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あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈

【詳細ライブレポ】ドラマから10年。のんに宮本信子「今日はよく喋って成長したね」ドラマ舞台の地・久慈で開催!あまちゃん10周年スペシャルコンサート

あまちゃん10周年スペシャルコンサートが東京公演(9/24)に続き、9月23日(祝土)に岩手・久慈市文化会館 アンバーホールにて開催された。このコンサートは2013年にNHK連続テレビ小説で放送された「あまちゃん」10周年を記念して開かれたもので、番組の音楽を担当した大友良英率いる17人編成のスペシャルビッグバンドが演奏。ゲストにのん、宮本信子が参加した。(文末にセットリスト記載)

ライブレポート

大友良英の「ワン!トゥー!ワン!トゥー!せ〜の!」のカウントで勢いよく始まったのは、番組のテーマ曲でもある「あまちゃん オープニングテーマ」。客席には色とりどりのサイリウム・スティックが掲げられ大きな歓声が飛び交う。『どうもありがとうございます。帰って参りました!』と大友もこの熱気に応える。
久慈市は「あまちゃん」のロケ地にもなったところ。ファンにとっては聖地だけに、この日は地元のお客さんだけでなく、東京や関西といった遠方から駆けつけた熱いファンが客席を埋めた。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈

☆ドラマのあのシーンがよみがえる!劇中音楽を次々に演奏!

M04の「日常」までは大友が台本の段階で書いた楽曲が並ぶ。まだ放送が始まってない時期なので脚本からイメージして書かれた曲で、演奏に使っているのは11年前に録音した当時の楽譜。
続いては2012年に大友が初めて久慈市を訪問した以降に書かれた曲。ここでインスパイアされたのは番組の重要な舞台となった(飲食店の)スナック!「喫茶リアス/スナック梨明日」や、勉さん(演:塩見三省)のシーンで使われた楽曲を演奏。スナックに集まる久慈市のみなさんをイメージして書かれたM05「残念なブルース」はライブで初めて演奏する曲だそう。
M07の「アキのテーマ」は元々「潮騒のメモリー」用に書かれた曲。「潮騒のメモリー」は全部で7つのヴァージョンが作られ採用されたのは最後に作られたヴァージョン7。「アキのテーマ」は5番目に作られ、サビのパートでは「潮騒のメモリー」の歌詞がちゃんと乗るようになっているという。こんな劇伴音楽を制作したエピソードを1曲演奏する度に大友が解説。これはファンにとってはたまらない。

この日のスペシャルビッグバンドは、あまちゃんの音楽を共にレコーディングしたメンバーであり、その後、コンサートでも度々一緒に演奏した、いわばチーム「あまちゃん」の戦友。
大友も『これまで数々の劇伴やってきましたけど、(放送から)10年経って演っているのって、これが初めてです』と感慨気味。それもあってかメンバー紹介では、テーマ曲冒頭の「ぴゅう~」という音はこの人に演奏です!とひとりひとりの楽器パートまで丁寧に照会。スナック梨明日で流れていたカラオケも既成音源ではなく、ドラマーのイトケンがあえてチープ感を出しながら新たに録音という仰天エピソードまで披露し、集まったファンを驚かせた。
あまちゃんの音楽には昭和のアニメやドラマでよく使われていたアコーディオンやチューバ、マリンバ等の楽器も使い唯一無二のファニー感を出している。これが大友バンドの特徴だ。
そんな劇伴音楽の演奏も終盤に「希求」「海」「灯台」の3曲続けて演奏されると、橋幸夫と吉永小百合が歌った歌謡曲の名曲「いつでも夢を」が奏でられる。劇中、海女クラブの面々がいつも歌っていた曲だ。お馴染みのメロディに集まったファンも、そろそろ登場か?と身構える。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈

☆アキちゃん、夏ばっぱが遂に登場!番組のPやDも急遽登壇!

『お待たせしました!スペシャルゲストを紹介します!天野アキを演じたのんちゃん、そして夏ばっぱを演じた宮本信子さん!』と呼び込まれたのはのんと宮本信子。客席も大きな拍手と歓声でふたりを迎える。
ステージ下手には天野夏、春子、アキの3人が写ったボードも置かれ華を添える。ここでは大友が進行役となってふたりに質問。
宮本は『撮影が終わった次の日、久慈祭りがあってふたりで人力車に乗ったよね』と撮影当時を振り返り、改めて久慈市のみなさんにお礼。のんも撮影後、度々彼の地を訪れ『この間も三鉄(三陸鉄道リアス線)乗りに来ました!』とひとしきり久慈の話題に花が咲く。
「あまちゃん」は現在、BSプレミアム/BS4Kで毎朝再放送されており、ドラマの感想を求められるとのんは『(今見ても)めちゃくちゃ面白い。最高ですね!』と話しつつ『でも、脚本を通して宮藤官九郎さんに無茶ぶりされているような気がしました』と告白し会場の笑いを誘う。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈 宮本信子

宮本信子はコンサートの前に海女カフェや漁協があった小袖(劇中では袖ヶ浜)を訪れたそう。ここでは夏に海へアキが突き落とされるシーンも撮影され、のんもそのシーンが強く印象に残っているという。
『小袖に行くと、海女センターが(撮影当時より)進化していて。それに感動して。(小袖の海にはいない)イカもいたんですよ!』と楽しそうに話す。
このやり取りを見て大友はのんちゃん、こういうときちゃんと返せるようになりましたね。昔は喋んなかったものね』と突っ込むと場内大爆笑。宮本も『今日はよく喋って成長したね』と目を細めると、のんはこの日の為に準備してきました!と胸を張る。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈 のん

『じゃ台本に書いてない事、訊いちゃおうかな?』と大友がさらに突っ込み。これには宮本も『意地悪しないであげて』とフォロー。まるで本物の祖母と孫を見ているようでほほえましい。
続いて大友が客席にいる番組プロデューサーとディレクターに声をかけ、宮本がステージに招く。急遽、登壇することになったのはあまちゃんの演出を手がけた井上剛ディレクターと、訓覇圭プロデューサー。このふたりがいて、あまちゃんが誕生した。生みの親のサプライズ登場に客席も大喜び。ステージでは撮影当時の話しなどで盛り上がる。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈

☆アメ横女学園、GMTに鈴鹿ひろ美のあの名曲が披露!

ここで大友はふたりにリクエスト曲を尋ねる。宮本信子は「地味で変で微妙」(ちなみに東京公演では「あまちゃんスイング」をリクエスト)。
宮本いわくエンディングで”夏ばっば”と歌っているように聞こえるとのこと。これは新解釈!と大友は早速、これを取り入れ客席にも協力要請。ブルージーでフリージャズ感全開の同曲をスペシャルバンドが大音量で爆演。ラストは全員で『夏ばっば!』と歌い宮本リクエスト曲を締める。
のんは「あまちゃんクレッツマー」をリクエスト。スカをベースにおもちゃ箱をひっくり返したような、何が飛び出すかわからない高揚感溢れるナンバー。海女クラブや漁協のみんなのドタバタ感が色濃く出ている名曲で、スーザフォンが大活躍する。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈 のん/宮本信子/大友良英

リクエスト曲2曲が終わると、3人は舞台を降り、ステージにはのんが残る。
続いて登場したのは「暦の上では〜」や「潮騒のメモリー」等の劇中歌を大友と共に手がけたSachiko M。そして、ビッグバンドの「じぇじぇガールズ」こと相川瞳、上原なな江のふたりがジョイン。曲は劇中に登場するアメ横女学園のナンバー、「暦の上ではディセンバー」。メンバー全員がアメ横女学園の振り付けまで完全再現し、客席はやんやの大合唱。実はこの曲、アメ女・予備軍GMTのメンバーだったアキ(のん)は、ステージ奈落で練習こそしていたが、劇中では歌っていない。言ってしまえばこれは大友の無茶ぶり。ステージ上で詫びるとのんは元気よく『頑張りました!」』とリプライ。確かにキレッキレのアクションを披露していた。

続いてはのんとSachiko MでGMT5のナンバー「地元に帰ろう」。奏でふたりは舞台の左右に拡がり、ゆっくりと右手を振りながら客席の声援に応える。のんがこの曲歌うのは2013年の紅白歌合戦以来、10年ぶりとのこと。
歌コーナーの最後は皆さんお待ちかね、北三陸鉄道のお座敷列車で天野アキと足立ユイが歌った「潮騒のメモリー」。お客さんもサイリウム・スティックを振りながら、ふたりに合わせて一緒にアクション。中には熱いヲタ芸をみせるファンもいて、場内の盛り上がりは最高潮に達したところで本編が終了。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈

☆アンコールではお客さんみんなで大合奏!

アンコールでは女子小中高生10人のチアガールに、リアル海女ガールも登場。また、事前に楽器持参すればバンド共演OKのアナウンスがされていたこともあって、思い思いの楽器を持ってきたお客さんが大友の呼びかけに応じ、ステージに続々とあがる。
あまちゃん10周年スペシャルコンサートは、昨年12月6日に東京有楽町で行われた大友バンドのコンサートにさかのぼる。のんがゲストで参加したこの日、ステージで大友がMCで『来年はあまちゃん放送10周年。どこかで記念コンサートが開ければ』と話していたのを、関係者が聞いていて実現に至った。『何でも言ってみると実現するんだなぁ』と感慨深けに話した大友は、一般楽器団に紛れてステージにいた鳴子(カスタネット状の和楽器)持参の遠藤讓一・久慈市長を見つけると、『15周年も大々的に宜しくお願いします!』と壇上から依頼。

これには遠藤市長も右腕を大きく上げて応じる。これで15周年コンサートも久慈で実現か!
大友の「ワン!トゥー!ワン!トゥー!せ〜の!」カウントで始まったのはオープニングに演奏した「あまちゃん オープニングテーマ」。バンドに加えオーディエンスの楽器も一緒になって大勢で賑やかに合奏。全員、実に楽しそうだ。さらに、もう1回やってもいいよね?と「暦の上ではディセンバー」と「あまちゃん オープニングテーマ」を再び。ラストはセンターでのんと宮本信子がダンスも披露し、大喝采のもと、2時間超、全21曲のあまちゃん10周年スペシャルコンサート/久慈公演の幕が閉じた。大友は『次は15周年かな!』と残してステージを降りた。

あまちゃん10周年スペシャルコンサート@久慈

BSプレミアム/BS4Kで再放送中の「あまちゃん」も今週末(9/30)が最終回。そしてこの日の「あまちゃん10周年スペシャルコンサート」は9月29日(金)23:59までアーカイブ視聴が出来る。視聴チケットの申し込みは下段参照。

[TEXT:石角隆行]

■フォトギャラリー

■あまちゃん10周年スペシャルコンサート/セットリスト

2023年9月23日(祝土)@岩手・久慈市文化会館 アンバーホール

01.あまちゃん オープニングテーマ
02.行動のマーチ
メドレー:03.あまちゃんのワルツ〜04.日常
メドレー:05.残念なブルース〜06.琥珀色のブルース
07.アキのテーマ
08.家族
09.TIME
10.希求
11.海
12.灯台
13.いつでも夢を
14.地味で変で微妙
15.あまちゃんクレッツマー
16.暦の上ではディセンバー with のん、Sachiko M、じぇいじぇいガールズ(相川瞳、上原なな江)
17.地元に帰ろうwith のん、Sachiko M
18.潮騒のメモリー with のん、Sachiko M
Encore;
19.あまちゃん オープニングテーマ
20.暦の上ではディセンバー
21.あまちゃん オープニングテーマ

出演:大友良英 スペシャルビッグバンド
大友良英(g)、江藤直子(p)、近藤達郎(key,ハモニカ)、齋藤 寛(fl)、井上梨江(cl)、
鈴木広志(sax)、江川良子(sax)、東涼太(sax)、佐藤秀徳(tp)、今込治(tb)、木村仁哉(tuba)、
大口俊輔(acc)、かわいしのぶ(b)、小林武文(ds)、イトケン(ds)、相川瞳(perc)、上原なな江(perc)、Sachiko M (sinewaves)
スペシャルゲスト:のん、宮本信子

<あまちゃん10周年スペシャルコンサート久慈公演/配信概要>

配信期間:2024年9月29日(金)23:59まで
視聴チケット価格:2,000円(税込)
販売期間:9月29日(金)18:00まで
視聴チケット販売URL
https://eplus.jp/amachan-10th-st/

 

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