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私をくいとめて

第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」観客賞は『私をくいとめて』が受賞。のん、大九監督が喜びを語る。

11月9日、第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」選出作品の映画『私をくいとめて』が観客賞を受賞し、クロージングセレモニー及び受賞者記者会見が行われ、主演・のん、大九明子監督が登壇し、喜びを語った。(会見動画&フォトギャラリーあり)

コロナ禍の中、リアル映画祭をモットーにさまざまな制限はありつつも開催された、第33回東京国際映画祭。例年のコンペティション部門を廃止し新たに設置された「TOKYOプレミア2020」は、ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心とした、国内外の個性豊かな監督による新作のショーケース部門。日本、アジア、欧米といった地域のバランスを保ちながら、従来のコンペ3部門の選定視点も残したプログラムとなっている。
本部門には観客賞が設置され、観客からの投票で最も多くの支持を得た1作品が表彰されることとなっていた。

クロージングセレモニー レポート

私をくいとめて

■受賞者 スピーチ

大九明子監督
このようなすばらしい賞を受賞しましてありがとうございます。観客賞を受賞するのは 2 度目となります。3 年前に『勝手にふるえてろ』で頂戴したときと世界は全く違っていまして、この映画祭も全く違う形となりました。いろいろな映画祭がリモートや配信で行う中でTIFFが実際にお客様をお入れして、同じ劇場で同じ時間で一緒にスクリーンに向かって映画を観るという体験を実現させたのは本当に素晴らしいことだと思います。まだまだ出歩くことが安心できない不安な中で、チケットを取っていただき劇場まで足を運んでいただいて、映画をご覧いただき点数を入れてくださった、お一人お一人の貴重な一票が私どもにこの賞をくださったと、いつも以上に感慨ひとしおです。早くひとりひとりのお客さんと直接握手をしたり、お話をしたりできれば良いなとお祈りしております。

私をくいとめて

大九明子監督

のん
このような素敵な賞をいただきありがとうございます。毎年設けられている賞だと思いますが、今年は唯一の賞ということで、観客の皆さんに応援いただいた作品ということに嬉しく思っております。私事ではあるのですが、この作品で何年振りかの主演映画で大九監督に呼んでもらいこの映画に参加させていただき、本当に心から喜びでいっぱいです。スタッフ、キャストと代表して監督と二人で感謝の気持ちを伝えたいと思います。映画というのは、本当に観客の方々に見ていただいて初めて完成するものだと思います。今回この賞を大切に受け止めたいと思っています。

私をくいとめて

のん

林遣都(スピーチ代読)
この度は観客賞受賞の連絡を聞きとても驚いております。本日は残念ながら登壇出来ませんが、劇場に足を運んで投票してくださった皆様、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。そして大九監督おめでとうございます!
この作品の細部に散りばめられた監督やスタッフの皆さんの強いこだわり、そして情熱が多くの人に届いたんだなと思うと嬉しい気持ちでいっぱいです。スクリーンから大九組のあのワクワクする空気感を皆さんにもっと味わって頂ける日を楽しみにしています。

橋本愛(スピーチ代読)
見てくださった皆様のお力添えに感謝します。この映画も、自分にとっても、映画界全体も、良き未来を作り上げていくために、大きな一歩になったと思っています。何より楽しんでいただけたことが、心から嬉しいです。また、大九監督とのんさんに、本当におめでとうって言いたいです。」

小池百合子都知事(スピーチ代読)
今年新型コロナウイルスにより、我が国の芸術文化事業は大きな影響を受けました。今なおこの感染症との戦いは続いていますが、徹底した感染症対策の下、33回目となる本映画祭が開催されますことを嬉しく思います。映画は国境や言語を超えて、文化や魅力を伝え、あるいは人間の生きる姿を映しだし、多くの人の共感をよび人々の相互理解を生むことができる媒体です。
世界がともに試練に立ち向かい、社会が目まぐるしい変化をしている今こそ、明るい未来を切り開く原動力として、映画の持つ力が重要です。東京都はこの映画祭を通じて文化都市東京の魅力を世界に発信していきます。今の難局を乗り越え、来年行われるスポーツと文化の祭典「TOKYO2020オリンピックパラリンピック競技大会」を成功に導いてまいります。

私をくいとめて

大九明子監督/のん

受賞者記者会見 レポート

■あいさつ

大九監督
今年コロナ禍で様々な困難がある中、栄えある観客賞を受賞しとても光栄です。映画館にくるという喜びをかみしめて、今回私自身もいろいろな作品を拝見させていただきました。まさか、私の映画が観客賞を頂戴できるとは思っていませんでしたが、大変嬉しいです。

私をくいとめて

大九明子監督

のん
黒田みつ子役を演じましたのんです。この度は観客賞という嬉しい賞を受賞し、喜びでいっぱいです。私ごとではあるのですが、何年ぶりかの主演映画で大九監督に呼んでいただいて、この映画に参加することができて心から嬉しいです。映画は観客の皆さんがいて初めて完成すると思っているので、たくさんの方に届いたのだという印の観客賞をいただいき感謝の気持ちでいっぱいです。本当にうれしいです。ありがとうございます。

私をくいとめて

のん

■質疑応答

-改めて、キャスティングについてお伺いします。主人公・みつ子役ののんさん、そしてみつ子を取り巻く主要キャラクターとしての、林遣都さん、橋本愛さんのキャスティング理由について教えて下さい。

大九監督
小説を読んでいる時もシナリオを読んでいる時も一体どなたに“みつ子”という役をやっていただければよいのか、私の中では真っ白でした。で、プロデューサーが(のんさんを)提案してくれて、「なるほど」と。(のんさんは)年齢が不詳な感じがある。そして、もちろんこのように輝かしくてチャーミングな方でありながら、皆さんの会社のどこかにひっそりと働いていそうな、そういった魅力がある。そういったことで、是非のんさんがいいなと。あと、テレビのドラマの方はちゃんと拝見してなかったんですけど、その後ご活躍のいろいろな映画、特に『この世界の片隅に』での、声だけではありましたけれども、素晴らしい表現力は、ご一緒したいという欲望が高まりました。
林遣都さんと橋本愛さんについてもプロデューサーからの提案だったんですけれども、お二人は特に前からご一緒したかったという思いがありましたので、「それは素晴らしい!是非お願いしたい」ということでお願いしました。

-今年はコロナの影響でコンペを廃止し観客賞を据えたのですが、映画祭におけるコンペについてどう思われますか?また大九監督はご自身も、これまで審査員として映画祭にご参加されていますが、今後 TIFF が良くなるためにはどういうものが必要だと思われますか?

大九監督
コンペの賞と言うものは、これまでいただいたことが全くございません。観客賞はコンペに入っていただいたものではあります。コンペという形で審査員をした経験もあるが一言でいうと大変不確かな賞だと思います。どういう審査委員が何人いて…と些細な違い結果がすごく変わってきますし、審査員の声の大きさでも変わってきます。だからこそ映画的だともいえるかもしれません。
映画祭の課題については、3年前も同じことを言った気がしますが、若者が少ない、これに尽きると思います。
もちろんエイジレス、ジェンダーレスな状態で楽しむのが映画祭だと思うのですが、P&Iの上映に足を運ぶと若者がほとんどいない。私たち制作者にとって、P&Iのみなさんはお客さんへの架け橋ですので、若い方々も必要なんです。若い世代がこれまでの映画界を見直し、壊すところは壊すなり、守るところは守るなりして受け継いでいってほしいと思っています。
もちろんいくつになっても映画を楽しんで、そこに学問を見出し、研究し、情熱をかける大先輩方の一生懸命ゆっくり歩きながら席につくお姿を見て、心が震えますし、そういう方を追いかけて映画を作りたいとも思っています。

私をくいとめて

-のんさんへ、さきほどの挨拶の言葉からも映画に久しぶりに主演した喜びや強い思いを感じるができました。のんさんにとって映画とは?また女優業とは何ですか?

のん
私は本当に女優のお仕事が大好きで、ここに一生いたいと思っています。
10代の時に一度、もし女優をしていなかったら何をしていたんだろうと考えたことがありましたが何も思い浮かびませんでした。実家にいる妹に尋ねてみたら、「その辺でのたれ死んでいると思う」と言われて、やばいやばいって(笑)。これは自分の生きる術だと思って気持ちが固まった。
主演映画というのは本当に特別です。まずたくさん出番があって、一番セリフがある。ずっと大好きな演技をしていられるということが至福です。また映画は、本当にたくさんの方々の技術と脳を集結させて一つのシーンを作り上げていく、たくさんの人が一点を見つめて同じ目標に向かっていくという感覚が本当にたまらないです。主演はもちろんくたびれることもあるけど、良いものが撮れた時の感覚は他では味わえないです。

私をくいとめて

-コロナ禍における映画祭に参加する意義、参加してみていかがですか?映画製作の現場も大変な状況下と思いますが、この状況で製作する意義はなんでしょうか?

大九監督
今回 TIFF がリアルで開催する道を選んだのは勇気ある選択。命より大事なものは何もないですから、スタッフの皆さんから緊張感を感じました。
その中でチケットを買って、電車に乗ってわざわざ足を運んでくれた方たちの想いに報いたいと思って、どうぞ面白かったと思っていただけますようにと祈るような気持ちでした。
この作品は、3月中旬クランクイン、4月中旬クランクアップの予定でしたが、4月の頭に緊急事態宣言が発令され、撮影中断を余儀なくされました。約2カ月ほど中断し、その間に脚本を書き直したりもしました。緊急事態宣言が明けたあとの撮影現場では、毎日体温を測る、フェイスシードをつけるなど、自発的に皆で知恵を出し合って健康を守りながら撮影を敢行しました。
映画館も閉まり、不要不急という言葉が飛び交いましたが、映画は不要でも不急でもないと信じたいし思いたいので、今後も各製作者が細心の注意を図りながら作り続けていくべきだと信じています。

-今年の東京国際映画祭の出品作品の女性監督の割合は 16,7%と、まだまだ少ないように感じますがいかがですか?

大九監督
商業映画の世界に入って13年くらいになりますが、当初はもっと女性のスタッフは少なかった。私が監督である時点で、1人女という性がふえるせいか、この組は女性が多いなという声が飛び交ったりしました。その度、「地球のバランスでいったらまだまだです」と言い続けてきました。
その後、映画を作りたいことだけが唯一の欲望なので、お声をかけていただければ嬉しくて、「やります」と返事をして走り続けて気ましたが、その多くの理由は、「女性の監督だからお願いしたい」というものでした。もちろん性別や国や育ちが全て監督という人間に影響を与えていると思うので、間違いではないと考えていました。それどころか女であるということが個性の一つに言われるなんて有利だな、とも思っていました。
でもそれも本当に数年で終わり、だんだん腹が立ってきました。私は女の人生しか送っていないから女の人としてしか作品を作れないかもしれませんけど、男の監督にもそれを言いますか、と少し生意気に思うようになりました。きっとこの世に生きる女性なら、そんな思いをしたことが一度でもあると思います。
様々な不公平を味わってきて、そういえば、と振り返ってみると私を導いてくれた大事な人はすべて女性でしたね。小学校の時に作文をほめてくれたのも女の先生、四つの時から通っていた書道教室で戦争体験を楽しく話してくれて笑って生きる大切さを教えてくれた書道の先生も女性、商業映画の一本目を取らせてくれたプロデューサーも女性。
なので、私はこれからも女性の後輩にはうんと優しく、たまには厳しくして、彼女たちの個性や才能を照らしていける存在に、そんな大人になりたいなと思っています。

私をくいとめて

フォトギャラリー

[動画・記事:Jun Sakurakoji/写真:(C)2020 TIFF]

<第33回東京国際映画祭 開催概要>
■開催期間:2020年10月31日(土)~11月9日(月)
■会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほか
■公式サイト:https://2020.tiff-jp.net/ja/

映画『私をくいとめて』

STORY
30歳を越え、おひとりさまもすっかり板についてきた黒田みつ子。みつ子がひとりきりでも楽しく生活できているのには訳がある。脳内に相談役「A」がいるのだ。人間関係や身の振り方に迷ったときはもう一人の自分「A」がいつも正しいアンサーをくれる。
「A」と一緒に平和なおひとりさまライフがずっと続くと思っていたそんなある日、みつ子は年下の営業マン多田くんに恋をしてしまう。
きっと多田くんと自分は両思いだと信じて、ひとりの生活に慣れきってしまったみつ子は20代の頃のように勇敢になれない自分に戸惑いながらも、一歩前へふみだすことにする。

監督・脚本:大九明子 原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日新聞出版)
音楽:髙野正樹
劇中歌 大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
企画協力:猿と蛇
(C)2020「私をくいとめて」製作委員会
公式HP:kuitomete.jp
公式Twiter:@kuitometemovie

12月18日(金) 全国ロードショー

私をくいとめて

 

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