2025年8月2日、東京・テアトル新宿にて、終戦80年上映 映画『この世界の片隅に』のリバイバル上映公開記念舞台挨拶が行われ、主人公・北條すず役の声優のん、片渕須直監督が登壇した。戦争の終結から80年を迎える今年、もし物語の主人公すずが生きていれば100歳になるという節目での再上映となる。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画レポート
入退場、フォトセッションシーンもたっぷり収録しています!
■フォトレポート
冒頭、MCを務める制作宣伝・山本和宏氏は映画『この世界の片隅に』について、こうの史代氏の原作漫画をもとに片渕須直監督が7年の歳月をかけて制作し、2016年に初公開された作品であると紹介した。
![[終戦80年上映] 映画『この世界の片隅に』公開記念舞台挨拶](https://nbpress.online/wp/wp-content/uploads/2025/08/132A0524-wm.jpg)
山本和宏(制作宣伝/MC)
のん、作品への特別な想いを語る
MCの呼び込みで、のんと片渕須直監督が登壇。
![[終戦80年上映] 映画『この世界の片隅に』公開記念舞台挨拶](https://nbpress.online/wp/wp-content/uploads/2025/08/132A0525-wm.jpg)
のん
のん(北條すず 役)は、リバイバル上映として本作が再び劇場で上映される機会に恵まれたことを「とても嬉しく思っています。」と挨拶した。
さらに、公開から9年が経過した現在の心境について、「私の中でも『この世界の片隅に』という作品はとても特別な作品で、私の役者人生の中で欠かせない作品になっています」と語り、多くの人々に長く観続けてもらえることを心から嬉しいと感じていると明かした。
片渕監督、ロングランの喜びと作品に込めた思いを語る
片渕監督は、本作が2016年の公開以来「かなり長いロングランだった」と振り返った。自身が各地の劇場で「何百回」も舞台挨拶を行ってきたが、今回、すずを演じたのんが隣にいることで「新鮮な気持ちが戻ってきて、あの日の延長を生きているような気がします」と喜びを述べた。
![[終戦80年上映] 映画『この世界の片隅に』公開記念舞台挨拶](https://nbpress.online/wp/wp-content/uploads/2025/08/4R9A0024-wm.jpg)
片渕須直監督
ここでMCが観客に挙手を求める次のアンケート。
・テレビや配信を含め「全く初めて本作を観る」
・映画館で初めて観る
・10回以上観ている
そして、「29歳以下の方は?」という問い掛けは、劇中のすずが終戦時20歳だったこと、映画公開から9年経った今、すずさんは29歳になっているということになぞらえての質問。何人かの挙手があると、片渕監督は、前回の公開時に未成年だった世代が改めて映画館に足を運んでくれることを「本当にありがたい」と感謝の意を示した。
終戦80年、すずさん100歳に寄せて
終戦時に20歳だったすずが、もし生きていれば今年100歳になるという現実に触れ、片渕監督は、戦争を経験した世代から直接話を聞く機会が減少している現状を指摘した。
そのような時代が遠ざかる中で、本作は「なんとか(その時代を)繋ぎ止めよう」という思いで制作されたものであり、スクリーンの中に「現実を描きたい」という意図があったと明かした。
そして、のんがすずの声を演じたことで、すずが「いつまでもみんなが覚えてくれる人として存在できている」ことを意義深く思うと語った。
若い世代へのメッセージ:日常の尊さと地続きの現実
若い世代の観客に向けたメッセージとして、のんは、戦争の直接体験者が減少する中で、本作が「このような生活があったのかもしれない」「このような時代にすずさんたちは生きていたのかもしれない」と想像を巡らせるきっかけとなることを願った。そうすることで、観客が「自分の生活の中にある幸せ」を感じ、「それを尊く思える」作品になってほしいと述べた。
片渕監督は、戦争が遠い「時代劇のような距離感」になりつつある現状に対し、「女性がモンペを履いている、窓ガラスに白いテープがクロスに貼られていたら戦時中というイメージがあるが、本当はどうだったのだろう」という問いを投げかけ、徹底した調査に基づいて現実を描くことで、観客が「自分たちの隣にあることのように」戦争を実感できるように制作したと語った。
作中に登場する本作の舞台となった広島県呉市の段々畑が今も存在し、片渕監督は先日も訪れたという。片渕監督は、生命力に溢れている様子に触れ、「これからご覧いただく映画の中に映し出されるますし、今日の自分たちの生活に地続きな感じで繋がっているということを見つけていただけるとありがたいなと思います。」と呼びかけた。
![[終戦80年上映] 映画『この世界の片隅に』公開記念舞台挨拶](https://nbpress.online/wp/wp-content/uploads/2025/08/4R9A0061-wm.jpg)

描き下ろしキービジュアルで描かれる、広島県呉市の段々畑
のん、「すず」として。
舞台挨拶の終盤では、MCがのんに「すずさん」として9年後の生活を問う演出があった。
のんは「子供が大きくなって言うことを聞かなくて大変です。16歳になったので。」とはにかみながら答えると、片渕監督が「すずさんはテレビはもう見ましたか?あと、すずさんは標準語じゃないですか?」と問いかけると、のんは「テレビは見てます。テレビで標準語を覚えました!」とユーモラスに答えた。
作品への「末永い応援」を願う
最後の挨拶でのんは、劇場に足を運んだ観客への感謝を伝え、鑑賞後には友人や家族と感想を語り合い、作品に思いを馳せてほしいと語った。そして、リバイバル上映が続く中で、周囲の人々にも本作を勧め、様々な人と共有して末永く応援してほしいとも呼びかけた。
片渕監督は、のんが「すずさん」として話したことで、「すずさんはずっとあの時代から生きている」ということを改めて実感し、「今もどこかで元気にしている」という思いを強くしたと語り、感極まった様子で舞台挨拶を締めくくった。
![[終戦80年上映] 映画『この世界の片隅に』公開記念舞台挨拶](https://nbpress.online/wp/wp-content/uploads/2025/08/132A0570-wm.jpg)
すずさん、お帰りなさい!
フォトセッションでは、MCからの掛け声で、客席全体で「すずさん、お帰りなさい!」と呼びかけると、のんが「ただいま~!」と答え、場内は温かい拍手に包まれた。
■フォトギャラリー
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
片渕須直監督/のん
-
-
片渕須直監督/のん
-
-
のん
-
-
片渕須直監督/のん
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
のん
-
-
片渕須直監督
-
-
片渕須直監督
-
-
片渕須直監督
-
-
片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
のん/片渕須直監督
-
-
山本和宏(制作宣伝/MC)
[写真:川尻敏晴/動画・記事:三平准太郎]
映画『この世界の片隅に』
《INTRODUCTION》
こうの史代による同名漫画を原作に、片渕須直が監督・脚本を手がけた長編アニメーション映画『この世界の片隅に』(2016年公開)が、終戦80年を迎える今年、2025年8月1日(金)より全国にて期間限定で再上映いたします。
本作は戦時下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きる女性、すずを描いた珠玉のアニメーション映画。
公開当初は63館でのスタートながら、戦時中の広島・呉を舞台に描かれるかけがえのない日常とその中で紡がれる小さな幸せが共感と感動を呼び、累計動員数は210万人、興行収入27億円を突破、累計484館で上映される社会現象となりました。
さらに、第40回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞ほか、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位など、アニメーション映画としては異例となる日本映画賞を次々と受賞。その評価は海を越え、国際的な映画祭でも高く評価されました。
あれから9年。時は流れても変わらず心に残り続ける物語が、期間限定で劇場の大スクリーンによみがえります。
《STORY》
誰もが誰かを想いひみつを胸に 優しく寄り添う
広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。 そして、昭和20年の夏がやってくる――。
声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓/花澤香菜/ 澁谷天外(特別出演)
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(コアミックス刊)
企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
美術監督:林孝輔
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎
監督・脚本:片渕須直
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
製作:2019「この世界の片隅に」製作委員会 ©2019 こうの史代・コアミックス / 「この世界の片隅に」製作委員会
2025年8月1日(金) よりテアトル新宿・八丁座ほか全国にて期間限定上映!

描き下ろしキービジュアル
この記事へのコメントはありません。