映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

【インタビュー】小西桜子「俳優として一世一代の気持ちで向き合える作品に」

“映像業界で起きた実際の出来事”を基にした物語を描く映画『ありきたりな言葉じゃなくて』。前原滉演じる構成作家の主人公・藤田拓也の脚本家デビューのチャンスが危機に陥るきっかけとなる彼女“りえ”を演じる小西桜子に、本作への取り組みと俳優としての想いを聞いた。(読者プレゼントあり)
 
映画『ありきたりな言葉じゃなくて』は、報道情報番組やバラエティ番組を数多く手掛けているテレビ朝日映像にとって初となる長編オリジナル映画。
“映像業界で起きた実際の出来事”を基にした企画をベースにした本作の物語は、青春から遠くもなく近くもない場所にいる男女の葛藤とあがきを、優しい視点で描き出している。ヒリヒリとしたビターな味わいの先に、ふっと温かな余韻が訪れる、心に沁み入る一作だ。 

小西桜子 インタビュー&撮り下ろしフォト

■物語の前半と後半で違ってくる難しさ

-本作の脚本を最初に読んだときの印象は?
 
小西桜子(りえ 役)
改訂を重ねたので、最初にいただいた時と完成形とは違っていたんですけど、とても面白かったし、先の読めない展開があったので、気になりながら読ませていただいて、エンタメ性の高い作品だなと思いました。
映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

小西桜子

-演じられた「りえ」というキャラクターをどう捉え、役作りの取り組みはどうされましたか?
 
小西桜子
物語前半は自分を作っていて、後半から本心を明かしますので、その難しさがあったことと、物語では描かれていない彼女のバックグラウンドを想像した時に、等身大の人間として理解できる部分があったので、そこを深く掘り下げて演じてみようと思いました。
映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

場面写真  ©2024テレビ朝日映像

‐前原滉さん演じる主人公・藤田拓也とのシーンが多いですが、小西さんが思う藤田拓也というキャラクターについてはどう感じましたか?
 
小西桜子
拓也もいろんな面を持っているキャラクターです。脚本家としての一面と家族といるときの一面とでは、見え方が違うし、人としての多面性を凝縮したようなキャラクターで、何が良いとか悪いとかとは言い切れない。そういう意味では人間味のある等身大のキャラクターだなと思いました。
映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

場面写真  ©2024テレビ朝日映像

■前原滉さんにイタズラしました

‐前原滉さんの印象は?
 
小西桜子
前原さんは本当に素敵な役者さんだなという印象です。作品のことを深く考えてくださっていて、監督やキャストの皆さんにも意見を求めてきたり、率先して意見も出してくださったりと、コミュニケーションをたくさん取ってくれる。
私がこの作品をやる上で相談することもあったんですけど、一緒になって悩んでくれて、そして一歩先へと引っ張っていってくれる。そういうリーダーシップも感じました。
そういう彼の視点は、私にはすぐには出てこないような的確で素敵な発想に感じましたし、本当にお芝居や映画が好きなんだろうなとも感じました。

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

‐前原さんには例えばどういう相談をされましたか?
 
小西桜子
脚本の解釈についてはたくさんしました。私は、変えた方がいいのかなと思っても、どう変えたらいいのかが、ふわふわとしがちなタイプなんですが、前原さんに相談したら、投げたボールを的確に返してくださるんです。
もちろん、正解は一つじゃないんですけど、ピンポイントで最善案を返してくださる。
そのとき感じたのは、前原さんの主観で意見を言うというよりも、いろんな人の視点を総じているんだなということ。小西はこう思っている、それでも監督はこう思ってるだろうし、観客はこう見るだろうしという、多様な視点を持って一つの結論を導いてくれるのが本当に素晴らしいなって。
 
‐全体を俯瞰的に見ていらっしゃるんですね。
 
小西桜子
そうですね。前原さんは、そういう才能というか感度の高さが抜きん出ているんだなと、お芝居も見ててもそう思いました。
 
‐撮影の合間とかで前原さんとはどんなお話をされましたか?
 
小西桜子
本当に楽しくお話してました。私がくだらない絡みをしてもちゃんと付き合ってくれる優しさもありましたし、その中で印象に残っているのが、私がイタズラして、前原さんの背中にシールを貼ったことがあって、そしたらそのままご自宅まで、誰にも指摘されないまま帰られたこと(笑)
映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

小西桜子

■一緒にこの映画を作っていけたという実感がある

‐そのほか、撮影全体として印象に残っていることは?
 
小西桜子
大変な作品だったんですけど、どうやったらもっとより良いものができるかっていう想いをみんな持っていたので、それに諦めずに向き合った時間が結果としてこの映画を良くしてくれたんじゃないかなって思います。
 
‐渡邉崇監督の演出や相談されたことは?
 
小西桜子
渡邉さんは、今回のこの映画を作ることに懸けていらっしゃいましたし、ご自身も映画がとても好きだという想いも伝わってきました。
こちらが投げかけたことに対しても、しっかりと受け止めるいう姿勢が感じられて、私も妥協せずに、言いたいことをしっかりと伝えることができました。
その上で、渡邉さんが作りたいものにしていく作業は大変だったのではと思いますが、一緒にこの映画を作っていけたという実感があります。

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

‐この作品は、テレビ朝日映像さんという、普段は番組などの収録を業務としている、いわゆる制作会社さん自身が企画されたものですが、その点で何か感じられたことはありますか?
 
小西桜子
こうした形で映画を制作会社さんが会社を挙げて自ら企画して作るのは、革命的なことなんじゃないかなと思います。
テレビ朝日映像さんにとっても一大プロジェクトであることが、社長さんを通しても感じられて、私もそれに応えられるように取り組もうと思いました。
物語が実話をベースにしていることもあって、この作品は映画だけど、テレビ朝日映像さんならではのドキュメンタリー的な視点があって、情報として発信するメッセージ性も感じられて、とても意味のあるプロジェクトだなと思いました。

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

■一世一代の気持ちで向き合える作品に

‐小西桜子さんがこれまで出演された映画作品は、『佐々木、イン、マイマイン』をはじめ、作家性がしっかりとした作品が多いなという印象がありますが、今後、出演してみたい作品ジャンルや、演じてみたい役柄はありますか?
 
小西桜子
『佐々木、イン、マイマイン』もそうですけど、監督自身が「書かなければいけない」という使命感を持って取り組んでる作品の熱量ってすごいなと思いますし、そういう作品はとても好きです。
一方でそういう作品に自分が参加したいと思ったとしても、監督が役に委ねていただかないとできないですし、ハードルが高いことでもあるなと思います。
なので、監督がこの一本に懸けるという作品で「この役をこの人にならやってもらいたい」と思ってもらえる役者になって、その作品という船に乗れるようになりたいと思います。そういう、人生を懸けて一世一代ぐらいの気持ちで向き合える作品に主演として取り組んでみたいです。

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

‐今、俳優としてのお考えをいただいたんですけど、ふだん、いち観客として楽しむために観る映画やドラマなどがあれば教えてください。
 
小西桜子
いっぱいありますが、最近はアニメにハマってまして、先日初めて観た「HUNTER×HUNTER」が特に好きで、一気に観ました!
 
‐そのほか、オフの日の好きな過ごし方は?
 
小西桜子
お出かけも好きですが、絵を描いたり、刺繍したりとか、そういう家でできることも好きです。
 
‐最後に、『ありきたりな言葉じゃなくて』をご覧になる方へ向けて、ご自身の役どころも含めた見どころメッセージをお願いします。
 
小西桜子
この映画は、ある一つの事実をベースにした物語ですが、その事実にもいろんな側面があって、そこで描かれている登場人物の感情を通して、映画を観てくださる方の心の中に何か残ったらいいなと思います。監督、キャスト、スタッフもそれを目指して一丸となって作りました。
予想がつかない展開があって、そこも是非楽しんでください!

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

小西桜子(こにしさくらこ) プロフィール
1998年生まれ、埼玉県出身。2020年にデビュー。主な出演作は映画『初恋』『映像研には手を出すな!』『佐々木、イン、マイマイン』『はざまに生きる、春』『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』、ドラマ「猫」「レンアイ漫画家」「スイートモラトリアム」など映画やドラマで幅広く活躍している。
今後も12月20日公開の映画『ありきたりな言葉じゃなくて』、来年1月11日スタートのドラマ「風のふく島」(テレビ東京系)、1月14日スタートのドラマ「まどか26歳、研修医やってます!」に出演する。

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応募締め切り:2025年1月19日(日)23時59分

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

■撮り下ろしフォトギャラリー

[写真・インタビュー:三平准太郎/スタイリスト:阪上秀平/ヘアメイク:伍島琴美]

映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

《INTRODUCTION》
“彼女”との“出会い”をきっかけに、“彼”は全ての信頼を失った……。 
実際の体験を基に創り上げた、“痛切な青春”物語。 
テレビ朝日のグループ会社として65年の歴史を持ち、報道情報番組やバラエティ番組を数多く手掛けているテレビ朝日映像。2021年に発足した『映画プロジェクト』から、初となる長編オリジナル映画が誕生! 
夢を掴んだ矢先、偶然に出会った“彼女”に翻弄され、奈落の底に突き落とされる主人公を演じるのは前原滉。『沈黙の艦隊』(23)や『笑いのカイブツ』(24)、NHK連続テレビ小説「らんまん」(23)、「クラスメイトの女子、全員好きでした」(24)、「スカイキャッスル」(24)など話題作への出演が続く注目の個性派が、他人の傷みに鈍感な男の失敗と成長を、自然体の演技で表現。また物語の鍵を握る“彼女”を『初恋』(20)や『佐々木、イン、マイマイン』(20)の小西桜子が繊細に好演するほか、内田慈、奥野瑛太、酒向芳、山下容莉枝ら実力派俳優が結集。 
青春から遠くもなく近くもない場所にいる男女の葛藤とあがきを、優しい視点で描き出す本作。ヒリヒリとしたビターな味わいの先に、ふっと温かな余韻が訪れる、心に沁み入る一作だ。 
 
《STORY》
32歳の藤田拓也(前原滉)は中華料理店を営む両親と暮らしながら、テレビの構成作家として働いている。念願のドラマ脚本家への道を探るなか、売れっ子脚本家・伊東京子(内田慈)の後押しを受け、ついにデビューが決定する。 
夢を掴み、浮かれた気持ちでキャバクラを訪れた拓也は、そこで出会った“りえ”(小西桜子)と意気投合。ある晩、りえと遊んで泥酔した拓也が、翌朝目を覚ますと、そこはホテルのベッドの上。記憶がない拓也は、りえの姿が見当たらないことに焦って何度も連絡を取ろうとするが、なぜか繋がらない。 
数日後、ようやくりえからメッセージが届き、待ち合わせ場所へと向かう。するとそこには、りえの”彼氏”だという男・猪山衛(奥野瑛太)が待っていた。強引にりえを襲ったという疑いをかけられ、高額の示談金を要求された拓也は困惑するが、脚本家デビューを控えてスキャンダルを恐れるあまり、要求を受け入れてしまう。 
やがて、事態はテレビ局にも発覚し、拓也は脚本の担当から外されてしまう。京子や家族からの信頼も失い、絶望する拓也の前に、りえが再び姿を現す。果たして、あの夜の真相は?そして、りえが心に隠し持っていた本当の気持ちとは……?
《テレビ朝日映像とは》
テレビ朝日グループの制作会社として365日、コンテンツを発信し続けるクリエイター集団です。 
番組制作を手掛けている『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』などでは、“笑いの物語”を…『大下容子ワイド!スクランブル』『スーパーJチャンネル』などでは“喜びや哀しみ、あるいは怒りの物語”を…そして放送開始から40年以上、長寿番組としてギネス世界記録に登録されたトーク番組『徹子の部屋』では、“芸能人の人生という物語”を映し出します。 
テレビ朝日映像の仕事は、喜怒哀楽といった「こころ」を、映像に、精一杯詰めることです。具体的には企画作業に始まり、リサーチ、ロケ撮影、編集、ナレーション、音響効果…各過程で驚くほど多くの人々が関わり、時に笑い、時に苦しみながら、作品が完成します。 
たった1秒の映像に詰まった感動や興奮…つまり“みんなのこころ”。これこそがテレビ朝日映像、最大の財産です。
 
出演:前原滉
小西桜子 内田慈 奥野瑛太 那須佐代子 小川菜摘 山下容莉枝 酒向芳
池田良 八木光太郎 沖田裕樹 敦 士 鈴政ゲン 加藤菜津 佐々木史帆 高木ひとみ◯ 谷山知宏 今泉マヤ 根岸拓哉
チャンス大城 土屋佑壱 浅野雅博 外波山文明 玉袋筋太郎
脚本・監督:渡邉崇
原案・脚本:栗田智也
製作:テレビ朝日映像
制作プロダクション:テレビ朝日映像
配給:ラビットハウス
宣伝:ブラウニー
©2024テレビ朝日映像
公式X:@vivia_movie
公式Instagram:@vivia_movie
 
予告編
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12月20日(金)より全国公開
映画『ありきたりな言葉じゃなくて』

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