池松壮亮、オダギリジョー登壇。映画『アジアの天使』プレミア上映会舞台挨拶
2021年6月22日、テアトル新宿にて、映画『アジアの天使』プレミア上映会が行われ、池松壮亮、オダギリジョー、佐藤凌、石井裕也監督が登壇した。また、チェ・ヒソ、キム・ミンジェも韓国からリモートで参加し、撮影当時のことを振り返った。
本作は、石井監督がオール韓国ロケで挑んだ意欲作。優しさと力強さが調和した人間ドラマであり、誰も見たことのない「アジアの家族映画」が完成した。
主演は、石井監督と数々の作品でタッグを組み、ここ1年は、海外作品に参加している池松壮亮。ふたりにとって本作が韓国初進出となります。そして池松の兄役には韓国映画界との縁も深いオダギリジョー。日本映画を牽引する、ふたりの本格的な競演は本作が初となる。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画
■「泣きそうです!」
池松壮亮(青木剛 役)
とても大胆で、ユニークで、あったかくてすこぶる優しい映画ができたと思ってます。
オダギリジョー(青木透 役)
久しぶりにお客さんが入ってる劇場を見て、もう泣きそうです。尾野真千子のように泣きそうです。
でも、ぐっと我慢して今日はやり遂げたいと思います。
佐藤凌(青木学 役)
僕は初めての映画で頑張ったので、ぜひ観てください。
■池松壮亮×オダギリジョー
-この作品は、韓国オールロケで、ほぼ韓国のスタッフ、そしてキャストもいる中で、日本人の俳優陣が非常に少ない状態の現場だったと思いますけれども、この映画を企画したきっかけを教えてください。
石井裕也監督
人生や映画は途方もなく自由なもの。それなのに自分で制限をかけて自分で息苦しくさせている面がある気がしていました。それを全部取っ払って自由な気持ちで映画を撮りたかったからです。それには海外に行って映画を撮るのが良いんじゃないかと思っていました。
-池松さんはその石井監督が書かれた脚本を読んだ時の感想は?
池松壮亮
脚本を受け取ったのはコロナ以前だったんですけど、とても感動させられましたし、これは今すぐにでも形にしたいと思いました。国と国との関係もあまり良くなく、他にどんなオファーが来ても、この作品をなんとか成立させなければと思いました。
-そして実際に石井監督とご一緒されて思い出などはいかがですか?
池松壮亮
たくさんあるんですけどね。韓国ロケは初めてでしたし、石井さんのこれまでの歩みを映画に投影しているような気もしました。自分自身も役柄同様に丸腰になって“迷子”になりに行こうと考えてました。
-そしてお兄さんを演じられたオダギリさん。オダギリさんが池松さんとこれだけガッツリと共演されるのは初めてになるんですよね?
オダギリジョー
一緒の作品には出てはいたんですけど、芝居をちゃんと交わすっていうのは、今回が初めてだったかもしれないです。
作品に対する誠意が感じられる役者って、なかなか少ないんですよ。
どういう意識で作品に向かうかとか、もともとどういう意識で俳優をやってるかとか、そういうものはとても大切なものだと思うので、池松くんは、現場での居方からそれを感じ取ることができるので、とても貴重な俳優だし、日本映画を引っ張っていく逸材だと思います。
池松壮亮
(オダギリさんには)数えきれないほどたくさん助けてもらいましたし、役柄も相まって本当に笑わせてもらったし。そもそもこの映画はたくさんのピンチを切り抜けてきたんですけど、何個目かのピンチの時に、オダギリさんがこの映画に入ってくださって。そして現場でもたくさんのピンチを迎えるわけですけれども、その度にオダギリさんが助けてくれて本当に天使ですね。
■韓国はマイナス10度?
-佐藤凌くん、初めての映画現場を体験されてどうでしたか?
佐藤凌
石井監督から、韓国はマイナス10度くらいになると聞いていて、それでなんか寒いの嫌だなって思ってたんですけど、実際に行ってみたら結構暖かったです。
-撮影は緊張しませんでしたか?
佐藤凌
そんなに緊張しなかったです。
-お父さん役の池松さんと、おじさん役とオダギリさんと共演して、どんな印象がありますか?
佐藤凌
撮影が終わっているのに池松さんは遅くまで僕を待ってくれたり、オダギリさんは撮影以外の時に一緒にたくさん話しをしてくれました。
2人ともすごく優しい人でした。
池松壮亮
そうですね、たくさんおごりましたし、たくさん恋の相談にも乗ったので、当然の結果かなと思っています(笑)
■韓国キャストリモート登場!
-(2020年2月の)撮影の思い出は?
チェ・ヒソ(チェ・ソル 役)
(流暢な日本語で)映画の撮影も楽しかったけれど、みんなで食事をしたり、海辺を歩いたり、撮影以外の時間も嬉しかったです。
食事のシーンでは石井監督から『食べっぷりがいい』と褒められました(笑)
-チェ・ヒソさん、池松さんの印象は?
チェ・ヒソ
目が凄く強いです。その目を見つめるだけで色んな感情を感じ取るという素晴らしい経験をすることができました。機会があればまた共演したいです!
池松壮亮
こちらこそ!
ヒソさんは、とても日本に理解があり、幼少期、実際に日本に住んでたこともある方で、海を渡ってきた初めての撮影クルーに対して、すごく愛情を注いでくれたんです。それがこの映画を信じることに繋がった気がしました。ほんとに感謝しています。
-キム・ミンジェさんは、撮影にはどんな思い出がありますか?
キム・ミンジェ(ジョンウ 役)
撮影が進む中で皆さんのことを本当の家族のように感じて、別れるときは大号泣しました。あれほど別れで泣いたのは初めて。皆さんとまた会いたいです。家族としての気持ちを分かち合えたのは嬉しいです。
■それぞれの“天使”
-映画の内容にちなんで皆さんにとっての天使とは?
池松壮亮
石井監督をはじめ、スタッフ、キャストと、この映画を形にしてくれた皆さんです。
オダギリジョー
この映画には、ところどころヘンテコな天使が登場するんですが、僕が思うに、天使とはある意味奇跡なんだろうなって。
一生に一度あるかどうかというその“奇跡”がヘンテコなものだったとしても愛すべきものなんじゃないかなと思います。当たり前の形をした“奇跡”だったら、ここまでいろんなことを考えてなかったんだろうなって。
佐藤凌(青木学 役)
演じた役の“学”です。そして、僕を選んでくれた石井監督です。
チェ・ヒソ
オダギリさんと同じ考えを持ちました。ぜんぜん違った過去を持った人たちが、同じ場所に同じ目標を持って集まって、映画を撮るということがすごく素敵でした。この映画を撮っているみんなが天使みたいだと思いました。
そして、今日、1年ぶりに(リモートですが)会った凌くん(も天使)。
佐藤凌
すごく嬉しいです!
キム・ミンジェ
私も、辛い時も手を握って一緒に頑張ってくれたこの映画を撮ったみなさんが天使だと思っています。
石井裕也監督
映画という不確かなものを、みんなんで真摯に信じ合えたことこそ奇跡だと思います。
■最後にメッセージ
池松壮亮
映画の物語と同じことを追体験してきた気分があって、それはどういうことかと言うと、傷に寄り添い合って共に成長しましたし、ヘンテコな天使を見て、共に希望を見ました。
そういう、自分たちが歩んできた軌跡を、これから沢山の方々に観ていただくことで、傷ついた世の中の再生の一手になれたらいいなと願っています。韓国のことが好きな方はもちろん、韓国に対して思うことがある方にも。そしてどこかに大切な人がいる方にも。
そしてこの映画が日本と韓国の懸け橋になってくれたら…。そういう意味では、同じ用に日々日韓の懸け橋として活動しているNiziUの方々にも観ていただきたいですね(笑)
石井裕也監督
今までで一番大変な映画でした。撮影は本楽しかったんですけど、それに行き着くまでがほんとうにしんどくて、結構ノイローゼに何回かなったくらい大変でした。
大変自慢をしたいわけじゃないんですが、僕が大変だったということは、スタッフもキャストもいろんな大変さを抱えていたと思うんです。
でも、映画が出来上がって本当に驚いたんですけど、そういう大変さってものがほとんど写ってなくて、むしろもうびっくりするぐらいの優しさと愛情が、映画の中にたくさん入ってたんです。
僕が知らないうちに、みんなの映画に対する真摯な思いが結実してたんだなと思いました。
こういうコロナ禍だからこそ、観ていただくに値する映画になったと思いますし、公開する意義も確信しております。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/動画・記事:桜小路順]
映画『アジアの天使』
ストーリー
8歳のひとり息子の学を持つ青木剛(池松壮亮)は、病気で妻を亡くし、疎遠になっていた兄(オダギリジョー)が住むソウルへ渡った。日本から逃げるように。
「韓国で仕事がある」と兄から告げられていた剛だったが、兄の生活はその日暮らしで貧しく、想像していたものとは違った。ほとんど韓国語も話せない中、怪しい化粧品の輸入販売を手伝う羽目に。
一方、ソウルでタレント活動を行っているが、市場のステージで誰も聞いていない歌を歌う仕事しかないチェ・ソル(チェ・ヒソ)は、所属事務所の社長と関係を持ちながら、自分の歌を歌えない環境やうまくいかない兄や妹との関係に心を悩ませていた。
しかし、その時彼らはまだ知らない。
事業に失敗した青木と兄、学たちと、資本主義社会に弾かれたソルと兄、妹たち ── どん底に落ちた日本と韓国の2つの家族が共に運命を歩んでいき、奇跡を目の当たりにすることを・・・。
出演:池松壮亮 チェ・ヒソ オダギリジョー キム・ミンジェ キム・イェエン 佐藤凌 / 芹澤興人
脚本・監督:石井裕也
エグゼクティブプロデューサー:飯田雅裕
プロデューサー:永井拓郎、パク・ジョンボム、オ・ジユン
撮影監督:キム・ジョンソン 音楽:パク・イニョン
制作プロダクション:RIKIプロジェクト、SECONDWIND FILM
製作:『アジアの天使』フィルムパートナーズ
配給・宣伝:クロックワークス
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会、KOFIC、ソウルフィルムコミッション、カンウォンドフィルムコミッション
(C)2021 The Asian Angel Film Partners
2021年7月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開
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