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ステファニー・アリアン/早川千絵監督/磯村勇斗(カンヌ国際映画祭)

【現地レポ】倍賞千恵子主演『PLAN 75』カンヌ国際映画祭カメラドール スペシャル・メンション受賞

倍賞千恵子主演最新作『PLAN 75』(6/17公開)が第75回カンヌ国際映画祭にてカメラドール スペシャル・メンション(特別賞)を受賞した。先ほど、行われた授賞式の様子と併せて、早川千絵監督、倍賞千恵子、磯村勇斗、河合優実のコメントが到着した。

なお、日本映画においては、1997年に河瀨直美監督が『萌の朱雀』でカメラドールを日本人監督として初受賞してから、25年ぶりの快挙となり、日本人監督が本賞を受賞するのは初となる。

今回、脚本・監督を務めた長編映画デビュー作『PLAN 75』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品という快挙を成し遂げた早川千絵監督。映画監督・是枝裕和が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』から新たに構築、キャストを一新し、超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自らの生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描い た衝撃作。主人公・ミチを演じるのは9年ぶりの単独主演作となる倍賞千恵子。<プラン75>に携わる側には磯村勇斗、河合優実を配し、他にたかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが顔を揃えた。

現地時間5月20日(金)14時に行われた公式上映には、磯村勇斗とステファニー・アリアン、そして早川千絵監督が登場し、5分以上にわたるスタンディングオベーションを受けた後、感激した観客がそばに駆け寄り、「素晴らしい映画だった」と監督をハグする姿も見られた。

ステファニー・アリアン/早川千絵監督/磯村勇斗(カンヌ国際映画祭)

ステファニー・アリアン/早川千絵監督/磯村勇斗(カンヌ国際映画祭)(C)若山和子

現地メディアや映画評論家等からは「表面上は穏やかに見えるが、不必要と見なされた人々を見捨てる社会に対してしっかりとメッセージを伝え、観る者の心をざわつかせる」、「倍賞千恵子の演技は、間違いなく観る人の琴線に触れるだろう」、「繊細な脚本と、それを見事に体現したすばらしい演技で、日本映画として今年のカンヌ映画祭に立派な足跡を残した」、「強烈な余韻を残すが、何よりも物質主義的な現代において、いかに生死と向き合うべきか、疑問を投げかけてくる」と監督の手腕や役者たちの演技へ絶賛の声が多く寄せられた。

早川千絵監督(カンヌ国際映画祭)

早川千絵監督(カンヌ国際映画祭)(C)若山和子

先ほど、現地時間5月28日(土)に、第75回カンヌ国際映画祭授賞式が開催された。
カメラドール スペシャル・メンション受賞者として名前を呼ばれた早川監督は緊張の面持ちで舞台に上がると、まず「メルシーボークー」とフランス語で挨拶をし、「誰にとっても最初の一本目というのは思入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとっての特別で大切な一本目の映画をカンヌに呼んでいただき、評価してくださって本当にありがとうございます」と感謝の言葉を伝えた。そして、「『PLAN 75』という映画は今を生きる私たちに必要な映画であると言ってくれた方がいました。その言葉が心に深く響いています」と万感の表情で本作への反響を語った。

早川千絵監督/磯村勇斗/ステファニー・アリアン(カンヌ国際映画祭)

早川千絵監督/磯村勇斗/ステファニー・アリアン(カンヌ国際映画祭)(C)若山和子

日本で、受賞の一報を受けた倍賞千恵子からは「この作品で「生きるということ」を優しく、力強く撮影していた日々が、昨日のことのように熱く蘇ってきました。サァーこれからもどんどん映画作ってくださいね。本当におめでとうございます」と祝福のコメントが届いた。

また、公式上映に参加した磯村勇斗は「受賞を聞いて、心が喜びで波打っています。監督に現場で寄り添っていただいた日々が恋しいです」と語り、<プラン75>に携わる瑶子を演じた河合優実は「ひとりひとりの心に何かを届け、それが今回このような形で残ることを、私も大変嬉しく思います。これからも、早川監督のように心を尽くしてものづくりをされている方に光が当たる世界であることを願っています」とコメントを寄せた。

早川千絵監督/磯村勇斗(カンヌ国際映画祭)

早川千絵監督/磯村勇斗(カンヌ国際映画祭)(C)若山和子

尚、日本人監督の作品が「ある視点」部門に出品されるのは、2017年の黒沢清監督『散歩する侵略者』以来5年ぶり。日本人女性監督としては、15年『あん』の河瀬直美監督以来2人目となる。

コメント

●倍賞千恵子(角谷ミチ役)
おめでとうございます。
この作品で「生きるということ」を優しく、力強く撮影していた日々が、昨日のことのように熱く蘇ってきました。
サァーこれからもどんどん映画作ってくださいね。
本当におめでとうございます。

●磯村勇斗(岡部ヒロム役)
早川監督、受賞おめでとうございます!
受賞を聞いて、心が喜びで波打っています。
監督に現場で寄り添っていただいた日々が恋しいです。
改めて『PLAN 75』に参加させて頂けたことを光栄に思います。
早く日本の皆様にも届けたいです。

●河合優実(成宮瑶子役)
早川監督、受賞、本当におめでとうございます。
『PLAN 75』がひとりひとりの心に何かを届け、それが今回このような形で残ることを、私も大変嬉しく思います。
これからも、早川監督のように心を尽くしてものづくりをされている方に光が当たる世界であることを願っています。

●早川千絵監督
全ての映画監督に、最初に撮る1本目の映画があります。
誰にとっても最初の一本というのは思い入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとって、とても特別で大切な1本目の映画を、カンヌに呼んでくださり、評価をしてくださって本当にありがとうございます。
『PLAN 75』という映画は、今を生きる私たちにとって必要な映画だと言ってくださった方がいました。
その言葉が深く心に残っています。
この映画の立ち上げからずっと一緒にこの作品を育ててくれた、プロデューサーの水野詠子さん、ジェイソングレイさん、フランス、フィリピン、日本のチーム、この作品に関わってくれた全ての人に感謝しています。
そして、ミチという主人公に命を吹き込んでくださった倍賞千恵子さんに日本に帰ったら真っ先に報告したいと思います。


●早川千絵監督(授賞式スピーチ全文)
すべての映画監督に最初に撮る一本目の映画があります。誰にとっても最初の一本目というのは思入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとっての特別で大切な一本目の映画をカンヌに呼んでいただき、評価してくださって本当にありがとうございます。『PLAN 75』という映画は今を生きる私たちに必要な映画であると言ってくれた方がいました。その言葉が心に深く響いています。

早川千絵監督(カンヌ国際映画祭)

早川千絵監督(カンヌ国際映画祭)(C)若山和子

映画『PLAN 75』

『楢山節考』(83)のパルム・ドール授賞から40年ーーー
高齢者を「死」に追い込む<プラン75>は現代版「姥捨て山」か!?

INTRODUCTION
脚本・監督は、本作が長編初監督作品ながら、カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門への正式出品という快挙を成し遂げた、早川千絵。「経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く昨今の社会に対する憤りに突き動かされて生まれた映画です。倍賞千恵子さん演じるミチという女性の姿を通して、人が生きることを全肯定する。そんな映画にしたい」と、是枝裕和監督が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を再構築、キャストを一新し、長編映画化した。超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。昨年のカンヌ国際映画祭での受賞を皮切りに、本年度アカデミー賞国際長編映画賞に輝いた濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』に続く快挙となるか、受賞への期待が高まっている。

主人公・ミチを演じるのは倍賞千恵子。倍賞は脚本を読み、「最初は“酷い話”だと思ったのですが、物語の終盤でミチがある選択をする姿が描かれており、そこにものすごく心打たれ、惹かれて…それだけで出演を即決しました」と、ミチを演じる覚悟を決めたと振り返る。<プラン75>に携わる側には磯村勇斗、河合優実を配し、他にたかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが顔を揃えた。

STORY
国は高齢化問題に対処するため、75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する「PLAN75」という制度を施行。
高齢者の間では、自分達が早く死ぬことで国に貢献するべきという風潮がにわかに広がりつつあった。
夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら、角谷ミチ(演:倍賞千恵子)は長年一人で暮らしてきた。市役所の「PLAN75」申請窓口で働いている岡部ヒロム(演:磯村勇斗)や申請者のサポート業務を担当する成宮瑶子(演:河合優実)は、国が作った制度に対して何の疑問も抱かずに、業務に邁進する日々を送っていた。
そんなある日、ミチの職場で高齢のスタッフが勤務中に倒れたことを理由に、ミチは退職を余儀なくされる。職を失い、住む場所さえも失いそうになったミチは「PLAN75」の申請手続きを行うか考え始め――。

出演:倍賞千恵子 磯村勇斗
たかお鷹 河合優実 ステファニー・アリアン 大方斐紗子 串田和美
脚本・監督:早川千絵
企画・制作:ローデッド・フィルムズ
製作幹事・配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
製作:ハピネットファントム・スタジオ/ローデッド・フィルムズ/鈍牛俱楽部/Urban Factory/Fusee
公式サイト:https://happinet-phantom.com/plan75/
公式Twitter:@PLAN75movie #PLAN75

6月17日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開

PLAN 75

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