でした。ほとんどアクションに近いような手順もありましたし、最終的にCGで表現される部分もあるので、撮影中は何が起きているのかということを冷静にわかってなくてはいけないからです。
でも、こういうシーンになると、清水監督は気合のスイッチが入ってました。特に、(祷)キララちゃん演じる“イマジョ”は、手の先のちょっとした角度や、髪の毛の状態とか、とても細かいこだわりの力の入れ具合がすごかったです。
私たちには、悲鳴の語尾の指示。「こういうふうに(悲鳴を)終わらせると、こういう印象になるから、この場合はこっちでいってほしい」とか。私はけっこう悲鳴担当だったので、途中から事前に監督に確認しにいくようになりました。「悲鳴、どうしましょう?」って(笑)

-ご自身の怖がっているシーン含めて、完成した映像をご覧になっていかがでしたか?

川添野愛
1回目はあまり冷静に観れなくて、ホラー映画を映画館で観るという体験が初めてだったので、そのドキドキもありましたし、あと、現場で見えていたものは完成形の半分くらいだったんだなとも思わされたからです。撮影中はここは最終的にどうなるんだろう?って思うこともありましたから。
その後、もう一度観るチャンスがあって、そのときは物語として感じることができました。

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■メタバースの世界も発達し過ぎると・・・

-ロケ地の奄美大島はいかがでしたか?

川添野愛
奄美大島は世界自然遺産に登録されているだけあって、人の手があまりついていない感じがとてもいいなって思いましたし、その感じが作品にも表れていて、すごく良かったなって思います。
南の島独特の穏やかな空気に包まれていて、そのおかげで私たちもすごくリラックスして、長い人は2ヶ月ぐらいいて、環境に馴染んでいました。

-撮影現場全体の雰囲気はいかがでしたか?

川添野愛
穏やかな雰囲気で楽しい現場でした。その中で女子が強いので、私も生駒ちゃんも、美月さんも。だから、監督に切り込んで聞きに行くのは女性陣が多かったですけどね(笑)

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-本作の物語のキーとなっているメタバースについて、川添さんはどういう印象をお持ちですか?

川添野愛
たとえば、今回のコロナ禍みたいなことが起きたときに、ちょっと気持ちをリフレッシュするためだったり、夢だけど現実にはできないことができたり、異世界に連れ出してくれるというような意味ではいいと思います。私も空を飛ぶVRを体験したことがありますが、キャッキャッと喜びながらやりましたし。
でも、VRやメタバースの世界に没入している人を傍から見ると、私はすごく怖くなるんです。なので、みんながそれだけをやっている世界を想像したら、異様さも感じるし、そのうち、素肌感までがメタバースの世界で再現できたり、あまりにいろんなことが出来すぎてしまうのは、ちょっとロマンが無くないか?とも思っちゃったりします。

-確かにこの作品で描かれているメタバースも潮の香りを感じられたりとか、完全にリアルな世界との区別がつかなくなってますしね。

川添野愛
そうなんです。

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■なにかゴールを置くと苦しくなる

-俳優としての今後の抱負はありますか?

川添野愛
俳優というお仕事は、自分の生き方が如実に表れるし、それを見られるし、どんな役をやっている方でもそうだと思うんですけれど、その人自身を隠しきれない。
ですので、俳優として、というよりかは、自分自身をどうしていくか?というところに私はフォーカスを強く当てています。
そして、次にどう進むか?と決断するときは、自分自身のフィーリングに依ることが多くて、その先どうなるかは自分でも想像がつかなかったりもします。極端な話、明日何をしているのかもわからない。
そういう意味でもなにかゴールを置くと苦しくなるんじゃないかなって。そこに行こうとするのは、私の場合ですけど、何か決まったものしか自分から生まれないんじゃないかなっていう感覚があります。なので、敢えて濃い霧に包まれた先に進んでいくということでいいのかなって今は思っています。
ただ、こういうことを言うと、周りからすると不安に思われるかもしれないので、一度やるって決めたことについては、どこまでも責任を持つという覚悟は持っているつもりです。

-オフの日の好きな過ごし方は?

川添野愛
俳優は、人と直接関わるお仕事なので、リセットのためにも「一人で何もしない」、これ大好きです。テレビも映画も見なくて、ほんとに何もしない半日を過ごすということもあります。
あとは、歩くことが好きなので、そういうときは好きな芸人さんのラジオ番組を聴きながら、3時間とか行き先も決めずに散歩しすることもあります。で、日が落ちてきたら、プラっとどこかのお店に入ってお酒を飲むと。

-居酒屋とかですか?

川添野愛
そういうときもありますし、コンビニでお酒を買って公園のベンチで飲むこともあります(笑)

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■観終わったあと、誰かと話さずにはいられない作品

-最後に、本作のPRとして見どころ含めたメッセージをお願いします。

川添野愛
私はホラーが苦手だと思っていたので、同じように苦手だと思っている方の気持ちはよくわかるんですけど、この作品は良い意味でホラーというジャンルだけじゃなくて、人間ドラマもとても濃く描かれています。そして、VRが出てきますが、映画を観る人は、登場人物の主観で映画自体を体感しているような感覚で楽しめるようになっています。もちろん、清水崇監督ファンの方にとっては、待望の新作ですし、監督はいろんな解釈ができる要素をいっぱい散りばめています。
出演者同士でもそうだったんですけれど、観終わったあと、誰かと話さずにはいられない作品でもあります。一人でもいいですけれど、誰かと一緒に劇場に足を運んで、観終わったあと、一緒にあれこれを話し合うところまでが一つのパッケージとなった作品なんじゃないかなと私は思います。

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川添野愛(かわぞえのあ)プロフィール
1995年2月5日生まれ、東京都出身。
幼少期より杉並児童合唱団に12年間在籍。
2015年多摩美術大学在学中に、WOWOW「贖罪の奏鳴曲」(青山真治監督)で女優デビュー。
主な出演作に、『パパはわるものチャンピオン』(藤村亨平監督)、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(柴山健次監督)、『ミュジコフィリア』(監督:谷口正晃)、ドラマ「恋愛時代」(YTV)、「パフェちっく!」(FOD)、「限界団地」(THK)、「his ~恋するつもりなんてなかった~」(NBN)、舞台「セールスマンの死」(演出:長塚圭史)、「春のめざめ」(演出:白井晃)、「タイトル、拒絶」(演出:山田佳奈)など。
現在、丸源ラーメン「感動肉そば!」篇のCMに出演中。
6/23(金)より、池袋シネマ・ロサにて1週間限定上映『アトのセカイ』(天野裕充監督)と今秋公開予定『緑のざわめき -Saga Saga-』(夏都愛未監督)に出演。

■フォトギャラリー

[ヘアメイク:光倉カオル(dynamic)/スタイリスト:土田寛也/インタビュー・写真:三平准太郎]


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映画『忌怪島/きかいじま』

《INTRODUCTION》
大ヒットを叩き出した『犬鳴村』、『樹海村』、『牛首村』の「恐怖の村」シリーズを生み出した東映と清水崇監督が手がける映画『忌怪島/きかいじま』。
2022年4月~5月にかけて奄美大島を中心に撮影が行われた本作では、島という閉鎖空間を舞台に今話題のVRの世界を表現。「VR」研究チーム“シンセカイ”に次々と降りかかる不可解な死と謎、解き放たれた「赤い女」の怨念、真っ赤に染まる島。現実と仮想という2つの空間で今までにない最強の恐怖が待ち受ける。

出演:西畑大吾(なにわ男子) ⽣駒⾥奈 平岡祐太 ⽔⽯亜⾶夢 川添野愛 當真あみ / ⼭本美⽉
監督:清水崇
脚本:いながききよたか 清水崇
音楽:山下康介
映倫区分:PG12
©2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
公式サイト:https://kikaijima-movie2023.jp/
公式Twitter:@Kikaijima2023
公式Instagram:@kikaijima2023
公式TikTok:@kikaijima2023

2023年6月16日(金)全国公開

忌怪島

本ポスタービジュアル

 

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