『窓辺にて』は素晴らしい演技のアンサンブルが見られる。第35回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見
2022年9月21日、日比谷三井カンファレンスルームにて、第35回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見が行われた。本記事は、コンペティション部門に選出された、稲垣吾郎×玉城ティナ『窓辺にて』にクローズアップ。
コンペティション部門『窓辺にて』
コンペティション部門に選出されたのは全15作品。そのうち、日本映画は『窓辺にて』(今泉力哉監督/主演:稲垣吾郎)、『エゴイスト』(松永大司監督/主演:鈴木亮平×共演:宮沢氷魚)、『山女』(福永壮志監督/主演:山田杏奈)の3作品。
これらのうち、『窓辺にて』の選出理由について、市山尚三(プログラミング・ディレクター)は、「今泉監督の『窓辺にて』は、稲垣吾郎さん主演なんですが、内容を言うとネタバレになるので言いませんが、稲垣さんも素晴らしいですし、共演の玉城ティナさんも今までで一番素晴らしい演技をしていると感じて、若い俳優たちも含めて素晴らしい演技のアンサンブルを見られる作品で非常に感銘を受けましたので、コンペティション部門に選出させていただきました。」と語った。
■動画レポート
■テキストレポート
市山尚三(プログラミング・ディレクター)
今泉監督はこれまでも東京国際映画祭に作品で参加されていますが、今泉監督にとっての東京国際映画祭とは?
今泉力哉監督
自分が監督として参加する前にも、映画祭で映画を見たりしていましたし、2013年の日本映画スプラッシュ部門で『サッドティー』という作品で呼んでいただいて、その後も毎年のように参加させていただきました。コンペティション部門では『愛がなんだ』という作品で2018年に参加させていただいてぶりになるので、今回選ばれて嬉しいなと思います。
市山尚三(プログラミング・ディレクター)
コンペティション部門で選ばれるというのは他の部門との違いはありましたか?
今泉力哉監督
日本映画スプラッシュ部門は、日本映画の中でグランプリを競うみたいな部門だったんですけど、コンペティション部門は、海外の映画祭に参加したりするときと一緒で、やっぱりいろんな国のいろんな地域の作品と同じ部門で並んで見ていただけますし、審査員の方たちもいろんな国から来られた方が見てくださるので、作品にとってとてもプラスになるなと思います。
市山尚三(プログラミング・ディレクター)
『窓辺にて』の企画の経緯は?
今泉力哉監督
一番最初は、稲垣吾郎さんと何か撮りませんかという話があって、それで何を撮ろうと思ったときに、ずっと自分は恋愛映画を撮り続けてるんですけど、その恋愛映画って言ってもいろんな種類があって、自分がやっていることは結構日常に近く、実際、そのへんにありそうな恋愛ものをやろうとしています。
今作は、主人公の奥さんが結婚している方なんですが、奥さんが浮気しているのを知ったときに、感情的にその怒りとか悲しみとかが、あまり起きなかったってことは愛情があるんだろうかっていうことに悩む人みたいなのを描いています。
先ほど(フェスティバルアンバサダーの)橋本愛さんがLGBTQとか、(マジョリティから)こぼれること、中には名前が付いてなかったりするものもあって、そういう人がいっぱいいるのに、その人たちについて撮り逃してしまっているとお話されていました。僕もずっと恋愛映画を撮ってて、やっぱりそのまだ名前が付いてなかったり、こういうことで困ってたり、こういうことで悩んでいる人っているのに、何かそこについて作られる作品とかあまり無いなみたいなことを、あんまりシリアスになりすぎずに、笑いも含めて描くことをずっとやってきたきた気はしていて、今回の作品もまさにそういうことをやろうとした作品です。
喜怒哀楽をあまり出せないことが、感情がないとか、愛情がないと捉えられることはあるけど、意外と出せない人っていっぱいいると思っていて、そこは自分自身のことも投影させて、作った作品となります。
映画『窓辺にて』本ビジュアル&予告編解禁
今回解禁となった本ビジュアルには、稲垣吾郎扮する主人公のフリーライター・市川が、高校生作家・久保留亜と喫茶店でコップに反射した光に手をかざす姿と、市川の妻で売れっ子作家と浮気している編集者・紗衣の物憂げな表情が切り取られている。そして「たとえ、パーフェクトじゃなくても。」というキャッチコピーが添えられている。それが夫婦の関係性を指すのか、それとも人生そのものを示しているのか。
これまでも、一筋縄ではいかない恋愛や人生のうまくいかなさをどこかユーモアを交えて肯定的に描いてきた今泉の作品をうまく表現したコピーと温度のあるスチールが合わさった、特別なデザインとなっている。
あわせてスカートが手掛る温かな主題歌を乗せた予告編も解禁となった。
予告編
第35回東京国際映画祭
開催期間:2022年10月24日(月)~11月2日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:www.tiff-jp.net
映画『窓辺にて』
INTRODUCTION
次々と話題作を連発する稀代の映画監督・今泉力哉。今泉監督と言えば、一筋縄ではいかない繊細な恋人たちの心の機微を描き、その恋愛観が熱烈に支持されてきた。今泉監督が描くオリジナルラブストーリーには定評があり、あらゆる映画ファンが心待ちにしている。17作目となる完全オリジナル作品『窓辺にて』は、今泉組に初参加となる、数々の映画やドラマなどで唯一無二の存在感を放ち観客を魅了し続ける稲垣吾郎を迎え、今泉ワールドの特徴でもある<等身大の恋愛模様>に加え、これまで以上に<好きという感情そのもの>について深く掘り下げた、美くてちょっぴり可笑しい大人のラブストーリーとなった。
さらに共演するのは、稲垣演じる妻についてある悩みを持つ主人公・フリーライター市川茂巳に加え、市川の妻・紗衣役に儚げな存在感で観客を魅了し続け、『母性』の公開が控える中村ゆり、高校生作家・久保留亜役に『ホリックxxxHOLiC』など多数の話題作に引っ張りだこの玉城ティナ、市川の友人でプロスポーツ選手の有坂正嗣役に今泉監督作の常連で『街の上で』で主演を務めた若葉竜也、有坂の妻・ゆきの役に幅広い役柄でキャラクターを演じ分ける『架空OL日記』の志田未来、そして紗衣と浮気している売れっ子小説家・荒川円役に『裸足で鳴らしてみせろ』の今後が期待される若手俳優の佐々木詩音が抜擢された。個性的な俳優陣が今泉組に集結し、濃密でほろ苦い愛についての群像劇を繰り広げます。
さらに、映画『空のレストラン』の主題歌などを担当したスカートが主題歌を手掛け、ノスタルジー溢れる温かなポップスが鑑賞後感を特別なものにしてくれます。劇伴は、抒情派エレクトロ・ダブ・バンドの、あらかじめ決められた恋人たちへの池永正二が担当します。
【あらすじ】
フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、編集者である妻・紗衣が担当している売れっ子小説家と浮気しているのを知っている。しかし、それを妻には言えずにいた。また、浮気を知った時に自分の中に芽生えたある感情についても悩んでいた。
ある日、とある文学賞の授賞式で出会った女子高生作家・久保留亜の受賞作「ラ・フランス」の内容に惹かれた市川は、久保にその小説にはモデルがいるのかと尋ねる。いるのであれば会わせてほしい、と・・・。
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、佐々木詩音
音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)
主題歌:スカート「窓辺にて」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
監督・脚本:今泉力哉
配給:東京テアトル
撮影:2021年7月、都内近郊にて撮影
©2022「窓辺にて」製作委員会
公式サイト:https://madobenite.com/
2022年11月4日(金)全国ロードショー
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