【インタビュー】恒松祐里「プロとして限界を超えてやる！という現場に毎日行くのが楽しかった」

2023.01.11

Netflix『今際の国のアリス２』ヘイヤ役でも注目が集まる恒松祐里。1月11日スタートの日本テレビ新水曜ドラマ「リバーサルオーケストラ」にも出演、今後の出演待機作もあり、活躍の場を広げる彼女に、最近の取り組みについて聞いた。

恒松祐里（つねまつ・ゆり）プロフィール
1998年10月9日生まれ、東京都出身。
これまでドラマ『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』（日本テレビ系）、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』、Netflix『全裸監督シーズン2』、『ザ・トラベルナース』（テレビ朝日系）、『凪待ち』、『スパイの妻』、『タイトル拒絶』、『きさらぎ駅』などに出演。現在Netfrixドラマ『今際の国のアリス』シーズン2に出演中。1月期水曜ドラマ『リバーサルオーケストラ』1月11日(水)日本テレビ系にて放送スタート。

恒松祐里インタビュー＆撮り下ろしフォト

■有言実行！20歳前半で主演達成

－2020年11月の『タイトル、拒絶』でインタビューさせていただいた時、「２０代前半のうちに主演をやりたい気持ちはあります」とおっしゃってました。その後、2022年6月公開の『きさらぎ駅』で見事その夢を達成されました。改めてそのお気持ちをお聞かせください。

恒松祐里
すごく嬉しかったです。撮影は22歳のときだったんですけど、自分の中では20代前半どころか、22歳までに主演をやりたいなという気持ちがあったんです。そうしたら、22歳のラスト5日ぐらいから、（『きさらぎ駅』が）クランクインして、現場で誕生日も祝っていただいて、ギリギリ目標を果たせました。映画の公開時は23歳になってい
ましたけど。

恒松祐里

■2023年1月11日スタート新水曜ドラマ「リバーサルオーケストラ」

－先日最終回を迎えた木曜ドラマ「ザ・トラベルナース」（テレビ朝日）では、看護師役でしたが、これまでも医療関係の役は演じられてますよね。

恒松祐里
はい。以前は研修医役で、今回も新人ナースなので、私としてはありがたいなと思いました（笑）将来、ベテラン医師役をいただけることがあったとしたら、それへのステップアップのひとつになるからです。

－「ザ・トラベルナース」の撮影現場の雰囲気や、共演者とのエピソードなどがあれば教えてください。

恒松祐里
中井貴一さん、寺島しのぶさん、岡田将生さんと、ベテランの皆さんがこれまでの役者としての失敗を含めていろんな経験談をいろいろと面白おかしくお話くださって、聞いているだけでとても贅沢で、そして楽しい現場でした。
やっぱり、長く役者を続けていらっしゃる方々は、いろんな経験を力にして人生を前に進めていっていくんだなというのを感じました。

－2023年1月11日スタートの日本テレビ新水曜ドラマ「リバーサルオーケストラ」で演じられるキャラクターについてご紹介ください。

恒松祐里
門脇麦さん演じる元天才ヴァイオリニストの妹で、大学生3年生の谷岡奏奈（たにおか・かんな・21）です。
ある理由で人前でバイオリンを弾くことをやめてしまったお姉ちゃんが、ポンコツオーケストラに入ってみんなで成長していくという物語で、私が演じる奏奈は、そんなお姉ちゃんとオーケストラを一番に応援していきます。

「リバーサルオーケストラ」第1話場面写真（門脇麦／恒松祐里）©日本テレビ

－恒松さんの役は演奏シーンはないんですね？

恒松祐里
無いです。演奏シーンのある方はずいぶんと前から練習されているそうで、私は応援する役と同時に、現場で恒松祐里自身も皆さんを応援したいなという心構えでいます（笑）

■「Netflix女優になりたいです！」『今際の国のアリス２』での取り組み

－さて、『全裸監督』シーズン2に続き、『今際の国のアリス』シーズン2というNetflixシリーズ作品への出演が決まったときのお気持ちは？

恒松祐里
オーディションで決まったんですけど、そのオーディションは、『全裸監督』のキャスト解禁日の翌日にあったんです。なので、オーディションのとき、これもセールスポイントにしようと思って、自己紹介のときに「昨日、『全裸監督』のキャストが解禁されたんですけど、『今際の国のアリス２』にも出演して、Netflix女優になりたいです！」って言ったんです（笑）
この作品で私が演じた“ヘイヤ”という役は、すごく力強い役で、原作と台本を読んで、絶対にオーディションに受かりたいという強い気合で臨んだので、受かってほんとに嬉しかったです。

－“ヘイヤ”は特殊な形のアクションがあると伺っています。

恒松祐里
はい。原作にもあるんですけど、足を失って義足になっている役柄で、義足でのアクションや、アーチェリーを使ったアクションがあって、けっこう難しかったです。義足の形状から、右回転はできるけど左回転はできないとかの制限があるので、アクション部の方がアクション用の義足を作ってくださって、それでひとつひとつのアクションを皆で確認しながら練習していきました。

「今際の国のアリス２」場面写真①

－その取り組みには時間もかけられたとか？

恒松祐里
そうですね。オーディションがあったのが１月。それから３ヶ月アクション練習して、春頃クランクインして12月にクランクアップ。なので、ほぼ１年ぐらいずっとこの作品に関わっていました。
ひとつの役にこれほどの長い時間をかけることはあまりありませんし、贅沢な経験だったなと思います。

「今際の国のアリス２」場面写真②

－Netflix作品はとても潤沢な予算で制作されているんだろうなってことは、観ている側も感じますが、実際に撮影現場にいらっしゃった立場としてもそう感じることはありましたか？

恒松祐里
もう、たくさんありました。ヘイヤが参加する“げぇむ”で「釜茹で」という、大きなドームが崩れて瓦礫だらけのところでやるものがあるんですけど、それら瓦礫一つ一つが当然リアルで、そういうものがスタジオ中にたくさん転がっていて、そこに釜があって、全部が本物にしか見えない。
または、野外セットで渋谷の109前セットがあるんですけど、シーズン２は渋谷がジャングル化してきている設定なので、それを再現するために、109をわざわざジャングル化させたセットを作って、車も転がっていて、植物が道路の割れ目から生えていたり、それがまた本物の植物だったりして、ほんとにすごかったです。
その野外セットは地方にあるんですが、毎朝、その原現場に行くときは、渋谷に来たような錯覚に陥いるほどで、セットもそしてCG部分もすべてが、プロとして限界を超えてやるぞ！という各部署の強い意気込みが全部込められているのを感じました。そういう現場に毎日行くのはほんとに楽しかったです。

－伺っているとある種のテーマパークに行くようなところもありますね。

恒松祐里
ほんとにそんな感じです。

－そこまでリアルなセットがあると、演じる側も演じやすかったりしますか？

恒松祐里
そうですね。実際に物があるので、アクションの動きもしやすいですし、他のキャストさんも薄着が多く、私もノースリーブでミニスカという衣裳なんですけど、そういう肌の露出が多い俳優部のことを考えて、美術さんたちが、コンクリート風のちょっと柔らかいマットのような床にしてくださっていたので、ぜんぜん擦り傷もできずにアクションができました。

－究極のプロフェッショナルな世界ですね。

恒松祐里
そうなんです。

－『今際の国のアリス』のシーズン１でも登場した渋谷のスクランブル交差点の野外セットは有名ですけど、あれはすごいですね。

恒松祐里
ほんとにそうです。あのセットは、私が出演した『全裸監督２』でも使われていて、私もそのとき行ったことがあります。

－『全裸監督』では1980年代ごろの渋谷が再現されてましたね。

恒松祐里
はい、セットの場所は同じで雰囲気は当時のものにして使われていました。

－俳優の立場からNetflixオリジナルシリーズ作品に出演することの魅力はなんでしょう？

恒松祐里
やっぱり世界中の方に知っていただけるのは一番の魅力だなと思います。
最近、英語の勉強を再開したんですけど、通っているスクールの海外出身の先生から「最近はどんな作品に出ているの？」って聞かれて、「今度、『今際の国のアリス』に出ます」って言ったら、「知ってる！すごい好きな作品で漫画も読んでて、ヘイヤの役も好き！」という反応があって、やっぱり海外の方も観られているんだなとそこでも改めて実感しました。そういうグローバルに繋がれるのが、配信の魅力ですね。

－『全裸監督』『今際の国のアリス』と、2つ続けてNetflix作品に出演されて、俳優として成長を感じたことはありますか？

恒松祐里
どちらの作品も、キャストの皆さんのお芝居への熱量がすごくて、そこに触れられたのは一番の経験だったと思いますし、制作時間の余裕がありますので、キャストのみならず、スタッフの方々の「どこまでも細かくやってやろう」というプロフェッショナルな姿勢を直に感じられたことは、改めて自分も頑張るぞという力にはなりましたから、そういう経験が今後成長として実感することがあるのかもしれません。

■恒松祐里の2023年

－来年公開予定の大きな映画作品の出演も決まっているそうですが、2023年は、恒松祐里さんにとってどんな１年になりそうですか？

恒松祐里
先ほどの“成長”という言葉を使うとするならば、まだ自分では実感しきれていないところがありますが、2022年は舞台という新しい経験もさせてもらいましたし、2023年は自分のお芝居の表現力をもっと細かいところまで高めていきたいです。私、けっこう大雑把な性格なので、来年は役に関わらず、細かさを大切に。まだまだ人生経験も足りないかもしれないですけど、その足りないというのを言い訳にしないで。

－出演作品もどんどん充実していて、とてもお忙しいと思いますが、息抜きや最近の好きなこと、ハマっていることがあれば教えてください。

恒松祐里
この秋は比較的時間が取れたんですが、私はインドア派なのでけっきょく家にいることが多くて、ものづくりが好きなので自分でビーズアクセサリーを作ったり、最近はレゴにハマっていて、部屋をレゴで飾り付けして、壁をレゴっぽくしてみたりとか、部屋を可愛くすることに夢中になっています。
あとは、古着屋さんも好きなので友だちと一緒に巡ったり、何気ない日常を送って生き生きしています。

－他の映画やドラマ作品を観ることはありますか？

恒松祐里
１月スタートのドラマが門脇麦さんとの共演なので、麦ちゃんの出演作品を観たりとか、海外ドラマを観るのが好きなので、Netflixの秋・冬の作品を観るので今忙しいです（笑）『ウェンズデー』や、『ザ・クラウン』シリーズが好きなので新シーズンをこれから観るのも楽しみで、結局家にいますね（笑）