東出昌大「自分には芝居しかない」出る杭が打たれる日本社会?映画『Winny』公開記念舞台挨拶
2023年3月11日、TOHO シネマズ 六本木ヒルズにて、映画『Winny』公開記念舞台挨拶が行われ、東出昌大、三浦貴大、和田正人、松本優作監督が登壇。実際の事件を元にした本作の役づくりについて語ったほか、当時のコンピューター環境の忠実な再現の裏話などについても明かした。
本作は、ネット史上最大の事件ともいわれた禁断の実話を映画化。不当逮捕から無罪を勝ち取った天才開発者・金子勇氏の7年の道のりを描く。
舞台挨拶レポート
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革新的なソフト「Winny」を開発した金子勇役の東出。役作りのために体重を18キロも増量するなど誠実に役に向き合った東出は「こんなに素晴らしい心の綺麗な人を演じる機会はなかなかない。今まで自分が演じてきた役の中でも特別に魅力的な人物が実在したというのも幸運だし、それを演じることが出来て光栄でした」と感謝。
実際の金子さんがプログラミングに没入していたように「自分には芝居しかない」と思って役にとりくみ「「『Winny』の撮影期間は演技に没入する期間でもありました」と振り返った。
サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光役の三浦は、東出との共演に「今日の東出君はピシッとしているけれど、撮影中はいつ見ても猫背で動きもずっと金子さんだった。壇先生とのバディ感や兄弟感が出たのは、東出君がずっと金子さんでいてくれたから」とリスペクト。
すると東出も「僕が突っ走るタイプの役者ならば、三浦さんはバックネット。支えになってくれました」と信頼していた。
弁護団の一員・浜崎太一役の和田は三浦に対して「今日の挨拶は関西弁で!」とツッコミを入れるなど、ムードメーカーぶりを発揮。役柄を演じる上で和田は「壇先生の半歩下がったところから全体を俯瞰して見るのを意識」「<仕事で悩んだ夫に対して妻が言う一言>がヒントになるかのように、古き良き昭和のお母さんとして、時に小言を言い、時に支えながら…。そんな雰囲気を大切にしていました」と回想した。
三浦から「それは気づかなかった…」と言われると、「そう!気づかないのが妻の役割だから」と満足そう。さらに松本監督から「個性的な役者さんが多い中で和田さんがシーンを一つにまとめてくれた」と褒められると、「やっと言ってくれましたね!」と自画自賛する和やかなシーンも。
企画から約4年を経て、昨日から全国132スクリーンで上映中の本作。
松本監督は「実際の事件を扱っていることもあり、当初は、都内1館程度の上映しかできないと思っていました。この映画に携わってくれた皆さんのお力がなければ、このような規模での公開は出来なかったはず。僕自身、責任を持ってこの作品を届けていきたいです」と公開日を迎えて感無量に。
和田も公開を迎えて「SNSでは<Winny事件>を知らないであろう若い世代の感想があったりして、時を経て再びWinnyが世の中に拡散されている。この状況を金子さんが見たらどう思うのか。きっといたずらっ子のような笑顔で見ているだろうと思う。多くの方に天才の手のひらの上で転がされる面白さを感じてほしい」とアピール。
三浦は「映画を通して金子さんのことを知ってくれる方が増えていくのは嬉しいし、それを支えた弁護士たちの必死の戦いにも注目してほしいです」と期待。
東出は「真実は見る角度を変えれば様々に変わるものだけれど、この映画『Winny』の中で描かれている金子勇の真実が一人でも多くのお客さんに届けばいいなと切に願っています」と呼び掛けた。
松本監督も「真実がサイコロならば、僕らが見ているのは一面や二面でしかない。残りの面を見なければ本質は掴めない。この映画もサイコロで言うと一面、二面。映画を通してWinny事件がどのようなものだったのか、改めて感じて考えていただけるようなきっかけになればいい。映画で描かれる事件は今の社会に通じることが沢山あると思うので、私たちの生きる社会がどのようなものなのか、映画を通して考えるきっかけになればと思います」と思いを打ち明けていた。
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[動画:三平准太郎]
映画『Winny』
なぜ、一人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか?
開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語である本作。
INTRODUCTION
映画『Winny』は、2018年に開催された「ホリエモン万博 CAMPFIR映画祭」の“映画企画クラファン大会”でグランプリに輝いたことを起点としている。企画したのは、スマートキャンプやHIRAC FUNDを立ち上げ、現在Web3・NFT領域で新たにNFIGUREを起業している古橋智史。古橋は、以前から日本のテクノロジー発展に寄与したいという思いがあり、「出る杭が打たれない社会を」というテーマで本作を企画した。メガホンを取るのは、自主映画『Noise ノイズ』(19)にて海外映画祭で高い評価を受け、現在公開中の『ぜんぶ、ボクのせい』で商業映画デビューを果たし、今後の作品が期待される監督、松本優作。これまで現代社会で生きていくことの難しさをリアルに描いてきた松本監督が、金子氏の考えに共鳴、本作を作り上げた。
STORY
2002年、開発者・金子勇(東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。
しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。次々に違法アップロードした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。
サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。しかし、運命の⽷が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する――。
出演:東出昌大 三浦貴大
皆川猿時 和田正人 木竜麻生 池田大
金子大地 阿部進之介 渋川清彦 田村泰二郎
渡辺いっけい / 吉田羊 吹越満
吉岡秀隆
監督・脚本:松本優作
企画:古橋智史 and pictures
プロデューサー:伊藤主税 藤井宏二 金山
撮影・脚本:岸建太朗
音楽プロデューサー:田井モトヨシ
音楽:Teje×田井千里
制作プロダクション:Libertas
制作協力:and pictures
配給:KDDI ナカチカ
宣伝:ナカチカ FINOR
製作:映画「Winny」製作委員会(KDDI Libertas オールドブリッジスタジオ TIME ナカチカ ライツキューブ)
原案:朝日新聞 2020年3月8日記事 記者:渡辺淳基
(C)2023映画「Winny」製作委員会
公式HP:winny-movie.com
Instagram:@winny_movie
Twitter:@winny_movie
特報
2023年3月10日(金) TOHOシネマズほか全国公開
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