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映画『君は映画』

【インタビュー】「自分たちが映画の中にいる」メタ構造の衝撃!伊藤万理華×井之脇海が語る、 下北沢の街が巨大な映画セットになった『君は映画』の舞台裏。

舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』以来の再共演となる伊藤万理華と井之脇海が、上田誠監督作『君は映画』でW主演。実在の映画館「下北沢トリウッド」を舞台にした異色のメタ構造と、過酷かつ刺激的な“長回し”撮影の裏側を、互いへの信頼感と共に語ってもらった。

本作は、東京・下北沢の劇作家マドカ(伊藤万理華)と、三軒茶屋のバンドマン・カズマ(井之脇海)が、スクリーン越しに対話するという斬新な設定の「下北沢青春ギミックコメディ」だ。
上田誠監督が満を持して放つ監督デビュー作であり、下北沢トリウッドなどの実在スポットを舞台にした“場所へのあて書き”が特徴。ワンカット長回しを多用した実験的な手法の中に、観る者の人生を肯定するようなエモーショナルなメッセージが込められており、理屈抜きに映画館で体験したい一作となっている。

伊藤万理華×井之脇海 インタビュー

‐ お二人は以前、上田誠さんが脚本・演出を手がけた舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』で共演されています。あの作品も特殊な設定でしたが、今回の『君は映画』も「自分たちが映画の中にいる」というメタ的な構造を持っていますね。脚本を読んだ時の印象や、上田作品の魅力について教えてください。

伊藤万理華(劇作家・マドカ 役)
上田さんの作品の魅力は「日常の中に潜む非日常」だと思っています。スイッチを押したり、何かを手に取ったりした瞬間に、パッとSFのような不思議な世界が広がる。それが現実でも起こりうるのではないかと思うようなワクワク感が、上田さんらしさだなと感じます。
前回の舞台『リプリー』は宇宙船という、体験し得ない場所でのリアクションがメインでした。今回は、下北沢に実在する映画館「トリウッド」さんや、その両隣の「三日月ロック」さん、「グッドヘブンズ」さん、下の「原宿シカゴ」さんなど、みんなの日常に溶け込んでいる場所が舞台です。そのリアリティが現場にもあるので、セットではなく「下北沢に住んでいる人たちの日常」として演じられたのがすごく面白かったです。

井之脇海(バンドマン・カズマ 役)
上田さんは他の作家さんにはない、突発的に非日常へ飛んでしまう面白さがありますよね。お芝居をする上での魅力は、「何をやってもOK」だと思わせてくれる世界観です。
例えば警察官の役なら決まった動きがありますが、上田さんの作品は状況自体が非日常なので、そこで生まれた感情やトライしてみたい表現を制限なく試せるんです。それって創作の夢が詰まっているなと感じます。今回は意味のわからないギミックの中での撮影でしたが、前例がないからこそ「どうしちゃってもいい」という演じる楽しさがありました。カメラに向かって喋りかけながら歩くシーンでも、色々なパターンを試させてもらいました。

映画『君は映画』

伊藤万理華/井之脇海

‐ 舞台での共演を経て、今回の映画撮影。お互いの印象に変化はありましたか?

伊藤万理華
上田さんは、井之脇くんに「他の方にはあまりしないような当て書き」をされているなと感じます。前回の舞台では正義感が強いけれど空回りしてしまう航海士、今回はハードボイルドな世界観のバンドマン。
そんな不思議な設定を井之脇くん自身も楽しんでいたのが嬉しかったです。最初は「お芝居をどう見られているのだろう」と、視線を感じたりもしたのですが(笑)、すべてを理解して懐深く受け入れてくれました。同世代で第一線を走っている俳優さんとこうして連続でご一緒できて、「私も頑張ろう」という気持ちになれました。

映画『君は映画』

井之脇海
伊藤さんは、人間としても俳優としても本当に魅力的です。ちゃんと好奇心のアンテナを色々なところに張っている人だなと思います。舞台の時も技術的なことに目を輝かせていましたし、映画でもカットごとの手触り感を大切にされていました。
役者さんとしては、今回の完成した映像を見て改めて、どんなシーンでもちゃんと自分のものにする力があると感じました。何気ない会話の中でも、マドカとしての思いが溢れる瞬間や、セリフを立たせるべきところをグッと持っていける。映画ファンとしても、もっともっと映画で見たい俳優さんだなと思いました。

映画『君は映画』

‐ ロケ地の下北沢は、お二人にとっても馴染みのある場所だと思います。撮影はいかがでしたか?

伊藤万理華
私は学生時代から下北沢を歩き回っていましたし、トリウッドさんも『リバー、流れないでよ』を観に行った思い出の場所でした。舞台『リプリー』をやっていた本多劇場からの帰り道、みんなでご飯に行ったことなど、色々な思い出が詰まっている場所です。
だからこそ、マドカとして商店街を歩くときも、「役にならなきゃ」というよりは、自分自身がその場所に根付いている感覚がしっかりあり、下北沢で撮影できることは、私にとってすごく特別なことでした。

井之脇海
僕も昔から通っていた街ですし、それこそ三日月ロックさんで実際に飲んだことも、別の作品の撮影をしたこともありました(笑)。思い出が多すぎて、カズマとして存在していなきゃいけないのに自分の記憶が出てきちゃうんじゃないかと心配になるくらいでした。
でも、その懐かしさは、バンド活動がうまくいかないカズマのもどかしさを演じる上での良いエネルギーになったと思います。ロケーションに助けられた部分は大きいですね。ただ、大好きなトリウッドさんにずっと閉じ込められての撮影は、大変すぎて一瞬嫌いになりそうでしたけど(笑)

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場面写真  (C)ヨーロッパ企画/トリウッド 2026

‐ ヨーロッパ企画の映画といえば、ワンカット長回しの多用も特徴です。今回も独特なカメラワークに合わせて演技をするシーンがあったと思いますが、苦労などはありましたか?

伊藤万理華
私は10代の頃から、なぜかワンカット撮影の機会が多かったです(笑)。装置の中に閉じ込められたり、バスの中でタイムラプス撮影をしたり。実験的な映像の中に自分が入るというワクワクする現場をたくさん経験してきたので、今回のようなギミック的な長回しは、「今までの体験をすべて活かせる、夢が叶った現場」という感じでした。
大変さはもちろんありますが、何回もリハーサルをして、みんなで一つの目標に向かって走るのがとにかく楽しくて。終わるのが寂しくて「ずっとここにいたい」と思うほど、本当に幸せな撮影でした。

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井之脇海
ワンカットで撮るというのは、非常に演劇に近い感覚がありました。カメラのアングルに自分の芝居をはめていく作業は、上田さんらしさを感じて楽しかったです。
お芝居には「1回目の鮮度」を大事にするものと、「何回もやって精度を上げていく」ものがあると思いますが、今回は圧倒的に後者でした。全スタッフと全役者が、何回もやり直しながらシーンを良くしていく。その過程が1カットごとに楽しかったです。

‐ 井之脇さんは、過去、ご自身でも監督・脚本をされたご経験がありますが、クリエイター目線で見た上田監督のすごさはどこにあると感じますか?

井之脇海
とにかく本(脚本)が面白いです。クリストファー・ノーランの新作を待つ時のような気分でいつも読んでいます(笑)
予算が限られている中で、これだけの発明をして、さらに今回はこれまでのギミックに加えて「エモーショナルな部分」を多めにしようという試みも感じられて、前例のない映画を作り続けている凄さを感じます。

映画『君は映画』

‐ ヨーロッパ企画の劇団員の方々をはじめ、共演者の皆さんも個性豊かでしたね。現場での化学反応はありましたか?

伊藤万理華
ヨーロッパ企画の皆さんの、独特の間や表情の作り方がすごく好きです。映画になっても、あえて過剰にしているわけではないのに、自然体のままでずっと面白い。ふとした一言がなぜか面白くなるのは、皆さんの技術なのだろうなと思います。そんな皆さんと一緒だったから、私もマドカとしていられたのだなと感じました。

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井之脇海
皆さんしっかりとしたロジックを持ってお芝居をされているので、現場でブレがないんです。その土台の上で、カメラの前で自由に遊んでいる感じが凄いです。
こちらが演じていても、ちゃんとリアクションをして笑いに変えてくれるので、すごく助けられました。「安心してお芝居ができる」というのは、外部から参加した僕たちにとって最大のモチベーションでしたね。

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場面写真   (C)ヨーロッパ企画/トリウッド 2026

‐ 今作のキャッチコピーに「映画に観られてた。」とあります。お二人はこれまでご自分が出演した作品を、どのようにご覧になりますか?

井之脇海
最初は客観的には見られないですね。自分の芝居がいい悪いというより、「あのシーンは大変だったな」という思いが乗ってしまうので。
でも、共演した方が他の作品に出ているのを見る時は、その人のパーソナルな部分を忘れて純粋に楽しめます。

伊藤万理華
私も自分が出ていると没頭できなくて、「あそこはダメだったな」と反省してしまいます。でも最近は、それを上回るくらい「なんて素敵な作品なんだろう」と思える瞬間があって、そうなったときにやっと作品の世界に入り込めたなと感じます。
今回の『君は映画』でも、自分が出演していないカズマのパートを観て、ストーリーを知っているはずなのにハラハラしたりドキッとしたり。映画としての楽しさを味わうことができました。

映画『君は映画』

‐ 最後に、公開を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

伊藤万理華
一言で表すと「下北沢青春ギミックコメディ」ですが、理屈抜きに映画館で体験していただきたいです。笑ったり、驚いたり、グッときたり……。最後に『君は映画』というタイトル通りの言葉を受け取ったとき、「自分の人生も、誰かが応援してくれている映画なんだ」と思えるような、二重の体験ができる作品だと思います。

井之脇海
映画の夢がギュッと詰まった作品です。驚くような展開がありますが、それは観ている一人一人の人生にもそれぞれのストーリーがあるんだ、という応援メッセージでもあると思います。映画館で観る意味がとてもある映画です。ぜひ、スクリーンでその瞬間を目撃してください。

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伊藤万理華/井之脇海

伊藤万理華(いとうまりか)プロフィール
1996年生まれ、大阪府出身。元乃木坂46の一期生メンバー。グループ卒業後、初主演映画『サマーフィルムにのって』(21)でTAMA映画祭最優秀新進女優賞、日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞。主な出演作品に、舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』(25/主演)、ドラマ『パーセント』(24/主演)、『いつか、無重力の宙(そら)で』(25)、『ミッドナイトタクシー』(26)、映画『チャチャ』(24/主演)、『架空の犬と嘘をつく猫』(26)などがある。

井之脇海(いのわきかい)プロフィール
1995年生まれ、神奈川県出身。2008年「トウキョウソナタ」で第82回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞ほか複数の賞を受賞。近年の主な出演作に、映画「ONODA 一万夜を越えて」、「バジーノイズ」、「ピアニストを待ちながら」(主演)、ドラマ「晩餐ブルース」(W主演)、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」などがある。現在は舞台「レディエント・バーミン」に出演中(7月5日までシアタートラムにて公演、以降地方公演あり)。8月7日に「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」、12月25日に「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」が公開予定。9月からは舞台「リア王 -King Lear-」に出演が決定している。日本・台湾国際共同製作映画『燃え上がる島』でW主演を務めるなど待機作多数。

■関連動画

映画『君は映画』初日舞台挨拶

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■撮り下ろしフォトギャラリー

[写真・インタビュー:三平准太郎]

【伊藤万理華】
スタイリング:和田ミリ ヘアスタイリング&メイクアップ:kika
衣装協力:タンクトップ¥22,000・スカート¥33,000/ともにkotohayokozawa(ON TOKYO SHOWROOM)、シューズ¥20,680/PEMONT(HANA SHOWROOM)、ピアス¥29,700/ete、イヤーカフ¥13,200・リング¥28,600/Jouete、その他スタイリスト私物
問い合わせ先:
ON TOKYO SHOWROOM→03-6427-1640
HANA SHOWROOM→hana.showroom@hana-korea.com ete、Jouete→0120-10-6616

【井之脇 海】
スタイリング:坂上真一(白山事務所) ヘアスタイリング&メイクアップ:新宮利彦(VRAI)

映画『君は映画』

《INTRODUCTION》
人気劇団・ヨーロッパ企画と下北沢にある映画館・トリウッドがタッグを組んだ『ドロステのはてで僕ら』(20)、『リバー、流れないでよ』(23)に続く、オリジナル長編映画『君は映画』が2026年6月19日(金)より全国公開となります。
前述の過去2作はもちろん、映画『サマータイムマシン・ブルース』や、『夜は短し歩けよ乙女』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(※日本語吹き替え版脚本)、『リライト』など数々の話題作で脚本を務めてきたヨーロッパ企画代表の上田誠 が、満を持しての監督デビューを果たします!
W主演の一人、劇作家のマドカを演じるのは、伊藤万理華。上田とは、ドラマ「時をかけるな、恋人たち」、舞台「リプリー、あいにくの宇宙ね」に続く3度目のタッグとなり、監督の分身とも言うべきキャラクターを躍動感たっぷりに好演。
そして、バンドマンのカズマを演じるのは同じく「リプリー、あいにくの宇宙ね」に出演した井之脇海。
そのほか、前田旺志郎、菊池日菜子、金子鈴幸、三河悠冴、今井隆文、ザ・ギースの尾関高文、高佐一慈、そして藤谷理子、金丸慎太郎、石田剛太、酒井善史、角田貴志、土佐和成、諏訪雅、永野宗典らヨーロッパ企画のメンバーも出演。それぞれが、多様な文化が集まる下北沢ならではの個性的なキャラクターを演じています。

《STORY》
東京・下北沢で劇作家をしているマドカと、隣町・三軒茶屋でバンドをしているカズマ。二人はそれぞれ映画を観にいき、スクリーンの中に互いを観る。つまり、マドカにとってはカズマが、カズマにとってはマドカが「映画」なのだった。
そんなあり得ない構造の中、まるで映画のように、互いの物語の中で事件が起きていく。カズマとマドカはスクリーンごしに会話しつつ解決に奔走するが…。

出演:伊藤万理華 井之脇海
藤谷理子 金丸慎太郎
前田旺志郎 菊池日菜子 金子鈴幸 三河悠冴 今井隆文 / 尾関高文(ザ・ギース) 高佐一慈(ザ・ギース)
石田剛太 酒井善史 土佐和成 角田貴志 諏訪雅 永野宗典
監督・脚本:上田誠
配給:TOHO NEXT、トリウッド
(C)ヨーロッパ企画/トリウッド 2026
公式サイト:https://www.europe-kikaku.com/kimiei/
公式X:@kimihaeiga0619
公式Instagram:@kimihaeiga0619

2026年6月19日(金)より全国公開

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