【インタビュー】豊嶋花「『ちひろさん』が世界に広がっていくのが嬉しい」
2023年2月23日より、Netflix世界配信及び全国劇場にて公開となる映画『ちひろさん』に出演している豊嶋花(とよしまはな/15)。幼いころから俳優のキャリアを積んできた彼女にとって大きな一歩になると位置づける本作出演のことや、今後の抱負などを聞いた。
『ちひろさん』は、月刊漫画誌『Eleganceイブ』(秋田書店刊)で連載された同名タイトルの傑作漫画が原作。
元風俗嬢の主人公・ちひろ(演:有村架純)が、とある海辺の町の小さなお弁当屋さんで働きながら、心に傷や悩みを抱えて上手く生きることができない人々と交流し、彼女の言葉や行動がそれぞれの生き方に影響を与えていく、心のままに生きることの大切さ、そして孤独と向き合うことの尊さを描き、心が浄化されるまさに現代に生きる私たちの処方箋となるような人間ドラマだ。
監督は、『愛がなんだ』や、スマッシュヒットを飛ばした『街の上で』、『窓辺にて』など、今若者を中心に熱狂的な支持を集める今泉力哉。
豊嶋花は、自由にイキイキと生きているちひろの姿に心惹かれ、ちひろと出会うことで次第に自らの殻を打ち破っていく高校2年生の瀬尾久仁子(通称・オカジ)を演じる。
なお、有村架純、豊嶋花共にNetflix作品初出演のほか、NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」、大河ドラマ『どうする家康』で共演という縁がある。
豊嶋花 インタビュー&撮り下ろしフォト
■『ちひろさん』は自分にとって大きな一歩になる作品
-本作ではとても重要な役を演じられていますが、出演が決まったときのお気持ちは?
豊嶋花(瀬尾久仁子/通称・オカジ役)
とても嬉しかったです。原作がある作品という点での難しさはあるかなと思ったんですが、自分にとって大きな一歩になるので頑張ろうと思いました。
-原作や脚本を読んだ時の最初の印象は?
豊嶋花
ちひろさんって素敵だなと思いました。見た目だけじゃなくて、人柄で人を惹きつける力があって、そういうキャラクターを演じる有村さんはかっこいいなと思いました。
-演じられたオカジこと、瀬尾久仁子(せおくにこ)役の紹介と取り組まれたことを教えてください。
豊嶋花
オカジは自分の周りに流されやすい意志の弱い部分があるんですが、ちひろさんとの出会いを通してポジティブに前向きに変わっていくところを意識して演じました。
-オカジは自分からちひろさん追いかけるような形での出会いが描かれていますが、オカジはちひろさんのどんなところが気になったのでしょうか?
豊嶋花
不思議な人だな、気になるなって思ったからだと思いますが、それを行動に移すオカジはすごいなって私は思いました(笑)
-逆に、オカジに共感できる部分はありましたか?
豊嶋花
自分の意見はズバっと言うタイプだと思うんですけど、一方でイエスマンなところもあって、そこはちひろと近いかなと思います。
-今泉監督とは、演出含めてどういうお話をされましたか?
豊嶋花
基本的には任せてくださいましたが、たまにくださるアドバイスが鋭くて、やっぱり今泉監督はすごいなって思いました。
たとえば、焼きそばを食べながら泣くシーンがあるんですが、オカジの気持ちになって泣くことができたのは監督のおかげです。
-そんな今泉監督の印象は?
豊嶋花
とても優しい方で怒るということもなかったです。佐竹マコト役の嶋田鉄太(8歳)くんが現場ではしゃいで騒がしくすることもあったんですけど、厳しく怒ることはなく、優しく諭すという感じでした。そこは、マコトらしさ、鉄太らしさを大事にしているんだなと思いました。
-鉄太くんははしゃいでいたということですが、キャラクターに近い感じだということでしょうか?
豊嶋花
はい、一緒にいて楽しかったですし、彼はマコトそのものでした。8歳という年齢で自分そのままを役にできるってすごいなって思いました。
-豊嶋さんも鉄太くんの年齢のときは既に役者として活躍されてましが、ご自身を振り返っていかがですか?
豊嶋花
自分も周りに迷惑をかけてたのかなぁって思います(笑)
-撮影全体を通して、豊嶋さんが印象に残っているシーンがあれば教えてください。
豊嶋花
ちょっと裏話になるんですが、ちひろさんと私が一緒に海に入っているシーンがありますが、実はそのとき、私がクラゲに刺されたんです。浅瀬だししかも3月なのに、皮膚科で診てもらったら「クラゲですね」って言われました。振り返るとそれもいい思い出だなって(笑)
■共演作品が続く有村架純さん、長澤樹さんとの不思議な縁
-「あまちゃん」で同じ天野春子役を演じるなど、共演作品が多い有村架純さんと豊嶋さんは縁が深いところがあるなと感じているのですが、今回、がっつり共演されてみていかがでしたか?
豊嶋花
ちひろさんを演じているときは、ちひろさんですし、瀬名姫(大河ドラマ『どうする家康』)を演じているときは、瀬名姫ですし、有村さんが役そのものに見えるのがほんとうにすごいですし、私もこういう女優さんになりたいなって思いました。
ちひろさんの撮影中に、私の誕生日(3月27日)があって、有村さんがお祝いしてくださって、お手紙とプレゼントをいただいたんですけど、お手紙は額縁に入れて部屋に飾っています。
-撮影の合間にはどんな会話を?
豊嶋花
撮影時は、中3の終わりぐらいだったので、「春から高校生なんでしょ?楽しんでね!」と言っていただいたり、ほんとうに優しくてお世話になりました。
-豊嶋さんと縁が深い俳優さん繋がりで、べっちん役の長澤樹さんとは、短編映画『冬子の夏』でW主演されていますが、撮影はどちらが先でしたか?
豊嶋花
『ちひろさん』です。
-長澤さんとのご関係はいかがですか?
豊嶋花
『ちひろさん』のときから仲良くなったんですけど、そのときから『冬子の夏』のお話があって、「また同じ作品で会えるね!楽しみだね!」って話したのを覚えています。
樹ちゃんはミステリアスな雰囲気のある子なんですけど、明るいですし、一緒にいて楽しいです。
-同じ俳優さんと共演が連続するというのは珍しいことなんでしょうか?
豊嶋花
珍しいですね。樹ちゃんとは同年代だからまだあることかもしれませんが、有村さんともこんなに早く(大河ドラマ『どうする家康』で)続けて共演できると思っていなかったのでとても嬉しいです。
■海苔は絶対にパリパリ派!
-『ちひろさん』にはお弁当がいろいろ出てきますが、豊嶋さんが好きなお弁当、たとえばケータリングであったらテンションが上がるお弁当ってなんでしょう?
豊嶋花
基本、お肉が好きなんですけど、クランクインのときに、海鮮丼が出まして、お弁当で海鮮丼って珍しいしとても美味しかったです。
-別のシーンでは、オカジとマコトが一緒に大きなおにぎりを食べていますが、豊嶋さんが好きなおにぎりのネタは?
豊嶋花
まず、海苔は絶対にパリパリ派で、シナシナなら海苔は無い方がいいくらい(笑)
具ですが、納豆巻が好きなのもあって、自分でおにぎりを作るときは納豆を入れます。あとは、ツナマヨ、シャケが好きですね。
-長澤樹さん演じる“べっちん”は、秘密基地的なところで、コミック「恐怖新聞」(著・つのだじろう)を読んでいたり、本棚にも昭和時代のコミックがズラリとありましたが(「地球(テラ)へ」「うる星やつら」等々)、豊嶋さんご自身は漫画は読まれますか?
豊嶋花
読みます!グロテスクなお話が好きなんですが、例えば「東京喰種トーキョーグール」がずっと好きです。作画がとても綺麗で、ストーリーも面白くてアニメ版も見ています。
最近だと、「薫る花は凛と咲く」。元々アプリで配信されている漫画で、配信初期から読んでいますし、コミックが発売されても毎巻買ってます。もし、この作品が実写化されることがあったら、エキストラでもいいから出演したいです!ほんとにそれぐらい大好きな漫画です。
-漫画以外で好きなことやオフの過ごし方は?
豊嶋花
UVレジンでアクセサリーを作るのが好きですし、学校の友だちと遊ぶことも好きです。お仕事で共演して仲良くなった子と出かけることもありますね。
■俳優で頑張る!と自覚したのは小学五年生のとき
-先ほどお話しに出た、有村架純さんも出演されている、2023年大河ドラマ『どうする家康』(たね 役)について、役どころを教えてください。
豊嶋花
松本潤さんと有村架純さん演じる夫婦の侍女で、ほんとうだったら打首になるくらい、けっこう失礼な子です。でも忠誠心と愛はちゃんと持っている子でもあります。
-豊嶋さんは、幼い頃から俳優活動されていますが、物心ついて「俳優で頑張っていくんだ」って自覚された時期とそのきっかけがあれば教えてください。
豊嶋花
それまではずっと習い事感覚だったんですが、小学五年生のときに黒柳徹子さんの幼少期役で出演させていただいた「トットちゃん!」のオーディションで、「この役をやりたい!」ってそれまでで一番強く思って、自分から役づくりをしたんです。
それまでは母から「この役はこういう子だよ」って説明を受ける形だったんですけど、「トットちゃん!」では、自分からこうしたらいいんじゃないかとか、こういうふうにセリフを言ったらいいんじゃないかとか、自分から考えるようになりました。
-現在高校1年生で、中学校生活はほぼコロナ禍だったと思いますが、学校生活の思い出は作れましたか?
豊嶋花
なかなか難しかったですね。ずっとマスクしてましたし、学校行事も縮小されて、たとえば修学旅行も泊まりじゃなく、鎌倉への日帰りでした。
それでも学校生活は楽しいのは楽しかったんですけど、やっぱりコロナは嫌だなって思いました。
-そういう学校生活と俳優活動の両立はどのへんが大変でしょうか?
豊嶋花
勉強する時間を取ることと、高校は普通科なのもあり、出席とお仕事のスケジュール調整もあってやっぱり大変です。
-2023年、そして将来の抱負をお聞かせください。
豊嶋花
2023年で言うと、ギャップのある役を演じてみたいです。見た目は明るいんだけど、実は犯人だったとか、見た目は暗いんだけど、実は陽キャだとか。
そして、今の一番大きな夢は、日本アカデミー賞を受賞することです!
■『ちひろさん』が世界に広がっていくのが嬉しい
-Netflix作品として世界配信される『ちひろさん』に出演されることへの想いはありますか?
豊嶋花
嬉しいです!
この作品は撮影(2022年3月)から公開まで時間がかかっているのは、世界各国に向けての字幕制作もあるからという説明を聞いて、「なるほど!」って思いましたし、同時に作品がグローバルに広がっていくんだってことを実感して嬉しいなと思いました。
-世界の“豊嶋花”になれるといいですね!
豊嶋花
なれたらいいな!
-最後に『ちひろさん』について、これからご覧になる方へのメッセージをお願いします。
豊嶋花
『ちひろさん』は、有村架純さん演じる“ちひろさん”の人間的な魅力に周りの人がどんどん前向きになっていくという心温まるストーリーです。是非、劇場で、そしてNetflixで観ていただきたいです!
■撮り下ろしフォトギャラリー
[ヘアメイク:藤垣結圭/インタビュー・写真:三平准太郎/カメラ:Nikon Z9]
豊嶋花(トヨシマハナ)プロフィール
2007年3月27日生まれ(15歳)
出身地:東京都
身長:158cm
趣味:絵をかくこと 写真撮影 ゲーム
特技:ダンス
主な出演作として、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」「あまちゃん」「ごちそうさん」、NHK大河ドラマ「八重の桜」、ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち」「キッドナップ・ツアー」「トットちゃん!」「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」、映画『外事警察 その男に騙されるな』『真夏の方程式』『恋妻家宮本』など数多くの話題作に出演。2021年に放送された「大豆田とわ子と三人の元夫」では、大豆田唄を演じ一躍注目を集める。
その後、ドラマ「教祖のムスメ」「みなと商事コインランドリー」「祈りのカルテ~研修医の謎解き診察記録~」、「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞 瑠璃も玻璃も照らせば光る」ではドラマ初主演を務めた。2023年はNHK 大河ドラマ「どうする家康」、2月23日(木・祝)Netflix世界配信&劇場公開の映画『ちひろさん』に瀬尾久仁子役で出演。
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Netflix映画『ちひろさん』
INTRODUCTION
月刊漫画誌『Eleganceイブ』(秋田書店刊)で2013年から2018年にわたって第一部が連載された傑作漫画『ちひろさん』を原作とした本作。元風俗嬢の主人公・ちひろが、とある海辺の町の小さなお弁当屋さんで働きながら、心に傷や悩みを抱えて上手く生きることができない人々と交流し、彼女の言葉や行動がそれぞれの生き方に影響を与えていく、心のままに生きることの大切さ、そして孤独と向き合うことの尊さを描き、心が浄化されるまさに現代に生きる私たちの処方箋となるような人間ドラマが誕生しました。
原作漫画『ちひろさん』は、元風俗嬢のお弁当屋さん・ちひろの常識にとらわれない言動が女性を中心とした読者に強く支持され、著名人にもファンは多く、人気作家・島本理生(『ナラタージュ』等)がTBS「王様のブランチ」の中で“元気が出るおススメの本”として『ちひろさん』を紹介するなど、「完璧になんて、なろうとしなくていい」と優しく訴えかける、各方面から熱狂的な支持を得続けている人気漫画です。そんな老若男女誰をも魅了する主人公「ちひろ」を演じるのは、大ヒットした『花束みたいな恋をした』や『月の満ち欠け』など話題の映画に出演、2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」にも出演、Netflix作品には今回が初出演となる有村架純。「元・風俗嬢」という、これまでのイメージを覆す役柄を演じます。監督は、『愛がなんだ』や、スマッシュヒットを飛ばした『街の上で』、『窓辺にて』など、今若者を中心に熱狂的な支持を集める今泉力哉。原作漫画を読んで、「ああ、この寂しさを知っている。なんだろう、この懐かしい気持ちは」と感じたという恋愛映画の名手が、“恋愛を必要としない主人公”を描きます。
STORY
きっと彼女に、会いたくなるー。
ちひろは、海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢。
ちょっと口が悪くて、マイペース。そして自由。そんな彼女は街では浮いている。へんな”おとな”だ。
でもなんでだろう、彼女に会いたい。
ひとり母の帰りを待つ小学生、本音が言えない女子高生、そして無口なホームレスのおじさん・・・・ちひろの優しくない言葉と素っ気ない態度が、さびしくて不思議とあったかい。
この不思議を体験しに、さあ、ちひろさんに会いに行こう。
有村架純
豊嶋花 嶋田鉄太 van
若葉竜也 佐久間由衣 長澤樹 市川実和子
鈴木慶一 根岸季衣 平田満
リリー・フランキー 風吹ジュン
原作:安田弘之『ちひろさん』(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)
監督:今泉力哉 脚本:澤井香織 今泉力哉
製作:Netflix、アスミック・エース 制作プロダクション:アスミック・エース、デジタル・フロンティア 配給:アスミック・エース
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
公式サイト:https://chihiro-san.asmik-ace.co.jp/
2023年2月23日(木・祝)Netflix全世界配信&新宿武蔵野館にて劇場公開
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