『男はつらいよ お帰り 寅さん』レッドカーペット&オープニング上映舞台挨拶レポート
10月28日、第32回東京国際映画祭が開幕。オープニング作品として『男はつらいよ お帰り 寅さん』から、山田洋次監督、キャストらが“レッドカーペット”を歩き、また引き続きEXシアターで行われたオープニング上映舞台挨拶に登壇した。(動画&フォトギャラリー)
本作は、第1作の公開から50周年となる2019年、50作目の最新作となる。それは、新撮された登場人物たちの“今”を描く映像と、4Kデジタル修復されて蘇る寅さんのシリーズ映像が見事に紡ぎ合う、新たなる『男はつらいよ』の物語。50年の歩みがあったからこそ完成した最新作は、生みの親である山田洋次監督自身が「今まで観たことのない作品が出来た」と驚くほど、想像を超える奇跡の映画となった。 シリーズキャストの再結集や、桑田佳祐の主題歌「男はつらいよ」歌唱&オープニング出演情報が発表され、話題を集めている。
舞台挨拶に登壇したのは、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟、夏木マリ、浅丘ルリ子、そして山田洋次監督。舞台挨拶の終盤は、客席も一体となり、主題歌“男はつらいよ”を合唱した。
また、この日は、寅さんシリーズ第10作『男はつらいよ 寅次郎夢枕』に、寅さんとさくらの幼なじみの志村千代役を演じた八千草薫さんの訃報があり、山田監督、倍賞千恵子は驚きを隠せないまま、かつての八千草薫に思いを馳せ、そして、「本作に登場する47年前の美しい八千草薫さんに別れを告げてください」と言葉を締めくくった。
舞台挨拶レポート
山田洋次監督
今から50年前の8月に寅さんシリーズの第一作が上映されました。ごく普通の映画として上映されましたからね、その時まさか50年後にこのような晴れがましい場所で第50作目を上映することになるなんて、まったく夢にも想像してなかったわけです。
この映画は50年かけて作ったんだと、そのことだけは自慢してもいいんだと僕は思っています。
倍賞千恵子
今山田さんがおっしゃったように、私も50年かけてこの映画のなかでずっと“さくら”を演じてまいりました。
私はこの映画の中で、社会とか、世間とか、そして演じることを学ばせていただいたなと思っております。
お兄ちゃんからもいろんなことを教えてもらったんだけれども、お芝居を教えてもらったという記憶はまったくありません。
お兄ちゃんはいつもバカだなって言われる立場にいたんですけど、私にとってはいろんなことを、人間としては何が大切かっていうことを教えてくれた人だってずっと思っております。
で、いなくなっちゃったんですけど、でも、撮影の間じゅうどこかで、お兄ちゃんが見ていてくれてるんじゃないかなと思って、そしてずっと生きてきたことに感謝しながらこの映画を撮り終えました。
前田吟
私はこれまで105本の映画に出させていただきました。半分は山田洋次監督の作品ですが、もちろんほとんどが脇役です。
脇役っていうのはほんとに難しいんですよ。特に『男はつらいよ』の“諏訪博(すわひろし)”という役は難しかった。
その難しい役が楽しくできたのは、寅さんとさくらさんのおかげです。特に『お帰り寅さん』はほんとに楽しく演じさせていただきました。
吉岡秀隆
時が経つのは早いもんですね。この作品の撮影の時は平成だったと思うんですが、気付くと令和になっていて、今日いらっしゃるお客さんたちは令和という時代で一番最初に寅さんに出会える人たちなんだなって思うととっても羨ましく思います。
昨年の今ごろは、監督の指示のもと、寅さんを探す旅にずっと出ていたような気がしますが、今こうして無事に旅を終えた気分でおります。
後藤久美子
泉役の後藤久美子です。またこのように自己紹介する日が来るとは夢にも思っていませんでした。
でもこうして尊敬する山田監督、そして、素晴らしい共演者の方たちと一緒にここにいることができて、とても光栄に思います。
夏木マリ
寅さんの映画は過去5回、お世話になっておりまして、今回で6回目ということで、私の数少ない映画の中で、もうそんなに出していただいているんだと思って今日は感激しております。それも、寅さん50という記念すべき作品に出していただいてほんとに感謝しております。
私の立場としては、泉ちゃんの母ということなので、後藤さんが呼ばれればもれなく付いてくるっていう感じで、いつももれなく出させていただいてほんとに感謝しております。
浅丘ルリ子
山田さんが私の役を松岡リリーという売れない歌手にしていただいたからこそ、私もこの映画に6本出させていただいておりました。
この50作目にも出させていただけてすごく嬉しくて、まだ私一人で、ジャズ喫茶リリーというバーをやっております。
きっと寅さんと思いながら働いているんだと思います。
最後にメッセージ
八千草薫さんの訃報を受けて
山田洋次監督
僕たちの世代の日本人にとっては、八千草さんはほんとに若い時から憧れの人でした。ずっと長い間心の中の人であり続けてくれたわけです。僕もさっき訃報を聞いたばっかりでとっても驚いています。皆さんがこれからご覧になる映画の中にちゃんと八千草さんの、今から47年前のとっても美しいクローズアップが入ってますから期待してください。そしてそのクローズアップを通して、八千草さんにお別れを言ってください。
倍賞千恵子
私も先ほど聞いてビックリしたんですけれども、(八千草薫出演・第10作『男はつらいよ 寅次郎夢枕』で)“くるまや”の2階に上がる土間のところで、八千草さん私がお兄ちゃんから「デカらっきょに、チビらっきょ」と言われるシーンを思い出しました。それから私はヘアメイクさんにお願いする時は「らっきょ型に作って下さい」とお願いするようになりました。
山田洋次監督
ふたりとも額が広いから、らっきょみたいだってね。渥美さんがそう言ってた。
倍賞千恵子
とても残念に思いますけども、とても優しい方でした。
レッドカーペット&舞台挨拶全編は、動画でどうぞ!
フォトギャラリー
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[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』
出演:渥美清 / 倍賞千恵子 吉岡秀隆 後藤久美子 前田吟 池脇千鶴 夏木マリ 浅丘ルリ子
美保純 佐藤蛾次郎 桜田ひより 北山雅康 カンニング竹山 濱田マリ 出川哲朗 松野太紀 林家たま平
立川志らく 小林稔侍 笹野高史 橋爪功
原作・監督:山田洋次
脚本:山田洋次 朝原雄三
音楽:山本直純 山本純ノ介
主題歌:「男はつらいよ」渥美清 / オープニング 桑田佳祐
配給:松竹株式会社
特別協賛:木下グループ スミフルジャパン スターツグループ みずほ銀行 芙蓉総合リース
©2019松竹株式会社
公式サイト:https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie50/
予告編
12月27日(金)全国ロードショー
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