映画『早乙女カナコの場合は』

【インタビュー】中川大志「これまで演じたことのない新しいキャラクター」映画『早乙女カナコの場合は』

『私にふさわしいホテル』に続き、柚木麻子原作映画『早乙女カナコの場合は』が公開中。主人公のカナコを演じた橋本愛の恋人・長津田役は、中川大志にとって新たな挑戦となったという。

映画『早乙女カナコの場合は』は、男勝りで過剰な自意識ゆえに素直に甘えることができず、本当は誰よりも純粋で不器用な主人公・早乙女カナコと演劇サークルの先輩・長津田の10年に渡る恋愛模様を中心に、彼女たちと周囲の人々が右往左往しながらも各々が自分を見つめ直していく姿を描いた恋愛奮闘記。原作は、作家・柚木麻子が2012年に上梓した小説「早稲女、女、男」(祥伝社文庫刊)。
主演を務めるのは、数々の映画やドラマに出演、歌手としての活動や、独自の感性を生かし様々なジャンルで活躍をみせる橋本愛。
「男とか、女とか、そのグラデーションとか、自意識、愚かさ、狡猾さとか、そんなものがわっと湧き上がってきて、葛藤して、ぐちゃぐちゃになって。でもそれこそがオリジナルで、そして何でもない自分自身なのだと、そんなふうに思ったんです。全然大人になんてなってなかった!」と橋本は語り、本作を通して気付かされた思いを明かす。

カナコと付かず離れずの関係を続けているうだつが上がらない脚本家志望の学生・長津田役には、シリアスからコミカルまで幅広い役柄を演じ存在感を発揮している若手実力派俳優・中川大志。
橋本との共演は本作が初となる。中川は「長津田というキャラクターを知れば知るほど人間の奥深さが出てきて、とてもチャーミングです。この役は僕にとってまた新たな挑戦でもありました」と役柄について触れ、「映画の中で流れていく時間、変化していく季節が、苦しくも心地よかったです」と撮影当時を振り返った。
また、原作者の柚木麻子からは「あまりにも美しい愛についての映画で自分の原作かどうか、疑ってしまった」と称賛のコメントが届いている。

中川大志 インタビュー&撮り下ろしフォト

‐本作の脚本を最初に読んだときの印象をお聞かせください。

中川大志(長津田啓士 役)
原作小説が書かれた2012年頃に対して、脚本で描かれている時代背景は2025年の今に刷新されている部分はあると伺いましたが、等身大の登場人物たちが描かれているのはそのままで、現実の世界との地続きな世界線になっているのは、観てくださる方にも大事なところですし、とても親近感を持てる話なので、そこを表現したいと思いました。

映画『早乙女カナコの場合は』

中川大志

‐そういう中で演じられた“長津田”というキャラクターをどう捉えられましたか?

中川大志
長津田は、これまで僕があまり演じたことのない新しいキャラクター性があって、面白いなと思いましたし、それもあってぜひやりたいと思いました。

‐橋本愛さん演じる“カナコ”は、長津田のどういったところに惹かれたんだと思いますか?

中川大志
実際のところはどうなんでしょうね。ただ、僕の考えで言えば、長津田って、すごくわがままだし、頑固だし、でも子供のような無邪気さもある。
でも、自分なりの心の鎧があって、それは、学校内、サークル内、社会に出てからもそうですけど、周囲に対しての自分の見せ方、すなわち、表面上での社会性と、本来の自分とのギャップも感じている。
そういったことが彼のチャーミングなところかなと思います。

映画『早乙女カナコの場合は』

‐逆に長津田はカナコのどういうところが好きだったんでしょう?

中川大志
自分が好きなものをカナコと共感しあえることが居心地良かったんだと思います。
大好きな映画の監督を知っているとか、そういうところから2人の関係は始まっていくんですけど、
でも不思議なもので、そういうことが立て続いていって、カナコに何か通ずるものがあるなとか、同じ空気感、同じ温度感、同じテンポ感とか、そういった体感がとても居心地が良かったのかなと感じています。

映画『早乙女カナコの場合は』

‐橋本愛さんとの共演で印象に残っていることは?

中川大志
とても素敵な方でした。お芝居をさせていただくのは今回が初めてだったんですけど、現場でも、自分のお芝居の方向性を明確に、そしてシンプルに持ってらっしゃるのかなという印象を持ちました。
一緒に演じていても居心地が良かったです。
この作品は特に、簡単に言語化できないところがあって、例えば台本のト書きでは書けないような感情とか、その場の空気感だったりを表現していかなきゃいけない話でもあるんですが、言葉として、「このシーンはこうですよね」「このようにしましょう」ということは、特に話していないのに、橋本さんとは、自然とフィットしていくという感覚がありました。

映画『早乙女カナコの場合は』

場面写真(中川大志/橋本愛)

‐長津田に恋する女の子“本田麻衣子”を演じた山田杏奈さんとの共演はいかがでしたか?

中川大志
山田さんとはこれまで同じ作品に出たことはありますけど、しっかりとお芝居をするのは今回が初めてだったんですが、とても楽しかったです。
麻衣子はカナコとは対照的なキャラクターで、長津田にとっては、心ここにあらずというか、目の前にいる人なんだけど、どこか別のことを考えてしまっていて、それを感じ取っている麻衣子の気持ちを考えると、とても切ない役ではあります。

映画『早乙女カナコの場合は』

場面写真(中川大志/山田杏奈)

‐矢崎監督には、どういう印象を持たれました?監督とのコミュニケーションを含めて教えてください。

中川大志
どの監督もそうだと思うんですけど、矢崎監督もご自身のポリシーが明確で、それが映画の世界観の中にリズムとして出ていたと思います。
現場では、毎朝、僕らがメイクしてる場所に矢崎監督が来てくれて、「今日はこういうシーンをこのように撮影します」と説明してくださって、その日の撮影の方向性をしっかりと共有していただけました。そしてそれは日々のルーティンになっていましたね。
現場に入ってからだと、けっこうバタバタすることもあるので、その日の撮影に入る前に腰を据えてお互いの準備してきていることや、やりたいことを話せるというのはありがたい時間だなと思いました。

映画『早乙女カナコの場合は』

‐長津田が、バイクや釣りなど、アウトドアのアクティビティを楽しむ姿が劇中登場しますが、中川さんはいかがでしょうか?

中川大志
僕もアウトドアな趣味も好きで、ゴルフや釣りもしますし、旅行もすごく好きなので、いろんな行きたい宿を調べたりして、休みがあったら旅行の予定を組んでみたりすることもあります。

映画『早乙女カナコの場合は』

‐最後に、本作をご覧になる方へのPRメッセージをお願いいたします。

中川大志
二人の男女の10年間を描いた話ですが、観てくださる方が映画の中の世界と現実の世界が地続きであってほしいと、それを目指して僕は撮影に臨みました。
皆さんにも起き得る、もしくは既に起きている何かすごく身近なことを扱っている映画です。観る方によって、それぞれ感じることはまた違うとは思うんですけど、明日以降、前に進む原動力の一つになったらいいなとも思います。

映画『早乙女カナコの場合は』

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:三平准太郎]


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映画『早乙女カナコの場合は』

《INTRODUCTION》
数多くの話題作を世に送り出し、国内外で高い評価を得ている柚木麻子の小説「早稲女、女、男」が映画化!主人公・早乙女カナコ役を橋本愛、長津田役を中川大志が演じる。
そして監督には『三月のライオン』『ストロベリーショートケイクス』などで知られる矢崎仁司。
柚木麻子の原作小説を実写化した『早乙女カナコの場合は』は、男勝りで過剰な自意識ゆえに素直に甘えることができず、本当は誰よりも純粋で不器用な主人公・早乙女カナコと演劇サークルの先輩・長津田の10年に渡る恋愛模様を中心に、彼女たちと周囲の人々が右往左往しながらも各々が自分を見つめ直していく姿を描いた恋愛奮闘記となっている。
 
《STORY》
大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。
就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも4年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。⻑津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。
編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年―それぞれが抱える葛藤、迷い、そして二人の恋の行方は―
出演:橋本愛
中川大志 山田杏奈
根矢涼香 久保田紗友 平井亜門 / 吉岡睦雄 草野康太 / のん
臼田あさ美
中村蒼
 
監督:矢崎仁司
原作:柚木麻子「早稲女、女、男」(祥伝社文庫刊)
脚本:朝西真砂/知 愛
主題歌:中嶋イッキュウ「Our last step」(SHIRAFUJI RECORDS)
製作:石井紹良 髙橋紀行 宮西克典
プロデュース:中村優子 金 山
企画・プロデューサー:登山里紗
プロデューサー:古賀奏一郎
撮影:石井勲 照明:大坂章夫 音響:弥栄裕樹 美術:高草聡太 装飾:杉崎匠平
編集:目見田健 衣装:篠塚奈美 ヘアメイク:酒井夢月
キャスティング:北田由利子
助監督:古畑耕平 制作担当:福島伸司 宣伝協力:FINOR
製作幹事:murmur KDDI
配給:日活/KDDI 制作:SS工房 企画協力:祥伝社
2024/日本/DCP/2:1/5.1ch/119min 映倫区分:G
(C)2015 柚木麻子/祥伝社 (C)2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
公式サイト:saotomekanako-movie.com
公式X:@wands_movie #早乙女カナコの場合は
公式Instagram:@wands_movie
 
予告編
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2025年3月14日、新宿ピカデリー他全国公開
映画『早乙女カナコの場合は』

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