
【インタビュー】鈴木福×あの、魂の「脱皮」を語る。ドラマ『惡の華』W主演が向き合った思春期の闇と絶望
伝説的コミック『惡の華』が鈴木福とあののW主演で待望の実写ドラマ化。閉塞感漂う町で「契約」を交わした少年少女の危うい主従関係を、二人はどう演じきったのか。魂を削る撮影を経て語られた、作品への覚悟と「変態的」な役作りのについて話を聞いた。
本作の舞台は山に囲まれた閉塞感漂う群馬県・ひかり市。文学を愛する内向的な中学生・春日高男(鈴木福)は、憧れの同級生・佐伯奈々子の体操着を盗んだ場面を、クラスの問題児・仲村佐和(あの)に目撃されてしまう。
秘密を盾に仲村から「契約」を持ちかけられた春日は、彼女の変態的な要求に翻弄される中で、自己のアイデンティティを崩壊させ「絶望」を知ることになる。思春期特有の衝動と自意識の闇を、ドラマならではの演出で鮮烈に描く衝撃の青春物語だ。
テレ東系 毎週(木)深夜0時~0時30分地上波放送後、「Disney+(ディズニープラス)」にてアジア見放題独占配信。
鈴木福×あの インタビュー&撮り下ろしフォト
‐ まずは、ご出演が決まった時の率直な感想を教えてください。
鈴木福(春日高男 役)
率直に、この伝説的な作品で主演をさせていただけることが嬉しかったです。何よりプロデューサーや監督陣の熱量がものすごくて。マネージャーさんからも聞いてはいたのですが、実際にお会いして話を伺う中で、「これは全力で応えなきゃいけない」という強い使命感と、同時にワクワクする気持ちが込み上げてきたのを覚えています。
あの(仲村佐和 役)
ドラマ化されること自体に驚きましたし、自分に俳優として主演のオファーが来たことも光栄でした。僕もスタッフさんの熱い思いを感じて、改めて原作の漫画を読み返したんです。これまで「主演」という経験はなかったのですが、この『惡の華』という作品には不思議な縁を感じて。「あ、自分がいま手を伸ばされているんだな」という感覚になり、大事に演じたいと思いました。
‐ お二人はドラマでの共演は初めてですが、お互いの第一印象はいかがでしたか?
鈴木福
以前に少しすれ違った程度で、ちゃんとお話しするのは初めてでした。世間のパブリックイメージもありますけど、実際にお会いするとイメージ通りの部分もありつつ、初日からたくさん話しかけてくれたのが嬉しかったです。本読みのときはあまり会話がなくて、これから「どうコミュニケーションを取ればいいかな」と探っていたのですが、クラスのシーンなどで前後の席だったこともあり、自然に色々なお話ができました。
あの
(福くんの)笑い方が、小さい頃にテレビで見ていた時から全く変わっていなくて「すごいな」と思いました。
でも、いざお芝居に入ると、演技に対する真面目さや誠実さがすぐに伝わってきて。すごく周りをよく見ている方だなと圧倒されました。
鈴木福
嬉しいです(笑)あのさん本人もそうですけど、役柄という点でも、初日からバチバチにハマっていましたね。見ていて気持ちがいいくらい「仲村さん」として成立していて、本読みの時から手応えはありましたけど、撮影初日、改めて「よし、これはいけるぞ!」と確信しました。それぐらい素敵なお芝居とキャラクターを持っていらっしゃるなと思いました。
‐ それぞれの役柄をどう捉えていますか?
鈴木福
春日は、山に囲まれた閉鎖的な町で、「このままここで一生を終えるのか」という焦りや不安を抱えている少年です。自分は何者なのか、周りとの違いは何なのかと葛藤する中で、仲村さんと出会い、自分を解放していく。重いイメージのある作品ですが、本質的には誰もが抱える思春期の自己との向き合いを描いています。中学生から高校生へと成長していく姿にも注目してほしいです。
あの
仲村は、社会やクラスの「普通」に流されず、自分の感情や欲望に素直に、正直に生きている人です。一見、狂気的で何を考えているか分からないキャラクターに見えますけど、実はすごく人間らしくて優しい。春日という「面白いおもちゃ」を見つけて体当たりで向き合っていく姿は、とても純粋だと思います。
‐ 難しい役どころですが、役作りで意識したことはありますか?
鈴木福
中学生らしい「可愛らしさ」が、物語が進むにつれてドロドロしたものに変化していく過程を意識しました。原作でも絵のタッチがどんどん変わっていきますが、ドラマでも、彼が自分自身と向き合い、中身が剥き出しになっていく姿を表現したいと思って演じています。
あの
叫ぶシーンが多いのですが、ただ暴れているだけにならないよう、その背景にある感情を大切にしました。仲村にとって春日以外は「モブ」なんですよね。その対比というか、春日に向ける凄まじいエネルギーを意識しました。あとは、幼すぎず大人すぎない絶妙な「声色」を作るのには苦戦しましたが、こだわった部分です。
‐ 原作を読んだ時の衝撃はいかがでしたか?
鈴木福
出演が決まってから読みましたが、「あ、これ、やべえな」と(笑)やるからには相当な覚悟が必要だという焦りや不安もありました。
でも、読めば読むほどキャラクターの言葉や美しい表現が心に突き刺さって。多くのファンの方に愛されている理由が分かりましたし、この世界の一部になれる喜びを日々感じています。
‐ あのさんは、以前、周りに勧められて既に読んだことがあるそうですね。
あの
そうなんです。当時の僕を知っている身近な⼈たちから「(仲村さんは)あのちゃんみたいだから読んだ方がいい」とずっと言われていて。実際に読んでみたら、すごく訴えかけられるものがあって、自分の過去の経験とも重なる景色がありました。誰かの人生の核になるような作品だと思いますし、数年経ってまた読み返すと、さらに解釈が深まって面白いなと感じています。
‐ 押見先生が、あのさんに「仲村さんのような純粋さと反逆精神を感じる」とコメントされていますね。
あの
嬉しいです。原作者の方にそう言っていただけるのは本当に光栄です。仲村の「周りの目を気にせず、自分を失わない」という部分は、僕自身も共通しているなと感じながら演じています。
‐ 春日は佐伯奈々子(演:井頭愛海)のことが好きなはずなのに、なぜ仲村に惹かれてしまうのでしょうか。
鈴木福
人ってそういうものじゃないかな、と思うんです。春日にとって仲村さんは不可解な存在ですが、なぜ執着してしまうのか、自分でも分かっていない。だからこそ、理屈で説明しすぎず、そのシーンごとに湧き上がる感情に素直に動くことで、三人の複雑な関係性が成立するのだと信じて演じました。
‐ 押見先生が奥さんに実際に言われたことが元になっているという本作の象徴的なセリフ「クソムシ」についてはどう感じていますか?
あの
相手によって意味合いを変えていると思っています。教師に向けるのはただの暴言ですけど、春日に向ける時は、自分が見つけた「希望」に対する感情がこもっているんです。春日が期待に応えてくれない時の「クソムシ」には、怒りだけでなく悲しみも混ざっていると思います。
鈴木福
言われる側としては、話が進むごとにその言葉への反応が変わっていくのが面白いなと。色々な「クソムシ」が出てくるので、そこも楽しんでほしいです。
‐ それぞれ生きづらさを抱えた春日と仲村ですが、お二人の学生時代と重ねて、葛藤や生きづらさを感じることはありますか?
あの
生きづらさは昔からずっとあったし、今も変わらずあります。自分の感情が何なのか分からなくてモヤモヤしていた頃の葛藤は、仲村や春日の姿に重なる部分がありますね。
鈴木福
僕の場合は、やるべき仕事が常にあったので、何もないという不安はなかったかもしれません。でも、逆に「自分はどうあるべきか」という悩みは、今の方が強まっている気がします。
中学時代の僕だったら、この『惡の華』という作品は十分に演じきれなかったはず。今の自分だからこそ表現できるものがあると思っています。
‐ 最後に本作への思い、そして視聴者へのメッセージをお願いします。
鈴木福
この作品は、僕の俳優としてのギアをもう一段上げるきっかけになる、本当に大切な作品です。命をかけると言ったら大袈裟かもしれませんが、それくらいの思いで、現場のスタッフさんたちと熱量を共有しながら作っています。あのさんのお芝居も本当に素晴らしくて、1話から最後まで目が離せない展開になっています。ぜひ、皆さんの心に何かを突き刺したいです。
あの
撮影を通して、自分のやりたいことや生き方の輪郭がはっきりしていくような、大事な時間を過ごせました。過酷なシチュエーションもありましたけど、福くんやスタッフさんからお芝居の面白さを教わって、感謝しかありません。アニメや映画もありますが、ドラマ版ならではの新しい『惡の華』を楽しんでほしいです。この期間のことは、一生忘れないと思います。
僕たちが俳優としてやれる全てを詰め込みました。感情も肉体も限界まで使っています。1話から引き込まれる内容になっているので、ぜひよろしくお願いします。
鈴木福(すずき ふく)プロフィール
2004 年6月17日生まれ 東京都出身。
1歳のとき、NHK教育番組でデビュー。2011年にTVドラマ「マルモのおきて」に出演し、人気を博し、以降、映画、TV、舞台、CMなどで活躍。
近年はミュージカルや情報番組のコメンテーターなど新たなジャンルにも活動の幅を広げている。
最新作は映画「ヒグマ!!」やHuluオリジナル「時計館の殺人」、ドラマ「コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店」(NHK)など。
あの プロフィール
若い世代の女性を中心に人気を誇る「あの」。2020年9月より「ano」名義でのソロ音楽活動を開始。2022年4月 TOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。同年10月TVアニメ『チェンソーマン』エンディング・テーマに『ちゅ、多様性。』が抜擢。2023年末には日本レコード大賞特別賞を受賞し、NHK紅白歌合戦にも出場。2024年3月映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』主演声優と主題歌を担当。映画『推しの子』にもMEMちょ役で出演。音楽活動だけに留まらずタレント、女優、声優、モデルと多岐にわたり活動。2025年9月には自身初の武道館公演を開催。
■撮り下ろしフォトギャラリー
- あの/鈴木福
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[写真・インタビュー:三平准太郎]
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ドラマ「惡の華」
主演:鈴木福 あの
出演:井頭愛海 須藤千尋/中西アルノ(乃木坂46) 長谷川朝晴 中越典子 紺野まひる 堀部圭亮
雛形あきこ ほか
声の出演:三石琴乃
原作:押見修造「惡の華」(講談社「別冊少年マガジン」所載)
脚本:目黒啓太(MBS「レッドブルー」、NTV「私をもらって」)
たかせしゅうほう(TX「日本ボロ宿紀行」、CX「トラックガール」)
監督:ヤングポール(TX「量産型リコ」シリーズ、WOWOW「I, KILL」)
井口昇(映画「惡の華」、「カニバさん・異端の純愛」)
主題歌:ano「愛晩餐」(トイズファクトリー)
音楽:たかはしほのか(リーガルリリー)
エンディングテーマ:majiko「クライクライ」(バンダイナムコミュージックライブ)
プロデューサー:漆間宏一(テレビ東京)、涌田秀幸(C&I エンタテインメント)
制作:テレビ東京、C&I エンタテインメント
製作著作:「惡の華」製作委員会 2026
ⓒ「惡の華」製作委員会 2026 ⓒ押見修造/講談社
公式 HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/akunohana/
公式 X:@tx_akunohana https://x.com/tx_akunohana
公式 Instagram:@tx_akunohana https://www.instagram.com/tx_akunohana
ハッシュタグ:#ドラマ惡の華
放送日時:2026年4月9日スタート 毎週木曜深夜24時00分~24時30分
BSテレ東でも 2026年4月15日スタート 毎週水曜深夜24時00分~24時30分
放送局:テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ 九州放送
配信:ディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」で、各話放送後からアジア見放題独占配信
▶ディズニープラス:https://www.disneyplus.com/ja-jp
広告付き無料配信サービス「TVer」などで見逃し配信!
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