宇垣美里「よく脳内会議して要点を整理しています」〈おひとりさま〉恋愛事情本音トーク。映画『私をくいとめて』公開直前イベント
12月7日、都内にて、【恋愛発酵学会presents映画『私をくいとめて』特別試写会】が行われ、おひとりさまライフを謳歌する〈みつ子世代 代表〉として宇垣美里、おひとり様事情に詳しいマーケティングライター・牛窪恵、さらには本作で監督を務めた大九明子監督が登壇し、映画の見どころや、〈おひとりさま〉の恋愛事情について本音で語り尽くした。(動画&フォトギャラリー)
『私をくいとめて』(12/18公開)の原作は、高校在学中の2001年「インストール」で第38回文藝賞を受賞しデビュー後、芥川賞、大江健三郎賞など数々の賞を受賞してきた綿矢りさ原作の小説「私をくいとめて」。
おひとりさまヒロイン・みつ子に扮するのは、女優・創作あーちすと のん。みつ子が恋する年下男子・多田くん役には、実力派俳優・林遣都が演じる。また、みつ子の親友役皐月を、のんとは2013年に放送されたNHK連続テレビ小説以来7年ぶりの共演となる橋本愛が演じる。
また、本作は、第33回東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」にて観客賞に輝いた。
イベントレポート
■宇垣美里「みつ子、わかるよ、わかるよ~」
-映画の感想からお願いします。
宇垣美里(フリーアナウンサー)
私はずっと、「みつ子(のんが演じる本作の主人公)、わかるよ、わかるよ」って言いながら見ていました。
実際、私は海外旅行も一人で行くぐらい、けっこう<おひとりさま>なんですけれど、<おひとりさま>もすごく楽しいし、自由で、でもその一方でどこか寂しいし、何か足りない気がしてっていう気持ちがすごく伝わってきました。
その中で人と付き合うことで、人と距離を詰めることで、どうしても生まれてきてしまう思ってもいなかった場所にたどり着く自分というものパニックになるみつ子はすごく可愛くて、愛しくって、そのままの自分でいいんだよって、背中を押してもらったような気持ちにもなりました。そして、なんか人とやっぱり一緒に行けるって言うのはいいもんだなーって当たり前のことですけど、そんなことを思いました。
牛窪恵(マーケティングライター)
私が『男が知らない「おひとりさま」マーケット』という本を書いたのが2004年で、2005年に<おひとりさま>が流行語になったんですが、当時は女性一人客は旅館がなかなか泊めてくれないという時代でした。女性一人客は自殺するんじゃないかと思われたりして。
その頃から16年経っているんですけど、みつ子みたいな女性が本当に多くなってきて、そこはすごく良かったと思います。
<おひとりさま>する、というみつ子の意志で、焼肉に行ったり、習い事したり、楽しみながらでも、寂しさを感じながらっていうところのディテールが細かく描かれてる作品だと感じました。大九監督はそういう事例を取材されたり、ご自身の今までの体験などを積み上げられたものを出したのだろうなと思います。
本当に元気をもらえる映画になっていると思います。
大九明子監督
「おひとりさまマーケット」の本を書かれる前から、映画のセリフでも出てきますけど、自分の中で「人間は生まれながらの<おひとりさま>」なんだからと、どこか諦めきって青春を送り、ひとり旅もしょっちゅうしていました。映画も取材というようなことはほぼしていなくて、綿矢さんの原作を読んだ時にこみ上げてくる思いは入れておきました。
■宇垣美里「<おひとりさま>にすごく共感できるし、脳内相談役います!」
-脳内に相談役“A”がいる、31歳・みつ子。だいたい同じ世代の宇垣さんは共感する部分はありますか?
宇垣美里
たくさんありました。それこそ一人でいろんなとこ周る方がフットワークも軽くできるし楽なんだよねっていうところすごく分かりましたし、朝、掃除した後に、家でダラーってするのはすごい楽しいよなとかそういう細かいところまですごく共感できました。
その一方で、なんとなく何かが足りない気がする、これでいいのかな?でも別に幸せ。という気持ちもすごく分かります。
そういう時に自分と会話してスキマを隙間を埋めるようなこともまぁするよねって思いながら観ていました。
-脳内相談役はいらっしゃるんですね?
宇垣美里
います。私にハッパををかける人が心の中に住んでいるので、やれやれってずっと言ってくれます(笑)
■大九監督「30歳になるのがすごく怖かった」
-大九監督、31歳・みつ子のリアルを作品に詰め込むにあたって気をつけられたことは?
大九明子監督
私も一応31歳を通過してきたので、自分が31歳の時の気持ちや思いを大事にしました。
私の場合は、29歳から30歳にになることがあまりにも恐ろしくて、何も成し遂げてないまま朽ち果てることになってしまうっていうすごい恐ろしさがあって、有り金すべてが汚れたお金だみたいな気持ちになったんです。それは、何かやりたいことで稼いだお金ではなく、アルバイトで稼いだお金だったので。
当時、その有り金全部を握りしめてヨーロッパ一周して、お金が尽きて帰ってきたんですけど、でもそんな恐ろしい思いをして色々な安いユースホステルに泊まっていると、足にブツブツできちゃって。それが30歳の誕生日でした。
そうやって、めちゃくちゃ暴れ倒した割には、30歳になってみたらアレ?っていう、なんか何も怖くなかったし、むしろ少し力が抜けて色々なものが見えてきて、楽しくなってきて、一人でいるって言うことが大好きだったことだし、そもそも一人でいるっていうことをどんどん謳歌していいんじゃないかって思えたんです。なので、そこを大事にしました。
■25~35歳女性の恋愛実態
マルコメ×『anan』共同調査により、全国の25~35歳女性300人の恋愛実態は、時間や手間をかけて自分と相手をみつめる『発酵恋愛』がニューノーマルとして浮き彫りになった。
恋をしてから付き合うまで「3ヶ月以上」かける人が59.4%で、それは「失敗したくない」という思いから相手をじっくり見極めたいという心理から。
また、自分と相手の「生活のペース」が合いそうか?という点に重きを置く意見が41.3%。2人の湿度感=価値観を大切にし、相手としたいこと1位は「ご飯を一緒に食べる」(57.7%)だった。
宇垣美里
一生一緒にいたいなと思う相手って、どれだけ一緒にご飯を食べることになるんだろうって思うと、その時間が苦になったり、同じレベルでご飯を楽しめない人だと、生活そのものもしんどいのかなって思います。
だから、「ご飯を一緒に食べる」という価値観を大切にする人が多いのかなと思います。
牛窪恵
昔(バブルの頃)の女性は、失敗しても何かが守ってくれるんじゃないかって漠然と思ってたところがあり、それは情報も今ほどは流通してないし、景気も良かったし、何となくでもどうにかなるっていうところもありましたけども、今の人たちは情報もあふれてますし、その中で自分がどこまでできるっていう自信がない。本当に可愛い子たちとか、みつ子みたいに本当に守ってあげたいよなああいう子たちでも、自分に自信がない子たちが多いので、そして男性があまり告白してこないですから。それだけやっぱり自分に自信が持てないですよね。
大九明子監督
今の若い男性ってあまり告白しないんですか?
牛窪恵
減ってますね。変に言っちゃってSNSで拡散されたりとか、ストーカーと思われるんじゃないかとか、いろんなリスクを感じて、昔みたいに能天気にはやれないんですよね。
だからこそ今は、愛を育むことが大事になってきているんだと思います。
-そして、恋愛の悩み相談相手は「友だち」が5割の一方、「自分自身に問いかける」<おひとりさま>女性も3割という調査結果になっています。現代女性は「脳内相談役」が必要だと宇垣さんは思いますか?
宇垣美里
そうですね。その瞬間瞬間に友だちに聞けるわけではないですし、友だちは私自身ではないので、どうしても自問自答して自分と会話して、どうする、あぁするなんて答えるみたいなやり取りせざるを得ないのかなとは思います。
私は、脳内会議をして要点を絞っているかなって思います。
-大九監督は脳内相談役は必要だと思いますか?
大九明子監督
いたらいいなと思いますね。
私、独り言で考えを整理していくところがあって、それが口に出ちゃっている時があるみたいです。のんさんに「今、独り言を言ってました。」って言われました(笑)
-宇垣さんも独り言しますか?
宇垣美里
私、妹に「ほんとうるさいよ」って言われます(笑)
「なんかすごいしゃべっているけど、話しかけるんだったらちゃんと話してほしいし、そうじゃないなら黙っててほしい」って(笑)たぶん、自分で自分に言って考えを整理しているんだと思います。
牛窪恵
海外の研究であるんですけど、探し物も独り言言いながら探したほうが見つかりやすいって。それだけ集中できるんだと思います。
■宇垣美里「人とわかり合えることはない。でも手を伸ばして伸ばした先で触れられる瞬間があれば」
-一概には言えませんが、<おひとりさま>と誰かと一緒にいること、どちらがいいと思いますか?
宇垣美里
もちろん、一人でいるということはとてつもなく孤独なんですが、ビックリするくらい自由でその楽しみもある一方、どんだけ人と一緒にいてもやっぱり真からわかり合えることは絶対にできないって思っていて、ただ、たまに指が触れ合うような、伸ばして伸ばして、伸ばした手の先にちょっとだけ触れるようなそういう瞬間があって、そういう時って、「あぁ、人と一緒にいてよかった」「手を伸ばしてよかった」って思う瞬間があるので、それは人と向き合うことや、恋愛をする根源の力になるのかなって思います。
それがあるから人と一緒にいられるんだと思います。わかり合えることはないけれど。たまにあるから。
■イベント動画(トークノーカット)
■フォトギャラリー
[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]
映画『私をくいとめて』
STORY
30歳を越え、おひとりさまもすっかり板についてきた黒田みつ子。みつ子がひとりきりでも楽しく生活できているのには訳がある。脳内に相談役「A」がいるのだ。人間関係や身の振り方に迷ったときはもう一人の自分「A」がいつも正しいアンサーをくれる。
「A」と一緒に平和なおひとりさまライフがずっと続くと思っていたそんなある日、みつ子は年下の営業マン多田くんに恋をしてしまう。
きっと多田くんと自分は両思いだと信じて、ひとりの生活に慣れきってしまったみつ子は20代の頃のように勇敢になれない自分に戸惑いながらも、一歩前へふみだすことにする。
監督・脚本:大九明子 原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日新聞出版)
音楽:髙野正樹
劇中歌 大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
企画協力:猿と蛇
(C)2020「私をくいとめて」製作委員会
公式HP:kuitomete.jp
公式Twiter:@kuitometemovie
12月18日(金) 全国ロードショー
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