• HOME
  • News
  • 演劇
  • 【ゲネプロレポート】草彅剛主演舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』「ファシズムはすぐ側に潜んでいる」
アルトゥロ・ウイの興隆

【ゲネプロレポート】草彅剛主演舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』「ファシズムはすぐ側に潜んでいる」

2021年11月13日、KAAT神奈川芸術劇場にて、草彅剛主演舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』の公開ゲネプロが行われた。(ゲネプロ写真&コメントあり)

本舞台は、ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程をシカゴのギャングの世界に置き換えて描いた問題作に、ファンクミュージックを散りばめた、演出家・白井晃の意欲作。
2020年に初演を上演し、好評を博した舞台の再上演となる。主演には、初演に引き続き、ギャング団のボスを草彅剛が演じ、共演には、神保悟志、渡部豪太、松尾諭、小林勝也、榎木孝明、七瀬なつみらが出演。
劇中の音楽は、キング・オブ・ソウルと呼ばれるジェームス・ブラウンの楽曲を中心に構成され、オーサカ=モノレールによる生演奏で届けられる。

ゲネプロレポート

幕が上がると、中央の高台ステージに、ファンクバンド「オーサカ=モノレール」のバンドメンバーが勢揃い。そこに、真っ赤なスーツに身を包んだ草彅剛が登場し、ジェームズ・ブラウンの「Get Up(I Feel Like Being A)Sex Machine」の演奏と歌唱がスタートする。

アルトゥロ・ウイの興隆

本作はナチスドイツとは直接の関係は無いが、1920年代後半から、30年代にかけてのドイツにおけるヒトラーとナチスの台頭を、シカゴのギャングに差し替えて描いている。
ここで言えるのは、“ファシズム”という現象は、私たちの生活のすぐそこに潜んでいるかもしれないということ。なにかのきっかけで人々が熱狂するところに、悪意ある策士が裏で糸を引いているかもしれない。
草彅剛演じる、ギャング団のアルトゥロ・ウイは、八百屋業界の利権に絡むさまざまな団体、企業に言葉巧みに、時には暴力で食い込み、また、さまざまな事件を仕掛けて、人心を惹こうと画策する。

アルトゥロ・ウイの興隆

舞台の構成は、ポイントごとに、オーサカ=モノレールの生演奏と共に、草彅剛の力強いボーカルとダンスが繰り広げられる。時にはステージ前方の下手から上手まで所狭しと草彅は駆け回り、それはまるで草彅のソロ・コンサートを観ている錯覚にも陥いる。(草彅剛が、上手、下手それぞれの客席通路に降り立つシーンもあり。なお、キャストが客席に降りる時はマスクを着用する。)

アルトゥロ・ウイの興隆

さらに、ファシズムの怖さを観客が体感できる一幕も。ウイ(草彅)の演出がかって芝居じみた演説に群衆がだんだんと聞き入っていくシーンがあるが、群衆役の役者も客席に降りてきて、私たち観客と一体化して演説に反応し、そしてステージ上の登壇者達は、一般の観客含めて、ウイの“正しさ”に賛成するよう半ば強制する。
熱狂的なウイの演説、そしてバンド演奏と共にダンス、ボーカルで観客を魅了していくうちに、観客も徐々にウイに心酔する錯覚すら覚えてくる。
そして最後に・・・。

アルトゥロ・ウイの興隆

本舞台のテーマは上述したとおりだが、ジェームズ・ブラウンの楽曲を中心としたファンクの生演奏と草彅剛のボーカル&ダンスステージは、これを観るだけでも大変貴重であり、見どころだ。
また、草彅剛をはじめ、キャストたちの表情がとても豊かで、映像作品では観ることができないさまざまな表情を繰り出す。それこそ全身全霊でお芝居している。もし、客席後方の方は、双眼鏡を持参するとより舞台を楽しめるかもしれない。(本記事のゲネプロ写真は、敢えて決め顔のカットをセレクトしているので、いわゆる“形相”な表情は是非舞台で)

アルトゥロ・ウイの興隆

そして、ところどころナチスドイツ軍を彷彿とさせる細かな演出もあり、たとえばギャング団が手にしているマシンガンは「MP40」。これは、第2次世界大戦中、ドイツ軍が正式採用していたものだ。物語の舞台はシカゴで、ギャング全盛の時代なので、本来ならトンプソン・サブマシンガン(通称:トミーガン)となるべきところだが、わかる人にわかるにくい仕掛けのひとつ。

アルトゥロ・ウイの興隆

そしてもうひとつの大きな見どころは、ライティング(照明)だ。初演時には齋藤茂男が手掛けた照明が読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞しており、本作の世界観をより一層立てている。

アルトゥロ・ウイの興隆

舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』は、11月14日(日)よりKAAT神奈川芸術劇場にて開幕。

■コメント

●白井晃(演出)
初演から2年弱の間に世界は大きく変わりました。
あの時間題にした政治的状況も一見変化したようで、実は益々深刻になっています。
それだけに、この作品の必要性が増しているように思います。リハーサルの中で、草剪さん演じるウイも益々鋭角的に研ぎ澄まされてきています。全神経をこの作品に注ぐ姿は清々しくもあります。
キャスト・スタッフともに更にパワーアップされて、世界を突き抜く作品がお見せできそうです。この瞬間を是非とも目撃ください。

●草彅剛(アルトゥロ・ウイ 役)
シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイはとにかく野心に溢れた人物。
ウイの気持ちを受け止めて演じること、そして歌に踊りに、心身ともに大変な舞台ですが、自分の積み上げてきた全てを出せる集大成となる舞台だと思っています。
今回は横浜・京都・東京と3都市で上演できることも楽しみにしています。
コロナ感染対策も十分行って、ご覧になられた方たちに、舞台からエネルギーを伝えられるよう、2022年まで、カンパニー全員で突っ走ります!!

■ゲネプロフォトギャラリー(全10枚)

[写真・記事:桜小路順]

『アルトゥロ・ウイの興隆』

STORY
シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイは、政治家ドッグズバローと野菜トラストとの不正取引に関する情報をつかんだ。それにつけこみ強請るウイ。それをきっかけに勢力を拡大し、次第に人々が恐れる存在へとのし上がります。
見る見るうちに勢いを増していくウイを、はたして抑えることができるのだろうか・・・?

【作】ベルトルト・ブレヒト
【演出】白井晃
【音楽・演奏】オーサカ=モノレール

【出演】
草彅剛
松尾諭 渡部豪太 中山祐一朗 細見大輔 粟野史浩
関秀人 有川マコト / 深沢敦 七瀬なつみ 春海四方
小川ゲン 古木将也 ワタナベケイスケ チョウヨンホ 林浩太郎
Nami Monroe FUMI suzuyaka
神保悟志 小林勝也 / 榎木孝明

2021年11月14日(日) — 12月 3日(金) KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
2021年12月18日(土) — 12月26日(日) ロームシアター京都 メインホール
2022年 1月 9日(日) — 1月16日(日) 豊洲PIT

【チケット一般発売開始】2021年10月23日(土)10:00〜
公式サイト:https://arturoui-stage.com/
公式Twitter:https://twitter.com/arturoui_2021

YouTube player

 

アルトゥロ・ウイの興隆

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA