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騙し絵の牙

「プロから見ても出版業界の問題をリアルに描いている」映画『騙し絵の牙』トークイベント

3月14日、天狼院書店Esola池袋店にて、映画『騙し絵の牙』(3/26公開)のトークイベント“本屋さんのカタチとこれから”が行われ、吉田大八監督と、天狼院書店店主・三浦崇典氏が登壇。映画で描かれる出版業界の課題のリアルさと今後の在り方についてトークを繰り広げた。

映画『騙し絵の牙』の原作は、ミステリー小説「罪の声」の著者・塩田武士による同名小説。小説の段階から俳優・大泉洋を主人公にあてがきされ、2018年本屋大賞にランクインするなど、話題・評判ともに世間の注目を集めた。
映画の監督は、『桐島、部活やめるってよ』で第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞及び最優秀監督賞、『紙の月』で第38回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した吉田大八。脚本は『天空の蜂』の楠野一郎と吉田監督による共同執筆。

この日のゲスト、三浦崇典氏は、世にもユニークな本屋さんとして、読書会や部活、ゼミ、イベントなど、本を提供するにとどまらない「本の先にある体験の提供」=【READING LIFE】をテーマに掲げ、全国に店舗とサービスを拡大している天狼院書店店主であり、株式会社東京プライズエージェンシー代表取締役で小説家・ライター・編集者、劇団天狼院主宰など多彩な顔を持つ。
福岡からのオンライン参加となったが、書店と出版会社、両方の立場を経験している立場から、出版業界を舞台に描いている映画『騙し絵の牙』観て感じたことを語った。

トークイベントレポート

騙し絵の牙

■映画は原作とは別のものとして描いた

伊藤さとり(MC)
監督は、映画化にあたってどのようなことを考えられましたか?

吉田大八監督
原作で描かれている出版業界のサバイバルをかけた争いを題材に、俳優の豊かな表情で物語を見せるチャンスだなと思いました。
そこを軸に考えた時に、映画『仁義なき戦い』のようなことを出版業界を舞台にやるという最初は風呂敷を大きく広げました。そこから脚色を始めていきました。
原作を読まれた方にとってもいい意味で気持ち良く裏切られた気分になるように、映画も新たに楽しめるようにしています。

吉田大八監督

吉田大八監督

伊藤さとり
(映画を見たあとで原作を読むと)大泉洋さんのA面、B面のような印象を持ちました。

吉田大八監督
たまに、映画を観る前に原作を読むのはやめようとおっしゃる方がいらっしゃいますが、本作は原作を読んでから映画館に来てもらうとより深い楽しみ方ができると思います。特に出版業界の細かな状況などは原作で予備知識として知っていただいた上で。
その逆に映画を見てから原作を読んでもまた違う楽しみ方ができると思います。

吉田大八監督

伊藤さとり(MC)/吉田大八監督

■リアル書店&出版業界人から見た映画『騙し絵の牙』は?

伊藤さとり(MC)
三浦さん、映画をご覧になった感想は?

三浦崇典氏
非常に面白いです。実在する出版社のことを彷彿とさせる内容に感じました。登場する作家もこの人をモデルにしてるんじゃないかって思われるところもあり。しかも、出版業界に対する提言みたいなものがあって、なるほどって思ったんです。
出版に携わってる人はこの映画は観た方がいいよって、今、おススメしています。出版のプロから見ても「確かにその方法があるよね」っていうのが随所にあるからです。
出版界の問題もあって、これからの希望もあって、さまざまなことを考えさせられます。
松岡茉優さん演じる高野恵の実家が老舗の本屋さんですが、あれは理想ですね。僕はああいう本屋を目ざして本屋を始めたんです。
そしてこの豪華キャスト!素材として入れ過ぎなんじゃないかって思っているんですけど、全部マッチしていて、全員が必要だったという描かれ方がされていて、非常に面白かったです。

三浦崇典氏

三浦崇典氏

吉田大八監督
高野恵(松岡茉優)の実家の本屋は、埼玉県行座市の忍書房(おししょぼう)というところで撮影しています。この本屋さんを見つけるまでは、スタッフ含めていろんな本屋を巡りました。
忍書房さんは、まずお店の佇まいがすごくいいなって思ったことと、何より、並んでいる本が僕の好みだったんです(笑)
明らかに売ることというより、店主の趣味がすごく反映されたコーナーがあって、僕にドンピシャで絶対ここで撮ろうって即決しました。お店の方にお願いしたらものすごく快く協力していただくことになりました。

伊藤さとり(MC)
映画の中では塚本晋也(高野民生 役)さんが店主ですけどね。

吉田大八監督
塚本さんはいませんけど(笑)、すごくいい本屋なのでお近くの方は是非行ってみてください。

三浦崇典氏
でもこの豪華なキャスティングをどうやってマネジメントされたんですか?

吉田大八監督
確かにこのポスターを見た時は僕もビビりましたね(笑)
キャスティングしている時はひとりひとり個別ですし、全員が揃っての撮影シーンもありませんでしたし。
先日の舞台挨拶では全員じゃないけどけっこうな数が揃って、その圧がすごかったです(笑)

■松岡茉優演じる高野恵のような存在がこれからの出版業界に必要

伊藤さとり(MC)
映画をご覧になっていちばんしっくりときたキャラクターはいますか?

三浦崇典氏
松岡茉優さん演じる高野恵です。こういう人が出てこないと、書店業界、出版業界はなかなか良くならないだろうなって。逆に、高野恵のお父さんのような方(高野民生)だとダメだろうなと。もう少し言っちゃうと、マーケティングを知ってる人がいないとダメなんだろうなって思います。
それを最前線で体現しているのが高野恵(松岡茉優)なので、速水輝(大泉洋)よりも感情移入できました。

吉田大八監督
三浦さんのお立場だとそうでしょうね。リアル書店業界としての松岡茉優みたいな。

三浦崇典氏
顔はぜんぜん似てないけど(笑)

伊藤さとり(MC)
面白かったキャラクターは?

三浦崇典氏
大御所小説家の二階堂大作(國村隼)と、謎の男(リリー・フランキー)ですかね。
ネタバレになるので理由は言えないですけど。

吉田大八監督
國村隼さんは今回は髪型がポイントです。筒井康隆さんと五木寛之さんをミックスして、僕のイメージの中にある渡部昇一さんをブレンドさせています(笑)

三浦崇典氏
先ほども言いましたが、本作は実際の出版社を彷彿とさせます。新潮社と講談社が重なっているのかな?とか。

吉田大八監督
実は新潮社も(撮影現場に)見学に来ましたし、でも撮影で一番お世話になったのは文藝春秋社です。原作本はKADOKAWAなのに全面協力してくれました。
文藝春秋社って面白い会社だなって思ったのは、なんの得にもならないのに「こういう内容の映画って面白いじゃない」ってなって、ロケとしてオフィスを提供してくれて。映画をご覧になればわかりますが、普通の人なら見れない貴重な場所まで踏み込むことができました。

騙し絵の牙

[記事・写真:Jun Sakurakoji]

映画『騙し絵の牙』

INTRODUCTION
累計発行部数50万部突破を誇るミステリー小説「罪の声」の著者・塩田武士が、俳優・大泉洋を主人公にあてがきし、2018年本屋大賞にランクインするなど、話題・評判ともに世間の注目を集めたベストセラー小説「騙し絵の牙」(角川文庫刊)。その前代未聞の小説が、吉田大八監督(『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』)により実写化!

主人公の雑誌編集長・速水役には、もちろん本作の主人公としてあてがきされた、国民的人気俳優の大泉洋。他、大泉と映画初共演で吉田組には『桐島、部活やめるってよ』以来となる松岡茉優の他、佐藤浩市、宮沢氷魚、池田エライザ、中村倫也、佐野史郎、木村佳乃、和田聰宏、坪倉由幸、斎藤工、塚本晋也、リリー・フランキー、小林聡美、國村隼など日本を代表する超豪華俳優陣が大集結。それぞれがクセモノ揃いのキャラクターを見事に演じ、崖っぷち出版社を舞台に繰り広げられる、仁義なき騙し合いバトルが誕生した。

STORY
最後に笑うのは誰だ⁉ 全員クセモノ!仁義なき騙し合いバトル、遂に開幕!
大手出版社「薫風社」に激震走る!かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。会社のお荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされる…が、この一見頼りない男、実は笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた!嘘、裏切り、リーク、告発。クセモノ揃いの上層部・作家・同僚たちの陰謀が渦巻く中、新人編集者・高野(松岡茉優)を巻き込んだ速水の生き残りを賭けた“大逆転”の奇策とは!?

監督:吉田大八
脚本:楠野一郎 吉田大八
原作:塩田武士「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA刊)
出演:大泉洋 松岡茉優
宮沢氷魚  池田エライザ/斎藤工 中村倫也 佐野史郎 リリー・フランキー 塚本晋也 / 國村隼 木村佳乃 小林聡美 佐藤浩市
配給:松竹
(C)2021「騙し絵の牙」製作委員会
公式サイト:movies.shochiku.co.jp/damashienokiba/
公式Twitter:@damashienokiba

新予告編(90秒)

2021年3月26日(金) 全国公開

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