【インタビュー&撮り下ろしフォト】武イリヤ「大人の“余裕”に惹かれた気持ちを頼りに。」映画『リッちゃん、健ちゃんの夏。』
長崎県佐世保市の離島・黒島を舞台に、女子中学生と国語教師の淡い恋のラブストーリーを描いた短編映画『リッちゃん、健ちゃんの夏。』(10/1公開)で、中学生の女の子・リッちゃんを演じた武イリヤに、撮影当時のことや自身のことについて話を伺った。
映画『リッちゃん、健ちゃんの夏。』は、2019年夏に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録された「黒島の集落」を舞台に撮影された、女子中学生と国語教師の淡い恋のラブストーリー。文化庁メディア芸術祭2020 審査員推薦作品になった他、3つの映画祭でグランプリ受賞など果たしている。
中学生の主人公・リッちゃんを演じた武イリヤは、現在カネボウ「KATE」などのモデルを務めており、撮影当時は大学1年。国語教師の健ちゃん役でこちらも映画初主演作となったのは、『ナポレオンと私』の笈川健太。
武イリヤ インタビュー&撮り下ろしフォト
■黒島はどこか異国のような雰囲気
-本作は、主に長崎県佐世保市の離島、黒島が舞台ですが、島の雰囲気で思い出に残っていることがあれば教えてください。
武イリヤ(リッちゃん 役)
印象としては同じ日本ではあるけれど、どこか異国のような雰囲気がありました。キリシタンの方が多いというのもあるのかもしれません。
また、私が行った時は霧がかかっていることが多く、劇中に登場した教会も霧に包まれていて、とても神秘的に感じました。
時期も夏でちょっとジメジメした時だったのですが、自分は今、ほんとうに長崎の島にいるんだろうかっていう不思議な感覚を覚えました。
あと、印象に残ったことは、花火をするシーンの撮影が終わり、宿泊しているところに帰ってお風呂に入ろうと髪の毛をほどいたら、カナブンが3匹くらい、ポロポロと出てきて、うわーっ!ってビックリしました(笑)
-食事はいかがでしたか?
武イリヤ
私が泊まっていた宿を管理していた方が毎日魚を釣ってきて、魚料理をふるまっていただいていました。私は魚はお刺身より焼いて食べるほうが好きなのですが、その時にいただいたお刺身は新鮮で今まで食べていたものとは比較できないほど美味しかったです。
■大人の“余裕”に惹かれた気持ちを頼りに。
-劇中のリッちゃんは、女子中学生という設定ですが、先生の健ちゃんに対して、「目を見て話して」など、大人っぽい視点をすでに持っているキャラクターです。武イリヤさんは、この“リッちゃん”という女の子をどう捉えて演じましたか?
武イリヤ
演じた時、私は大学1年生だったので、中学生の時の記憶を辿ると、通っていた塾の大学生の先生のことを思い出しました。その時の私は、中学生の自分にはない大人の魅力を先生は持っていると感じた気がします。“好き”まではいかないですが、大人の余裕に惹かれる気持ちは、リッちゃんと同じだなと共感しつつ、懐かしい気持ちにもなりました。そういった中学生当時の自分の気持を頼りに演じました。
-共演の健ちゃん役の笈川健太さんとお芝居の進め方について話し合われたことはありますか?
武イリヤ
台本合わせはほぼなく、ぶっつけ本番でした。役的に中学生と先生なので、オフの時でも一定の距離を保って接していました。リッちゃんから見て、健ちゃんは、憧れの存在で私の神様でもあるから、やっぱりその距離感はあんまり近すぎても良くないかなと思ったからです。
-撮影の合間や、オフの時など、笈川健太さんのことで印象に残っていることはありますか?
武イリヤ
リッちゃんが大きなカエルをタッパーに入れて差し出すシーンがあるのですが、実は私はカエルをぜんぜん触れないんです(笑)
そのカエルは、私たちがたまたま通った道で遭遇したカエルで、「これ、撮影に使えるから誰か獲って」ってなったものの、私含めて誰も触れなくて。そしたら、役ではイヤがっている健ちゃん役の笈川健太さんが両手でカエルを捕まえてくれたんです。それが、役とは逆の立場になってしまって面白かったです。
■モチベーションが上がるほどハマっているもの。
-ご自身のことについてお伺いしますが、まず、“イリヤ”というお名前の由来が気になりましたので教えてください。ギリシャ語由来で“良い生まれ”という意味だったりとか、その他さまざまな由来のあるお名前のようですね。
武イリヤ
ほんとは漢字なのですが、正しく読まれたことがなくて、芸名としては片仮名にしています。叔母が名付けたそうで、その意味はうろ覚えなのでが、ロシア語由来で“ここに存在している”という意味だと聞いています。
-現在、大学に通われているそうですが、コロナ禍でもある今、大学生活はどんな感じでしょうか?
武イリヤ
私の大学は対面の授業とオンライン授業と半々くらいなのですが、実習授業は、どの大学生もとても困っていると思います。
私が2年生の時にコロナ禍になったのですが、その時入学してきた1年生たちは、友だちもできにくくて、一人ですべてを抱えて大学生活を送っているんだろうなって考えると、とても大変な時代だなっていうのは感じます。友だちを作るきっかけが無いというのは悲しいですよね。
-乗馬をされるようですが、最近、ハマっているものはありますか?
武イリヤ
最近は、アニメにとてもハマってます。大流行した「鬼滅の刃」はもちろん、「僕のヒーローアカデミア」を友だちに奨められて観てみたのですが、世界が変わるというか、自分が強くなった気がして、電車に乗っていても、「私は無敵だ」と思えたり(笑)
モチベーションがすごく上がって、アニメって偉大だなって思いましたし、ハマれるものがあるのは幸せなことだなって思えるような作品に出会えたことが嬉しいですね。なので、ここ最近は趣味=アニメです。
乗馬に関してはもちろん趣味ではあるのですが、最近はなかなか行けていませんが、やっぱり動物と触れ合うこともできるし、運動にもなるので、続けていきたい趣味です。
■とことん堕ちた人を演じてみたい
-俳優として、今後演じてみたいキャラクターや出演してみたい作品ジャンルがあれば教えてください。
武イリヤ
なんで?って言われるかもしれませんが(笑)、自分とはかけ離れた生活をしている人を演じたいです。たとえば、ホストにハマってしまいすべてを犠牲にしたり、ギャンブル依存になっちゃったりして堕ちていってしまうみたいな。とことん救いようのない人間、今の自分の気持ちにはまったくない人間の気持ちを役を通して経験してみたいと思っています。『リッちゃん、健ちゃんの夏。』からは考えられないような役ですが、やってみたいなと思っています。
■最後にメッセージ
-ご自身の好きなシーンはありますか?
武イリヤ
ネタバレにならないシーンで言うと、健ちゃんが教会でお祈りを捧げて出てくるのを待っているシーン。そこは、キリシタンではないリッちゃんと、キリシタンの健ちゃんの2人それぞれが住む世界が違うのでは?という境界線を表していると感じています。(ただでさえ生徒と先生という関係だし)2人の差がさらに明確になるところ。ここはとても良いシーンだなと思います。
-最後に、『リッちゃん、健ちゃんの夏。』の見どころ含めて、これからご覧になる方へのメッセージをお願いします。
武イリヤ
見どころとしては、思春期であるリッちゃんと、中学校の先生である健ちゃんとの複雑な関係、そういうのは、やっぱり観ていてドキドキすると思うんです。リッちゃんが周りに相談できない悩みでもあるけど、まっすぐ先生にぶつかってみている勇敢さは、とても健気で可愛いなって思って観てほしいなと思います。
■撮り下ろしフォトギャラリー
[聞き手・写真:金田一元/記事:桜小路順/衣裳:JILL by JILLSTUART]
映画『リッちゃん、健ちゃんの夏。』
長崎の離島、黒島。
昔、潜伏キリシタンがいた十字架(クルス)の島。
ここで自給自足の暮らしをするリッちゃんと健ちゃんにはある秘密があった。
あらすじ
佐世保市在住の中学2年生のリッちゃんは、両親の離婚で、2学期から東京への転校が決まっている。夏休みの間に、恋する国語教師の健ちゃんを追って黒島にやってきたリッちゃん。
迫害された潜伏キリシタンが逃げた黒島で、死んでもいいと思うほど愛する健ちゃんとの淡い恋は実るのか…
出演:武イリヤ 笈川健太
大國千緒奈 藤原隆介
脚本・監督:大森歩
プロデューサー:角谷淳 制作進行:松重涼子
撮影:高橋大祐 照明:野田真基 助監督:長田亮、大人雫
美術:佐藤彩 編集:原田衣織 録音MA:松崎清春
主題歌:「あの日」寺尾紗穂 P-VINE RECORDS
製作:STFF-S実行委員会 × AOI Pro. /企画:志岐誠 /共催:長崎県
後援:渋谷区・佐世保市
助成:令和元年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
配給:アルミード
©渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保2019 AOI Pro.
2019/ 日本/ カラー/ 2Kビスタ/ DCP/ 30min
公式サイト:haru-natsu-movie.jp/natsu
Twitter: @natsuharujyouei
Facebook:@natsuharujyouei
Instagram:@haru_natsu_jyouei
特報
10月1日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
同時上映作品『春』主演:古川琴音/監督:大森歩
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