国際交流が途絶えた今だからこそ。日韓コラボ映画特集上映を日本4都市で開催。プレイベントでキャストが語った日韓交流エピソード
日韓コラボ映画特集と名付けられた企画が、12/19から大阪のミニシアター「シネ・ヌーヴォ」を皮切りに上映を開始している。これは、コロナ禍により国を越えた人と人の交流がほとんど無くなってしまっている現状を、“映画”という媒体を通して観る者を異国に誘い、理解を深めるものとして企画された。
上映作品は、日本で撮影が行われた韓国のインディペンデント映画5 選。それらを12月から2月にかけて、大阪、福岡、名古屋、横浜のミニシアターにて上映。それに合わせて様々なイベントが企画されており、今回は12/6に行われたプレイベントでのキャストのトーク内容をレポート。
日韓コラボ映画特集 プレイベントレポート
12/6(日)東京・阿佐ヶ谷のBAR森にて、日韓コラボ映画特集のプレイベントとして、トークおよびミニライブが開催された。当日の出演者は、映画『大観覧車』のキャスト2名。数多くのインディーズ映画に主演し、注目を集める若手女優・堀春菜と、大阪のシンガーソングライターで、劇中歌も担当した“すのう”。日韓コラボ映画特集にちなみ、トークコーナーでは二人の出演作である『大観覧車』の韓国上映時の思い出や、二人の日韓交流にまつわるエピソードを披露。そして、ミニライブでは、すのうがインストゥルメンタルを含む4曲を弾き語りで演奏した。
■映画『大観覧車』韓国上映時の思い出 ~堀春菜&すのうトーク~
聞き手:ハラキリフィルムズ 今井太郎
今井太郎
映画『大観覧車』を韓国で上映したとき(2018年)の思い出を聞かせてください。
すのう
韓国の映画祭には、僕は2回。堀さんは1回行きましたね。
僕は韓国に行くことができて、ずっと浮かれていました。
今井太郎
韓国の映画祭で、公園での屋外上映の時に機材トラブルがあって、開始が30分くらい遅れましたよね。その時、すのうさんがギターを偶然持っていて、ステージで歌い始めたら、会場の皆さんが大喜びしたのを覚えていますね。
すのう
僕はしがないミュージシャンなので、映画祭のレッドカーペットを歩くなんてことがなくて、フォーマルな服装で来なさいって言われたんですけど、喪服しかなくて(笑)
そこで、僕と背丈が同じくらいの友人に、ポールスミスのスーツを借りて行ったんですよ。それが自分にぴったりで、欲しくなってしまいました。
堀春菜
あの時のスーツ姿、かっこよかったですね。
私が覚えているのは、『大観覧車』の上映の時にお客さんと一緒に映画を観ていて、上映後に監督が挨拶をしたその場で、「実は出演していたんです。」と話したら、「すのうさんだ!」と会場内が驚きで騒めいたことが印象に残っています。
すのう
あんなに驚いてもらえる存在になったっていうのが嬉しかったですね。
堀春菜
すのうさんって、気づいたら一番出番が多い出演者になっていましたけど、最初はそんなに出演シーンが多い予定ではなかったんですよね。
すのう
そうですね。『大観覧車』に出演するきっかけは、映画のプロデューサーが僕の曲を使いたいってところから、ついでに映画に出ませんかって声がけしてもらったことで始まっています。そこで、「出る!出る!」と出演の意思を伝えたら、台本が送られてきて、結構出てるなって思いましたね。監督とは大阪のロケ地を見に来る時に一度会って、居酒屋のテーブルで離れて座って少し挨拶した程度だったんですけど、届いた台本を確認したら、その居酒屋でのほんの1~2時間で僕のことを見ていたんだなっていうのがわかる内容でした。監督が人を見る目ってすごいなと思いました。
▼すのうさんの演技は、カメ止め出演者界隈でも噂に!?
今井太郎
風の噂で東京でも、すのうさんの演技がすごい上手いっていう話しを耳にしたのですが。
すのう
昨日、ライブをした店でも人づてに、『カメラを止めるな!』に出演していた女優さんの役者界隈で「『大観覧車』っていう映画に出ているすのうさんっていうミュージシャンの演技がすごい上手いって噂になっていますよ。」という話を耳にしました。ただ、僕自身の耳には直接入ってきていないので、浮かれすぎないように気を付けています(笑)
今井太郎
東京で活動している堀さんは、すのうさんのそんな噂を耳にしたことはありますか?
堀春菜
私は耳にしたことはないんですけど…(苦笑)
でも、すのうさんが演じるバーのマスターの姿とかをみると、敵わないなぁと思いますね。すのうさんは、その場の雰囲気に馴染んでいるから、どうしたらそんな存在になれるのかと思います。
すのう
僕はただ、ぼんやりしているだけだと思います(笑)
出演した2つの作品とも、“すのう”として出ているので、演技したっていう充実感はないです(笑)
■堀春菜さん、すのうさんの日韓交流エピソード
▼すのうさんと韓国とのエピソード
今井太郎
すのうさんと韓国とのつながりを感じるエピソードはどんなものがありますか?
すのう
昔所属していたインディーズの音楽レーベルの企画でプサンに行ったときに、はじめて韓国のプロデューサー(イ・ジョンオン)に会いました。その時の仕事がK-POPのプロモーターのような仕事で、ロックフェス的なイベントに参加して歌わせてもらったんです。そこでそのプロデューサーが僕の曲を好きだと言ってくれたんです。ただ、彼が言うには「韓国人は、すのうのスタイルが好きで超かっこいいと思うけど、日本では絶対に売れない。」って(笑) それを聞いて、そんなに自信があるんだと思いまして、「じゃぁ、韓国で売れるんなら何とかしてやぁ!」って彼に伝えたら、「僕はいつか映画を撮るからその時に、すのうを使いたい。」って言われたんです。それが今から10年前のことで、そこから4,5年経って、『大観覧車』につながったんです。
▼堀春菜さんと日韓交流
今井太郎
堀さんは、高校生の頃から韓国との交流があったそうですがどんなきっかけがあったのですか?
堀春菜
高校の時に日韓交流を行う団体に所属していました。川崎と姉妹都市である富川(プチョン)の高校生たちと交流していました。夏は韓国に行って、冬は日本に来てといったホームステイだったり、合宿のスタイルで、歴史について話し合う団体だったので、その年によって、日韓の問題をテーマに、それぞれが日本側の立場、韓国側の立場だったり、政府の立場や市民の立場といった様々な角度から見られるように話し合いの場が考えられていました。そのうちに主演作の『ガンバレとかうるせぇ』(佐藤快磨監督・2014年)がプサン国際映画祭に招待されたり、今回の『大観覧車』のベク・ジェホ監督に出会ったり、私と韓国にはずっと縁があるんです。高校一年生の時に学校の廊下に貼りだしてあった日韓交流の募集チラシをみて応募したのがきっかけです。私は目に留まったものに飛びついて行く習性があって、その自分の直感だけを信じられるものと思っているところがあるんです。その時に日韓交流のチラシがなかったら、韓国映画には出ていなかったかもしれないので、まさに運と縁のおかげだと思っています。
■すのう ミニライブ
[セットリスト]
1. instrumental 「ひとつぶの」
2. 「人並の中で」
3. 「果ての世界」
4. 「スペースオデッセイ」
1曲目は、映画『大観覧車』の劇中で、夜にギターの練習をするシーンでかかっている曲。2曲目の「人並みの中で」と3曲目の「果ての世界」を続けて歌ったすのうさんは、「果ての世界」について次のように語った。
監督から「二人で演奏する山場にある曲が(すのうさんがつくった曲の中に)無いか?」と言われ、「僕は元気が出たり盛り上がったりする曲は書いたことがないです。」って答えたあとに今までの曲を監督に送ったんです。そこで監督が選んでくれたのが「果ての世界」でした。この曲は僕自身が作った曲ですが難しいし、あまり歌ってこなかったんです。でも、映画『大観覧車』のおかげで歌うようになって、バンドバージョンにもしました。ただ、いまでも苦手な曲なんです。
ミニライブのラストの曲は「スペースオデッセイ」
すのうさんが観覧車を宇宙船にたとえてみようと思ってつくった曲だという。「スペースオデッセイ」について、すのうさんは次のように語った。
観覧車も宇宙船も一周まわってもどってくる。「何者かになろう、どこか遠くに行こう」と思って人生を過ごしてきたけれども、今となっては同じところでくるっと回ってきた気がする。同じ座標にいるとしても、ただ立っているだけと、進んで行って一週回って自分の後姿をみるとでは、全然人生が変わってくる。そう思ってつくった曲です。
「日韓コラボ映画特集」企画の趣旨、概要
主催者からのメッセージ
新型コロナウイルスの影響で、国を越えた人と人の交流がほとんど無くなってしま いました。このような時こそ映画は私たちを異国に誘い、理解を深めさせてくれる貴 重な存在だと考えます。特集するのは、アカデミー賞受賞などで勢いに乗る韓国映画。 12 月〜2 月にかけて「日韓コラボ映画特集」と題し、韓国のインディペンデント映画 5 選を大阪、福岡、名古屋、横浜のミニシアターにて上映します。いずれも日本で撮 影が行われた映画で、監督やキャストにオンラインで日本での思い出や印象も語って いただき、相互理解を深めます。オンライン上映も行い、4 都市以外の方々にもご覧 いただけます。
▼特集上映の作品群には日韓の実力派キャストが集結!
映画祭以外で初の国内上映となるチャン・リュル監督『福岡』には『パラサイト 半地下の家族』の長女役で国際的に高い評価を得たパク・ソダムや、ホン・サンス作品や「冬のソナタ」でお馴染みのクォン・ヘヒョが出演しています。その他、韓国からは『はちどり』のヨンジ先生役で圧倒的な存在感を放ったキム・セビョクや少女時代のスヨン、日本からは、若手俳優として活躍が目覚ましい堀春菜や田中俊介、そして最近では「わろてんか」など NHK 連続テレビ小説を始め、映画や舞台で活躍する女優・辻凪子が出演している作品がラインナップされている。
▼上映作品ラインナップ
【上映作品】
『福岡』(2019) – 福岡で撮影
監督:チャン・リュル
出演:クォン・ヘヒョ、ユン・ジェムン、パク・ソダム(『パラサイト 半地下の家族』)
ワールドセールス:Parallax Films
『デッドエンドの思い出』(2019) – 名古屋で撮影
監督:チェ・ヒョンヨン
出演:スヨン(少女時代)、田中俊介
原作:よしもとばなな
配給:アーク・フィルムズ
『大観覧車』(2018)- 大阪で撮影
監督:ベク・ジェホ
出演:カンドゥ、堀春菜、ジ・デハン、すのう、辻凪子
配給:harakiri films
https://daikanransya.com/ (ホームページ近日アップデート予定)
Twitter @goosegoessouth
『でんげい わたしたちの青春』(2015) – 大阪で撮影(ドキュメンタリー)
監督:チョン・ソンホ
出演:キム・ヒャンスリ、コ・スンサ、ソ・ヌンヒャン、チャン・スギョン、イ・ス ンオン、カン・ソナ、キム・ソンファ、イ・サフェ、イム・モジョン
配給:キノ・キネマ
Twitter @kishinoreiko222
『ひと夏のファンタジア』(2014) – 奈良で撮影
監督:チャン・ゴンジェ
出演:キム・セビョク(『はちどり』)、岩瀬亮
配給:「ひと夏のファンタジア」プロジェクト 2014-2016
https://hitonatsunofantasia.com/
Twitter @hitonatsufanta
【上映劇場】
大阪 シネ・ヌーヴォ – 12月19日(土)〜12月25日(金) ※終了
福岡 KBC シネマ – 1月16日(土)~1月29日(金)
名古屋 シネマスコーレ – 1〜2 月頃
横浜 シネマ・ジャック&ベティ – 1〜2 月頃
【オンラインイベント】
・各作品をオンラインでも有料上映→リンク
・各作品の監督交えて、日韓合作についてや、日韓文化交流についてオンラインでディスカッションを東京フィルメックスYouTubeチャンネルにて配信[1/9(土)、1/10(日)]
・『大観覧車』については、出演者でオンラインコンサート実施(12/17実施・終了)
・監督やキャストのオンライン舞台挨拶も実施予定
・最新情報は、Twitterのハッシュタグ #日韓コラボ映画特集 でアップデート
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