小槙まこ

【インタビュー】「小槙さんが可愛いのでたっぷり堪能してください」映画『葵ちゃんはやらせてくれない』

いまおかしんじの最新作『葵ちゃんはやらせてくれない』(6/11シネマート新宿にて公開)の、いまおかしんじ監督に本作の物語のきっかけ、そして主演の小槙まこに、映画初主演の思いについて伺った。

いまおかしんじ監督は、『UNDERWATER LOVE おんなの河童』『れいこいるか』など、幅広いジャンルの映画作品を世に送り出し、『苦役列車』などで脚本家としても活躍している。キングレコード製作の「エロティカクイーン」第1弾『こえをきかせて』以来のシリーズ復帰を『葵ちゃんはやらせてくれない』で果たした。
映画監督志望の青年・信吾の前に、自殺した大学時代の川下先輩が幽霊になって現れ、「映研時代に戻って葵ちゃんとセックスしたい」と当時にタイムスリップし、その願いを叶えるべく奔走する姿を描くという、突飛な展開を軽々と超越して誰もがかつての淡い恋を思い出さずにはいられない、おかしくもちょっと切ない傑作タイムスリップ・ラブストーリーを生み出した。

主演の小槙まこは、多くのテレビドラマ、舞台、CMなどで活躍する新鋭女優。本作では、先輩が想いを馳せるヒロイン“葵ちゃん”を瑞々しく演じる。さらに、本作で彼女はギターの弾き語りにも挑戦。一度聴いたら忘れられない…印象的な楽曲を披露している。

いまおかしんじ監督×主演・小槙まこ インタビュー

葵ちゃんはやらせてくれない

いまおかしんじ監督/小槙まこ

■亡くなった先輩をモデルに。

-本作の撮影時期は?

いまおかしんじ監督
2020年の6月の後半です。昨年の緊急事態宣言の1回目が解除されてすぐに準備に入って、6月1日からロケハンのような感じでした。撮影期間は、徹夜が二晩くらいありましたが、4日間ほどの撮影でした。

葵ちゃんはやらせてくれない

いまおかしんじ監督

小槙まこ(主人公・葵ちゃん 役)
そうですね。4、5日で撮影しました。

葵ちゃんはやらせてくれない

-撮影場所はどちらでしたか?河川敷等がよく使われていましたが。

いまおかしんじ監督
(撮影に使える)大学の映画研究部がなかなか無くていろいろと探したり、ゾンビのシーンの撮影場所を川でやろうかという話があって、街の中心から外れて行くと、屋外の撮影場所選定の流れでした。アパートなどの屋内撮影は、都内近郊のスタジオを借りて撮影しました。

-学生映画というと、河川敷というイメージがあり、その点を意識されたのかと思いました。

いまおかしんじ監督
そのイメージに乗っかった感じです。

-この作品は、エロティカクイーンというキングレコードの映画レーベルで、本シリーズとして、いまおか監督は2作目の作品になっていますが、作品作りのきっかけは、監督に対してオファーされたものでしょうか?それとも、監督から企画を持ち込んだものでしょうか?

いまおかしんじ監督
半々ですね。制作会社があって、キングレコードさんから「何か企画はないですか?」といった話が、最初の緊急事態宣言の前にありました。
今回の作品の原形となるものを僕が持っていたので、それで撮らせてもらえないかと企画を持ち込みました。
若い子の話なのでちょうどいいねっていう話になり、主演の女性をどうするかということで、オーディションを開いて、新しい人を発掘したらいいんじゃないかという話になりました。
そこで、オーディションを開いて、小槙さんに主演を務めてもらうことになった感じです。もともとは2020年の2月から撮影の予定だったんだけど、コロナの影響で6月に延びたんです。

-ストーリーの発想はどこからきたものなのでしょうか?

いまおかしんじ監督
幽霊がタイムスリップしてくる話なので、実話ではなく創作なわけですが、僕は大学時代に実際に映画研究部に入っていて、“(映画に登場する)川下(カワシモ)さん”じゃなくて、カワシマさんという先輩がいました。
その先輩とは卒業後も付き合いがあったんですけど、途中で精神を病んでしまって実家に帰られたんです。彼は40歳くらいの時に自ら命を絶ってしまったのですが、そんな彼の話をなんらかの形で残したいと思って、彼を主演にした話を2015年くらいに一本撮りました。
そのネタが、幽霊になった川下さんがいきなり入ってきて、「オンナとやりたい!」って始まる話なんです。たまに島根にお墓参りに行く時に、彼のお母さんに「カワシマさんをネタにしたエロもの(映画)なんですけど、観れますかね~」って、その映画を渡したんです。お母さんは、「あらー観られるかしら~」って言ってくれたんですが、二本目はまだ渡していないんです。そんな風に、僕の中で思い出したいというか、何年かに一回は川下さんを主演にした映画を撮り続けていけたらいいかなぁって思っていて、その一環の作品です。

葵ちゃんはやらせてくれない

■「小槙さんに会って葵ちゃんだなって思った」

-オーディションの話がありましたが、小槙さんは脚本を読んでの感想はいかがでしたか?

小槙まこ
第一印象はとても面白い脚本だと思いました。どういう風に作っていくんだろうっていう興味と、弾き語りだとかラブシーンも“初めて”ということに対しては不安もありました。
オーディションでは、審査の中でお芝居をするのと水着審査がありました。歌ったり、ギターを弾けるかといったことも質問されなかったので、決めていただいた時は、本当に大丈夫かな・自分にできるのかなと思いました。いまおか監督とは初めてお仕事を一緒にするので、オーディションで会った時間しかなく、どういう演出をされる方なのか、よくわからないまま現場にいったんですが、お任せしていろいろと試しつつやっていけたらなっていう感じで取り組みました。

葵ちゃんはやらせてくれない

-監督は小槙さんをオーディションで選んだわけですが、その選出理由は?

いまおかしんじ監督
オーディションというのは、本当に分からないもので、その場で台本を読んでもらっても、現場に行くとまた違うだろうし。
僕は、“こういう人がいい!”というのはあまりなくて、どういう人と一緒に作っていったら面白いかなっていうか、自分が想定していない人でも全然いいんです。会った人の中では、葵ちゃんだなという風に思ったのが、小槙さんだったので、お願いしてみました。

-葵ちゃんには、モデルとなる方がいらっしゃるんですか?

いまおかしんじ監督
葵ちゃんのモデルとなる人はいるんですが、その人のイメージとは全然違います。名前だけお借りした感じです。

葵ちゃんはやらせてくれない

葵ちゃんはやらせてくれない

場面写真 (C)キングレコード

■監督と小槙との意外な共通点

-このインタビューのために、いまおか監督と小槙さんのプロフィールを調べていたら、誕生日の日付が一緒なんですがお気づきでしたか?

小槙まこ
え!?そうなんですか?

いまおかしんじ監督
10月6日だよ。

小槙まこ
一緒です!

-そんな共通点があったので、何か巡り合わせのようなものかなと、これはお伝えせねばと思いました。

いまおかしんじ監督
僕たち、同じ日に別の場所で誕生会していたんだね。

小槙まこ
そうですね。毎年(笑)
私、同じ誕生日の人に初めて目の前で会いました!

葵ちゃんはやらせてくれない

■ギターは初めてでコードもわからなかった

-小槙さんにとって、初めてのことがいろいろとあったと思うのですが、そのお話をきかせてください。

小槙まこ
まず、ギターが初めてでした。昔、学校の授業で1,2回持ったくらいで弾いたことはないし、コードもわかりませんでした。歌は舞台で何度か経験はあるのですが、独りで歌うことはないので、映画のエンドロールで、まさか私の歌が流れるなんて、ちょっと恥ずかしかったです。
あとはベッドシーンも初めてですね。映画での主演も初めてで楽しかったです。映像作品だと、あるシーンに出たら現場を離れて、全体がわからずに終わってしまうことも多いので、ここまで全体的に関わらせていただいたのは初めてでした。みなさんと作っている感覚が楽しかったです。

葵ちゃんはやらせてくれない

場面写真 (C)2021キングレコード

-葵ちゃんを演じるにあたって、役作りとか心がけたことはありますか?

小槙まこ
役作りにあたって、勝手に裏設定を作ったりしていました。それは自分の中だけに収めている話で他の人には話していないものです。
台本を読んだ時の印象で、葵ちゃんは、こういう台詞を言うんだとか、秘めてるものだったり、家族設定だったりを自分なりに考えていました。
でも、監督とお会いして初めてのシーンの時に、「もっと可愛らしいというか、ヒロイン感をお願いします。」という言葉をいただきました。そこから自分が考えていた設定とは真逆にしようと思って、少しずつ変化もつけながら演じました。

葵ちゃんはやらせてくれない

-監督から小槙さんにどのような演出・指示などをされましたか?

いまおかしんじ監督
これは小槙さんだけじゃないんですけど、あまりまじめにやらなくてもいいよって伝えています。ふざけて欲しいとか、心情はこうだからこうなんだではなくて、何か思いつきとか、だけど心情をその中でどういう風に表現するかとか、自由になるべく動いてもらうように、どうやったらリミッターが外れるかなみたいなことを考えています。
「“普通はこうだよね”っていうことから、“みんなどんどん外れようよ!”」みたいなことを言ってもなかなか伝わるものではないから、無茶ぶりをするみたいな、そういうのを楽しんでもらえるようになったらいいなと思っています。
時々、「なんですか、それ!?」とか、「意味が分からないんですけど!」って怒る人もいるんです。小槙さんは、馬鹿正直に全部やってくれました。そんなにやることはないよってくらい(笑)
「それはいくらなんでも拒否してもいいんじゃないの?」って思ったけど、そういうのも嬉しかったので、意地悪じゃなくて、さらにもっと言ってやろうって思いました。
昔はそういうので行きすぎたら「ごめんごめん、やっぱり元に戻すわ」って言ってたんだけど、最近はそれを絶対にしない、戻さないってしています。間違えてもいいって。もっと先に進めば、多分、振り切れるから。
だから戻らないようにしたんだよね。戻るとやっぱりダメだなと思って。そんなことを心がけています。
もちろん時間の制約もあり、全部のシーンがベストでは無理だからという考えもありつつ、失敗してもすべってもいいって。ワンシーンくらいすべっても大丈夫だから。1シーンか、2シーンいいのがあれば、他のシーンがすべっていても助かるから、全部拾わなくていいって思うようにしていました。

■昔に戻ってやり直したいこと

-作品にちなんで、「昔に戻ってやり直したいこと」はありますか?

小槙まこ
私はずっと両想いだった人と付き合えなかったことがあります。
小学校・中学校くらいの時の話で、相手が私のことを好きだって周りから聞くんですけど、クラスも一緒になったことが無くて、お互いに話したりもあまりしなかったんです。
だけど「好き」って言う話を聞いたら気になるじゃないですか。それで意識し始めて、私も好きだなって思うようになったんですけど、相手が言葉に出して言ってくれないから、「あぁ、付き合えないのかな…」って思っていました。
でもそのままずっと好きで、中3になった時に同じクラスになったんです。そうしたらもう、普通の友だちになってしまっていました。
もし、自分から一歩踏み出していたら、何か違ったのかなって思っています。彼とは帰省したら絶対に会うような、いまだに仲がいい友達でその後も何事もなく、会った時に懐かしいねってその話をするくらいです。

葵ちゃんはやらせてくれない

いまおかしんじ監督
昔に戻ってやり直したいこと…。思い出すと本当に恥ずかしいことがいっぱいあるんですけれども。いや、もうやり直したくないな。だって、そこからまたやり直さなきゃいけないんでしょ。きついよ。2、3日前とかならね。まだギリギリいけるみたいな。

■お客様へのメッセージ

-作品の見どころ、お客様へのメッセージをお願いします。

いまおかしんじ監督
映画研究部時代の先輩が素人童貞で亡くなってしまったから、もし、彼がここに今入ってきたら何を言うかなって思って作ったのがきっかけの作品です。
個人的な理由で、こんなのを作っていいのかなって思ったりもするんですけど、どういう形であれ、その先輩のことを残しておきたいなって思って作りました。
失礼な言い方になってしまいますが、先輩は本当にどうしようもないアル中で、どうしようもない人だったんですけど、私はそういうところが好きで、カワシマさん以降、その先輩以外にも死んじゃった人がいっぱいいるんです。そういう人たちのことを忘れたくないなっていうのがあります。
でもまぁ、そういうことを、なるべくくだらないというか、笑って見るられるような形で、出せたらいいなと。
で、観て馬鹿にして欲しい・鼻で笑ってほしいくらいなんです。あとは、小槙さんが可愛いので、たっぷり堪能していただければと思います。

小槙まこ
みんなで集まったり、学生時代を楽しんでいる雰囲気が見どころです。
葵ちゃんの気持ちがどんどん変化していく感じを観ていただけたら嬉しいです。川下さん目線でも観ても、今西さん目線でも観ても、いろんな違った見え方がすると思いますし、いろんな人に感情移入できると思うので、一回とは言わず、何度も観ていただけたら嬉しいなと思います。

葵ちゃんはやらせてくれない

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:金田一元]

映画『葵ちゃんはやらせてくれない』

INTRODUCTION
『UNDERWATER LOVE おんなの河童』『れいこいるか』『こえをきかせて』など、幅広いジャンルの映画作品を世に送り出してきた奇才監督・いまおかしんじの最新作『葵ちゃんはやらせてくれない』。
「エロティカクイーン」第1弾『こえをきかせて』以来のシリーズ復帰を果たし、「幽霊と共にタイムスリップする」という突飛な展開を軽々と超越して誰もがかつての淡い恋を思い出さずにはいられない、おかしくもちょっと切ない傑作タイムスリップ・ラブストーリーを生み出した。
映画監督志望の青年・信吾の前に、自殺した大学時代の先輩が幽霊になって現れ、「映研時代に戻って葵ちゃんとセックスしたい」と当時にタイムスリップし、その願いを叶えるべく奔走する本作。
先輩が想いを馳せるヒロイン・葵ちゃんに扮し、主演を務めるのは、多くのテレビドラマ、舞台、CMなどで活躍する新鋭女優・小槙まこ。
葵ちゃんをめぐる物語の中心となる信吾役には、多くの映画に出演しながら俳優、モデル、監督など多岐に渡り活動し、Netflixのリアリティ番組「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」に出演し話題を呼んだ松㟢翔平。
信吾をタイムスリップへと誘う川下先輩を、多数の映画に出演し、監督としても活躍する森岡龍が演じる。
そのほか、伝説のミュージシャン三上寛などが脇を固める。

あらすじ
「ずっとしたかったよ、川下さん」

1年前に自殺した映画研究部の先輩・川下さんの幽霊が彼の命日に突然現れる。片思いをしていた後輩・葵ちゃんとセックスがしたくて蘇ってきたのだという――
映画監督志望の男・信吾の前に、1年前に自殺した大学時代映画研究部の先輩だった川下さんの幽霊が彼の命日に突然現れる。川下さんが語るには、片思いをしていた大学時代の後輩・葵ちゃんとセックスがしたくて蘇ってきたのだという。
川下さんの葵ちゃんとやりたいという願いを叶えるため、もしかしたら川下さんが葵ちゃんとやれる唯一のチャンスだった大学時代のあの日に、川下さんと信吾はタイムスリップする。そこには懐かしい大学時代の葵ちゃんがいた。果たして川下さんは過去をやり直し、念願の葵ちゃんとやる事ができるのか!?

出演:小槙まこ 松㟢翔平 森岡龍
佐倉絆 三嶋悠莉 増田朋弥 田中爽一郎 / 三上寛
監督:いまおかしんじ
脚本:佐藤稔 いまおかしんじ
制作:山田剛史 製作:キングレコード 制作協力:レジェンド・ピクチャーズ
配給:キングレコード 宣伝協力:ブラウニー
2021年/日本/98分/カラー/ステレオ
(C)2021キングレコード

公式サイト:aoichan-movie.com
公式Twitter:@EroticaQueen21

6月11日(金)より シネマート新宿にて 1週間限定レイトショー

葵ちゃんはやらせてくれない

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