創作と創作が繋がり誰かの心に届く瞬間。映画『満月の夜には思い出して』初日舞台挨拶。大槻美奈ミニライブも。
作品制作のきっかけとなった大槻美奈が登壇
「“ものづくり”に情熱をかける若者に観てほしい」。自身も20代若者の川北ゆめき監督の「MOOSIC LAB 2018」出品作品『満月の夜には思い出して』が、6月8日、シネマ・ロサにて上映初日をむかえた。この日行われた舞台挨拶では、監督・キャスト登壇に加え、川北監督がその音楽性・人柄に惚れ込み、本作製作のきっかけとなった大槻美奈によるミニライブも行われた。
映画『満月の夜には思い出して』は、大学の卒業を控えた若者の将来についての悩み・葛藤を描いた物語で、川北ゆめき監督自身のオリジナル脚本。川北監督が大学3年の暮れ、周りが就職活動を始める時期に、映画を撮る意味、ものを作る意味について逡巡していた時に出会い、自身が救われたという大槻美奈の楽曲を映画の中にちりばめた、時にリアルで時にセンチメンタルな青春群像劇。
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舞台挨拶レポート
初日舞台挨拶には、竹内ももこ、野島健矢、進藤智美、木村知貴、川北ゆめき監督が登壇。
冒頭、川北監督は次のように公開初日の喜びを語った。
川北ゆめき監督
この映画は、僕が大学を卒業する前に、映画を撮り続けるか、それとも就職するのかを考えて迷いながら作った映画です。この映画を撮ることで、映画を撮り続ける決意をすることができた特別な作品です。
今、この場でたくさんの人に観てもらえることがとても嬉しいです。ありがとうございます。
大槻美奈ミニライブ編
創作と創作が繋がって誰かの心に届く瞬間を目撃
登壇した大槻美奈は、「今日は、映画『満月の夜には思い出して』の中で使われていた曲を演奏したいと思います。」という挨拶のあと、ステージに用意されたデジタルピアノで弾き語りライブを始めた。
大槻が過去に、川北ゆめき監督の映画『変わらないで。百日草』(2017)で使われた「オト」を含み、3曲を演奏。
MCでは、大槻は今回、映画を作るにあたって川北監督と何度も、創作をどのように考えているかを話し合ったことを紹介し、そのことについて次のようにコメントした。
大槻美奈
創作を生活のためにするのか、趣味のためにするのかは、難しい問題。ただ、それはどこかで選択をしなければならない瞬間がやってきます。川北監督は、これからずっと映画で生活をしていく決意をしたんだなと思いました。
私は、その決意を奇跡のように感じて、嬉しいなと感じました。
同じように、役者の野島さん、竹内さん、時吉さん、進藤さんのみんなが、自分のこれからを考えるタイミングだったんだろうなと。
そんな時に映画をみんなで作って、それがいま上映されて、観に来てくださっている人がいるっていうのがすごい奇跡のように思っています。
創作と創作が繋がって、それがまた誰かの心に届いていく、その瞬間を私はいま目撃しています。
3曲目の「宇宙」の演奏を終えると大槻は、「今日映画を観て、みなさんのこれからに繋がるのか、今まで生きてきたこれまでの何かと繋がる・リンクするのか。今日が特別な何かを残せたらすごく幸せだと思います。」と来場者に気持ちを伝えた。
大槻美奈ミニライブSET LIST
M1. オト
M2. アミュレット
M3. 宇宙
川北監督によると、3曲目に演奏された「宇宙」は、サウンドクラウドにあがっていた時期があって、監督自身もダウンロードして聴いていたという。その時はピアノアレンジだったが、本作映画のためにギターでレコーディングし直してもらったそう。
『満月の夜には思い出して』のパンフレットには、歌詞とダウンロード用のQRコードが掲載されている。
大槻美奈のライブ後、川北監督は次のように締めくくった。
川北ゆめき監督
この映画に対して、僕自身が思っていることはもちろんありますが、僕の言葉以上に大槻さんの音楽の方が説得力があるので、今日のことに関しては、すべて大槻さんに任せて終わろうと思います。
映画『満月の夜には思い出して』
出演:時?襟加 竹内ももこ 野島健矢 進藤智美 大槻美奈 木村知貴
監督・脚本・編集 川北ゆめき
音楽・劇中歌:大槻美奈
撮影:近藤実佐輝|録音:浅野就将|スチール:飯田エリカ
製作:中央大学映画研究会
助監督:山下知夏|企画:直井卓俊|カラー|STEREO|75min
上映情報
シネマ・ロサ(東京・池袋)
2019年6月8日(土)~6月21日(金)
出町座(京都)
2019年6月29日(土)~7月5日(金)
大槻美奈(mina otsuki) プロフィール
※公式サイトより引用
京都府舞鶴市出身。京都を拠点に関西中心に活動する23歳の音楽家。
2015年ライブ活動開始。
柔軟でダイナミックなピアノ、カラフルでポップな歌詞、力強く伸びやかな歌声。
言葉に思いを乗せた叙情的な歌世界は聴くものを魅了する。
面白いと思ったことにも参加している。
ミャンマーの日本語学校に校歌を提供したり、映画音楽の制作や楽曲提供。
MOOSIC LAB2018では、川北ゆめき監督の映画「満月の夜には思い出して」で全音楽を担当し、異例の「スペシャルメンション賞」を受賞。反響があり、東京、京都で6月より単独上映が決定。音楽で表現できることを日々増やしていけるよう幅広く活動中。
[写真・取材:Ichigen Kaneda/構成:Jun Sakurakoji]
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