【インタビュー】伊藤万理華「3人の現実の関係性と映画の中の3人の関係性がリンク」映画『オアシス』
清水尋也&高杉真宙W主演映画『オアシス』(11/15公開)で記憶をなくしているヒロインを演じた伊藤万理華に、本作の登場人物が実際の役者の関係性とリンクしていることなど、本作出演を通しての想いを聞いた。
伊藤万理華 インタビュー&撮り下ろしフォト
■撮影前のロケ地巡り
‐今回が初監督となった岩屋監督のオリジナル脚本を最初に読んだときの印象は?
伊藤万理華(紅花/くれは 役)
岩屋監督にとって第1作目の熱量、そして、ご本人のルーツでもある青春時代も感じられて、鮮烈な印象を持ちました。
‐本作ご出演は監督からのオファーだったと伺ってますが、“紅花(くれは)”というキャラクターをどう捉えられましたか?
伊藤万理華
紅花は、幼少期のトラウマが原因で幼い頃の記憶がありません。記憶が無い設定の役は初めてでしたし、記憶が無くなる前はどういう子だったのか、今の言動で伝わるものなのか、などと考えてみましたが、ただ、今、この土地で自分なりに生きているその意志の強さは紅花の中に感じました。
‐撮影にあたって、監督とはどのようなコミュニケーションをされましたか?
伊藤万理華
この作品は名古屋オールロケなのですが、撮影が始まる前に岩屋監督とロケ地を巡りました。ロケ地には監督ご自身が育った街もあり、当時、そこでどういうことがあって、どう過ごしたのかというお話をとても丁寧にしてくださいました。
監督の話を通して、紅花が住んでいる街に馴染み、土地勘を把握していくという作業ができました。
実際にお芝居するときは、私に委ねてくださっていたので、私自身は合っているのか分からない部分もありましたが、でも、そういうどっちとも取れない様子が逆に良かったのかもしれない、と後になって感じています。
‐すなわち、物語の舞台となる名古屋の街を色々巡って、そこで伊藤さんが感じられたことをお芝居で表現したと。
伊藤万理華
そうですね。感覚的な話になりますが、撮影の合間も自分一人で散歩しながら色々巡って、空気感を感じ取るようにしていました。
■3人の現実の関係性と映画の中の3人の関係性がリンク
‐それでは、監督からの具体的な演出はそんなになかったということですね。
伊藤万理華
一応キャラクターシートはいただいていたのですが、主演のお二人、清水尋也さんと高杉真宙さんがいらっしゃることで、紅花のことが分かってきたなという感覚もありました。
紅花は事情がよく分からないまま、この二人に巻き込まれていくお話です。よく分からないままでも、二人と一緒にいるとどこか安心するんだな、というのは、私が現場で二人の関係性を見守りながら過ごせたという構図と似ていて、役としても合っていたのかなと思います。
‐今お名前が出た清水さんと高杉さんについて。清水さんは元々監督とお知り合いで、高杉さんと清水さんはこれまで共演されています。伊藤さんはこのお二人とは?
伊藤万理華
高杉さんとは以前、映画「賭ケグルイ」でご一緒しましたが、直接の絡みはありませんでしたし、清水さんは、作品ではいろいろ拝見していましたが、共演は初めてでした。
高杉さんと清水さんは元々繋がりがあって、でも俳優としてはそれぞれ違う道、違う色でこれまで活躍されていて、そうして今回の作品で、共演という形で再会された。それはまさにこの作品『オアシス』の金森(演:高杉)と富井(演:清水)の関係性と似ています。
紅花は、金森と富井とは幼馴染なんだけど、記憶を無くしているので、どこか懐かしさを感じつつも新しい関係に近い状態。それは、私がお二人と共演させていただく構図にも繋がっているなと思いました。
‐3人の現実の関係性と映画の中の3人の関係性がリンクしているような感じですね。
伊藤万理華
はい、リンクしているんです。
‐撮影全体を通して、印象に残ったことは?
伊藤万理華
3人の秘密基地が存在して、そこに紅花が昔描いていた絵が飾られていて、監督が昔描かれたもの、スタッフさんが描かれたもの、そして私自身が実際に描いたものたちです。
皆で一緒に作っていったあの空間は、とても居心地が良くて、まさにタイトル通り「オアシス」であるべき場所、紅花にとって守りたい場所として感じられたなということが印象に残っています。
‐伊藤さんは、走るシーンや煙草を吸うシーン、返り血を浴びて血まみれになるシーンなどもありますね。
伊藤万理華
喫茶店を出た後、走って一気に階段の上まで駆け上がって行くまでのシーンはワンカットでした。何回も繰り返したので、ほんとうに走りきったなという思い出があります。
撮影期間が短かったのは、紅花がじっくり考える間もなく、何これ?っていろんなことに巻き込まれて、いつの間にか手にナイフを持って返り血を浴びている状況にリンクしているなと。なので、役について深いところを考え過ぎずるのも違う気がして、感覚のままやっていました。
‐伊藤さんが煙草を吸うシーンで咳き込むところとかリアルでしたね。
伊藤万理華
あれはもちろんお芝居ですが、リアルでしたか?(笑)
『女優は泣かない』(2023)、『チャチャ』(2024)に続いての喫煙シーンなんです。この映画では、清水さんと高杉さんもタバコを吸うシーンが多くて、現場では煙たいことが多かったです(笑)
‐名古屋での撮影という観点で印象に残っていることは?
伊藤万理華
クラブのシーン含め、現地の方がエキストラとして協力してくださったので、その土地にしかない雰囲気が出ていることだと思います。
‐東京で言うところの歌舞伎町のような雰囲気のところですよね。
伊藤万理華
はい、その街に根付いている人たちだからこその空気感を強く感じる空間での撮影は、圧倒されました。
■伊藤万理華が止めたいこと
‐この作品のタイトルにちなんで、伊藤さんにとってのオアシスは?
伊藤万理華
私にとってのオアシスはお家です!!
‐「クヨクヨするのはもう止めたの」という紅花のセリフがありますが、『チャチャ』でも、伊藤さん演じるチャチャの「人の目を気にするのは止めたの」というセリフがあり、2作続けて「止めたの」シリーズとなっていますが、伊藤さんご自身が、最近止めたものや止めたいことがあれば教えてください。
伊藤万理華
確かに「止めたの」シリーズ(笑)
一晩の睡眠時間が短くて、早く起きちゃうことがあります。二度寝をしてしまうのを止めたいです!
一度寝で、しっかり睡眠を取りたいんです(笑)
‐最後にこの映画をご覧になる方へ、ご自身の役どころ含めたPRメッセージをお願いします。
伊藤万理華
バイオレンスシーンも多い作品ですが、私が演じた紅花は、記憶を無くした女の子だけど、記憶が戻ることよりも大事にしたいことがあります。それは、誰かと一緒にいると、肌感覚で懐かしく感じて安心できる、守りたい場所。
この映画をご覧になった方が、同じように自分の心を繋ぎ止める場所を見つけていただけたら嬉しいです。
伊藤万理華(いとうまりか)プロフィール
1996年2月20日生まれ、大阪府出身。2011年に乃木坂46に1期生メンバーとして加入。2017年12月にグループ卒業後、初主演映画『サマーフィルムにのって』(松本壮史監督) ではTAMA映画賞にて最優秀新進女優賞を、日本映画批評家大賞にて新人女優賞を受賞。
2022年12月に書籍『LIKEA』(PARCO出版)を刊行、その本を軸に発想を得た展覧会集大成となる三部作最終章『LIKE A EXHIBITION LIKEA』をGALLERY X(渋谷 PARCO)にて開催。様々なクリエイターから支持を集め、カルチャーアイコンとしても注目されている。
近年の主な出演作品に、映画『もっと超越した所へ。』(22年/山岸聖太監督)、『そばかす』(22年/玉田真也監督)、『女優は泣かない』(23年/有働佳史監督)、主演映画『チャチャ』(24年/酒井麻衣監督)など数多くの話題作に出演。翌年には映画『港に灯(ひ)がともる』(25年/安達もじり監督)の公開が控えている。
■撮り下ろしフォトギャラリー
[写真・インタビュー:三平准太郎/スタイリスト:Wada Miri/ヘアメイク:kika]
衣裳情報
ドレス、シューズ
3.1 Phillip Lim
3.1 Phillip Lim Japa
お問い合わせ先:customercare@31philliplim.co.jp
イヤーカフ、リング
Charlotte CHESNAIS
お問い合わせ先:EDSTRÖM OFFICE Tel: 03-6427-5901
映画『オアシス』
《INTRODUCTION》
2012年放送のTVドラマ「高校入試」以来、これまでに『渇き。』『逆光の頃』『東京リベンジャーズ2血のハロウィン編 -運命-/-決戦-』などのヒット作・話題作で共演してきた 清水尋也と高杉真宙。
十代の頃から若手演技派として注目される一方、“この世界に入って、最初にできた友人”として、過去でも長きに渡って親交のある2人が、裏社会に生きながら絶望と一瞬の幸福を味わうリアルな若者の姿を描くバイオレンス青春映画でW主演を果たした。清水と高杉がクールかつワイルドな魅力で演じるのは、幼馴染だったが敵対する関係になる富井と金森。また、『サマーフィルムにのって』での演技が高く評価され、話題作『まなみ100%』『チャチャ』などの出演作が相次ぐ伊藤万理華がヒロイン・紅花を演じ、もっとも旬で煌びやかな3人が化学反応を起こす。その他、青柳翔、窪塚俊介、松浦慎一郎、津田寛治、小木茂光といった実力派俳優が、ダークでハードな男たちの世界を彩っていく。
監督はこれまで三宅唱、山戸結希、岸善幸などの監督作において、助監督として参加してきた岩屋拓郎。監督自ら手掛けたオリジナルストーリーが、映画企画コンペにて新人賞を受賞。過去作で組み、公私共に交流があった清水に熱いオファーを送ったことにより、高杉とのW主演へと繋がった。さらに監督の地元である愛知にてオールロケを敢行し、容赦なきリアルなバイオレンス描写に対するこだわりなど、鮮烈かつ強烈な長編作品デビューを飾ることになった。
また、撮影を『さがす』『エゴイスト』『死刑に至る病』など、次々と話題作を手掛けるキャメラマン、池田直矢が担当。独特の映像美により、青臭くもヒリヒリとした世界観を生み出している。
《STORY》
ともに青春時代を過ごした幼馴染だったが、“ある事件”をきっかけにバラバラの人生を歩んでいった富井と金森。現在は、地元のヤクザ・菅原組の構成員と犯罪組織のメンバーとして一触即発の関係になっていた2人の前に、互いの心の拠りどころであり、“ある事件”から記憶障害になっていた幼馴染・紅花が現れる。さらに、彼女が組長の一人息子をめぐる事件に巻き込まれたことにより、3人は組織から追われる身になってしまう……。
出演:清水尋也 高杉真宙
伊藤万理華
松浦慎一郎 杏花 林裕太 / 青柳翔(友情出演)
津田寛治
窪塚俊介 / 小木茂光
監督・脚本:岩屋拓郎
製作:藤本款 前信介 直井卓俊
プロデューサー:前信介 共同プロデューサー:秋山智則 直井卓俊 アソシエイトプロデューサー:小宮誠
音楽:池永正二 劇中音楽:hokuto
製作:「オアシス」製作委員会
製作幹事:クロックワークス
共同幹事・制作プロダクション:グラスゴー15
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
©2024『オアシス』製作委員会
公式サイト:http://oasis–movie.com
公式X:@OASIS_MOVIE2024
予告編
2024年11月15日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。