偽りのない happy end

【インタビュー&撮り下ろしフォト】仲万美「ダンスも笑いも無い初めての経験のお芝居」

映画『偽りのないhappy end』(12/17公開)に、鳴海唯と共にW主演を務めた仲万美。マドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに約1年半同行するなどダンサーとしてのキャリアに加えて、昨今は俳優としても活躍中。本作で初めてダンスとは無関係の役を演じた思いを聞いた。

映画『偽りのないhappy end』は、園監督に師事してきた松尾大輔が、満を持して、長編映画監督デビュー。
田舎で一人で暮らしていた妹ユウ(演:河合優実)が、東京で自分と一緒に住み始めた途端に行方不明になってしまったエイミ(演:鳴海唯)と、同じく妹が行方不明のヒヨリ(演:仲万美)が、共に犯人を捜すミステリーをベースに、姉二人の心の揺れを丁寧に描く。

仲万美インタビュー&撮り下ろしフォト

■ダンスも笑いも無い初めての経験のお芝居

偽りのない happy end

仲万美

-まず最初にこの作品の撮影時期を教えてください。

仲万美
2年前の2019年10月でした。

-ご出演のきっかけは?

仲万美
当時のマネージャーさんにこういう映画がありますと台本渡されて、紹介されたのがきっかけです。
で、台本を読んでこれは是非やりたいと言いました。

-やりたいと思われた決め手はなんでしょうか?

仲万美
今まではダンスありきのお芝居が多かったんですが、この作品はダンスも笑いも無しで、今までやったことがない初めての経験のお芝居だなと思ったことです。

-以前インタビューさせていただいた時も、「常に新しいものに挑戦したい」とおっしゃってましたが、それがひとつ叶ったわけですね。

仲万美
そうです。

偽りのない happy end

■仲万美が強そうなのは見た目だけです。

-万美さんが演じられたヒヨリとはどういう女性だと解釈して演じられましたか?

仲万美
ヒヨリちゃんは、もともとはファッション関係の仕事をしていて、芯が強くて自分に自信も持っている女性。
だから、ミヅキがいなくなったことで、マスコミがホテルに押しかけてきても、大勢のマスコミに対して啖呵を切ることもできる。

偽りのない happy end

仲万美(場面写真) © 2020 daisuke matsuo

-もし万美さんがそういったマスコミに取り囲まれる状況になったらいかがですか?立ち向かいますか?

仲万美
僕は怖いです!強そうなのは見た目だけです(笑)
ヒヨリみたいなことはとてもできなくて、「ごめんなさい…」ってシュンとしちゃうと思います。

-ヒヨリと、行方不明になった妹のミヅキとはどういう関係だったと思いますか?

仲万美
お互い大事なんだろうけど、2人の間にすごく距離がある姉妹なんだろうなってもどかしくなりました。
お姉ちゃんはもっと普段から妹とコミュニケーションを取るようにしていれば、違った結果になったのかもれません。

偽りのない happy end

メドウズ舞良(ミヅキ役)(場面写真) © 2020 daisuke matsuo

偽りのない happy end

仲万美(場面写真)© 2020 daisuke matsuo

-ヒヨリを演じられるにあたって、取り組まれたことは?

仲万美
何をやったら役に入れるかなってすごく考えたんです。僕の性格とはまったく真逆だからです。
万美はよくしゃべる子で、明るくて、あっけらかんとして面白いことが大好きな子と自分では思っていますが、でも、ヒヨリはぜんぜんそんなことはなくて、終始怒っているか、怒っているかと思えば泣き崩れたり。
なので、自分の生活と照らし合わせるじゃないですけど、自分にも2つ上のお姉ちゃんがいるので、お姉ちゃんとの関係を深めたりとか、あとは、ダウナー系の音楽を聴くことをして、役に入るようにしていました。

-松尾大輔監督からの演出はありましたか?

仲万美
特になかったです。もちろん、セリフのニュアンスの指示はあったんですけど、「ヒヨリはこうだ」というのはなかったので、何も言わないってことは、僕のことを信じてくれているのかなと思って演じてました。

-なるほど。万美さんが感じるままのヒヨリを演じられたということですね。

仲万美
はい。

■台風で撮影中止に。

-松尾監督は、本作が初長編作品だということですが、その松尾組に参加されていかがでしたか?

仲万美
すごく光栄なことですね。松尾さんが助監督をされている園子温監督作品も拝見してましたし、そこからお声がかかるとは思ってなかったので、これは勝負だなと思いました。
実際に参加してみて、「これが映画か!」という思いも持ちました。

偽りのない happy end

-それは具体的には?

仲万美
今まではダンスありきで、ダンスで魅せる、ダンスでお芝居をすることが多くて、今回、それが無い、ザ・芝居という独特の緊張感が漂う現場だなと感じたからです。一発撮りしかできないシーンでは特に、これまで感じたことがないピリピリとした空気感でした。

偽りのない happy end

-なるほど、では松尾監督は厳しいところは厳しいという方でしたか?

仲万美
はい、そうです。

-そういった撮影現場で印象に残っているエピソードがあればご紹介ください。

仲万美
10月に2週間ほど、泊まり込みで撮影をすることになっていたんですが、その時に台風が来て、琵琶湖の近くだったので、危ないってことで撮影中止になって、みんな東京に帰ったんです。
その中止が決まった時、東京に帰るスタッフやキャストを「またすぐ会いましょう!」とお見送りされる松尾監督がとても悲しいお顔をされていたので、強く印象に残っています。それほど「撮りたい!」という松尾監督の強い気持ちが伝わってきたからです。

-なるほど。最近はコロナ禍で撮影中断という話は聞きますが、2019年当時はまだコロナ禍が無い中、まさかの台風で撮影中止となったんですね。

仲万美
そうなんです。

-共演シーンが一番多かった鳴海唯さんとの思い出やエピソードがあれば教えてください。

仲万美
唯ちゃんとは撮影現場に前乗りしたので、2人で一緒に御飯を食べに行ったんです。撮影前に2人でいろいろお話ができました。僕と同じように唯ちゃんも普段から明るい性格で、2人とも初めての役柄だったので、「こういう役は難しいよね」ってお互い頭を抱えながら、どうやってお芝居していくかとそこでセッションできました。

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仲万美/鳴海唯(場面写真) © 2020 daisuke matsuo

■万美姉妹

-先ほど、お姉さんがいらっしゃるとお話ありましたが、万美さん姉妹のご関係はいかがですか?

仲万美
僕たちはすごく仲が良いです。子どもの頃から僕はお姉ちゃんのことが大好きなので、ずっと「お姉ちゃん、お姉ちゃん」ってくっついて歩いていて、お姉ちゃんはそれを鬱陶しいと思いながらも「タルト食べに行く?」って誘ってくれたり。、2人でプリクラ撮ったり。2歳差だから、自分が中学1年の時はお姉ちゃんは3年生で同じ学校にいたので、休み時間にお姉ちゃんの教室に行ったりもしてました。
今でもウチに来てゲームしたりしてます。今はみんな東京に住んでいるので、お正月は家族で集まってます。
でもこれだけ仲が良いのは普通じゃないのかも?と思うこともあります。みんなから「姉妹でもそこまで仲良くないよ」「おかしいよ」って言われるんで。

偽りのない happy end

■強いヒール役を演じてみたい

-この2年近く続いているコロナ禍で、万美さん初主演舞台『DustBunnySHOW』も春に予定されていた公演が中止になりましたね。

仲万美
はい。中止になった時は1ヶ月くらい立ち直れませんでした。知り合いの役者さんやアーティストさんがコロナ禍で公演が中止になるのは、目の当たりにしてましたが、自分にも同じことが起きると、ショックで泣き崩れました。泣いても泣いても止まらないんです。それぐらい、自分の初主演舞台に賭けていたんです。
中止が決まってからの1ヶ月はあまりのショックで実家(東京)に帰って、お母さんにも慰めてもらいながら過ごしました。

-そういう時に頼れる家族がいるのはいいですね。

仲万美
ほんとにありがたいです。
その後、11月に公演できることが決まって、今一度自分の気持を作っていくようにしました。

偽りのない happy end

-2年前のインタビューでは、「自分が見たことがない世界を見たいというのが目標です。」とおっしゃってましたが、お芝居に限った質問ですが、やってみたい役などありましたら教えてください。

仲万美
やってみたい役はたくさんあります。それこそ狂気的な役もやってみたいですし(笑)、この見た目に合う役をなにかやってみたいんです。
どう見ても強そうじゃないですか?

-たとえば主演された映画『ドリームズ・オン・ファイア』ではそういう雰囲気ありますが、本作のようにナチュラルメイクの万美さんを拝見すると、優しい役も似合っているのでは?とは思いました。

仲万美
ほんとですか?嬉しい!
でも、アクションもやる強いヒール役は是非やってみたいので、殺陣のレッスンも受けたいと思っています。

偽りのない happy end

■最後にメッセージ

-最後に『偽りのない happy end』の見どころ含めたPRメッセージをお願いします。

仲万美
リアルに人がどんどん壊れていく様が垣間見れる作品です。仕事、家族、友だち、恋人、何事においても、知らないことを知らないままでいるのはとても悲しいことだと思うので、もっともっとコミュニケーションを取っていただきたいなと思います。知らないまま終わってしまうというのはやっぱり寂しいですから。
心がちょっと閉鎖的になってるなと思う人は、この作品を見て、自分を見つめ直すきっかけになってくれればと思います。

偽りのない happy end

■撮り下ろしフォトギャラリー

[写真・聞き手:桜小路順]

仲万美(Bambi Naka)プロフィール
1992年6月15日生まれ。熊本県出身。
5歳からダンスをはじめ、20年以上のキャリアを誇る。2015年にはマドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに約1年半同行。『チワワちゃん』(19)で女優デビューを果たし、舞台Rock Opera「R&J」では、ヒロイン・ジュリエット役に抜擢。その他、雑誌・広告・CM・MV に数多く起用されるなど、今後の活躍も期待される。


撮影データ:Nikon Z 6II/NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S/SIGMA 50mm F1.4 DG HSM|Art (A014)/Godox AD300Pro ほか

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映画『偽りのないhappy end』

INTRODUCTION
2011年の『ヒミズ』から10年間、園子温監督のほとんどの作品の助監督を務め、園監督に師事してきた松尾大輔が、満を持して、長編映画監督デビュー。田舎で一人で暮らしていた妹が東京で自分と一緒に住み始めた途端に行方不明になってしまったエイミと、同じく妹が行方不明のヒヨリが、共に犯人を捜すミステリーをベースに、姉二人の心の揺れを丁寧に描く。

主演は、NHK朝の連続テレビ小説 「なつぞら」でドラマデビューし、CMを中心に活躍中の鳴海唯と、マドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに約1年半同行し、舞台Rock Opera「R&J」ではヒロイン役を演じた仲万美。
エイミの妹・ユウ役を、『由宇子の天秤』で注目を集める河合優実がミステリアスに演じる他、エイミが滋賀の湖で出会う少女・アカリ役に「青のSP〜学校内警察・嶋田隆平〜」の田畑志真、エイミの婚約者・タカシ役に『横須賀綺譚』の小林竜樹、風俗店の古株のボーイシンジ役に『SR サイタマノラッパー』シリーズの奥野瑛太、向井刑事役に『AWAKE』の川島潤哉、ヒヨリの妹が家庭教師をやっていた少女・アオイ役に本作が映画デビューとなる三島あよな、ユウの友達・マイ役に、「きれいのくに」の見上愛と、今後の更なる活躍が期待される面々が集結!
アオイの母・ヨシエ役でベテランの馬渕英里何、風俗店の店長役で『ケンとカズ』のカトウシンスケが脇を固める。

大都会・東京と、美しい琵琶湖がある滋賀を舞台に、いなくなって初めて自分は妹のことを何も知らなかったと気づき、必死に真実を暴こうとする姉二人が辿り着く先は…

STORY
中学を卒業してすぐに地元滋賀を離れ、ずっと東京に住むエイミ(鳴海唯)は、母親が亡くなった後も一人で滋賀の田舎で暮らしている妹・ユウ(河合優実)に、「東京で新しい人生を始めない?」と誘う。はじめは拒んでいたユウだがなぜか急に東京に来ることを受け入れ、一緒に暮らし始めるが、引っ越してきて早々、ユウは行方不明に…
そんな折、エイミは同じく妹が行方不明になっているヒヨリ(仲万美)と出会う。エイミに、地元の琵琶湖で若い女性の遺体が見つかったと警察から連絡がくるが、見つかった遺体はユウではなく、なぜかヒヨリの妹だった。再び巡り合ったエイミとヒヨリは、共に犯人を捜すことになるが思わぬ方向へ…

出演:
鳴海唯 仲万美
河合優実  田畑志真 小林竜樹 奥野瑛太 川島潤哉 三島あよな 見上愛
メドウズ舞良 藤井千帆 野村啓介 橋本一郎 谷風作 永井ちひろ 鈴木まりこ
古賀勇希 安田博紀 原知也 宮倉佳也 笹川椛音 白石優愛 土屋直子
馬渕英里何 カトウシンスケ

監督・脚本:松尾大輔
撮影:川野由加里 照明:赤塚洋介 録音:阿部茂
制作担当:興津香織 助監督:小泉宗仁 監督助手:石塚礼/安藤梓 監督補助:廣野博友 特別協力:匠司翔
キャスティング:杉山麻衣 バレエ振付・指導:吉野菜々子
音楽プロデューサー:菊地智敦 音楽:古屋沙樹 編集:和田剛 音響効果:伊藤進一
配給・宣伝:アルミ―ド
2020年/日本/カラー/16:9/5.1CH/97分
© 2020 daisuke matsuo
公式サイト:itsuwarinonai-movie.com
Twitter:https://twitter.com/itsuwarinonai
Facebook:https://www.facebook.com/itsuwarinonai

予告篇

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12月17日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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