成田凌、一世一代最後の大仕事。舞台挨拶冒頭ひとり口上披露
12月14日、丸の内TOEIにて映画『カツベン!』の初日舞台挨拶が行われ、映画初主演となる成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、竹中直人、井上真央、竹野内豊、周防正行監督が登壇。そして舞台挨拶冒頭、本作主役の活動弁士にちなんで、成田凌が2分間ひとりしゃべりに挑戦した。(動画&フォト)
本作は、今からおよそ100年前、日本では映画が「活動写真」と言われ、音がまだなかった時代。独自の“しゃべり”で観客を映画に引き込む「活動弁士」、通称“カツベン”が映画界のスーパースターとして活躍した頃を描く。
舞台挨拶レポート
映画『カツベン!』は活動弁士が主役ということで、活弁の出来が作品の質を左右する重要なキーとなる。
100人以上のオーディションから選ばれ、本作が映画初主演となる成田凌は、クランクイン前から現役活動弁士・坂本頼光の指導を受け、約半年に及び1日3時間の活弁の練習を行ってきた。
舞台挨拶冒頭に流された「成田凌 活動弁士への道」という映像では、そのドキュメンタリーがダイジェストで描かれていた。
そして、その努力の末身につけた活弁の口上を、観客の前で2分半にわたって成田凌が披露した。
成田凌 口上文言
厳寒の時節、森羅万象、白い吐息を漏らす折から、賑々しき御来館を賜りまして、関係者・出演者一同になり代わり、主演・成田凌、厚く厚く御礼申し上げます。
この映画は映画を愛する皆の力で艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越え、なれど苦労は詳しく言わぬが花の吉野山。
多くのみなさまにご覧いただけますよう、日々宣伝活動に勤しんでまいりました。
思えば、ともに走り続けてきた、この616日。
私自身、片時たりとも『カツベン!』を忘れたことはございません。
昨日、初日を迎えましたこの作品はもはや皆々様のものでございます。
これからも映画『カツベン!』ご高覧の程!宜しくお願い申し上げます!
– 改めて成田さんの口上、いかがだったでしょうか?(MC:奥浜レイラ)
(会場拍手)
– 成田さん、撮影から1年経ってまさかお客さんの前で口上を披露されていかがでしたか?
成田 凌(染谷俊太郎 役)
こんなに緊張する舞台挨拶は初めてですね。皆さんのお力を借りて背中をポンって押されて出させていただきました。
昨日から鼻水ズルズルで、咳も止まらなかったんですけど、今朝起きたらピタっと治ってて、これはカツベン!の力だと。主演の力かと(笑)
– 周防監督いかがでしたか?
周防正行監督
まさか成田さんに舞台挨拶にまで口上をしてもらうことになるとは。ほんとにご迷惑をおかけしました。
すごいことを強いてしまったなと。撮っている時は夢中なので皆さんにもいろいろ無理なことをお願いしたと思いますけど、ほんとにありがとうございました。
リュミエール兄弟。世界の映画の父ですけど、彼らが作ったシステムは、フィルムで撮影してそれをスクリーンで上映して、不特定多数の人と一緒に観る。それが映画の定義でした。でも今はインターネットとか配信で自宅でもスマートフォンなどの画面を観る。そういう形でも映画は観られています。でも映画の原点、映画の元々の定義は、こうしてみんなで一緒にスクリーンを観るということですので、皆さんが今日まさしく映画を観てくださったお客様ということで、心よりお礼申し上げます。どうもありがとうございます。
初主演の重責は?
– 昨日から公開された本作。主演として背負ってきた作品かと思いますがいかがでしょうか?
成田 凌
クランクイン前は主演ってなんだろうなって思いながらやってましたけど、今だにわからないというか。昨日は僕も劇場に観に行ったんです。友だちと横一列ズラリと並んで。そういう友だちがいることも嬉しいですし、メールでも「今日観たよ」ってたくさんいただいて、それがすごく嬉しかったですし、街を歩いていても「『カツベン!』観るよ!」って声をかけてくれるおじさんもいて、あ、なんか届いているなって思って。
こうやってすごくお顔をされた皆さんの前で感謝を申し上げられて、安心しています。
– 劇場でのお客さんの反応はいかがでした?
成田 凌
すごいウケてました。本作にも表現されているような賑やかさがすごく伝わっているなというか、一人、すごい大声で笑うおじさんがいて、それがどんどんと他のお客さんに感染っていくんですよ。それで劇場に活気が出てきて、なんか『カツベン!』を観るのにふさわしい場所だなって思いました。
何百!?もの宣伝活動
– 成田さんは本作の宣伝活動で、なんと合計170ものインタビューや番組にご出演されていて、これはなかなか大変な数かと思いますが、いかがだったでしょうか?
成田 凌
楽しかったですよ。(主演を)背負ってやっていると唯一思える場所と言いますか、日々宣伝活動をしていて毎日のようにテレビに出ていて、「見たよ」って街で声をかけられるって今まであんまりなかったんですけど、最近すごい声をかけてもらうようになりました。
やっぱり、“知らない”っていうことが一番問題なので、少しでも多くの方に知っていただいて観ていただくっていうことができたかなと。でも僕なんかよりも監督の方がもっと宣伝されていると思います。
– そうです。実は周防監督は全国キャンペーンでなんと400もの取材を受けられているんですけども、監督、いかがだったでしょうか?
周防正行監督
もう『カツベン!』についてはあらゆる角度からの質問にも答えられるように磨き上げられています(笑)
やっぱり、「カツベン」ってなんの略か?そして活動弁士と言ってもなんのことか?っていうことについて、47都道府県各地のメディアを通して伝えることから始めました。
東京に住んでいると大きなメディアばかりになるんですけど、その地方地方で地元のニュースをどう伝えていくのかって活動されていらっしゃるので、逆にその姿を間近で見れたことが面白かったです。すっごくユルい情報番組とかね。でもそういうユルさが地元で人気が出る秘訣なのかなと思いながら出演していました。
恥ずかしいけど不思議な体験
– 黒島さんの実際に活動弁士をされてみていかがでしたか?
黒島結菜(栗原梅子 役)
私は2つの声の演じ分けだったんですけど、2つでもほんとにすっごく難しくて、それを弁士の役をやられた皆さんは、いくつもの役があって、すごいって言葉じゃ足りないくらい練習をされているのも見てましたし、ほんとに感動しました。
そんな中で私自身、弁士をやるのはすごく緊張して、撮影の時は頭の中が真っ白で、いろいろ教えてもらったこともあったんですけど、弁士としての撮影の時のことはあんまり記憶が無いんです。
でも(成田さんと)2人で向かい合って気持ちをお互いに言い合うシーンはすごく照れくさかったのを覚えています。そのシーンは、監督から弁士を忘れて2人の会話のようにやってほしいという指示があって、それが新鮮で、驚きつつも楽しめたシーンでした。
成田 凌
ただただ、ドキドキしながらやってましたね。
黒島結菜
恥ずかしいけど、でも嬉しさみたいなのもありながら不思議な体験でした。
憧れの俳優・永瀬正敏
– 永瀬さん演じる山岡は成田さんが憧れる役ですが、永瀬さんご自身も成田さんが憧れていると伺っています。成田さんとの共演はいかがだったでしょうか?
永瀬正敏(山岡秋聲 役)
凌くんはいい人だなぁ。僕が現場で救われるような、太陽みたいな存在でいてくれましたね。
成田 凌
(永瀬さんと共演できて)ただただ嬉しかったですよ。ずっと質問攻めしていましたね。出演されている作品のことだったりとか、プライベートのことだったりとか。知りたいじゃないですか、永瀬さんのことって。くっついて歩いていた記憶があります。
ずっと楽しかった活動弁士の役
– そして高良さんも見事な活動弁士を披露されていましたけれども、トレーニングを振り返っていかがでしたか?
高良健吾(茂木貴之 役)
一生に一度出会えるかどうかという役だと思いますし、活動弁士という役をさせていただいたことが幸せでしたし、ぜんぜん大変じゃなかったです。ずっと楽しかったです。
周防組が好きすぎて、別の役も!?
– 周防監督の作品に竹中さんは欠かせない存在だと思うんですが、これまでの作品と比べて本作はどのような現場でしたか?
竹中直人(青木富夫・青木館の館主 役)
(お爺さん風に)周防監督が400以上も取材受けたって聞いて、成田くんも170でしょ?驚いて歳取っちゃった・・・。今私になんて質問したのかな?
(会場笑)
(元に戻って)周防監督の現場は30年以上のお付き合いで、今回、自分のシーンが終わっちゃうのがとても寂しくて、周防さんの顔を見ているだけで楽しいんですよ。だから、売り込んだんですよ。この青木富夫っていう役だけじゃなくて、もう1シーンくらい違う役で出していただくことって可能でしょうか?って。そしたらモーゼの役を・・・あっ!言ったらダメだったんでしたっけ?
周防正行監督
ほんとはね(笑)
モーゼの役は誰でしょうってクイズを出したかったんだけど。
竹中直人
しまった!ごめんなさい!
モガ役を楽しんだ
– その青木館の商売敵が橘館で、そちらことえを演じられていた井上さんですが、今回、周防組初参加ということで、演じられていかがでしたか?
井上真央(橘琴江 役)
私は活動弁士のアクションもなかったので、楽させてもらったというか、単純に周防組を楽しませてもらいました。監督からはモガのファッションを思いっきり楽しんでほしいと言われましたし、贅沢にも毎回登場する度にいろんな衣裳を着させていただいて。私は庶民の役が多いんですけど、ドレスを綺麗に見せるとか、そういうことを意識する役がなかったので、すごく新鮮でしたし、勉強になることも多かったです。
周防組初参戦の竹野内豊
– そして竹野内さん。これまで見たことがないくらいコミカルな役を演じられていてそこがまた魅力的だったんですけど、いかがでしたか?
竹野内豊(木村忠義 役)
私自身、そんなにコミカルにやっているつもりはなかったんですけどね(笑)
正直、念願の周防監督作品に出られるっていうことで、撮影現場に最初に行くときはすごく力んでたんですけど、竹中さんとか、あと、渡辺えりさんとか、周防組の住人の方々はほんとに自由に伸び伸びとされている姿を見て、自分もすごく楽になりました。そして監督とも話し合いさせてもらって、もっと自由に遊び心を持ってやらせていただきました。
– 竹中さんですか(笑)
竹野内豊
マジメな顔で演じる時も竹中さんとの共演は笑いをこらえるのが大変だったんですよ(笑)
現場で竹中さんが監督にセリフ確認をされていて、監督が「それでお願いします」って言っても、本番になったら全然違うことを竹中さんはやられていて(笑)、もう笑いをこらえるというか、マジメな顔をしているのがほんと大変でした。
竹中直人
僕も現場の雰囲気っていうか、その場のノリで動いているんで、全然覚えていないんですよ。何をしたのか。役のこととか考えたことないですから(笑)監督の眼差ししか見ていないので。
2020年、叶えたい夢
– 本作は夢を叶える俊太郎が主人公の物語ですけど、唐突な質問ですが、皆さんが来年叶えたい夢、それぞれ教えて下さい。
成田 凌
俺、健吾さんと(高良健吾出身地の)九州で遊ぶって約束したんですよね。それやりたいですね。
高良健吾
そう、カツベンやろ!
黒島結菜
来年は登山をやりたいなと思います。東京から日帰りで行けるような山もあるみたいなので。
一昨年に富士山は登りましたけど、もっといろんな面白い山があるので、それにチャレンジしたいなって思います。
永瀬正敏
僕も九州出身ですし、活動弁士の役もやりましたし、熊本から宮崎のあたりを宣伝で。
高良健吾
四駆の新車がほしいなっていうのが来年の夢なんですけど、九州、車で行けるわ!
竹中直人
“小さな箱を50個作りたいの。”
何言ってんだコイツって話ですけど、デタラメでごめんなさい。何も考えてないです(笑)なるようにしかならないから。
井上真央
オリンピックを生で観たいですね。スポーツ観戦はなんでも好きなんですが、今のところチケットは1枚も当たってないので、まずは当てて、なんでもいいから観たいです。
竹野内豊
子どもの頃、川とか山とかで遊ぶことが多かったんですけど、最近は自然と触れ合うことをぜんぜんしてないので、そういう時間を少しでも作れたらいいなって思います。
周防正行監督
10年以上の夢なんですけど、草野球でパーフェクトゲームをやること。パーフェクトゲームを達成したら野球を止めるって宣言してるんですね。それはできないことを知っているからで、困った夢だなとは思いますが(笑)
成田凌の俳優としてのベース
– そして成田さん、今年は映画賞など大変めざましい活躍をされていますが、成田さんの俳優としてのベースはどういったところにあるのでしょうか?
成田凌
難しいなぁ。恥ずかしいなぁ。あんまり考えないというか、この作品をやったことですべてが変わってしまったといいますか、今はほんとに楽しむ!この方々を見ていて、周防監督を見ていて、ものすごく楽しい現場なんですよね。やっぱりこれからも主演というものをやっていきたいので、楽しい現場にするぞって、自分が責任感を持ってやっていきたいなと思っています。
フォトギャラリー
[wppa type=”content” album=”218″]
[写真・動画:Ichigen Kaneda/記事:Jun Sakurakoji]
映画『カツベン!』
STORY
一流の活動弁士を夢見る青年・俊太郎は、小さな町の映画館「靑木館」に流れつく。隣町のライバル映画館に客も、人材も取られて閑古鳥の鳴く靑木館に残ったのは、「人使いの荒い館主夫婦」、「傲慢で自信過剰な弁士」、「酔っぱらってばかりの弁士」、「気難しい職人気質な映写技師」と曲者揃い。雑用ばかり任される俊太郎の前に突如現る大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察、そして幼なじみの初恋相手!俊太郎の夢、恋、青春の行方は――。俊太郎の活弁がうなるとき、世紀のエンターテイナーの物語がはじまる。
出演:成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 音尾琢真 竹中直人 渡辺えり 井上真央 小日向文世 竹野内豊
監督:周防正行 脚本・監督補:片島章三 音楽:周防義和
活動弁士監修:澤登 翠
活動弁士指導:片岡一郎 坂本頼光
©2019「カツベン!」製作委員会
公式サイト:http://www.katsuben.jp/
予告編
2019.12.13 大ヒット公開中
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。