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半世界

『半世界』3冠の阪本順治監督が日本映画界に思うこと。第74回毎日映画コンクール

2月13日、ミューザ川崎シンフォニーホールにて行われた「第74回毎日映画コンクール」より、女優助演賞 池脇千鶴(『半世界』)、脚本賞 阪本順治(『半世界』)、録音賞 藤本賢一(『半世界』)の受賞の言葉を写真と共に紹介。また、表彰式後の囲みインタビューも掲載。

オープニングセレモニー

池脇千鶴

池脇千鶴

女優助演賞『半世界』
池脇千鶴

このたびは、女優助演賞をまたしてもくださいましてほんとうにありがとうございます。賞がすべてではないですけれど、こうやってご褒美をいただけることで、ますます頑張ろうかなってとっても励みになります。ほんとうにありがとうございます。

池脇千鶴

池脇千鶴

池脇千鶴

池脇千鶴

池脇千鶴

池脇千鶴

脚本賞『半世界』
阪本順治監督
毎日映画コンクールに呼んでいただいたのは、たぶん、20年ぶりだと思います。久しぶりで緊張していますけど、表彰式含めて楽しんで帰りたいと思います。

阪本順治監督

阪本順治監督

録音賞『半世界』
藤本賢一
『半世界』という映画は、2年前、三重県の伊勢市でロケでお世話になったんですけれど、帰り際に地元の方々から柿をいただき、今年もその柿をいっぱい贈っていただいたタイミングでこの賞をいただけました。
僕にとっても大切な作品になりましたし、伊勢の方々にも記念になる作品になったことを嬉しく思います。

藤本賢一

藤本賢一

表彰式

女優助演賞 池脇千鶴『半世界』

池脇千鶴

池脇千鶴

池脇千鶴
この度は、女優助演賞をくださいましてほんとうにありがとうございます。
この毎日映画コンクールでは、20年以上前に新人賞(『大阪物語』)をいただいて、そして6年前にも女優助演賞(『そこのみにて光輝く』)をいただきました。その時、「またこの場に呼んでもらえたなんては奇跡に近い」と言ったような気がするんですけど、また奇跡が起きたような気持ちです。
こうやって呼んでいただけたことがとっても嬉しいですし、重みがありますし、まだまだ頑張りたいなっていう励みになります。
私はまだまだ38歳。まだまだなのかどうかわかりませんが、負けてられませんし、私がやれることをこれからも一生懸命やっていきたいと思います。
『半世界』は大好きな作品です。出番こそそんなになかったですけれど、こうやって選んでいただいてとっても嬉しいです。

池脇千鶴

池脇千鶴

生島ヒロシ
思春期の子を持つ母親の役は難しかったですか?

池脇千鶴
小さい子を持つ母親の役は経験があるんですけど、15歳の思春期の息子を持つという役は初めてだったので、できるかなぁって思ったんですが、阪本監督からは、「どっしりと構えてもっとゆっくりしゃべっていいよ」という演出はしていただきました。

生島ヒロシ
阪本監督は、池脇千鶴さんにどういう女優さんになってほしいですか?

阪本順治監督
30代後半だと、母とか妻の役をすることが多いと思いますが、でも皆さん、どこか生活の匂いがしないというか。大きな子どもを持っていても、それを演技だけでやるのではなく、何かしら人として演じてくれることを期待します。

半世界

生島ヒロシ/池脇千鶴/阪本監督

脚本賞 阪本順治『半世界』

阪本順治監督
毎日映画コンクールには20年ぶりに呼んでいただきました。私ごとに近いお話ですが、3年前におふくろが亡くなって、遺品を整理していたら、「来賓 毎日映画コンクール」というリボンが箪笥から出てきたんです。それは、20年前に私が母を毎日映画コンクールの表彰式に招待した時のものなんですね。それをずっと箪笥の奥にしまい込んでいたということです。
このエピソードは、実は『半世界』の脚本に書いています。そういう意味でも今日の受賞は感慨深いです。
そして、稲垣吾郎くんと池脇千鶴さんのふたりが、外に出ないで地方都市の中で長く暮らしてきた夫婦に見えるかというのが大事なところなんですが、撮影初日、この2人の雰囲気を見て、これでいけるなと思いました。

阪本順治監督

阪本順治監督

録音賞 藤本賢一『半世界』

藤本賢一
評価していただいて嬉しいです。30年前、映画学校の卒業間際の学生のに、横溝正俊さんという先輩の録音技師の方に東京テレビセンターに連れられて、現場を見せていただいたんですけど、作品が阪本監督のデビュー作である『どついたるねん』という映画でした。
その後、幸いなことに『BOXER JOE』(1995)、『ビリケン』(1996)で助手として入らせていただき、映画監督というのはこういう人のことを言うんだなというのを現場で体験させていただき、いつか、メインの録音技師として、阪本監督と作品を作り上げてみたいと思うようになりました。
ですので、この作品でお声をかけていただいた時は、今日の受賞以上に喜んだ記憶があります。
憧れの監督だったので、ものすごい意気込んで、この作品のキーとなる備長炭の音を自分で作ろうと思って、スタジオでいろんなマイクを立てて録り、またリバーブなどの効果も工夫しました。そうして作った音をいろんな心情の揺れ動きを表しているシーンにあてて、阪本監督に聞いてもらったんですけど、そうしたら監督が「この音なに?いる?」と(笑)
そこで私が引き下がったことが、今回の受賞につながったんだと思います(笑)
やっぱり、撮影現場で同時録音した本物の備長炭の音の方が、皆さんの印象に残っていると思います。

藤本賢一

藤本賢一

囲みインタビュー

映画監督になることをおふくろに大反対された

阪本監督が思う今の日本の映画界

阪本順治監督
もう飲んでます(笑)

半世界

– 今後、どういう役をやってみたいとかありますか?

池脇千鶴
どんな役でもなんでもござれっていう感じです。

池脇千鶴

池脇千鶴

– 監督はいかがですか?

阪本順治監督
宣伝になってしまいますが、春に石橋蓮司さん主演の『一度も撃ってません』の公開が待っています(4月24日公開)。
私は62歳ですけれど、今日いらっしゃってるような若い監督さんからも刺激をもらいながら、負けずに落ち着かないで新しい映画をやっていきたいと思います。

阪本順治監督

阪本順治監督

– 先ほどの受賞のスピーチで、お母様のお話をされていましたが、やはり毎日映画コンクールは思い出深い映画賞でしょうか?

阪本順治監督
ずっと親不孝をしていましたからね。映画監督になるのも大反対してたし、昔の人ですからね。ヤクザな業界に行くなと言われてましたから。

池脇千鶴
(笑)

阪本順治監督
でも今ならおふくろに言えますよ。「ヤクザな業界じゃなかったよ」って。「業界そのものがヤクザだったよ」って。

池脇千鶴
(笑)

– なるほど(笑)

阪本順治監督
そう思いません?
いや、あの、“芸術”です(笑)
僕が言うことじゃないんですけどね。僕は映画を撮れてるから幸せなことですけど。
僕が若い時の状況と、今の状況は違いますから、変えてほしいところはあります。僕がいくら声を上げても変わらない世界かもしれないけれど。
でも変わってほしいなって思うし。
僕は『パラサイト』の現場に行ってきたんですよ。で、韓国のスタッフの様子などを見て、まぁ作り方は一緒なんですけどね、映画人としての心の持ち方っていうのが、キツイ状況で撮っているのとは違うところが見えたし。
韓国の小学生に「将来、何の仕事をしたいですか?」って聞いたら、ベスト10に映画監督が入るわけですよ。
日本の小学生だと「映画監督ってなんの職業ですか?」って。
経済的に豊かになりたいということだけじゃなくて、どこかで誇りを持って、改善できることは改善してやっていきたいなと。国の後ろ盾は別にほしくは無いけれど、内部の事情としてね・・・・これ以上言うと仕事が無くなるんで言わないですけど(笑)
ま、いろいろ思います。ある種の年齢になってくるとね、自分のことだけじゃなくて、若い子たちがこれでいいのかなっていうのはあります。

半世界

– 『大阪物語』の時から毎日映画コンクールは馴染み深いと思いますが、改めて今回の受賞はいかがですか?

池脇千鶴
宣伝があんまりたくさんできているような映画じゃなくって割と小さな映画だったと思うし、その中でこうやって評価いただいて認めていただけるというのは、とても嬉しいし、自分が信じてやったお仕事だから、誇りですし光栄です。

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