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濱口竜介

映画作家・濱口竜介最新作『偶然と想像』ナント三大陸映画祭グランプリ(金の気球賞)・観客賞受賞

映画作家・濱口竜介の最新作『偶然と想像』(12/17公開)がフランス・ナントで1979年から開催されている「ナント三大陸映画祭」に出品され、見事グランプリ(金の気球賞)・観客賞を受賞した。

受賞式は11月28日(日本時間:29日早朝)に行われ、現地入りした濱口竜介監督は「本当に嬉しく思っています。6年前に(「ハッピーアワー」)で観客賞をいただいてその後(同作で)銀の気球賞をいただきました。今回は金の気球賞(グランプリ)をいただき、本当に嬉しく思っています。この映画祭が歴史の中でたくさんの映画作家を発見してきたことを理解しておりますので、受賞をとても嬉しく思います。審査員の皆様本当にありがとうございます、ナント映画祭が大好きです。「ハッピーアワー」でも助監督で参加いただいた高野さんも今日参加してくれており、撮影監督の飯岡さん、プロデューサーの高田さんも「ハッピーアワー」から参加してくれていて、私たちチームにとって本当に嬉しいことです」とグランプリ受賞の喜びを壇上で伝えた。

濱口竜介

濱口竜介監督

続いて観客賞を受賞すると、濱口監督は「驚いています、ありがとうございます。「ハッピーアワー」で観客賞をいただいた時も嬉しかったですが、今回も本当に嬉しく思っています。映画を作り始める時には自分自身にとって面白いものを作りたいと思っています。それが観客の皆さんにとっても面白くなるようにと願って作っているのですが、観客賞をいただけると、この映画を面白いと思ってくれる人は自分だけじゃないんだ、と孤独ではなくなるような気持ちを持ちます。ですので、この観客賞は本当に嬉しい賞です。自分の孤独な作業を観客に伝えてくれた役者たち、そしてその役者たちを支えてくれたスタッフ・プロデューサーに感謝したいと思います。本当にありがとうございます。」と、改めて壇上で感謝スピーチを発表した。

濱口竜介

濱口竜介

連続テレビ小説「エール」や「コントが始まる」など話題作に出演し圧倒的な存在感を放つ古川琴音をはじめ、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれが濱口作品に初出演。そして濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣が好演している本作は、第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞。その後海外映画祭への招待が続き、9月にハンガリーで開催した第17回CineFest ミシュコルツ国際映画祭では最高賞にあたるエメリック・プレスバーガー賞を受賞、さらに国内では第22回東京フィルメックスではオープニングを飾り、観客賞を受賞するなど快挙を果たしている。

■ナント三大陸映画祭とは
本映画祭では、金の気球賞(グランプリ)、銀の気球賞(準グランプリ)、審査員特別賞、若い観客賞、ナント市民賞などの部門がある。
アジア・アフリカ・ラテンアメリカの三大陸の作品を対象としており、フィリップ・ジャラドーとアラン・ジャラドー兄弟によって設立された。
昨年は、想田和弘監督のドキュメンタリー映画「精神0」がグランプリ「金の気球賞」を受賞した。

映画『偶然と想像』

第1話『魔法(よりもっと不確か)』
撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。

偶然と想像

場面写真(古川琴音/中島歩)

第2話『扉は開けたままで』
作家で大学教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。

第3話『もう一度』
高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。

出演:古川琴音 中島歩 玄理 渋川清彦 森郁月 甲斐翔真 占部房子 河井青葉
監督・脚本:濱口竜介
プロデューサー:高田聡
エグゼクティブプロデューサー:原田将 徳山勝巳
製作:NEOPA fictive
配給:Incline 配給協力:コピアポア・フィルム
宣伝:FINOR / メゾン
2021年/121分/日本/カラー/1.85:1/5.1ch
©2021 NEOPA / fictive

12月17日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)プロフィール
1978年12月16日神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され話題を呼ぶ。
その後は日韓共同制作『THE DEPTHS』(10)、東日本大震災の被害を受けた人々の「語り」をとらえた『なみのおと』、『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(11~13/共同監督:酒井耕)、4時間を超える虚構と現実が交錯する意欲作『親密さ』(12)などを監督。
15年、映像ワークショップに参加した演技経験のない4人の女性を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピーアワー』が、ロカルノ、ナント、シンガポールほか国際映画祭で主要賞を受賞。
商業映画デビュー作『寝ても覚めても』(18)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、共同脚本を手掛けた黒沢清監督作『スパイの妻〈劇場版〉』(20)ではヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞。2021年『偶然と想像』は第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)受賞し、同年の第74回カンヌ国際映画祭に出品された『ドライブ・マイ・カー』(21)は脚本賞など4冠に輝く。
いま、世界からもっとも注目される映画作家の一人として躍進を続けている。

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