【インタビュー】『鳩の撃退法』『うみべの女の子』と出演作が続く俳優・円井わんの“今”
2021年3月に公開された『コントラ』で主演を務めた円井わん。この作品をきっかけに彼女へのキャスティングが増えているという。直近では、藤原竜也主演『鳩の撃退法』、石川瑠華&青木柚W主演『うみべの女の子』にも出演するなど活躍の場を広げている円井わんに、それぞれの作品での取り組みや思い出について話を伺った。
円井わん インタビュー
■『鳩の撃退法』で藤原竜也と共演!
『鳩の撃退法』作品データ:藤原竜也(主演)、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、豊川悦司ら豪華キャストで届けられる謎解きエンターテイメント。2021年8月27日全国公開。
-『鳩の撃退法』でわんさん演じる“けい子”というキャラクターについて教えてください。
円井わん
藤原竜也さん演じる津田伸一がドライバーとして働いているデリヘルクラブのデリヘル嬢です。タカハタ秀太監督からは、「けい子は実家ぐらしでお金は持っていて、生活には何も困ってないけど、ただやりたいからやっている。津田のことは何も思ってないし、社長(岩松了)のことも少し鬱陶しく思ってるくらいで、あまり興味持っていない雰囲気の女性です。」と説明がありました。
-役作りとしては?
円井わん
衣裳合わせの時に監督から「顔を小さくしてくれ」って言われて、最大で8kgぐらい体重を落としました。私、顔が一番痩せにくいタイプなので。
身体全体を痩せさせないと顔が小さくならないので(笑)
-監督の意図はなんだったんでしょうね?
円井わん
今だにわからないですね。
-理由がわからないままの8kg減量は大変でしたね。
円井わん
そうです、大変でした。スタイリストさんとかメイクさんとかに励まされながら(笑)
撮影が、2020年の1月後半からだったんですが、それまでの1ヶ月ぐらいで減量しました。
-今、富山ロケのお話が出ましたが、本作は、立山連峰を背景に、藤原竜也さんと円井わんさんとの2ショットシーンで始まります。これは俳優としては美味しいですね。観客全員が一番集中力持って観てるのが最初のシーンですから。
円井わん
はい、この紫色の髪の毛をした女性って誰?って思う人も多いと思います(笑)
立山連峰はとても綺麗でした。
-共演された藤原竜也さんの印象は?
円井わん
見たままの印象でした。ドシっ構えられていて、余裕がある雰囲気。会話は、仕事の話はあんまりしてなくて、私から聞いたんですが、老後何をしたいですかって話をずっとしてました(笑)
藤原さんは「自転車屋をやるか、南国あたりでアイスクリーム屋さんをしたい」っておっしゃってました。
私は、北海道とかの広大な土地で、猫や羊を飼いつつ、自給自足生活をしたいって話したのを覚えています。
-岩松了さんとの共演シーンもありますが、岩松了さんの印象について教えてください。
円井わん
岩松さんはほんとに気さくな方で、岩松さんから話しかけられることが多かったです。
私が小顔ローラーを持っていたら、岩松さんが「それってほんとに顔が小さくなんの?」って質問されて、「すっきりしますよ」って答えたら、「へぇ、やろうかな」っておっしゃってました(笑)
▼大作映画ならではの撮影現場や待遇に驚き
-わんさんは、独立系の小さな予算の自主制作映画から、『鳩の撃退法』のような豪華キャストの大作映画も出演されています。たとえば、『鳩の撃退法』を例に、こういった大作作品だからこその現場の特徴や、印象について是非教えてください。
円井わん
やっぱり、『鳩の撃退法』のような大作になると、現場の人の数がとても多いですね。そして、出演俳優へのサポートもしっかりしています。
私は、2週間富山にいたんですが、日程をしっかり取ってくれて、撮影スケジュールにも余裕がありました。それに、タカハタ監督は日が暮れる頃には撮影を終わらせるように、労働環境という観点では健全な撮影をされる方でした。
-撮影関係スタッフさんの数も多いと思いますが、これだけ大物俳優さんが揃っていると、俳優さん関係者スタッフの数も多いですよね?
円井わん
多かったです。「スターってこういうことなんだ」って実感しました。
特に印象に残っているのは、藤原竜也さん、豊川悦司さん、リリー・フランキーさんの共演シーン。その時はほんとに人だかりがすごかったです。
-当然、撮影機材の規模も大きいですよね。
円井わん
すごかったですね。中でも特にビックリしたのは、車の中の撮影方法。
私のこれまでの経験では、車の中にカメラがいたり、あるいは、2台の車が並走する形で撮ったり。
でも、本作では、2台の車がガッチャンコと縦に連結されたものが用意されていて、前の車が運転していて、カメラマンさんもその前の車から後ろの車を振り返る形で撮っている。なので、藤原さんは、運転しているフリだけで実際には運転してないんです。
「大作映画ってこうやって撮るんだ」って、ビックリしました(笑)
-宿泊施設やケータリングなんかはいかがでした?
円井わん
まず、撮影入り時間が何時だろうと、必ず前乗りさせてくれたこと。そして、広めの部屋のホテルを用意していただいて、朝食はホテルのバイキングでもいいし、それがイヤだったら別で食事してもいいことになってました。夕食もぜんぶ請求してくださいって言われてましたし、富山の食事はとても美味しかったです。
-印象に残っている食事はありますか?
円井わん
タカハタ監督が「富山湾の深海魚“ゲンゲ”の天ぷらがほんとに美味しいから食べてください」とか、「日本酒・立山を飲んでください」ってオススメしてくださったんですけど、「監督、わかってますよね?私は今減量中なんです」って言って(笑)
-なるほど、ということは、ホテルのバイキングのお話もありましたけど、実はあまり食べられなかった?
円井わん
そうなんです。目の前に美味しそうなものがいっぱいあるのに、サラダばっかり食べてました(笑)
やっと最終日にお寿司を食べに行きました。“ゲンゲ”の天ぷらもその時にいただきました。ほんっとに美味しかったです!
-なるほど(笑)でも、これだけ大きな作品の出演は貴重な体験だったということですね。
円井わん
貴重でした。ほんとに“ありがとうございます”という言葉しかないです。
■14歳の性と恋愛の妄想と現実の狭間。『うみべの女の子』
『うみべの女の子』作品データ:石川瑠華&青木柚のW主演。漫画家・浅野いにおによる同名タイトルのコミックが原作で、抑えきれない性の衝動に身をまかせ、恋の妄想と現実に翻弄された2人の14歳を描く。2021年8月20日全国公開。
-わんさんが演じられた鈴木摩理というキャラクターについて教えてください。
円井わん
摩理ちゃんは倉悠貴さん演じる三崎の“女”です。いわゆるヤンキーが連れている彼女というか(笑)
-設定としては15歳ですが、中学3年生を演じる上の役作りとしてはどういった?
円井わん
こればっかりはどう頑張っても老けて見えてしまうので(笑)、ウエダアツシ監督からは好きにやってくださいと。
-わんさん自身が中学生の時はどんな感じでしたか?
円井わん
摩理ちゃんみたいなメイクをしていて、つけまをつけて、眉毛もなかったんですよ。なんかバカでした(笑)
-本作では印象的なシーンで出演されています。たとえば学校のトイレでのシーンとか。
円井わん
トイレで開封されたコンドームの袋を拾って捨てるシーンですね。そこは、袋のつまみ方から研究しました(笑)
ウエダ監督からはバカっぽく見えるようにやってくれって言われたので、「はい、わかりました」って言って。
あと、西洋亮さんが乳首をクワガタに挟まれるシーン。あれ、ほんとに挟まれてて、その場にいた、倉(悠貴)くん、髙橋里恩、そして私は途中から顔がひきつってました・・・。
-ビリヤード場でのシーンも見どころですが、ここでの摩理はあれは酔っ払って騒いでるんですか?
円井わん
酔っ払ってます。酔っ払った演技をどうやってやろうかなと思った時に、周りの人のセリフは聞かないようにして勝手にギャーギャー騒ぐようにしました。
-わんさん自身はお酒は強い方ですか?
円井わん
強くはないです。めっちゃ飲むんですけど。
-では、摩理に近い感じですか?
円井わん
昔はあんな感じでした。ああいう断片が自分の中にあるからできたんでしょうね(笑)
▼殴られ方が勉強になった!
-乱闘シーンはビリヤード場の外ですが、かなりインパクトのあるシーンでした。摩理自身もその場で腰を抜かしてましたが。
円井わん
あれはお芝居とわかっていても見ていて怖かったです。このシーンは横須賀のとある街で撮ってたんですが、途中、暴走族のような人たちが集まってきたので、ヤバイかなって思ったんですが、彼らは、撮影風景を温かく見守ってくれてました。
で、倉くんが殴られるところは、スタントマンの方が倉くんに指導していたんですが、「こうやったら殴られているように見えるんだ」ってことが横で聞いていて私も勉強になりました。
なるほど!って思って、次からは殴られる役もできるなって(笑)
-なるほど。撮影現場でも日々勉強になりますね。
円井わん
ほんと勉強になります!
▼よくぞ実写化してくれた
-本作は14歳の小梅と磯辺の、しかも肉体関係を伴った恋愛関係が描かれていて、ウエダ監督は「いろんな恋愛を経験してきた大人が見るほうが、より深く刺さるんじゃないかなと思います」と語っていらっしゃいますが、わんさんはどのように感じられましたか?
円井わん
誰もが通る道ではないと思うんですけど、14歳であの体験というのはすごいですよね。それを物語として描かれているのもすごいし、さらに映画化することもすごいし。でもやっぱり、小梅と磯辺の関係は、ちょっと早いとは思います。
-その関係を演じた石川瑠華さんと青木柚さんはすごいですよね。
円井わん
ほんとにすごいと思います。
大人の関係のようでもあり、でも14歳ならではの甘酸っぱいところもあり。そして磯辺(青木柚)が抱えている問題も計り知れないものだし。小梅の気持ちも共感できるところがいっぱいあるし。原作の浅野いにおさん、よくぞこの物語を描いてくれましたと思います。
そしてそれをよく実写化してくれました。ほんとにシンプルにすごいことだと思っています。
■円井わん、ついに神様に!?『謝肉祭まで』
『謝肉祭まで』作品データ:イリエナナコ監督新作。「3人の神様たちが主人公」であること以外の詳細は謎に包まれた短編映画。3人の神々を、大山真絵子、円井わん、豊満亮が演じる。現在クラウドファンディング実施中で、9月クランクイン予定。
-本作では、わんさんはついに神様になってしまいます(笑)今の時点でお話できる範囲で、どんな作品なのかご紹介ください。
円井わん
意外と社会派な作品です。脚本の第一稿があがってきて、昨日も読んでたんですけど、号泣してしまいました。
イリエナナコ監督って計り知れないところがあるから、いったいどういう脚本を書かれるんだろうって思ってたんですけど、登場するキャラクターは神なのに人間くさい内容で、情緒もたっぷりあって、そして社会的。そこにファンタジー要素が加わっている。イリエ監督の頭の中ってやっぱりすごいんだなって感じました。
いろいろと考えさせれる作品です。
-9月頃から撮影だそうですが、今の準備状況はどんな感じですか?
円井わん
クラウドファンディングを進めつつ、その結果によってロケ地をどこにするかとか、BRADIOとどういう音楽にしていこうかと、打ち合わせの毎日です。
みんなが無理をしない映画作りをして、応援してくれる方、観てくれる方含めて、みんながハッピーになれることを目標としています。
また、佐渡でのロケが実現したら、地域とのコラボとか、本作に興味を持ってくれている飲食店の方々とのコラボも実現したいですね。
-公開はいつ頃ですか?
円井わん
まずは、「MOOSIC LAB[JOINT]2021-2022」(2021年12月開催予定)での上映。そして各種映画祭への出品や、いずれは単独公開も目ざしたいという話はしています。
■主演映画『コントラ』は手応えしかない
-8月14日に1日限定で池袋シネマ・ロサで上映された、安楽涼監督『灯せ』にわんさんが主演されています。安楽監督によると、是非わんさんにという熱烈オファーがあったと伺いました。
円井わん
はい。私が主演した『コントラ』をご覧になって、是非私にと思ってくださったそうです。安楽さん曰く「俺が持っていない、若くてキラキラした人を探していた」そうで、「それが円井わんさんだった」と聞きました。
あと、安楽さんは、今作で初めて自分の作品に自分が出演しないことを目ざしたそうなんですが、それを託せる人ということも言っていただきました。
-今、お話があった『コントラ』が公開されて手応えなどはありましたか?
円井わん
『コントラ』は手応えしかないです。この作品を観ていただいて私をキャスティングしてくれる方が増えたんです。
-なるほど、『コントラ』は、わんさんの俳優人生として大きなキー作品になりそうですね。
円井わん
ほんとに、アンシュル監督には返しきれない恩があります。
そして、この1年、出演もそうですけど、自分の企画を立ち上げたり、仕事としてはほんとに充実させていただいてます。反面、プライベートはポンコツになってますけど(笑)
Dress designer & Styling:石垣陽輔 (Gakky)
ヘアメイク:白銀一太 (TENT MANAGEMENT)
写真:金田一元 桜小路順
聞き手:桜小路順
作品情報
映画『鳩の撃退法』
STORY
かつては直木賞も受賞した天才作家の津田伸一(藤原竜也)。津田はとあるバーで担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に、書き途中の新作小説を読ませていた。
富山の小さな街で経験した“ある出来事”を元に書かれた津田の新作に心を躍らせる鳥飼だったが、話を聞けば聞くほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。
神隠しにあったとされる家族、津田の元に舞い込んだ大量のニセ札、囲いを出た鳩の行方、津田の命を狙う裏社会のドン、そして多くの人の 運命を狂わせた あの雪の一夜の邂逅…。
彼の話は嘘?本当? 鳥飼は津田の話を頼りに小説が本当にフィクションなのか【検証】を始めるが、そこには【驚愕の真実】が待ち受けていた―。
出演:藤原竜也
土屋太鳳 / 風間俊介 西野七瀬
佐津川愛美 桜井ユキ 柿澤勇人 駿河太郎 浜野謙太
岩松了 / 村上淳 坂井真紀 濱田岳 ミッキー・カーチス / リリー・フランキー
豊川悦司
原作:佐藤正午「鳩の撃退法」(小学館刊)
監督:タカハタ秀太 脚本:藤井清美 タカハタ秀太
音楽:堀込高樹(KIRINJI) 主題歌:「爆ぜる心臓」KIRINJI feat. Awich (ユニバーサル ミュージック)
製作幹事:松竹 電通
配給:松竹
制作プロダクション:AOI Pro.
制作協力:松竹撮影所 松竹映像センター
©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/hatogeki-eiga
公式Twitter:https://twitter.com/hatogeki_eiga
2021年8月27日(金)公開
映画『うみべの女の子』
STORY
海辺の小さな街で暮らす中学生の小梅(石川瑠華)は、憧れの三崎先輩(倉悠貴)に手ひどく振られたショックから、かつて自分のことを好きだと言ってくれた内向的な同級生・磯辺(青木柚)と関係を持ってしまう。
初めは興味本位だったが、何度も身体を重ねる二人。やがて、磯辺を恋愛対象とは見ていなかったはずの小梅は、徐々に磯辺への想いを募らせ、一方、小梅に恋焦がれていたはずの磯辺は、その関係を断ち切ろうとしてしまう。二人の気持ちはすれ違ったまま、磯辺は過去にイジメを苦に自殺した兄への贖罪から、ある行動に出ることとなる・・・。
石川瑠華 青木柚
前田旺志郎 中田青渚 倉悠貴
宮﨑優 髙橋里恩 平井亜門 円井わん 西洋亮 / 高崎かなみ いまおかしんじ
村上淳
原作:浅野いにお「うみべの女の子」(太田出版<f×COMICS>)
監督・脚本・編集:ウエダアツシ 音楽: world’s end girlfriend
挿入曲:はっぴいえんど「風をあつめて」(PONY CANYON/ URC records)
制作プロダクション:スタイルジャム 制作協力:コギトワークス 配給:スタイルジャム
107分/DCP/シネマスコープ/5.1ch/カラー/日本 R15+
(C)浅野いにお/太田出版・2021『うみべの女の子』製作委員会
公式サイト:umibe-girl.jp
公式Twitter:@umibe_girl
8月20日(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
映画『謝肉祭まで』
●イリエナナコ監督 コメント
新しい作品が始まることになりました。「謝肉祭まで」と言います。祭りの7日前、3人の神様がひとつの家に集められ、本番までに“誰が死んで誰が残るか”の話し合いをするというお話。これだけだとさっぱり分からないと思いますが(笑)、8月のクラウドファンディングに向けて少しずつ作品の断片が見えてくると思うのでぜひ情報を追ってもらえたら嬉しいです。
そしてこの謝肉祭に、強力で最高な仲間が音楽で加わってくれることになりました。BRADIOの生み出すグルーヴが、映画をどんな風にうごめかせてくれるのか。本当に楽しみで私もうずうずしています。BRADIOは映画音楽の担当は初めてとのこと。私も今回のようなタッグの組み方は初めて。今まであったものが失われたり中断されたりする今の時代だからこそ、安全地帯から出て新しい試みをしていきたいと思っています。映像も音楽も、想像していたものをはみ出していくものになるといいな。
出演:大山真絵子、豊満亮、円井わん 他
監督:イリエナナコ
撮影:JUNPEI SUZUKI
音楽:BRADIO(ワーナーミュージック)
制作:Libertas
撮影時期:2021年9月初旬~中旬
ロケ地候補:新潟県・佐渡島
公式Twitter:https://twitter.com/shanikusaimade
公式Instagram:https://www.instagram.com/shanikusaimade/
クラウドファンディング(8月31日まで):https://camp-fire.jp/projects/view/460898
MOOSIC LAB JOINT 2021-2022にて上映
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