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マイスモールランド

「少しずつ無関心を関心に変えていきたい」映画初出演&主演:嵐莉菜×奥平大兼 映画『マイスモールランド』完成披露イベント

2022年4月21日、スペースFS汐留(東京)にて、映画『マイスモールランド』完成披露イベントが行われ、映画初出演&主演となる嵐莉菜(17)、共演の奥平大兼(18)、川和田恵真監督が登壇した。(動画&フォト)

本作は、是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」の気鋭の新人監督・川和田恵真監督の商業映画デビュー作。
在日クルド人の少女が、在留資格を失ったことをきっかけに“自分の居場所”に葛藤し、成長していく姿を描く。5カ国のマルチルーツを持ち、viviの専属モデルとしても活躍する主演の嵐莉菜が、在日クルド人の高校生・サーリャを演じ、サーリャが心を開く少年・聡太を注目の若手俳優・奥平大兼が演じている。
日本の難民受け入れのハードルがとても高いことの現状を知るきっかけとなる作品。

舞台挨拶レポート

■トークノーカット動画

YouTube player

■フォトレポート

マイスモールランド

奥平大兼/嵐莉菜/川和田恵真監督

-5年前から企画が動き出したという本作制作のきっかけは?

川和田恵真監督
五年ほど前にある一枚の写真を見たことで、クルドのことに興味を持つようになりました。
その写真は、当時イスラム国と戦っていたある女性兵士の写真で、自分の暮らす場所や家族を守る為に自らが大きな銃を持って戦っている姿を見てすごく衝撃を受けました。
そこからクルドのことを調べ始めて、そうしたら日本にも、1500~2000人の方が暮らしているということを知りました。
逃れてきた日本でも苦しい状況にあって、難民申請が通らず生活に困っている現状が起きていて、その状況をもっと知りたい、もっと伝えたいと思って映画として企画しました。

マイスモールランド

川和田恵真監督

▼映画初出演&初主演

-嵐さんは本作にはオーディションでで選ばれたと伺っておりますが、本作が映画初出演で初主演ということになりますよね。プレッシャーなどを感じられたことはありましたか?

嵐莉菜(サーリャ 役)
現場では、多くの先輩の方々の前で、私が足を引っ張ってしまうんじゃないかという不安は常にあったんですけど、私が出来るサーリャを精一杯出し切ろうっていう気持ちで挑みました。

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嵐莉菜

-役に選ばれた時はいかがでしたか?

嵐莉菜
この役を絶対演じたいという気持ちがあったので、その願いがかなってとても嬉しかったです。

-奥平さんも同じくオーディションで選ばれました。たくさんのドラマ出演を果たしていらっしゃいますが、映画作品としてはデビュー作となった『MOTHER マザー』(2020)以来の撮影現場はいかがでしたか?

奥平大兼(聡太 役)
僕にとってデビュー作の『MOTHER マザー』を撮影したのが約3年前で、本作の撮影が2年前。自分は映画で始まったという意識が強くあったので、2年ぶりに映画に戻ってきたという感じはありました。クランクインの前はとても楽しみでしたし、なんならオーディションでさえとても楽しかったです。結果、合格となって、とても嬉しかったです。

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奥平大兼

-監督、このお2人のキャスティングの理由は?

川和田恵真監督
まず莉菜さんは、華やかな女の子のイメージをすごく持っていましたが、実際にお会いしてお話をしていく中で、デリケートな質問ですが、「自分のことを何人だと思いすか?」と尋ねたら、すごく複雑な心境を話してくれて、この主人公が抱えているものに繋がっていくものを感じました。
その後お芝居を見させてもらって、最初から彼女は本当に堂々としていて、全然違った表情を見せてくれたので、私は彼女とであればこの作品を一緒にやっていけるなと、オーディションの段階で確信を持ちました。

川和田恵真監督
奥平くんは、オーディションの時はまだ幼い雰囲気が残っていて、まだ青年になりきらない青年という感じがいいなと思いました。お芝居を見せてもらって、サーリャの複雑な状況を受け入れてくれる少年の役にピッタリで、それは、奥平くんの持っている素朴さやフラットさがそれを感じさせていると思いました。

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▼俳優先輩として嵐莉菜は?

-『MOTHER マザー』で俳優デビューして、俳優として少し先輩の奥平さんから見て、嵐さんとの共演はいかがでしたか?

奥平大兼
自分の(デビューした)時のことを思い出すと、嵐さんはとても現場で明るい子だでした。初めての映画出演なので、内心は不安や緊張もあったかもしれませんが、それを周りに見せずに堂々とお芝居できてるのがすごいなと思いました。
僕が初めて映画の現場に行った時はできなかったことです。
また、年下の子との共演は初めてだったので、なんて話しかけたらいいか分からない中、嵐さんから話しかけてくれたのでそういうところもしっかりしているなと思いました。

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嵐莉菜
仲を深めるために趣味を聞き出したりとかしましたが、服なんかの趣味が合ったところもあって、これなら仲良くなれると思って話しかけました。

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-嵐さんから見て、奥平さんとの共演はいかがでしたか?

嵐莉菜
本当に心強かったです。業界用語でも分からないことだらけでしたが、気軽に聞ける存在でしたし、最後まで撮影できたのも奥平さんのお陰もあったので、本当にありがたい存在でした。

マイスモールランド

-監督から見て現場での嵐さんはいかがでしたか?

川和田恵真監督
嵐さんは、ほとんどのシーンに出ていて、本当に大変だったと思いますが、初めてなのにそれを感じさせない天津爛漫な姿でずっと堂々とカメラの前に立ってくれました。
シリアスなシーンも多かったですから、精神的に入り込めば入り込むほどきっと辛い時もあったと思うんですけど、自分の感じたことをまっすぐに伝えてくれましたし、私も自分の思いを伝えながら二人三脚で“サーリャ”をを作り上げていきました。

▼自分の演技が人の感情を動かす体験

-監督は今作が商業作品デビューということになりますし、嵐さんも初出演、そして、本作は第72回ベルリン国際映画祭にて、アムネスティ国際映画賞からスペシャル・メンション(特別表彰)を授与されるなど初めてづくしです。そこで皆さんに伺いますが、これまでで印象に残っている初体験について教えてください。

嵐莉菜
クライマックスで私が涙するシーンがあるんですけど、カットがかかって監督の所へ行ったら、監督が号泣してくださっていて。
自分の演技を人が見てこうやってこう感動してくださったり、感情をを動かすことができたことが本当に嬉しかったんです。ここまでやってきて良かったなって思いましたし、今後も努力し続けようっていう思いになれました。

マイスモールランド

川和田恵真監督
泣きながらお互いハグし合うっていう、私も自分の人生で一生忘れられない経験、初体験でした。
この日のために作ってきたと、ある種の到達を感じました。

奥平大兼
僕にとって初めての舞台挨拶が、前作の『MOTHER マザー』で、この場所(FS汐留)だったんです。なので、今日ここに着いてからずっと初めての舞台挨拶の時を思い出してとても懐かしく感じています。
そしてなぜだかわからないんですけど、初めての時より今日の方が緊張しています(笑)

マイスモールランド

▼2人に合わせてキャラクター設定とセリフを変えた

-嵐さんと奥平さんに決まってから、脚本を変えられたと伺いました。

川和田恵真監督
サーリャのキャラクター性を莉菜さん本人が持っているものに寄せていたり、莉菜さんから出てきた言葉にインスピレーションを受けたセリフもあります。
奥平くんについては、奥平くんのものごとを見るフラットさから思いついたセリフもありますし、聡太の趣味も奥平くんの趣味だったりします。

-本作のワークショップでお話しになったことも作品に反映されてるということも伺いました。

嵐莉菜
はい。一つ例を言うと、何かの流れでワールドカップの話になった時に、これはオリンピックもそうなんですけど、私は日本を応援しているつもりなのに、友だちから「どこの国を応援するの?」聞かれることがあって、「私って日本を応援しちゃダメなのかな?」と考えたりした経験を話したんです。そうしたらそういう部分を作品の中にも使ってくださったりしたので、自分の感情も乗せながら演技することができたなと思っています。

マイスモールランド

-ミックスルーツであると出会ったことのあることが作品にけっこう反映されていますよね。

川和田恵真監督
はい。莉菜さんもそうですし、私もそうですし、オーディションで出会ったいろんなミックスの方だったり、もちろんクルドの方々と話している中で聞いた話からさらに想像をして作っています。

-奥平さんのこともキャラクターに反映されているというお話が今ありましたね。

奥平大兼
はい。僕の考え方や趣味を台本に反映していただいて、あんまりこういう表現は好きじゃないんですけど、お芝居は言ってしまえばウソなんですが、でもウソじゃなくなるというか、本当の自分として演じることができました。そうさせてくれたのは監督ですし、とてもありがたかったです。

マイスモールランド

▼最後にメッセージ

嵐莉菜
この作品は、私が初めてながらたくさんの方々に支えてくださって、たくさんの方々と作り上げた、私の一生の宝物の作品です。
ひとりでも多くの方々に観てほしい気持ちでいっぱいなので、是非ご覧いただいて、何か感じるものがあったらいいなと思っています。

マイスモールランド

奥平大兼
この映画を通して僕が初めて知った社会問題や勉強になったことがとても多く、まずは知ることがとても大事だなと思いました。
その先どのように行動するかはまた難しい話しになりますが、知ることが大切なので、だからこそ多くの方に観ていただきたい作品です。
恋愛要素もありますので、そういうところも楽しんでください。

マイスモールランド

川和田恵真監督
この映画で描いていることは、私たちのすぐ近くで起きていることです。
本当に知らないことばかりだと思うんですけど、今、奥平君が言ってくれたみたいに、知っていくことが積み重なっていくことで、少しずつ社会が変わっていくと信じてこの映画を作りました。少しずつ無関心を関心に変えていきたいなと思っています。

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■フォトギャラリー

[写真:金田一元/動画・記事:桜小路順]

映画『マイスモールランド』

INTRODUCTION
ここに居たいと願うことは“罪”ですかー?
日本に住む、難民申請中のクルド人の家族に告げられた過酷な現実。
在留資格を失い、普通の高校生としての日常が奪われてしまった17歳の主人公サーリャが、理不尽な社会と向き合いながら、自分の居場所を探し、成長していく物語。『万引き家族』×『ドライブ・マイ・カー』スタッフが贈る国境を越え、胸に響く感動作。
2022 年ベルリン国際映画祭のアムネスティ国際映画賞・特別表彰。

出演:嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴、アラシ・カーフィザデー リリ・カーフィザデー リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズ ほか
監督・脚本:川和田恵真
主題歌:ROTH BART BARON 「N e w M o r n i n g」
企画:分福
制作プロダクション:AOI Pro.
共同制作:NHK FILM-IN-EVOLUTION(日仏共同制作)
助成:(文化庁ロゴ)文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:「マイスモールランド」製作委員会
配給:バンダイナムコアーツ
©2022「マイスモールランド」製作委員会
公式サイト:mysmallland.jp
公式Twitter:@mysmallland

5月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

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