吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、宮藤官九郎らが隅田川の風景映像を背景に撮影秘話トーク!映画『こんにちは、母さん』完成披露試写会
2023年7月31日、丸の内ピカデリー1にて、映画『こんにちは、母さん』完成披露試写会が行われ、吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、宮藤官九郎、田中泯、山田洋次監督が、浴衣や和装で登場。丸の内ピカデリーの3面大型スクリーンに映し出される本作の舞台である隅田川など下町の風景をバックに、撮影時のエピソードや、作品にちなんで「最近、こんにちはしたこと」などを明かした。フォトセッション時には夜空に打ちあがる花火を3面大型スクリーンに映し出された。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画レポート
■テキストダイジェストレポート
吉永小百合「恋はとても大事。歳を重ねても、ときめく心は持っていないといけない」
吉永小百合(神崎福江 / かんざき・ふくえ役)
皆様、今日はお暑い中、そしてウィークデーの最初の日の昼間という大変なときにお運びくださいまして、本当にありがとうございます。
山田監督の作品『母べえ』『母と暮せば』では、戦前から戦後で大変辛い時期を苦しみながら耐える母を演じさせていただきました。今作ではちょっと飛んでて明るく、みんなと一緒に生きていく母を演じました。ぜひこの映画を楽しんで頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。
大泉洋(神崎昭夫 / かんざき・あきお役)
吉永さんの息子役として私がいまして、更にその私から生まれた永野芽郁ちゃん。
吉永さんから永野さんが生まれるならわかる気がするんですが、一体何が起きて間にこれ(大泉)が生まれたのかっていうのが分からない。映画の中でも“突然変異”という言葉で処理させていただいています(笑)。
ですが、この映画を観ますと、不思議と親子にしか見えないので、安心して観ていただきたいです。
古き良き日本の姿だとは思うんですけれども、その一方でどこか新しさも感じる斬新な映画です。
山田監督のまた新たな挑戦を皆さんで見ていただければと思っております。
永野芽郁(神崎舞 / かんざき・まい役)
山田組には2度目の参加でしたが、すごく久しぶりな監督作品でさらにこれだけ素晴らしい先輩方とご一緒できたことが本当に光栄でした。
宮藤官九郎(木部富幸 / きべ・とみゆき役)
大泉さんにすごく迷惑をかける役を演じました。これから鑑賞いただくということで、僕の好感度はこれから下がっていきますので、今が一番いい状態です(笑)
素晴らしい作品ですので、よろしくお願いいたします。
田中泯(イノさん役)
山田監督とは20年ぶり(たそがれ清兵衛)にご一緒させていただきました。イノさんという橋の下に暮らすホームレスを演じさせていただきました。
登壇キャストの皆さんとは、深い関わりがない役どころではありますが、一生懸命演技させていただきました。素晴らしい作品に出ることができて感動しております。どうぞゆっくりご覧になってイノさんって何なんだと考えていただけると嬉しいです。
山田洋次監督
素敵な俳優さんたちと力強い大勢のスタッフに恵まれてこの映画を撮影しました。今作は古くからの下町・向島を舞台に映画を作りました。
原作でも隅田川花火シーンで終わるラストシーンが素敵でそのまま起用しました。去年も一昨年も隅田川の花火大会は中止になっていて、今年も中止となってしまうと、(設定が今年令和5年の)この映画で描かれる事は嘘ということになってしまいますからね。ですが今年はめでたく無事開催されてホッとしながら見ておりました。この映画がようやく封切りになるわけです、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
新作を披露する今の心境について問われると、監督は「判決を聞く被告の気持ちであります。できることならば無罪であってほしい、変わらないものですね。何十年も映画をたくさん作ってきたけども、本当に不安なものですね。」と答えた。
山田監督にとって90本目となる記念すべき作品で主演を務めたのは、吉永小百合。
本作で演じたのは、家業にボランティアに恋愛まで、人生をイキイキと楽しむ母・神崎福江というキャラクター。
“下町のお母さん”というこれまでにない役どころへの挑戦となったが、役作りについて問われると「大泉さんのことを“お前”と呼ぶことに抵抗がありました。それが生まれて初めてのことで、最初は戸惑いがありました。撮影前に本作の舞台となった下町・向島を監督と歩いたときに、そこに暮らしていらっしゃる方たちがいきいきしてらっしゃるんですね。(神崎家の)モデルとなった足袋屋さんにも伺ったのですが、とっても素敵な場だなと思って、それをいつも思いながら撮影に臨みました」と答え、吉永演じる福江がやけ酒のようにお酒を飲むシーンについては「お酒はちょこっとはいただくんですけど、あんな風に酔っ払ったことはないので、大泉さんがサポートしてくださって楽しかったですね」と振り返りはにかんだ。
そんな酔う姿を演じる吉永を間近で見ていた大泉は「監督がとても細やかに演出なさるので、なかなか見れない吉永さんが見れた。可哀想な場面なんだけど吉永さんの可愛らしさが溢れていた」と振り返った。
今回が山田組初参加となる大泉洋。毎日充実した生活を送る福江と対照的に、仕事に家庭に悩みが尽きない福江の息子、神崎昭夫役を演じた。
撮影について「セットが素晴らしく、足袋屋の中で吉永さんにお会いすると本当に母さんにしか思えない。そんな中で“お前”と言われるのはなんの違和感もなく、本当に昔から言われてたような気がした。長回しでセリフが多い中、撮影がうまくいったときに飛び上がって喜ぶ姿が可愛らしいと思った」と吉永との初共演への喜びをにじませていた。
昭夫の娘・神崎舞を演じたのは、永野芽郁。大泉と永野も本作が初共演だが、父・大泉について永野は「父や母に対してある種の甘えはあるので、大泉さんを前にするといつも以上に自分の気持ちが高ぶる瞬間もあればぶつけたくなるような瞬間があった。それを全部受け止めてくださったので、“好きな父“でした。大泉さんはカメラが回っていない時も話が面白く、撮影後も食事に連れて行ってくださったり、(まるで本当の)父のように可愛がってくださいました」と振り返り、大泉へ絶大な信頼を明かした。
大泉と同じく、本作が山田組初参加となった宮藤官九郎は、昭夫の大学時代からの友人かつ、会社の同僚でもある木部富幸をコミカルに好演。
映画監督としての顔も持つ宮藤だが、「現場で全部ジャッジするんですよ。山田洋次は迷わないと思っていたんですけど、こんなに作品を撮ってても現場で考えるんだと、勇気がもらった気がします。撮影終盤、(大泉との共演シーンで)思ってもみないような量の台詞が増えて流石に無理だろうと“これ本当にやるんですか?“と思わず聞いたら”やるんだよ”言われた」と唸り、並々ならぬ監督の演出に刺激を受けた様子。
「監督の映画が面白いのは、脚本、役者はもちろんのこと、現場で足す監督のアイデアが面白いんだなと気付いた」と語る大泉に続くように、「実はあれもうちょっと足したかった」というまさかの監督の発言も飛び出し会場は笑いに包まれた。
監督とは数々の映画でタッグを組んできた吉永は「監督がそういう風に現場で台詞を足すことを“号外”と呼んでおりまして、台詞が違うものになって当日必死に覚えることがあります」と山田組の撮影裏側を明かした。
これについて監督は「現場はちょっと興奮しているからこそ、今、新しく足して間違いないのかを考えて、冷静に判断しながらやっていかないといけない」と宮藤が言及した”現場でのジャッジ”の大切さを語った。
福江がボランティアで何かと気にかけるおじいさん、通称“イノさん”役に扮したのは、田中泯。
俳優業について「(自分は)相変わらずのど素人だなと思って、一生懸命はやってはいるんですが、まだ全然分かっていない」と話す田中について監督は「そんな謙虚なところが泯さんの素晴らしいところじゃないでしょうか。こんなに変わらない人も珍しい」と感慨深い様子で語った。
フレッシュな面々から常連組まで、バラエティに富んだ豪華俳優陣が集結した本作。
今までの山田洋次作品にはない、新たなお母さん像が描かれる本作だが、監督は「吉永さんを“おばあちゃん”と呼ぶのは抵抗があった。あえてそれをお願いして、年相応の仕草が必要なのか考えていたが、テストをやっているうちに、とても美しくて可愛らしいところがあって、そういう綺麗なおばあちゃんがいてもいいじゃないかと思ったんですね」とコメント。
そんな吉永の孫を演じる永野は「すごく光栄でしたし、吉永さんご自身でミシンを動かしている姿をみて、その街でその場所にいらっしゃる本当のおばあちゃんのように見えました。お手紙や撮影合間に和菓子をくださって大事にいただきました」と吉永からの優しさに触れながらも女優としての憧れの思いを馳せた。
初のおばあちゃん役や、歳を重ねて恋をするなどチャレンジングな役どころについて吉永は、「舞台劇の映画化なので台詞が多く、歳を重ねるとだんだん頭に入る量が少なくなってきて、その点ではとても大変でした。台詞を全部書いて覚えるという方法を伺って、私もそういうこともやりました」と台詞覚えに苦労したと語る。
さらに寺尾聰演じる荻生に恋するも、息子に否定されてしまうという設定について「恋はとても大事だと思います、どんなに歳を重ねてもときめく心は持っていないといけない。寺尾さんに恋をする役というのはなんかウキウキして楽しかったです」と話し、はにかんだ。
それに対して大泉は「自分の親が同じ状況ならば正直喜ぶと思う。けれど自分の母親でいてほしいのに、自分の母親に女性の姿は見たくなかったのかなって思います。どこか嫉妬してしまうような感じですかね。」と自分と役を比べならがしみじみと語った。
▼最近“こんにちは、したもの”
さらにイベントでは、映画タイトルの『こんにちは、母さん』にかけ、最近“こんにちは、したもの(新しく出会ったものや、発見したこと)”についての質問が。各キャストの回答は以下の通り。
吉永「赤ちゃん:過去作の共演者のお子さんにお会いした」
大泉「大谷翔平さん:LAに訪れた際、エンゼルスの試合観戦でお見かけした」
永野「長期間不在にしていたため自宅に届いたたくさんの荷物」
宮藤「母親」
田中「若い頃から憧れていた絵描きさん」
監督「年寄りの自分」
その後、キャストを代表して吉永と、監督から観客に向けコメント。
「今日はありがとうございます。監督がこの撮影に入る前にもしかしたら途中でできなくなるかもしれないと伺ってとても驚きましたし、辛くなりました。しかし撮影が始まってどんどんお元気なって、本当によかったと思います。たくさんの人に見ていただきたいと切望しております」(吉永)、
「僕そんなこと小百合さんに言いました?格好つけてたんだなぁ、でもクランクアップを迎えて途中で倒れなくてよかったと思ったのは事実です。キャストや大勢のスタッフがサポートしてくれて心を込めて作ってみんなの力でできたんだなと思っています。どうぞこの映画をよろしくお願いいたします」(監督)とそれぞれメッセージを送り、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
■フォトギャラリー
[写真:山田健史/動画:三平准太郎]
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映画『こんにちは、母さん』
《INTRODUCTION》
山田洋次監督最新作、映画『こんにちは、母さん』が9月1日(金)より全国公開いたします。山田監督にとって90本目となる記念すべき本作の主演に迎えたのは、共に映画界を牽引し続けてきた吉永小百合。共演には、数々の映画・ドラマに出演し、NHK大河ドラマでの好演が記憶に新しい大泉洋のほか、 『キネマの神様』に続き二度目の山田組参加となる永野芽郁をはじめ、寺尾聰、宮藤官九郎、田中泯、YOU、枝元萌ら豪華俳優陣が集結。『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作として、日本を代表する名女優・吉永小百合の集大成ともいえる作品が誕生した。
本作で描かれるのは、東京の下町でいまこの令和を生きる、“等身大の家族”の姿。大企業の人事部長として神経をすり減らす毎日を送る神崎昭夫(大泉洋)。妻との離婚問題や家出した娘・舞(永野芽郁)との関係にも頭を悩ませる中、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪ねると、そこには艶やかなファッションに身を包み、イキイキと暮らす母の姿が…。おまけに母の恋愛事情まで耳にし、久々の実家にも居場所がなく戸惑う昭夫だったが、お節介が過ぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気づかされていく。
《STORY》
大会社の人事部長として日々神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、大学生になった娘・舞(永野芽郁)との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。
「こんにちは、母さん」
しかし、迎えてくれた母の様子が、どうもおかしい…。
割烹着を着ていたはずの母親が、艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活している。おまけに恋愛までしているようだ!
久々の実家にも自分の居場所がなく、戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされてゆく。
出演:吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、田中泯、YOU、枝元萌
加藤ローサ、田口浩正、北山雅康、松野太紀、広岡由里子、シルクロード(フィッシャーズ)、明生(立浪部屋)、名塚佳織、神戸浩
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝原雄三
原作:永井愛
©2023「こんにちは、母さん」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
公式Twitter:@konnichihakasan
本予告編
2023年9月1日(金)全国公開
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