光を追いかけて

【俳優・中川翼インタビュー&撮り下ろしフォト】「大人に対しての反抗心を意識して演じた」

幼少から数多くの作品に出演し、今春、JUNONが「ブレイク必至のイケメン」と評する中川翼(15)。主演した映画『光を追いかけて』(10/1公開)について撮影当時の思い出や、俳優としての今後の抱負について話を伺った。

『光を追いかけて』は、CMディレクターとして600本もの作品を手掛けた成田洋一監督によるオリジナル初長編作品で、過疎化の進む秋田の美しい田園を背景に【傷つきやすい思春期の少年少女】と【大人達】の物語。
両親の離婚で父の故郷秋田へと引っ越した、中3の彰(中川翼)。転校先にも馴染めず、憂鬱な日々が続く。ところがある日、彰は空に浮かぶ“緑の光”を目撃。田んぼのミステリーサークルへと辿り着くと、不登校のクラスメート真希(長澤樹)と出会う。共通の秘密を持った2人の仲は近づき、灰色だった日常が輝き始める。
一方で彰たちの中学は、過疎化による閉校の日が迫る。おとなたちも揺れ動く中、謎の“緑の光”は、彰たちに何を伝えようとしているのか?

中川翼 インタビュー&撮り下ろしフォト

■「中川翼そのままで演じた」

-本作のクランクインは、2019年9月、中川翼さんが当時13歳だった時だったと伺ってます。大人になると2年くらいの時間はついこの間って感覚になりますが、今15歳の中川さんの感覚では、かなり昔のことに感じたりしませんか?

中川翼(中島彰 役)
そうですね。感覚的には5年くらい前に撮ったような気がしています(笑)

光を追いかけて

中川翼

-それではまず、本作出演の経緯について教えて下さい。

中川翼
このお話をいただいたとき、最初は監督と面談があって、一本の動画を見せていただきました。その動画にはこんな映画を作りたいという監督の思いが込められていて、その後に企画書をいただきました。

-その動画は本作のイメージビデオのようなものですか?

中川翼
はい。秋田在住で監督の叔父にあたる消防署署員の方が「UFOを見た」という連絡を何本も受けたという実体験をもとに、もし、それを中学生が実際に体験したらどうなるのか、というストーリーでした。僕は昔からUFOを実際に見てみたいと思ったり、テレビ番組でそういった特集がされていると録画してでも見ていたんです。
ミステリーは追求したいタイプなので、この作品に関われるのはすごく嬉しかったです。

-役を演じるにあたって、成田洋一監督とはどういう話をしましたか?

中川翼
“中島彰”に関しては、中川翼そのままで演じてくれと言われました。実際に台本をいただいて読んでみると、人見知りで内気な性格なところなど共通点がけっこうあって、自分らしく演じてほしいって言われたことに納得しました。
作品に関しては、監督が秋田出身で、秋田県をもっと元気づけるためにこの作品に賭けているというのを聞いて、自分も力になりたいと思いました。

-演じられた中島彰という男の子は中川さんと共通点があるということですね。

中川翼
はい。とにかく人見知りが激しくて、内気な子。そこは自分に似ているところですが、唯一違う点は、彰は絵がうまいこと。僕は絵を描いても何を描いたのか人に伝わらなくて(笑)

光を追いかけて

-いちばん共演シーンが多かった、長澤樹さんが演じられた岡本真希という女の子はどういう子だと思いますか?

中川翼
最初の出会いから、最後のシーンまで、本当に不思議な子だなと思いました。真希は何を考えているのかがわからないところがあって。でも、彰とどこか共通する感情を持っているから、2人は惹きあったんだと思います。

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長澤樹(岡本真希 役)©2021「光を追いかけて」製作委員会

■秋田ロケの思い出

-秋田ロケの思い出はなにかありますか?

中川翼
最初に秋田駅に着いた時には田舎なのかなと思っていたんですけど、駅前は賑やかでビックリしました。
でも、駅から1時間かけて行った撮影現場は全然景色が違っていて、見渡す限り360度田んぼだったんです。そんな景色を見たのは初体験だったので、とても感動しました。

光を追いかけて

中川翼 ©2021「光を追いかけて」製作委員会

-秋田出身の柳葉敏郎さん、生駒里奈さんとの撮影の思い出があったら教えてください。

中川翼
柳葉さんは、それまでもずっとテレビや映画で観ていた方なので、その方が目の前にいるっていうのはとても貴重な体験でした。生駒さんもずっとアイドルとして活躍されているのを拝見していたので、その方と一緒の空間でお芝居ができるのは嬉しかったです。

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生駒里奈(奈良美晴 役)©2021「光を追いかけて」製作委員会

-柳葉さんは、今も秋田在住ですし、撮影の合間は秋田弁でしたか?

中川翼
緊張であまり覚えていなくて・・。でも当然ですが、シーンの中で秋田弁のセリフを言うときには、すごくしっくりきていてさすがだなと思いました。

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柳葉敏郎(佐藤秀雄 役)©2021「光を追いかけて」製作委員会

-大きな風車がいくつもそばに並んでいる道(秋田県に実在する道)で、中川さん演じる彰が自転車に乗っているシーンが印象的でした。時折カメラ目線で笑顔を見せて立ち漕ぎするのは、これはどういう演出があったのでしょうか?

中川翼
このシーンはドローンでの撮影だったんですが、成田監督が、「ドローンをUFOだと思って」っておっしゃって。そのUFOの中にクラスメイトの翔太(下川恭平)や真希(長澤樹)らが乗っていると思って、彼らに向かって微笑んでいるという設定でした。

-このシーンは映画を見る人にいろんな解釈を委ねるシーンですよね。

中川翼
そうですね。

■長澤樹の眼力の強さに吸い込まれそうに。

-成田監督は今作が映画初監督だそうですが、成田組の現場はいかがでしたか?

中川翼
スタッフの皆さん全員が、話しやすくて相談もしやすい。本当にに和やかで、大好きな撮影現場でしたし、自分自身を大きく成長させてくれた場所でした。

-映画初出演の岡本真希役の長澤樹さんとの共演について印象に残っていることは?

中川翼
最初に会った時にまず思ったのは、眼力(めぢから)が強い!実際にお芝居に入っても、その眼力と共に不思議な魅力を感じて、それに吸い込まれていくような感じでした。

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中川翼/長澤樹 ©2021「光を追いかけて」製作委員会

-長澤樹さん撮影の合間にお話したことはありますか?

中川翼
同い年だったので、普段の学校生活の話をしました。お互いの期末テストの違いを比べたり。たとえば、僕の学校では美術の筆記のテストがあったんですけど、樹ちゃんの方は無くて、「えっ?無いのいいな」って(笑)

-美術で筆記試験があるんですね。

中川翼
そうなんです。画家の名前とか作品の名前とか、覚えるのが大変で・・(笑)

■“カメレオン高校生”中川翼とは?

-JUNON編集部のコメントで、「実は彼(中川翼)は、“カメレオン高校生”なんです」とありましたが、これは具体的にはどういうことでしょうか?

中川翼
2つの意味があります。
ひとつは、事務所の先輩の菅田将暉さんが、「世にも奇妙な物語‘17春の特別編」で「カメレオン俳優」という題名の物語を演じられていて、それを見た時に、(菅田さんは)何にでも化けられるし、代りがきかない役を演じているので、確かにカメレオン俳優だなと思って、僕もいつかそういう俳優になりたいという意味での“カメレオン”です。
もうひとつは、母や父によく言われるんですけど、街中とか友だちと一緒に歩いている時に、僕がどこにいるかわからないらしくて、それぐらい周りに馴染んで紛れているから、「カメレオンみたいだよね」って。
あまりにも溶け込んでしまうので、体育祭でも、両親は僕を見つけるのに苦労するそうです(笑)

-普段は、オーラを消すのがお上手だということですね。

中川翼
僕はオーラの自覚が無いんですけど(笑)ただ、僕が小学校6年生までは母が撮影現場に同伴してくれていたのですが、撮影している時の姿はオーラというか、俳優としての存在感はあると言ってくれました。でも、普段友だちといる時には「あ、いたんだ?誰かと思った」って言われるくらい、その場の空間にまぎれて馴染んでるそうです(笑)

光を追いかけて

-今、菅田将暉さんのお名前が出ましたが、以前から憧れの俳優さんと中川さんはおっしゃっています。そんな中川さんの俳優としての今後の抱負についてお聞かせください。

中川翼
これまで演じたことのない、コメディ要素があって吹っ切れた役に挑戦してみたいです。

-たとえば?

中川翼
『銀魂』(福田雄一監督)で小栗旬さんが演じた坂田銀時のように、カッコよくも面白くもあるような役に憧れます。

-その映画はSF要素もありますしね。

中川翼
そうですね、そういう役をできたら嬉しいですね。

光を追いかけて

■ON/OFFの切り替えができる。

-今、中川さんがハマっているものがあれば教えてください。

中川翼
最近は家にいる時間が多くて、YouTubeばっかり観てるんですけど、その中でもサッカーのゴールキーパーのスーパープレーを良く観ています。キーパーが飛んでいる瞬間とかがとても美しいんです。

-好きな選手はいますか?

中川翼
オリンピック代表でも出場されていた、谷晃生選手。Jリーグの湘南ベルマーレに所属されている方ですが、そのプレー集をよく見ています。

-ご自身もサッカーはやられますか?

中川翼
中学生までは趣味として友だちとやったりしていたんですが、高校生になってサッカー部に入りました。

光を追いかけて

-俳優業やりながら部活もやるのはなかなか大変では?

中川翼
そうですね。勉強もあるので難しいんですけど、楽しいですね。

-切り替えは上手にできる方ですか?

中川翼
仕事、学校、家と、それぞれのON/OFFの切り替えはわりとできる方かもしれないです。仕事の時と学校の時の自分は、ぜんぜん違うなっていう実感もあります。

-今はお仕事も学校生活もどちらも楽しいという感じですか?

中川翼
そうですね。どちらも充実していて楽しいです。

光を追いかけて

■最後にメッセージ

-最後に本作をこれからご覧になる方へのメッセージをお願いします。

中川翼
撮影当時は中学2年生で、大人に対しての反抗心や、その年齢の時にしか感じられない感情を意識して演じました。
僕もそうでしたが、今、コロナ禍で修学旅行や学校の行事が中止になることも多く、どこに感情をぶつけていいのかわからなかったりします。
この映画を観て、同世代の子には共感してほしいし、大人の人には、今の中学生はこういうことを思っているんだなってことを感じ取ってほしいと思います。

-中川さん自身もコロナ禍による学生生活の制限があったというわけですね。

中川翼
はい。中学3年生になるタイミングで初めての緊急事態宣言が出たので、それ以来ずっとコロナ禍が続いていて、修学旅行や体育祭などの学校行事は全部無くなってしまいました。

-そういう意味では、本作も理由は過疎ですが、学校が閉鎖されようとしている描写がありますので、今のこの現実と近いところはあるかもしれせんね。

中川翼
そうですね。近いところはあると思います。

光を追いかけて

■撮り下ろしフォトギャラリー

[聞き手・写真:桜小路順/スタイリスト:小林美月/ヘアメイク:Emiy/パンツ 参考商品:ノーリーズ]

中川翼プロフィール
2005年12月6日生まれ。神奈川県出身。趣味は読書、料理、ウクレレ、サッカー。好きな俳優は藤原竜也、菅田将暉。4歳の時にモデルとしてデビューし、その後子役として活躍。主な出演TVドラマは「私を離さないで」(16/TBS)、「仰げば尊し」(16/TBS)、「世にも奇妙な物語」(17/フジテレビ)、大河ドラマ「おんな城主直虎」(17/NHK)、連続ドラマW「彼らを見ればわかること」(20/WOWOW)など。映画の出演作は『ヒロイン失格』(15/英勉監督)、『僕だけがいない街』(16/平川雄一郎監督)、『覆面系ノイズ』(17/三木康一郎監督)、『アイネクライネナハトムジーク』(19/今泉力哉監督)、『くらやみ祭の小川さん』(19/浅野晋康監督)、『浅田家!』(20/中野量太監督)など。これらの作品で藤原竜也、三浦春馬、新田真剣佑、尾上松也、妻夫木聡らが演じる主要登場人物の幼少期や少年時代を担ってきた。
2021年は本作の他に、「青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-」(関西テレビ)、「ひきこもり先生」(NHK)、映画『Arc アーク』(石川慶監督)などに出演している。また、雑誌JUNON が「ブレイク必至のイケメン」として取り上げている。

映画『光を追いかけて』

INTRODUCTION
過疎化の進む秋田の美しい田園を背景に【傷つきやすい思春期の少年少女】と【大人達】の物語を描く本作。
美しい少女と出会い成長していく中島彰を演じるのは、映画『僕だけがいない街』、大河ドラマ「おんな城主 直虎」、ドラマ「青のSP(スクールポリス)‐学校内警察・嶋田隆平‐」等で、子役からキャリアを重ね、存在感のある演技で今、ティーン世代で最も注目を浴びる俳優の一人である中川翼。
そんな彰にだけ心を開く不登校のヒロイン・岡本真希に扮するのは映画『破壊の日』、『卵と彩子』や、舞台「INSPIRE 陰陽師」等、演技の幅を広げ続け、日刊スポーツが 2021年の芸能界でブレークしたり、バズる「急上昇」候補として挙げている長澤樹。
更に廃校となる中学校の教師・奈良美晴役に生駒里奈、真希の叔父・佐藤秀雄役に柳葉敏郎と秋田出身の演技派俳優が名を連ねる。
加えて、彰と真希の同級生役に中島セナ、彰の父親役に駿河太郎、中学校の教師役に小野塚勇人等の共演にも注目だ。
また主題歌「心解く」を湯木慧が担当する。
そして、監督と共同脚本を担当するのはCMディレクターとして600本もの作品を手掛けた成田洋一。自身も秋田市で思春期を過ごし「思春期、それは人生の中で一番不安定で、世界が毎日変わって見える時期かもしれません。私自身、恋愛、友情、勉強、親との関係で悩み、トンネルに入り、ようやく光を見つけたと思ったら、また入る、そんな毎日でした。でも、その光は大なり小なり輝いていて、必ず、必ず存在するのです。その繰り返しが人生だし、ほんのわずかな輝きがあるだけで人生はすこぶる楽しいのです。」と当時を振り返りつつ、彰や真希たちに寄り添い、語った。
光を追いかけた先にある人々の運命とは?傷つきやすい思春期の少年少女と大人達の葛藤と再生。「光」に込められた想いが、タイトルに謳われ、劇中で描かれた観る者の心に浸み入る爽やかな感動のヒューマンドラマが誕生した。

STORY
過疎の町に忽然と現れた「緑の光」。
不安が露わになり、渦巻き始める…
彰と真希が導かれたミステリーサークルのように。
両親の離婚で父の故郷秋田へと引っ越した、中3の彰(中川翼)。転校先にも馴染めず、憂鬱な日々が続く。ところがある日、彰は空に浮かぶ“緑の光”を目撃。田んぼのミステリーサークルへと辿り着くと、不登校のクラスメート真希(長澤樹)と出会う。共通の秘密を持った2人の仲は近づき、灰色だった日常が輝き始める。
一方で彰たちの中学は、過疎化による閉校の日が迫る。おとなたちも揺れ動く中、謎の“緑の光”は、彰たちに何を伝えようとしているのか?

出演:中川翼、長澤樹、生駒里奈、中島セナ、駿河太郎、小野塚勇人、下川恭平、木村聖哉、丹野未結、日向丈、柳葉敏郎ほか
監督:成田洋一 脚本:成田洋一 / 作道雄
配給:ラビットハウス
©2021「光を追いかけて」製作委員会
公式サイト:https://hikariwo-oikakete.com/
公式Twitter:@HikariwoEiga
公式Instagram:hikariwoeiga

予告編

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10月1日(金)グランドシネマサンシャイン池袋他全国順次公開

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