橋本愛「芸術は心の命を救ってくれる」第34回東京国際映画祭フェスティバルアンバサダー就任挨拶
2021年9月28日、都内にて、第34回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見が行われ、フェスティバル・アンバサダーに就任した、女優・橋本愛と、「Nippon Cinema Now」部門特集監督の𠮷田恵輔監督が登壇。それぞれの思いを語った。
会見レポート
■橋本愛 Q&A
Q. 橋本さんにとって、東京国際映画祭とはどんな映画祭でしたか?
A.この時期、空いている日があるときには映画祭のHPでプログラムを検索して、今この映画をやっているんだと調べてよく観客としても映画祭には通っていました。自分の人生が救われた経験もあります。映画祭で観た『エンドレンス・ポエトリー』という作品の中に、「愛されなかったから、愛を知ったんだ」という印象的なセリフがあるのですが、得られなかったものがあるからこそ、自分が何を得たかったのかということが分かると気付けて。だから、この人とうまくいかないなぁというのは、その人のことを大切に思っているからなんだと感謝の気持ちが生まれました。
Q.東京国際映画祭に望むことがありましたら教えてください。
A.これまでも、十分楽しませていただいているのですが、映画という文化が、日本という島国の地中深くに根を張って、皆さんの一人ひとりの生活の中に映画がはびこってほしいと願っています。現状に満足せずに、どうしたらいいのかということを考えていけるようにと願っています。
Q.今年の東京国際映画祭で観たい作品はございますか?
A.オープニング作品にもなっている、クリント・イーストウッド監督の『クライ・マッチョ』ですかね。あと、私はダンスや舞踊など身体芸術が好きなので、田中泯さんの作品『名付けようのない踊り』が楽しみです。
Q.コロナ禍における文化芸術の意義とは?
A.自分自身が文化芸術に生かれてきたのですが、芸術は心を救ってくれて支えになってくれるものだと思います。芸術というのは心を救ってくれるものだと思っていて、心を救う一端を担っていると思っているので、文化芸術は早急に必要なものではないと言われると悲しい気持ちになってしまいます。
映画に触れて少しでも癒やされて欲しいなとおもいますし、私も作り手として、一つ一つの作品を大事に丁寧に作っているので、一人でも多くの人に作品が届いて、そういった考えが根付いていってくれたら嬉しいなと思います。
■𠮷田恵輔監督 Q&A
Q. 今回の、特集が決まった時に、「嬉しくてお漏らししてます」とコメントを寄せていらっしゃいますが。
A. 自分はあんまり選ばれるタイプの監督じゃないんですよ。ベスト10とかにも。なんか、僕でいいんですかって思ってお漏らししました。東京国際映画祭というとスーツを着ているカタイ人たちが多いので、委縮して2度目のお漏らしをしています。
Q. 𠮷田監督が作品作りにおいて、大切にしていることなどありますか?
A. 基本的には、みんなが持っている感情の変化を大事にしています。人にあまり見られたくない、嫉妬や自己顕示欲だったり、恥部の様な部分を描いてますね。自分自身の心をさらけ出して、こんな自分でも変われる可能性もあるぜっていうことを、映画ではいつも描いてます。
Q. 𠮷田監督にとって映画とはどんな存在でしょうか?
A.幼稚園になるころには、映画監督になるって言っていたんです。大好きなジャッキー・チェンに会いたいと親にいったら、映画監督になれば会えるよと親に言われて。映画には僕も何度も救われましたが、色々あって、時々映画っていやだなっていう気分にもなることがあるんです。
そんな時に、これだっていう 1 本に出合うことがあって、また映画好きに戻って。自分もそんな映画好きに戻れるような作品を撮りたいなとおもいます。
Q. コロナ禍における文化芸術の意義とは?
A.コロナだなんだなんてこれからも続くでしょう。なので国だったり周りがなんだかんだ言ったとしても、作り手の想いはそんなやわじゃない。映画を作りたいという情熱はなくならないと信じています。
■東京国際映画祭チェアマン 安藤裕康 Q&A
Q. コロナ禍における文化芸術の意義とは?
A.感染対策も大事、経済を回していくのも大切、けれども文化芸術も同じくらい重要だと感じている。文化芸術は我々の心の問題なので、どう人生を感じるのかということを文化芸術から学んでいけると思っている。文化芸術を国民全体で大切にしていくということが大切だとおもっていて、だからこの不確定要素の多い中で東京国際映画祭を開催することを決めました。
■東京国際映画祭プログラミング・ディレクター 市山尚三 Q&A
Q. コロナ禍における文化芸術の意義とは?
A.文化芸術に癒やされることもあるとおもう。こんな状況になったからこそ、文化の大切さも改めて認識されるようになったのではないかとおもいます。
■コメント
●東京国際映画祭チェアマン 安藤裕康
今年こそリアルで対面の交流を大々的に実現したかったが、まだまだ余談を許さない状況。コロナを乗り越え、ポストコロナの映画の新しい未来を模索し、来年の布石になる様に努めたい。
17年ぶりに六本木から日比谷・有楽町・銀座地区という伝統ある映画の街に会場が移転し、より広いお客さんに親しんでもらいたい。また、17年ぶりにプログラム・ディレクターも交代となり、部門の改編も含め、充実した様々な作品が集まったと思う。「国際映画祭」という名にふさわしい映画祭にしたい。
●第34回東京国際映画祭フェスティバル・アンバサダー 橋本愛
アンバサダーを務めさせていただきます、橋本愛です。これまでも、プライべートでも作品を観に行かせてもらって人生を救われたり、出演させていただいた作品でレッドカーペットを歩かせていただいたり、舞台挨拶をさせていただいたりと、東京国際映画祭とはご縁があったのですが、今回は新たなご縁があってすごく嬉しいです。映画というものが日本という島国において、より地中深く根を張って、皆さんの生活にはびこって、根付いてほしいなと願っています。
●是枝裕和監督
映画祭というものは、人が集うことで成立するものです。このコロナ禍でいろんな人が色んな場所から隔てられて、集えなくなった時に、隔たりを超えて、映画というものが、映画祭というものが成り立つのかというものを考えるいい機会になればいいなと思い、今年は“越境”というテーマを掲げました。自分たちが目指す、あるべき東京国際映画祭という形というものを、具体的に映画ファンの皆さんに提示できる様に、その助けに少しでもなれればいいなと思っています。
●審査委員長 イザベル・ユペール
第34回東京国際映画祭のコンペティション国際審査委員の委員長に選ばれたことを光栄に思います。東京国際映画祭は世界で最も重要な映画祭の一つであると、私は大いに尊敬してきました。素晴らしい文化と堂々たる映画史を誇る国、日本に再び迎え入れてもらえる喜びを感じています。
これまで世界各地の映画祭で審査委員長を務めてきましたが、様々なバックグラウンドを持ちながら映画への愛でつながった才能ある仲間たちと自分の視点を共有する経験はいつも刺激的です。
今回の映画祭の成功をお祈りするとともに、他の審査員の皆さんと一緒に劇場で今年の入選作を拝見することを楽しみにしています。本当に何と幸運なことでしょう。
■フォトギャラリー
[写真・動画・記事:桜小路順]
<第34回東京国際映画祭 開催概要>
■開催期間:2021年10月30日(土)~11月8日(月)
■会場:日比谷・有楽町・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
<TIFFCOM2021 開催概要>
■開催期間:2021年11月1日(月)~3日(水・祝)
■会場:オンライン
■公式サイト:www.tiffcom.jp
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