小松未可子「お客さんが入ってのイベントは1億年ぶり」映画『どうにかなる日々』公開記念舞台挨拶
10月24日、都内にて劇場アニメーション『どうにかなる日々』の公開記念舞台挨拶が行われ、声優の小松未可子、櫻井孝宏、山下誠一郎、木戸衣吹、石原夏織が登壇し、本作の魅力を語った。
本作は、「放浪息子」「青い花」などの代表作で知られる青春群像劇の名手・志村貴子による様々な恋模様を淡く繊細に描いたオムニバス漫画 (太田出版刊)を原作とする。
主題歌・音楽は4人組ロックバンド「クリープハイプ」が書き下ろし楽曲を提供。「クリープハイプ」が映像作品の劇伴音楽を担当するのはこれが初めてで、その全てをメンバー自らが演奏している。
舞台挨拶レポート
■公開初日を迎えて。
小松未可子(あやさん 役)
こうやってお客さんが入っていただいてのイベントは、私は、1億年ぶりくらいなんじゃないかなというくらいの気持ちです(笑)
ほんとに皆さんにお会いできるのを楽しみにしていました。
山下誠一郎(矢ヶ崎くん 役)
こういう景色を見るのは久しぶりだなぁと感動しています。
■完成した映像を観て。
小松未可子(あやさん 役)
原作では女性同士の仲での出来事が生々しくリアルに描かれています。
アフレコでは、ナチュラルに演じようと意識していたのもあって、完成した映像を観た時は、原作の志村貴子先生の優しいタッチはそのままに、生々しいと感じていたシーンもファンタジー過ぎず、とても美しくて、そして誰かの日常をいろんな人の視点で切り取られたような描写になっているのが印象的でした。
-エピソード2のお二人はいかがでしたか?
山下誠一郎(矢ヶ崎くん 役)
澤先生は表情がとても豊かで可愛らくして、その色鮮やかな演出が印象的でした。
櫻井孝宏(澤先生 役)
そうなんですよ。でもあれって彼の中だけで巻き起こっていることで、彼は1年かけてジワっと変わっていきます。周りから見ると小さな変化でも、彼の中ではたぶん劇的な変化なんだろうなとは思います。もしかしたら彼自身も気づいていないかもしれませんが。
そう思いながら収録していました。
収録はこの2人でしたが、静かぁな収録でしたよ(笑)
山下誠一郎
よく考えると告白のシーンはドラマチックなものだと思うんですけど、ドラマチックな演出をぜんぜん入れないというか、逆に引き算の演出になっているなって。
なので、アフレコの時も「ちょっと出しすぎです」「ちょっと元気になりすぎました」「もっと力を抜きましょう」と、そういうほぐしていくような演出をいただきました。
-エピソード3のお二人はいかがですか?
木戸衣吹(しんちゃん 役)
アフレコの時は7割ほど映画は完成していたんですよ。その後、音楽やSEが付いているのを観て、「うわぁ、すごい!感動!」って思いました。
石原夏織(みかちゃん 役)
そうだね。いわゆる劇伴というよりは、自然な生活音になっていたので、私たちもよりリアルな感じを出せるようにと思って演じましたが、完成版を観たら、2人の学生時代の様子がより出ている感じがしましたので感動しました。
木戸衣吹
温かいんだけど、でも切なくて。そういう原作の雰囲気がそのまま映像化しているように感じました。心が温かくなりました。
-木戸さんは男の子役は今回初めてですか?
木戸衣吹
初めてです。今まで人間の男の子っていうのを演じたことがなくて、動物の男の子ならやったことあるんですけど(笑)
今回は人間で、しかもナチュラルで小学生と中学生の演じ分けが必要だったので、最初はどうすればいいんだろう?って悩んでいたんです。で、監督と相談したら、「声を作るというよりかは、気持ちを作って演じたらいいと思いますよ」とおっしゃっていただいて、気持ちを作ることを意識しました。
-みかちゃんはシンプルだけど複雑というか、魔性の女ですね。
石原夏織(みかちゃん 役)
そうですね。小学生の時に「しんちゃん、次はウチにおいでよ」ってなかなか言えないですよ!
自分が小学生の時はそんなこと何も考えてなかったので。
木戸衣吹
私は雪を食べてましたよ(笑)雪国出身なんですけど、雪をお餅代わりだっていって食べてて(笑)
石原夏織
でも、みかちゃんはわかって誘っているわけではないから、大人の部分もあったり子どもの部分もあったりとけっこう悩みもしました。でも最終的には人間って複雑だなっていうのが正解で、わからなくてもいいのかなと思いつつ、みかちゃんと向き合いました。
■最後にメッセージ
小松未可子(あやさん 役)
お気に入りシーンはいろいろあるんですけれど、個人的には最後のえっちゃん(花澤香菜)のセリフが、この作品のすべてを表しているなとともいます。「少しの幸せを掴むのにこれだけいろんなことがあったけれど、最終的にはちょっとでも前に進められれば良かったじゃない。」心が軽くなるようなラストを迎えているので、私は個人的にはここが好きです。
この映画をご覧になって、皆様自身の青春の思い出に響いて、見るのが辛いなって思うシーンがちょっとでもあったとしたら私は嬉しいです(笑)
いろんなかたちの“愛”があって、いろんなかたちの“好き”があって、でもそれに答えが無くて、この映画はその余白が観る方によって変わるのかなって思います。皆さんの日々がどうにかなってほしいなと思っております。皆様の気持ちが少しでも軽くなりますように。
櫻井孝宏(澤先生 役)
皆さんもこの映画の登場人物たちと同じように自分しか知らない自分の人生の一コマがあると思います。この映画が皆さんに一コマを「素敵な思い出なんだな」って思わせてくれる作品になれればほんとに素敵だなと思います。
山下誠一郎(矢ヶ崎くん 役)
まさに今の時代だからこそ観る意義があるのかなと思います。皆さんがこの作品を観て感じた喜び、トキメキ、あるいはちょっとモヤモヤしたものだったり、そういったものが実はあとあと効いてくる作品です。“どうにかなる日々”の通り、少しでも皆様の人生の肩の荷がスッと降りるような作品になっていたらいいなと思います。
木戸衣吹(しんちゃん 役)
この作品はたくさんの愛がつまっています。是非その愛を感じていただけたら嬉しいです。
音とか、芝居とか、すべてこだわって作っていますので、全部に注目して観ていただけたらなと思います。
石原夏織(みかちゃん 役)
みかちゃんとしんちゃんのやりとりを見ていて、自分が忘れていた小学生時代の思い出が蘇ってきました。自分とは違う経験だけれども、とても懐かしい気持ちになりましたし、心が温まりました。
きっとこの作品は何度観ても心がポカポカする優しい作品です。これからもたくさん観ていただけたら嬉しいです。
ファイルーズあい(小夜子 役)/MC代読
この作品は心温まる二次元タッチの絵と内容のリアルさのギャップがとても魅力的で、観ているだけでとてもドキドキしてきます。
そんなドキドキを皆さんにも感じていただけると嬉しいです。
花澤香菜(えっちゃん 役)/MC代読
この作品には誰にも話したことは無いけれど、当事者にとって大事なできごとを第三者の目でこちらもソワソワしながら見守っているような、秘密を共有してしまうような、うまく言えませんがそういう作品だと思います。
劇的に人生が動くわけではないけれど、そこで感じた痛みやトキメキが原動力になって、どうにか日々を生きていける。淡々と正直に映し出させれる日常は、客観的に見たら案外良いものかもしれません。上映後、皆様の帰る足が少しでも軽くなっていますように。
[写真・記事:Jun Sakurakoji]
劇場版アニメ『どうにかなる日々』
【STORY】
誰かを想う日常は、ときに甘くて、ときに痛い。そんな、なるようにしかならない日々も、きっと、いつか。
元恋人の結婚式、男子校の先生と生徒、心と身体の変化を迎える思春期の幼馴染。
誰が相手でも、どんな形でも、全ての恋と生き方には同等の価値がある。
そして、不器用に誰かを想った日々は、きっといつか愛しい思い出になる。
そんな“誰かの恋”を優しく見守り、温かく描くオムニバスショートストーリー集。
【キャスト】
えっちゃん:花澤香菜
あやさん:小松未可子
澤先生:櫻井孝宏
矢ヶ崎くん:山下誠一郎
しんちゃん:木戸衣吹
みかちゃん:石原夏織
小夜子:ファイルーズあい
【スタッフ】
原作:志村貴子「どうにかなる日々」/太田出版 監督:佐藤卓哉
演出:有冨興二 脚本:佐藤卓哉、井出安軌、冨田頼子 キャラクターデザイン:佐川遥
色彩設計:仲村祐栄(BeLoop) 美術コンセプト:伊藤豊 美術監督:齋藤幸洋 撮影監督:髙津純平
編集:長谷川舞(editz) アニメーション制作:ライデンフィルム京都スタジオ 配給:ポニーキャニオン
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会
公式サイト : dounikanaruhibi.com 公式twitter : @dounika_anime
【各話あらすじ】
EP1「えっちゃんとあやさん」
「そういうワケで、ファーストキスは女の子なんだけど」
かつて同性からモテモテだった女の子“百合”は、いつのまにか男性と結婚。
結婚式に友人として参加していたのは、
百合の“高校時代の彼女”えっちゃんと、“短大時代の彼女”あやさん。
元恋人の結婚式で傷心のふたりは、お互い惹かれ合い——
EP2「澤先生と矢ヶ崎くん」
「先生、首、きれいですね」
味気なく、特に感慨もない卒業式の日。
男子校の教師・澤は突然、生徒の矢ヶ崎に告白をされる。
澤の波立つ心とは裏腹に、卒業式は変わらず毎年やってきて…
EP3「しんちゃんと小夜子」
「今だから言うけど、ぼくほんとはさみしかったんだ」
親に勘当された従姉の小夜子と、一時的に同居することになったしんちゃん。
夏休みの宿題を一緒にしていた幼馴染み、みかちゃんとしんちゃんは小夜子が出たAVを興味本位で見てしまう。
ふたりは戸惑う気持ちを抱えながらもそれぞれ成長していく——
EP4「みかちゃんとしんちゃん」
「しんちゃんが誰にも言わないでって言ったから」
中学2年生になった幼馴染みの、みかちゃんとしんちゃん。
しんちゃんの従姉・小夜子が出演した1本のビデオに未だ囚われながら、
思春期の距離感ともどかしさが、ふたりを包むリアルな青春物語——
10月23日(金) 全国公開
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。