フランス映画のヴァカンス映画を日本で撮るなら。映画『クレマチスの窓辺』公開初日舞台挨拶
2022年4月8日、ヒューマントラスト渋谷にて、映画『クレマチスの窓辺』公開初日舞台挨拶が行われ、主演の瀬戸かほ、里内伽奈、小山梨奈、ミネオショウ、永岡俊幸監督が登壇。3年前に撮影され、コロナ禍の影響で公開が延期され、ようやく公開初日を迎えた喜びや、監督が撮りたかったという“ヴァカンス映画”と位置づけられた本作の撮影エピソードが明かされた。
舞台挨拶レポート
瀬戸かほ(東京から1週間ヴァカンスにやってくる主人公・西野絵里 役)
今から作品が届くんだなという実感が湧いてきました。
里内伽奈(絵里の大学生のいとこ・みずき 役)
撮影が3年前だったので、こうやってスクリーンでの上映を迎えられて本当に嬉しいです。
小山梨奈(絵里のいとこで駿介の婚約者・結梨 役)
作品では私はすごく髪が長いので、誰って感じかもしれないんですけれど、上映を楽しんでいただけたら幸いです。
ミネオショウ(靴職人 伏見 役)
先日『THE BATMAN』を見た劇場で上映で本当に嬉しいです。
■以前からヴァカンス映画を撮りたかった
永岡俊幸(監督・脚本)
10年以上前に、ロメールやリヴェットなどフランス映画のヴァカンス映画の特集上映があって、それにとても影響を受けた若者でした。ちょうど今日からここ、ヒューマントラストシネマ渋谷でジャック・リヴェットの特集上映もありますけれど、そういった70年代、80年代のフランス映画に影響を受けました。日本でヴァカンス映画を作るんだったらどう撮ればいいのかを考えながら作りました。
-脚本執筆時に島根に行った際に監督ご自身が経験したことが映画になったと伺っています。
永岡俊幸(監督・脚本)
松江に3~4日くらいシナハン(シナリオハンティング)で滞在して、日中は歩き回って、夜は飲み屋で飲み歩いて、ロケハンを兼ねて情報を集めていました。
劇中に飲み屋のシーンが出てくるんですけれど、(松江では)ふらっと入った飲み屋でもすぐ横のつながりができて、みんなと仲良くなれるんです。次の日偶然ばったり道端で会ったりするということがあったので、そういう要素を入れました。
■ご当地映画にはしたくない
-島根オールロケながら、ご当地映画にはしたくなかったとか?
永岡俊幸(監督・脚本)
僕自身島根出身なんですけど、島根を押し出したものをあまり観る気になれなくて(笑)
出雲大社や松江城から離れた、素のようなものを撮りたかったです。そちらの方がより良く見えるんじゃないかと思いました。(劇中では)地名を出さず、どこかわからないけれどいいなと思える場所にしました。
■全編を通してアドリブとセリフが入り混じっている作品
-ロケ地の島根で印象に残っていることは?
瀬戸かほ
おばあちゃんの家が印象に残っています。初めておばあちゃんの家(のロケセット)にお邪魔した時に、初めて行ったのに親戚の家に来たような安心感があり、リラックスして撮影ができました。
-本作は本作はアドリブが多い現場だったと伺っています。
瀬戸かほ
現場では、監督は誰よりも脚本を持っていなくて、監督が一番脚本に縛られていませんでした。
サトウヒロキさん演じるロードバイクの小田さんとのやり取りの中の一言(「家に来ますか?」というアドリブ)が、絵里の人物像を形作ったなと思っています。
それ以外にも、全編を通してアドリブとセリフが入り混じっている作品です。
里内伽奈
シーンのカットがかからないんです。喋り続けているのがそのまま使われていて、「おー使ったんだ」と私も観てびっくりでした。絵里とのシーンの後半ほぼアドリブに行っています。自然といとこ同士の楽しい会話ができたかなと思っています。
-里内さんが思い出に残っているロケ地は?
里内伽奈
海のシーンがあるんですけど、ああいう(荒れた)海を見たことがなかったので、絵里と一緒に立つと私も感じるものがありました。
そのシーンも天候により、セリフが全部変わりました。まさかの大荒れの海でしたけど、それもそれで自然を感じました。
■それぞれの役作り
-小山さん演じる“結梨”はネタバレになるのであまり言えませんが、演じる上で心がけたことは?
小山梨奈
監督が、私が今までやってこなかった役をあえて書いてくださいました。ネタバレがない範囲でいうと、女性から嫌われちゃう女の人なのかなと思うけれど、この街のコミュニティで生きていくには不自由ない、嫌われすぎもしない絶妙なバランスを持った、ちょっとした違和感があればいいなと思いました。
-絵里(瀬戸かほ)と結梨(小山梨奈)は、最後にクレマチスの咲く絵里の亡き祖母の庭で女子トークをしますが瀬戸さんと小山は普段から仲良しだそうで。
小山梨奈
瀬戸さん(が相手役)というのが恥ずかしいくらい普段から大親友なんですけれど、普段のワチャワチャ感が出たらまずいなと思いました。瀬戸さんが絵里としていてくださったので、本当にそこにいるだけで2人で会話を楽しんでいるっていう感じでしたよね。
瀬戸かほ
ねっ!
-ミネオさんが演じた変わりゆく街の三代目の靴職人・伏見の役作りについて教えてください。
ミネオショウ
靴職人というのは初めての役だったので、靴職人ってどんな人がいるんだろうと思って調べたら、貴乃花の息子さんの花田優一さんが出てきて(笑)
そのイメージでやるかと思ったけれど、そういうイメージが湧かなくて。亡くなった祖父が農家で、父とかが休日は手伝ってやっているのを知っているので、撮影前に1回帰って手伝ってみたんですけれど、しんどいと思いました。
代々続けるというのは結構ストレスもかかるだろうし、本当にやりたくないとできないものなんだろうなとイメージしました。
-絵里を誘って飲みに行くシーンについては?
ミネオショウ
僕が女の子を誘う時の意識で行きました(笑)
(3年前の撮影なので、)覚えていなんですけれど、多分好きな女性を誘うときの雰囲気を多分やったんじゃないかなと思います。
■最後にメッセージ
永岡俊幸(監督・脚本)
アドリブが多かったというお話を皆さんされていたんですけれど、僕は台本の代わりにカチンコを持っていたんです。
それは、強制的に自分をカメラ横に行かせるためで。生で見ないとわからないこともあったので、台本を持たず、自分の目と耳と皆さんのお芝居を信じて撮影しました。
映画『クレマチスの窓辺』
都会の喧騒から遠く離れて、水辺の街で1週間のヴァカンス――
海に行き、靴を買い、恋をする?
水辺の街で過ごす爽やかで、ちょっと不思議な、新しいヴァカンス映画
INTRODUCTION
喫茶店で、海辺や湖畔で、家の庭でだらだらとおしゃべり。街中で知り合いにばったり会っちゃってまたおしゃべり。少し長い休暇を田舎の古民家でゆったり過ごす。もしかしたらちょっとした事件があるかも――
風光明媚な島根県オールロケで日本発のヴァカンス映画を監督したのは、本作が劇場デビュー作となる永岡俊幸。主演はモデルとして活躍し、「愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景 vol.1」などで女優としてもいま注目を集めている瀬戸かほ。
そして、街で出会う人々を個性豊かな俳優陣が演じる。1970年代の日活映画で活躍した伝説の女優・小川節子の約45年ぶりの復帰作となる。主題歌「まどろみ」は、島根県出身のシンガーソングライター・山根万理奈による書下ろし曲。
出演:瀬戸かほ 里内伽奈 福場俊策 小山梨奈 ミネオショウ 星能豊 サトウヒロキ 牛丸亮 宇乃うめの しじみ 西條裕美 小川節子
監督・編集:永岡俊幸
脚本:永岡俊幸、木島悠翔
主題歌:山根万理奈「まどろみ」
劇中音楽:ようへい、伴正人、sing on the pole
制作:Route9、focalnaut co.,ltd
配給・宣伝:アルミ―ド
協力:島根県観光連盟、松江フィルムコミッション協議会、松江観光協会
後援:ダブルクラウン、TROMPETTE
©Route 9
公式サイト:https://clematis.space
公式Twitter:https://twitter.com/clematis_madobe
予告編
ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。