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映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

綾野剛「文学コメディのような軽やかさ」咲耶「私はどう思われているんだろう?」映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶【詳細】レポート

2025年12月19日、テアトル新宿にて映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶が上映終了直後の熱気冷めやらぬ中行われ、主演の綾野剛をはじめ、咲耶(さくや)、田中麗奈、荒井晴彦監督が登壇し、作品への深い思いや撮影の舞台裏を語った。
本作は日本を代表する脚本家・荒井晴彦氏が監督を務め、吉行淳之介の同名小説を映画化した「愛と性」の物語。

舞台挨拶【詳細】レポート

‐ まずは皆様からご挨拶を頂戴します。主人公・矢添克二と、彼が執筆する小説の主人公・Aの二役を演じられた綾野剛さん、お願いします。

綾野剛(矢添克二/A 役)
皆さん、こんばんは。綾野剛です。初日にお越しいただき、本当に感謝しています。楽しんでいただけたでしょうか?
(会場から拍手)
ありがとうございます。矢添は……「変な男」でしたよね(笑)。今年も残り少ないこのタイミングで皆さんとお会いできて嬉しいです。短い時間ですが楽しみましょう。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

綾野剛

‐ 続いて、画廊で出会う大学生・瀬川紀子を演じられた咲耶さん、お願いします。

咲耶(瀬川紀子 役)
瀬川紀子を演じました咲耶です。無事に初日を迎えられて、何よりも幸せです。ご覧になった皆様の前でお話しするのは今日が初めてなので、「どうでしたか?」と皆様の気持ちを知りたい思いが強いです。本日はよろしくお願いします。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

咲耶

‐ 続いて、矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じられた田中麗奈さん、お願いします。

田中麗奈(千枝子 役)
千枝子を演じました田中麗奈です。数ある映画の中から、初日にこの作品を選んでくださって本当に嬉しいです。以前、この作品を「珍味」と表現しましたが、そんな希少な作品を見に来てくださった皆様は、私にとって非常に貴重なお客様です。今日はおかしみや喜びを共有できればと思います。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

田中麗奈

‐ 最後に、本作の脚本・監督を務められた荒井晴彦監督、お願いします。

荒井晴彦監督
ありがとうございます。……明日からの興行成績が不安で仕方ありません(笑)
少し難しいことをやってしまったかなと思っているので、2度見るとより分かるはずです。ぜひ明日も見てください。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

荒井晴彦監督

役作りと演出の舞台裏

‐ 綾野さん、上映直後の観客の前に立って、今どのようなことを感じていますか?

綾野剛
撮影は2024年の上半期だったと思いますが、今こうして皆さんに受け止めていただいて、ホッとしています。
一見、文学的で哲学的な要素が強そうですが、僕は「文学コメディ」のような軽やかさを感じています。思ったよりも見やすい作品だと感じていただけていたら嬉しいですね。

‐ 上映直後は自然と拍手が沸き起こっていましたね。

綾野剛
嬉しいですね。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

‐ 咲耶さんは、先日の完成披露で人生初の舞台挨拶、そして初の初日舞台挨拶となりますが、今のお気持ちはいかがですか?

咲耶
独特な気持ちです。ものすごく嬉しい反面、映画を見終えた皆様に、今、私自身がどう思われているんだろうと考えると、少し怖い部分もあります(笑)

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

‐ 綾野さん、本作では「矢添」と「小説の中のA」の二役を演じられましたが、アプローチはどう変えられたのでしょうか?

綾野剛
小説の主人公Aは、より直接的です。シンプルに「目」が違いますね。対して矢添さんは、サーモンの赤身を見て欲情を覚えたりするような、想像力豊かなロマンチストです。
荒井監督の脚本はセリフが非常に強いので、特別なことをしなくても、集中して取り組めば自然とあの形になりました。ただ、タバコの吸い方や角度で、あえて「気持ち悪い」という違和感や絶妙な複雑さを出すことは意識しました。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

‐ 荒井監督、今回は小説の文章を字幕で出すという、映画では珍しいアプローチをされています。どのような意図があったのでしょうか?

荒井晴彦監督
映画で禁じ手とされるモノローグやナレーション、ましてや活字を読ませるなんてことをあえてやりました。
ゴダール監督は昔からそういうことやってるんで、僕らにとっては割と普通のことですが、若い人は字を読むのが苦手かと思っていました。

綾野剛
でも、今の若い方は、配信などで逆に字幕に慣れていると思いますよ。

荒井晴彦監督
そうか。では、意外と問題ないのかもしれませんね。

‐ 根岸吉太郎監督から「音楽と映画の幸運な出会い」「現実と小説が際どく融合している」と絶賛のコメントが届いていますが、監督はどう受け止めていますか?

荒井晴彦監督
とても嬉しかったです。「今まで(荒井監督作)の中で一番良かったんじゃないか」とまで言ってくれたようで。映画学校では「モノローグを使いすぎるな」と教えるものですが、それが成功していると言ってもらえて光栄です。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

荒井晴彦監督/咲耶/綾野剛/田中麗奈

‐ 綾野さんは、紀子(咲耶)と千枝子(田中)という二人の女性との関わりをどう捉えて演じられましたか?

綾野剛
お二人の魅力に圧倒されていました。田中さんとのシーンは僕が喋っていることが多いですが、実は彼女に転がされているんです。
咲耶さんとは対話が多い。お二人から発せられるものに対して、どう向き合うかを大切にしました。一瞬のすれ違いや、本能的な反射を大切にしながら、お二人のパワーを見落とさないよう緊張感を持って演じていました。

‐ 咲耶さん、紀子が矢添と出会って変化していく過程で、意識したことはありますか?

咲耶
紀子は元々真っ直ぐで、自分の欲に素直な女の子です。矢添さんと出会ったことで、彼によって変えられたというより、彼との出会いを通じて自分の中にある「女としての本当の欲」を知り、少女から女性へと変化していったのだと考えています。

‐ 田中さん、ブランコのシーンで流した涙が印象的でした。監督も驚かれたそうですが、あのシーンはどのような心境でしたか?

田中麗奈
あの涙は、思いが溢れた自然現象でした。千枝子は自分の過去を隠して新しい人生を歩もうと決意しますが、矢添さんとの別れは、彼女の人生にとって本当に大きなことだったんです。
これまでの客という関係から次へは行けず、彼が去っていくのが辛くて仕方がありませんでした。
あのシーンでは監督から「(矢添を)下の名前で呼んでみて」という演出があり、自分でも驚くほど声が幼くなりました。彼女が張っていた気が解けて、本来の純粋な少女の部分が出たのかもしれません。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

咲耶/綾野剛/田中麗奈

‐ 現場でのアドリブや、当初の予定から変わったシーンはありましたか?

綾野剛
アドリブはほとんどありませんが、レントゲン室のシーンは印象的です。咲耶さん演じる娘が「良かったね、お父さん」と言うのですが、あれは台本にはなく、監督が咲耶さんにだけこっそり出した指示だったんです。不意を突かれましたが、あの状況を完璧に表現する素晴らしいトーンでした。
(客席笑)

田中麗奈
私は、矢添さんの顔を足でコツンと蹴るシーンですね。なかなかカットがかからなかったので、愛しさが溢れてそのまま続けてしまいました。もしもっとカットがかからなければ、両足で顔を挟んで引き寄せていたかもしれません(笑)

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

荒井晴彦監督
えっ?そうだったの?カットするのをもっと待てば良かった(笑)

綾野剛
(笑) 矢添という男はいじり甲斐があるというか、だらしない部分も含めて愛があるからこそ成立する関係性でしたね。

1年の振り返りと2026年への抱負

‐ 今年もあと10日ほどですが、この1年を振り返って、あるいは来年への抱負を教えてください。まずは咲耶さんから。

咲耶
この作品の情報解禁からプロモーション活動を経て今日まで、全てが宝物のような時間でした。作品に出会ってから丸2年経ちますが、今こうして公開を迎えられたことが、今年一番印象に残っている出来事です。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

田中麗奈
今年はとにかく映画館に通い詰めた年でした。邦画だけでも月に8、9本は見ないと追いつかないほどたくさんの作品が公開されて。そんな幸せな映画イヤーの締めくくりに、この作品の初日を迎えられて最高に幸せです。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

 

荒井晴彦監督
来年は79歳になります。親父が亡くなった年なので、それを越せるかどうかがテーマですね。

‐ まだまだ書き続け、撮り続けてください!

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

荒井晴彦監督/咲耶

綾野剛
「健康第一」です。役に体を預けるために、鮮度の高い状態を保ちたいし、そこに向き合っていかなきゃいけない。感覚だけじゃ押し切れないし、今まで培ってきた経験や、出会いの中で形成されてきたものできちんと補っていくということをすごく考えてます。
今生きているこの瞬間、何に関わっているのかということに集中して、一歩ずつ前進していきたいです。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

締めのメッセージ

綾野剛
本日は本当にありがとうございました。この作品を温かく受け入れてくださり感謝します。この作品をたくさん育てていただければ、矢添は喜びますし、矢添をいじり倒して愛でてやってください。そうすればちゃんと響く男ですから。改めて本日はとても貴重な時間をいただき、心から感謝します。ありがとうございました。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

荒井晴彦監督
面白いと思ったら宣伝してください。お客さんが入らないと、次の映画が撮れなくなって困るんです(笑)。よろしくお願いします。

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

荒井晴彦監督/咲耶/綾野剛/田中麗奈

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

映画『星と月は天の穴』初日舞台挨拶

■フォトギャラリー

[記事・写真:三平准太郎]

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咲耶インタビュー(直筆サインプレゼントあり)

映画『星と月は天の穴』

《INTRODUCTION》
脚本・監督 荒井晴彦 × 主演 綾野 剛が織りなす日本映画の真髄
『Wの悲劇』(84)、『リボルバー』(88)、『大鹿村騒動記』(11)、『ヴァイブレータ』(03)、『共喰い』(13)でキネマ旬報脚本賞に5度輝いた(橋本学と並んで最多受賞)、⽇本を代表する脚本家・荒井晴彦。
『身も心も』(97)をはじめ、『⽕⼝のふたり』(19)、『花腐し』(23)など、⾃ら監督を務めた作品では⼈間の本能たる〝愛と性〟を描き、観る者の情動を掻き⽴ててきた。
最新作『星と月は天の穴』は、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っている。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井と『花腐し』(23)でもタッグを組んだ俳優 綾野剛。これまでに見せたことのない枯れかけた男の色気を発露、過去のトラウマから、女性を愛すること、愛されることを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ない唯一無二のキャラクターを生み出した。
矢添と出会う大学生・紀子を演じるのは、新星 咲耶。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れる。
矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのは、田中麗奈。綾野演じる矢添との駆け引きは絶妙、女優としての新境地を切り開く。
さらには、柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らが脇を固め、本作ならではの世界観を創り上げている。

《STORY》 いつの時代も、男は愛をこじらせる――
小説家の矢添(綾野剛)は、妻に逃げられて以来10年、独身のまま40代を迎えていた。離婚によって心に空いた穴を埋めるように 娼婦・千枝子(田中麗奈)と時折り軀を交え、妻に捨てられた傷を引きずりながらやり過ごす日々を送っていた。
そして彼には恋愛に尻込みするもう一つの理由があった。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えていることだ。
そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を探求していた。
ところがある日、画廊で運命的に出会った大学生の瀬川紀子(咲耶)と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。

出演:綾野剛
咲耶 岬あかり 吉岡睦雄 MINAMO 原一男 / 柄本佑 / 宮下順子 田中麗奈
脚本・監督:荒井晴彦
原作:吉行淳之介「星と月は天の穴」(講談社文芸文庫)
エグゼクティブプロデューサー:小西啓介
プロデューサー:清水真由美 田辺隆史
ラインプロデューサー:金森保
助監督:竹田正明
撮影:川上皓市 新家子美穂
照明:川井稔 録音:深田晃 美術:原田恭明 装飾:寺尾淳 編集:洲﨑千恵子
衣裳デザイン:小笠原吉恵 ヘアメイク:永江三千子
インティマシーコーディネーター:西山ももこ
制作担当:刈屋真 キャスティングプロデューサー:杉野剛
音楽:下田逸郎
主題歌:松井文「いちどだけ」他
写真:野村佐紀子 松山仁
アソシエイトプロデューサー:諸田創
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:キリシマ一九四五
制作協力:メディアミックス・ジャパン
レイティング:R18+ 上映尺:122分
©2025「星と月は天の穴」製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/hoshitsuki_film/
公式X:https://x.com/hoshitsuki_film

予告編

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2025年12月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー

映画『星と月は天の穴』

ポスタービジュアル

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