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朝が来る

蒔田彩珠「“役積み”で本当にデートして、相手の男の子を好きになった」

10月23日、都内にて映画『朝が来る』の初日舞台挨拶が行われ、永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、河瀨直美監督が登壇。河瀨組の定番とも言える“役積み”について、それぞれのキャストが明かした。(動画&フォト)

本作の原作者は、河瀨直美監督が惚れ込んだ直木賞・本屋大賞受賞作家の辻村深月。実の子を授かることが叶わず、特別養子縁組により、男の子を家族に迎えた夫婦。中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。両者が再び交差したとき、物語は大きなうねりを見せる――。日本ではタブー視されがちなセンセーショナルなテーマを題材にした感動ミステリーだ。

舞台挨拶レポート

朝が来る

■二人でベビーグッズを実際に買いに行った

-“役積み”と言う世界でも珍しい河瀨監督ならではの撮影方法があります。撮影前の2週間ぐらい前から 家族役の皆さんは一緒に家で生活をするとか、普通撮影では省略するところ、そこをも実際に皆さんは経験するというそこまで手間をかけて撮影する方法です。永作さん、劇中のベビーグッズでさえも役積みが始まってるそうですね。

永作博美(栗原佐都子 役)
はい。赤ん坊のものは全て自分たちで揃えてくれと。ふつう、そういうものは美術さんが揃えるものなんですけどね。
今回は、井浦さんと二人であるショッピングモールに行って、おくるみも肌着もよだれかけもオムツもミルクもそれを入れたバッグも全部自分たちで時間をかけて選んで用意しました。

永作博美

永作博美

-その時はもちろんカメラは回ってないんですよね?

永作博美
はい。だから一般の方に写真撮られたらドキドキするなという中でお買い物していました。

-子役の方も役積みされてるんですか?

永作博美
してますね。その子と一緒に住んでました。誕生会をしたり、マンションに住んでいる他のお友達と一緒に遊んだり、幼稚園に行って先生の話を聞いたり。

河瀨直美監督
先生役の人に本当に怒られてましたね。ジャングルジム事件というのがあって(笑)

■相手役の男の子と本当にデートしました。好きになっていました。

-蒔田さんの役積みはさらに徹底していると伺いました。奈良の中学生として現地の学校に通われていたとか。そこでどんなことを体験したんですか?

蒔田彩珠(片倉ひかり 役)
通っていました。河瀨監督の母校です。
(撮影の)2、3週間前くらいから通ってました。家族役の方たちと一緒に住んでたんですが、朝、起こされて、ヘルメットかぶって自転車ですごいきつい坂を登って通ってました。
で、5時間くらいちゃんと授業を受けて、部活して、友だちと遊んで帰宅です。

蒔田彩珠

蒔田彩珠

-学校を通う許可を取ったってことすか?

河瀨直美監督
取りました。

-こういうことをやる映画なんて、普通ちょっと考えられないですけど、これをやってくださいって言われた時に、正直どう思いましたか?

蒔田彩珠
やる前はここまでするんだと思いましたけど、でも実際撮影が始まると、本当に“ひかり”になりきれてる状態から始められたので、そこは良かったなと思いましたね。

-彼氏役の方とは、デートみたいなものも?

蒔田彩珠
実際にしましたね。
でも、告白のシーンの撮影までは一切喋っていなくて、そこでカメラの前で初めましてでした。
デートは、二人で行ってきてって言われて、本当に二人で奈良の森を歩いてて、でも誰か後ろにいるなぁみたいな。

河瀨直美監督
それは見守るスタッフはいるわけです。透明人間として。

-永作さん、そんなことやってると本当に好きになっちゃうかもしれませんよね。

永作博美
好きになっちゃったでしょうね(笑)

蒔田彩珠
そうですね。“ひかり”的には好きになっていました。

蒔田彩珠

■専門家になるほど勉強した“役積み”

-浅田さんの役は特別養子縁組の支援をするNPO法人の専門家ですが、役作りは?

浅田美代子(浅見静恵 役)
専門知識を全部わかってないといけないので、実際の専門家の方にお会いしたり、子どもを引き取った方にもお会いして話を伺ったり、たくさんの書籍でまるで受験勉強のように勉強しました。
しかも、何を質問されてもちゃんと答えないといけないのに、私のシーンはほぼ台本が無いんですよ。講演のシーンも自分の言葉で話していますし。

浅田美代子

浅田美代子

永作博美
私たちも、ほんとに養子縁組の説明を聞きに来ている方たちの中に置かれて、質問したりしてますから。

井浦 新(栗原清和 役)
浅田さんが答えやすいような質問をと配慮しようと思いましたが、こちらもいっぱいいっぱいなので・・・(笑)

井浦 新

井浦 新

-なるほど。確かに映画とは違うリアルさが、スクリーンから溢れ出ていました。

■役者にとって“役積み”とは?

-このような“役積み”の体験は、役者さんとしてはいかがですか?

井浦 新(栗原清和 役)
俳優としては、役積みなどの経験や、現場の中で突然生まれてくるものを監督が大切にしてくださる撮影方法は、僕はとても幸せな環境だと思います。覚えたセリフはありますけど、その場で感じたことを言葉にしていくことに監督は重きを置いてくださるので。

井浦 新

蒔田彩珠
映画の撮影でこれほどたくさんの時間をいただけるということは他には無く、この作品では4、5ヶ月ぐらいあったので、そんな贅沢に役積みをさせてもらえたのは、これからも役者をやっていく上で大事な時間になったなと思いました。

蒔田彩珠

浅田美代子
その人になりきれるまで(監督が)待っててくださるっていうことは、そういうことはあまりないですね。私、長く女優をやってますけど。なのでとても新鮮な気持ちでできました。

-『あん』での樹木希林さんのエピソードを教えて下さい。

浅田美代子
『あん』は、舞台となったハンセン病患者用施設が国有で泊まることができなかったので、役積みはできなかったんですよ。なので、希林さんは「ラッキーだったわぁ」っておっしゃってましたね(笑)

-さすがに近くにいらっしゃっただけあって、希林さんのモノマネがお上手ですね(笑)では、永作さんはいかがですか?

永作博美
役積みがあったから、“佐都子”にたどり着いた気がしています。
現場で、「あなたは今どう考えるのか?」っていうのを毎回突きつけられている感じがしていました。
それをいつも監督が見ていて、そして楽しみにされていて、その監督の楽しみを奪いたくなかったし、それに応えたいと思ってみんなこの作品を作ったと思います。監督の愛情について行こうとしていました。

朝が来る

-河瀨さん、役者さんたちのそういう取り組みの中で、思い描かれていたものと違う結果になることはありますか?

河瀨直美監督
ないです。それが本当のことだから。
皆さんと出会う前に、自分の頭の中のイメージはありますけど、そこに現れてくれた人が本物なので、それが生かされていくっていう。

■“役積み”演出スタイルのきっかけ

-この“役積み”の演出スタイルをとるようになったきっかけは?

河瀨直美監督
『萌の朱雀』です。最初の最初に遡りますけど、奈良県西吉野村で尾野真千子を見つけた時から。
彼女は全くの演技経験がない人だったし、中学生だったけど、毎日毎日積み重ねる順撮りの中で、彼女の中に何かが宿ってくるのがすごい見て取れて。
これは順撮りっていうものは絶対に外せないなとも思いましたし、役のことを毎日1ミリずつでも積んでいくことはとても大切なことなんじゃないかなって思っています。それを全部(監督の私が)引き受ける。

河瀨直美監督

河瀨直美監督

■いつの間にか撮影が始まって、いつの間にか終わる

-永作さん、監督の「用意スタート」が無い現場だとか。

永作博美
無いです。例えば部屋のシーンがあって、ドアを開けて入ったらもう始まっている。スタッフもほんとに空気になってどこかにいるっていう感じで。

井浦新
なんなら15分くらい前からもう始まってたりしますもんね。

永作博美
そう、私たちがわからないうちの始まってたりする。

朝が来る

-「カット!」も無いんですか?

永作博美
もろちろん無い。気がついたら誰もいなくなって、私たちだけでやってたみたいなことがありますからね。

浅田美代子
ほんとにいつ始まっていつ終わったかわからない感じですよね。

■最後にメッセージ

永作博美
最初に台本を読んだ時は、朝が来ないと思っている人は自分が思っている以上にたくさんいるんじゃないかなっていう思いの方が強くなったんですけど、撮り終わって作品の試写を観た時には、間違いなくみんなに光が差し込んでいるというのがはっきりとわかりました。
この映画を観たくても劇場に足を運べない人もいるかもしれません。ですので、観てくださった方がそういう方々にも光を少し分けてあげられるような、そんな作品になればいいなと思います。みんながそれぞれに分けていけるような、そんな連鎖が生まれるといいなと思います。

河瀨直美監督
ここで一句を。

永作博美
「秋雨も 祝福になり 逢いたくて」
なぜ俳句かということですが、役積みをする中で、長距離の移動中、自分に戻らないように違うことを考えようと思った時に、俳句を読むようにしたんです。時間をかけて別の世界に連れて行ってくれると思ったから。
季語を調べるところからすごく時間がかかったので、(東京から)広島までの道中、俳句を読んでました。

永作博美

河瀨直美監督
今日こうして『朝が来る』を待っててくれた人がこんなにもたくさんいて、フィジカルに同じ空間にいれることがとても幸せです。泣きそうになっています。
自分たちは映画人でスクリーンの向こう側にいる人間ですけれども、多くの方がのご尽力によってこうして舞台挨拶をさせていただいて、俳優が役積みのお話もできて、皆さんの熱い視線が注がれること、それが自分たちのこの後の俳優人生にも、そして監督人生にも間違いなく力になっていきます。
なので、エンドクレジットの最後の最後の最後まで、皆さん、席を立たずにご覧ください。そこに私が、皆が込めた思いが表れます。
よろしくお願いします。ありがとうございました。

河瀨直美監督

朝が来る

■トークノーカット動画

[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]

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映画『朝が来る』

STORY
一度は子供を持つことを諦めた栗原夫婦は、特別養子縁組という制度を知り、男の子を迎えいれる。
それから6年、息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。
ところが突然、産みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性から、「子供を返してほしいんです。それがダメならお金をください」という電話がかかってくる。
当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子供への手紙を託す、心優しい少女だった。
渦巻く疑問の中、訪ねて来た若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。いったい彼女は何者なのか、何が目的なのか。

監督・脚本・撮影:河瀨直美
原作:辻村深月 『朝が来る』(文春文庫)
共同脚本:髙橋泉
出演:永作博美  井浦新  蒔田彩珠  浅田美代子
  佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮
  山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛
製作:キノフィルムズ・組画
配給:キノフィルムズ/木下グループ
(C)2020『朝が来る』Film Partners
公式サイト:asagakuru-movie.jp

予告篇

10月23日(金)全国公開

朝が来る

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