【インタビュー】和田瞳にとっての“純愛”とは? 映画初主演『悲しき天使』
8月7日公開の映画『悲しき天使』は、これまで何度も舞台で再演されてきた名作の映画化。本作で美しき遊女役として、映画初主演ながら大胆ヌードに挑戦した女優・和田瞳に、本作に込めた思いについて話を伺った。
本作のメガホンを取ったのは、『純平、考え直せ』『夜明けまで離さない』など、これまで悲しい男女のエロスを追い求めてきた、森岡利行監督。大阪を舞台に、美しき遊女と遊郭に流れ着いた青年の悲しき“純愛”を過激に描く。
初主演となる和田瞳は、悲しき宿命を背負った美しき遊女として、初ヌード、初濡れ場に挑戦。共演は人気アイドルグループBOYS AND MENのリーダーにして、俳優として数々の映画、ドラマで活躍中の水野勝。遊女と恋に堕ちる女師を悲しくエロティックに演じる。
和田瞳インタビュー
■「2つ返事でオファーを受けました。」
– 最初に、本作に出演されることになった経緯について教えて下さい。
和田 瞳
昨年、森岡利行さん(本作の脚本・監督)の舞台「夕凪の街 桜の国」(こうの史代原作)に出させていただいた時、稽古初日の終わりに森岡さんから呼び出されたんです。
ちょうどその日のお稽古でちょっと口ごたえして怒られることがあったので、「あ、これはさらに怒られるな」って思ってドキドキしながら行ったら、「映画の主演をやらないか?」っていうお話で。
怒られるつもりが、主演のお話で、しかも森岡さんとはお会いして間もない頃でしたので、「えぇ!?」ってビックリはしたんですけど、「はい!」って2つ返事をして決まりました(笑)
私は子役からやってきてまして、その中で初めての大きなお話でもありましたし、森岡さんの舞台作品はとても素敵だなという印象があったからです。そして、『悲しき天使』は舞台でも何度も再演されている作品でもありますし。
■初主演・初キスシーン&ベッドシーン
– 和田さんのコメントで、「初主演、そしてキスシーンとベッドシーン」とありますが、その点についての躊躇はありましたか?
和田 瞳
最初に「脱げるのであれば」とお話しをいただいていたので、それはもちろん承知の上でした。
それでも最初は「え~?こんなシーンがあるんだ?」って台本を読んで思うこともありましたけど、いざ、“一美”という役をちゃんと自分に落とし込んでいく中で、そういう感覚は無くなっていきました。
■関西弁に一番苦戦した
– 劇中、関西弁のセリフですが、いかがでしたか?
和田 瞳
関西弁は一番苦戦しました(笑) 私にとって初めての挑戦で。
私のマネージャーがゴリゴリの関西弁の人なので、私のセリフを読んでもらって、それを私がオウム返しに言うという練習を毎日のようにやりました。最初は「それはちゃうで」と言われるも、何が違うのかわからないことも。
– 私は関西出身なんですが、完璧な関西弁でした。和田さんって関西ご出身かなとプロフィールを確認したほどでした。
和田 瞳
ほんとですか!?嬉しい!関西弁良かったよって言われることがこの作品で一番の褒め言葉です!
森岡さんも関西ご出身なんですが、撮影終わった後に「お前、関西弁頑張ったな」って言われて、すごく嬉しかったですね。
■共演・水野勝ととことん突き詰めた役作り
– “一美”という役作りにについては?
和田 瞳
“一美”像としては、芯は強いけども臆病で繊細で人は信じられない。そしてすごく悲しい孤独な子とは思っています。
私とは違う部分が多いのですが、自分がそういう気持ちになる時のことを思い出したりして、少しずつ手繰り寄せていきました。
そして、飛田新地に実際に行き、車の中からですけど見せていただいて、町並みにビックリしましたし、同じ年代の女の子が笑顔で身体を売っているんだと思ったら、言葉にならない感情が湧き上がってきて、これをどう出せるかなって考えました。
また、実際に行ったことある方に意見を聞いてみるために、会う男性会う男性に「飛田新地に行ったことありますか?」って聞いて、「あるよ」って答えた方にはものすごく詳しく聞くっていう。
「どうしたの?和田、働くの?」って言われて、「いえ、そういう役の仕事なんです。」ってやり取りをしつつ、皆さん真摯に答えてくださって、いろんな方のお力があってこの役を作れたなって思っています。
– 共演の水野勝さん(“茂”役)と相談されたことがあれば教えて下さい。
和田 瞳
水野さんとは、顔合わせからクランクインまでの限られた短い時間の中で、お互いが持った疑問だったりを連絡しつつ、“一美”と“茂”それぞれの裏設定を決めることもしました。時には、箇条書きの長文で連絡することもありました。それに対して水野さんは、「よく考えて返信するね」って言ってくださって、役作りについてはけっこう連絡を取り合った気がします。
そのおかげもあって、作品に対して二人が同じ熱量で同じ方向性に向かうことができました。
新たな疑問が出ても、気軽に相談し合える仲になれたことがとても良かったですし、短い時間でよくここまで信頼関係を持てたなと思います。
– いくつか二人の重要なシーンがありますが、シーンづくりで印象に残っていることはありますか?
和田 瞳
二人で裏設定をきっちり作ったおかげで、どのシーンでも自然に臨めましたし、台本に書いていないことでも、私が一美だったらそうするかなって思って作ったシーンでも、監督が採用してくださることもありました。
たとえば、一美が茂にキスしようとするシーン。もちろん事前に水野くんに私がこうしたらどうする?って聞いて、この状況だったら俺はよける仕草をするって言ってくれて水野くんに反応をおまかせしたりとか。
– なるほど。お二人とも役と同化しているような感じですね。
和田 瞳
私は撮影中はずっと一美でいるようにしていた気がしますね。
– 役作りにつて、森岡監督と相談されたことはありますか?
和田 瞳
監督は、これはこうしろって言う方ではないので、基本的には私がやりたい一美をやらせてくださった気がします。
ただ、髪型や体形などの外見については相談しました。女性としては身体はベストな状態で臨みたいところですが、今回は、鍛えすぎないようにジムに行くのを止めて、また痩せすぎないようにちゃんと食べて、しなやかな身体になるように心がけました。
– 水野さん(茂)との濡れ場の撮影は、どのように進められましたか?
和田 瞳
濡れ場については水野くんとは何も話しをしないで進めましたね。
ただ、そのシーンでは、水野くんが泣くところがあり、彼がすごい気持ちを作っているのを見ていたので、話しかけないように私はすごく気をつけました。他のシーンだったらけっこう他愛もない話しをするんですけどね。
撮影の部屋は締め切って、カメラさん、照明さん、そして私たち以外はいないという状況で。その他のスタッフの皆さんは、奥にはいらっしゃいましたけど、「見てないよ~」っていう空気感は作ってくれていました(笑)
でも、私は、このお仕事を受けた時点で、脱ぐことが恥ずかしいという思いはまったくありません。脱ぐタイミングが来たら、私から先に脱げる人であろうと決めて、そこは潔くいきたいなと思っていたので、皆さんが気を使うほど、隠したがったっていうのは無いかもしれません(笑)
そして、撮影自体は、キスの仕方だったり、身体の合わせ方だったりの監督の指示に従ってやってたら終わったみたいな感じはあります(笑)
■和田瞳にとっての“純愛”とは?
– 本作では茂の“純愛”が描かれていますが、和田さんにとっての“純愛”はどういったものでしょうか?
和田 瞳
一般的には、“純愛”という言葉の意味として「この人のためなら死ねる」とあります。
でも、私はそこまで思える人にはなかなか出会えないって私は思っているので、私の純愛で言うと結婚相手にしたいと思えた時かなと感じます。
なぜなら、仕事が大好きで、仕事が恋人だと思っている私が、この人と結婚したいなって思えたら、それはかなりの純愛なんじゃないかなと感じるからです。
でもそう言うと皆さん、「え~?ほんとは恋人いるんでしょ?」って言われるんですけどね(笑)
■常に挑戦し続ける人でありたい
– 昨年は、舞台にも出演され、そして今作の主演と、女優のお仕事が続いています。そんな和田さんにとって、女優というお仕事について、改めて持たれた思いがあれば教えて下さい。
和田 瞳
映画『二十四の瞳』に私の祖母が出演していて、私の名前はこの作品に由来しています。それもあって、映画の世界で生きていきたいなっていうのは、ずっと思ってはいました。
そして今回、主演をさせていただいたことで、より映画はいいものだなと感じられましたし、映画の世界で生きたいなと感じました。それほど私にとって転機になった作品だと思います。
でも女優だけにこだわらず、私が求められるものは全部やっていこうとも思っています。なんでもできることは挑戦したいし、だから脱ぐことも挑戦だし、常に挑戦し続ける人ではありたいなと思います。
■最後にメッセージ
– 最後に、本作の見どころを含めて、これからご覧になる方々へメッセージをお願いします。
和田 瞳
まずは濡れ場に注目する方が多いと思いますが、それだけではない人間模様やそれぞれが抱えている過去だったりとか、“人間”というものが描かれた作品になっています。
まずは観ていただいて、そして観ていただいた方が、なんかザワザワするような作品になればいいなと思っています。
作品を気に入った方は、もっともっといろんな方に口コミで広めてほしいですし、ぜひ何度も劇場で観ていただきたいです。
[写真・記事:Jun Sakurakoji/場面写真クレジット:(C)2020キングレコード]
映画『悲しき天使』
美しき遊女 と 遊郭に流れ着いた青年の悲しき純愛を 過激に描く!!
イントロダクション
忘れんとってな ウチのこと……。
時代から取り残されたような大正建築の遊郭が立ち並ぶ歓楽街。
大きな借金を抱えた無職の男・茂はその遊郭で一美という美しい遊女と出会い、女の心のケアをする女師という生き方を選んだ。
そして、人生の欲望と悲喜劇が蠢く遊郭という場所で、一美と茂は泥を飲み込み、地獄を彷徨うような恋に堕ちて行く―――
和田 瞳 水野 勝
川上奈々美 重松隆志 森田亜紀 円谷優希 山田奈保 赤羽一馬
酒井健太郎 那波隆史 柴田明良
お宮の松(友情出演)/中西良太
三浦浩一 木下ほうか
脚本・監督:森岡利行
原作:山之内幸夫 エグゼクティブプロデューサー:山口幸彦 企画:利倉亮
プロデューサー:江尻健司 撮影:吉田淳志 照明:山口峰寛 録音:大塚学 編集:桐畑寛
音楽:Les.R-Yuka スチール:千葉朋昭
助監督:森山茂雄 朝海清史 美術:加藤ちか ヘアメイク:石山美子(おかもと技粧)
制作:山田剛史 製作:キングレコード 制作協力:レジェンド・ピクチャーズ
配給:キングレコード ブラウニー 配給協力:太秦
2020年/日本/91分/カラー/ステレオ
(C)2020キングレコード
公式サイト:http://kanashiki-tenshi.com/
予告編
8月7日(金)より シネマート新宿にて 2週間限定レイトショー
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