河合優実の運命の出会いの告白に佐藤二朗、稲垣吾郎驚愕!映画『あんのこと』完成披露上映会【完全レポート】
2024年5月8日、イイノホールにて、映画『あんのこと』完成披露上映会が行われ、主演の河合優実、そして、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督が登壇。実際にあった壮絶なできごとを題材にして本作への取り組みを語ると共に、それぞれに運命の出会いを明かした。
本作は、2020年6月、新聞に掲載された「ある1人の少女の壮絶な人生を綴った記事」に着想を得て描かれた人間ドラマ。今注目の若手俳優・河合優実が機能不全の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れる少女・杏を演じ、『SRサイタマノラッパー』や『ビジランテ』などで現代社会の問題にスポットライトを当ててきた入江悠監督がメガホンを取った衝撃作。
舞台挨拶【完全】レポート
河合優実(香川杏 役)
皆さん、足を運んで下さりありがとうございます。たくさんのお客さんを目の前にして、皆さんに温かい拍手をもらって、1年半ぐらい前に撮影したんですけれども、皆さんの元に届くんだということをすごく実感しています。
佐藤二朗(多々羅保 役)
4年前、この国の片隅で本当に起きた話です。気楽に見れるような映画ではないですが、なにか感じていただければと思います。映画の内容が内容なので、今日は一切ふざけないでつもりで来ております。ふざけそうになったら、吾郎ちゃんにストップをかけてもらいたいと思います(笑)
‐期待しております♪(MC:伊藤さとり)
佐藤二朗
焚きつけるのはやめてください!
稲垣吾郎(桐野達樹 役)
今日の完成披露上映会にお越しいただきましてありがとうございます。
ようやくこうやって完成して、入江監督、そして制作スタッフの皆様、そして僕ら出演者一人一人の熱い想いがぎゅっと詰まった映画を、皆さんお届けできる日を迎えられることを本当に嬉しく思っております。
今日は限られた時間ではあるんですけれども、僕もシリアスなって、もしふざけそうになったら二朗さんに止めてもらうと思います。
佐藤二朗
いやいや、あなたが止めてください。お互い様です。
稲垣吾郎
河合さん、止めてください。
河合優実
はい!
稲垣吾郎
よろしくお願いします!
入江悠(監督・脚本)
2020年から始まったコロナ禍を経験したときに、実際にこの事件があったんですが、ある種の時代を切り取って記録するのも映画の役割だと思って脚本を書いて、そして素晴らしいキャストの皆さんに集っていただきました。今日は初めてお客さんにご覧いただく日です。
‐入江監督が言ったように実際に起きたことをベースにした作品の脚本を読んだときの印象と役作りは?
河合優実
実在する方のお話ということが、最初から最後まで自分の中でとても大きくて、強い気持ちを大切にしないとできないものだなっていうことを思っていたんですけど、脚本をいただいて読んだ時に、入江さんは同じ気持ちで覚悟しないとできないなって思いながら書いた脚本なんだろうなっていう“気”みたいなものを、内容以前に強く受け取る部分がありましたので、どこまで真剣に、誠実にやるっていうことに最後まで徹していました。
そして、その中で、御本人に近づきながら、途中から“香川杏”という、この映画の中の一キャラクターとして、役として作るという方向に途中からシフトしたという感覚です。
‐その杏にとって重要なキャラクターが、佐藤さん演じる、刑事・多々羅です。
佐藤二朗
皆さん、これからご覧になるので、詳しいことは言えませんが、吾郎ちゃん演じる週刊誌の記者・桐野も、僕が演じる刑事・多々羅も、この不遇の少女を救おうという気持ちが本気だったというのは終始一貫しています。
‐本編をご覧になった方はビックリされますよね。
稲垣吾郎
そうです。佐藤二朗さんも、河合優実さんも、稲垣吾郎さんもスクリーンの中にいません。
佐藤二朗
良いこと言う!吾郎ちゃん!その通り!
稲垣吾郎
(観てくれた方が)そう思ってくれたら、僕らとしては成功ですよね。
なので、ここで、普段の僕らは出さない方がいいのかも。
佐藤二朗
出さない方がいいのか!?そうか、そうだな!
最初は、稲垣吾郎が出てきた、佐藤二朗が出てきた、河合優実が出てきたと思うかもしれないけど、映画の途中からは、桐野であり、多々羅であり、香川杏だと思っていただけたら僕らとしては一番嬉しい。
稲垣吾郎
ね!成功だと思います。
‐実在した人物をベースにまた違うキャラクターということで、私は胸が締め付けられる想いでした。稲垣さんはこの映画に関わって、社会に対する見方は変わりましたか?
稲垣吾郎
僕も最初、これが実話に基づいた話ということで、シナリオいただいた時には本当に胸が張り裂けそうな思いで衝撃でした。そんなこの作品に、桐野の役として、監督に呼んでいただいたので参加させていただきました。
撮影中はとにかくこの杏ちゃんの心の声、心の叫びを皆さんに届けたいという想いで演じていただきました。皆さん、観終わった後は多分、きっとこういうことって本当に起き得ることで、明日、何が起きるか分からない。急にそうやって絶望に陥ってしまうことって人間はあるんじゃないかなって、多分皆さんも思ってくださると思うんです。
でもそんな時に、それを救ってあげられる、安心できる社会とか、そういう人たちの声をちゃんと聞いてあげられる、手を差し伸べてあげられるような世の中を作っていかなきゃいけないのかなって、つくづく僕は感じました。
僕らもまだ解決できていないので、この映画をご覧になった方の意見を是非聞きたいです。
‐実際にあったことをここまで繊細に脚本に落とし込み、映画化するにあたって入江監督がこだわったことは?
入江悠(監督・脚本)
脚本を書いたものの、モデルになった女の子は20歳ぐらいなので、僕はオッサンなのでわらかないなって思って、河合さんに委ねていたことがけっこう大きいんです。オッサンが若い子のことをわかったつもりでやるといろいろマズイじゃないですか。
佐藤二朗
イタイよね。
入江悠(監督・脚本)
イタイ感じになるじゃないですか。
稲垣吾郎
でも監督のその客観性で杏を見ているというのが、ドキュメンタリーのようで、それがすごく伝わりました。
佐藤二朗
脚本と演出を兼ねていると、どうしても自分の作品ってなるんだけど、役者に委ねる部分もあると。でもそれってけっこう大変じゃない?
自身でもいろいろ取材されたと思いますし。それを優実ちゃんに預けようと思われたのはスゴイなって思う。
入江悠(監督・脚本)
そういう意味で言うと、河合さんだけじゃなく、二朗さんと吾郎さんもそうですけど、現場でなにか言った記憶はあんまりなくて、皆さんがけっこう脚本に共鳴していただいたので、そういう皆さんがどう持ってくるのか楽しみに見ている感じがありました。
稲垣吾郎
河合さんは、最初に役の気持ちの準備があれば、あとは現場に行けば、その場で起きることを大切にしながらその人間にいることを大切にするっておっしゃってましたよね。
河合優実
そうです。入江さんが委ねてくれたって今言ってくれたんですけれど、私も自分がそこに居るっていうこと以外のすべてを、入江さんと現場に委ねているような気持ちでいました。
‐河合さんは、佐藤さん、稲垣さんと共演されていかがでしたか?
河合優実
こういう題材だからといって、(心を)閉じ過ぎたりとか、話さないようにしようということは全然なくて、和気あいあいと撮っていた記憶はあるんですけど、今日、お二人とお話していると、やっぱりこんな楽しく話せてなかったなって思います(笑)
佐藤二朗
さっき吾郎ちゃんとも話したんだけど、3人共そうだったんだを思うけど、役によって相手と話さないとか、(心を)クローズしちゃうとか、良い悪いじゃなくて、でもこの3人はそうじゃないんだけど、やっぱり、今日会う河合優実がものすごく明るく見えたので、1年半前の撮影現場では(役を)背負ってたんだなてって。
稲垣吾郎
そう!当然なんだけど、(今日会って)ビックリするところもあった。
河合優実
でも空気としてはやっぱり、3人共そう感じます。
佐藤二朗
うん、吾郎ちゃんもそうだよ。
桐野もある意味とても辛い役じゃないですか。だから、今日よりは(1年半前は)暗い感じだった。
稲垣吾郎
二朗さんは今日よりは肥えている感じでした。
(会場笑)
佐藤二朗
『あんのこと』は1年半前に撮っていて、それからある映画のために私、12kg痩せたんです。
だからこの作品を撮った時は、今よりは太っているんです。だからそれを観た人がSNSで「佐藤二朗、太った?」って。いやいや、痩せたんです!
稲垣吾郎
でも、物語はシリアスだけど、現場では明るい雰囲気はありましたよね。
河合優実
そうですね。あんまり暗く撮っていたという印象は無いです。
▼不適切にもほどがある!?
‐河合さんはほんとうにスゴイ役を演じられたと感じたんですが、佐藤さん、稲垣さんでそれを感じたところはありますか?
佐藤二朗
予告編の冒頭にあるシーンの前に、河合優実が「いいですか?」って言って、両手で僕の手を握ったんです。
入江悠(監督・脚本)
それ知らない!
佐藤二朗
そう、コソってやったから。でも僕はその意味がわかったんです。彼女は、この大事なシーンをやる前に相手役の佐藤二朗の体温を感じたかったら。
その気持ちは僕もわかって、そういうことで芝居が変わると、僕も思うから。
後輩の河合優実にそんなことさせたら、絶対にこのシーンは外せないなって思えて、逆に僕は河合優実に感謝しています。俺にもそういう気持ちにさせてくれたって。
稲垣吾郎
すごい!言う方も勇気がいるし、でもとても大切なことだよね。
佐藤二朗
そう、もちろん作品によっていろいろなんだけど、この作品のこのシーンではすごく意味があった。
入江悠(監督・脚本)
それはちゃんと絵に出ていますね。
河合優実
あんまり言うと、観る方がそれを思って観ちゃうから・・・(汗)忘れてください!
(会場笑)
佐藤二朗
あ、ゴメン!
稲垣吾郎
ゴメンゴメン、「不適切にもほどがある」よね!?
(会場笑&大拍手)
佐藤二朗
どっかで言おうと思ってたのに(悔)
‐河合さんは本作を通して人生観とか変わりましたか?
河合優実
いろんな役がありますが、この作品の役は、これまでもこれからも特別だと思っているので、そういう意味でこの役を経験できたことは、とても大きかったし、ちょっと言葉で言うの難しいんですけど、いろんなことがこの先あるだろうけど、これをやったっていうことが自分の糧になるし、この経験自体が(自分の)支えにもなるだろうと思っています。
▼運命を変えた、人生の転機となった出会いは?
‐本作にちなんで、運命を変えた、人生の転機となった出会いのエピソードについて教えてください。まずは河合さんからお願いします。
河合優実
え~、ちょっとシンキングタイムをください。
佐藤二朗
ダメですよ、あなた主演なんだから。
河合優実
ダメですか?
え~と、私は高校3年生のときに事務所に入ったんですけど、きっかけは高3の夏に、やっぱり俳優を目ざしたいと決心して急に進路を変えて、受験勉強を一切やめて、気分転換に映画を観に行ったら、その日の夜に・・・、これはちょっと今の若い人にお勧めしないんですけど、「今日映画館でこの映画を観てた人ですか?僕は映画を作っている学生です。僕の映画に出てほしいです。」っていうDMが届いたんです。(当時の)私は顔を出してSNSのをやっていたので。
でも怖いじゃないですか。だから人がたくさんいるところで会おうと言って、高校の文化祭にその人を呼んで初めて会って大丈夫かなと思いながら一緒に初めて映画を作ったことがありました。それが人生で初めて出た自主映画です。
でも真似しないでくださいということは言っておきます。ネットで声をかけてくる人とは会わないでくださいとは言っておくんですけれど、でも、運命の出会いではありました。
佐藤二朗
その声をかけてきた学生が、今有名な監督だとか?
河合優実
そうではないです。。。
稲垣吾郎
オチを求めないでください!
佐藤二朗
ごめんなさい!
稲垣吾郎
スゴイ話じゃないですか。
河合優実
充分ですか?
佐藤二朗
充分ですよ!
(会場拍手)
稲垣吾郎
そのとき、楽しいとかやりがいとか、手応えがあったんだよね?
河合優実
何もわからずやってみましたけど、この(俳優の)お仕事がしたいと思って、そのすぐ後に観に行った映画館でそういうことが起きたので、これは運命かなって思っちゃいました。
‐佐藤二朗さんはいかがですか?
佐藤二朗
僕がもうそんな素敵なエピソードではなく、もう“妻”です!
稲垣吾郎
おぉ~!
(会場拍手)
佐藤二朗
だからエピソードはなんもないです。昨日、私の誕生日でして、
(会場拍手)
稲垣吾郎&河合優実
おめでとうございます!
佐藤二朗
なんにもいらないから大丈夫!55歳になったんですけど、僕はいつも家で、350mlの発泡酒を飲むんですけど、妻からは「はいこれ」って、ヱビスビールの350mlをもらいました。
(会場拍手)
佐藤二朗
こういうとき、“妻”って言っておくのが一番無難なんです!
稲垣吾郎
え~、どうしよう?妻はいなしなぁ。
佐藤二朗
妻じゃなくていい。俺と同じじゃなくていい。
稲垣吾郎
中学2年生ぐらいからこの業界にいて、けっきょくずっと(一緒に)やってきたメンバー、まぁ、グループは解散してますけど、今は草彅さん、香取さんとはずっと一緒にやっているので、これはすごいことだなって思って。もう30年以上ですから。それで、今は3人で新しい地図としてやってて、今はファンミーティングのツアー中なんです。そこに来てくれるお客さんも、もうデビュー当時から来てくれているお客さんとか、親子、下手したら3代で来てくれて、それはすごく運命を感じます。
でも、妻はいいですね♪
佐藤二朗
いいよ♪結婚とはいいもんだよ!
稲垣吾郎
ありがとうございます!頑張ります!
入江悠(監督・脚本)
僕はずっと自主映画をやってきたんですけど、今回の『あんのこと』の元になった記事を持ってきてくださったプロデューサーの國實瑞恵さんに韓国の映画祭でお会いして、「入江くんは、商業映画の世界に興味ありますか?」って誘っていただいんです。
佐藤二朗
國實さんっていう白髪でとても品の良いプロデューサーさんがいらっしゃるんです。身長はこれくらいで(手振りで50cmぐらい)
(会場笑)
佐藤二朗
そても素敵な方なんですが、その方に入江悠が見出された?
入江悠(監督・脚本)
はい。僕の自主映画が韓国で上映があって、満席で入れなかったんですよ。で、DVDを持っていって(國實さんに)お渡ししたのがきっかけです。僕が29歳ぐらいの頃のことです。
稲垣吾郎
運命の出会いだよね~。
入江悠(監督・脚本)
で、久しぶりの声をかけていただいたのが、この映画の元になった新聞記事の紹介だったんです。これはスゴイ!と思って。
自分でこの記事を読んでも、大変な話だとは思っただろうけど、國實さんに「どうですか?」って言われて、これは人生で一番大きな課題を与えられたなと思って取り組もうと思いました。
なので、國實さんの存在はすごく大きいです。
▼最後にメッセージ
河合優実
どういう物語かっていうのはもう観ていただけたらわかると思いますし、今、お話したように、私たちはすごく大切に思って、みんなで真剣に作った映画だということだけは言えるので、もうそれ以外のことは一度心を空っぽに、まっさらにした状態で皆さんに観ていただいて、現実の世界に、自分が考えたこととか、受け取ったものを照らしていただけたら嬉しいなと思っています。今日は本当にありがとうございます。
■フォトギャラリー
[記事・写真:三平准太郎]
映画『あんのこと』
《INTRODUCTION》
2020年6月、新聞に掲載された「ある1人の少女の壮絶な人生を綴った記事」。その1本の記事に着想を得て描いた人間ドラマ『あんのこと』が2024年6月7日(金)より全国公開となる。今注目の若手俳優・河合優実が機能不全の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れる少女・杏を演じ、『SRサイタマノラッパー』や『ビジランテ』などで現代社会の問題にスポットライトを当ててきた入江悠監督がメガホンを取った衝撃作。
《STORY》
香川杏、20歳。シャブ中でウリの常習犯。ホステスの母親と足の悪い祖母と、3人で暮らしている。子どもの頃から、酔った母親に殴られて育った。小4から不登校。初めて体を売ったのは12歳で、相手は母親の紹介だった。希望はおろか絶望すら知らず、ただ繰り返される毎日。そんな薄暗闇の世界が、ある出会いをきっかけに少しずつ変わり始める。だが、やっと繋がった細い糸も突然のコロナ禍に断ち切られてしまい──。
出演:河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、河井青葉、広岡由里子、早見あかり
監督・脚本:入江悠
製作:木下グループ 鈍牛倶楽部
制作プロダクション:コギトワークス
配給:キノフィルムズ
© 2023『あんのこと』製作委員会
公式サイト:annokoto.jp
公式X:@annokoto_movie
2024年6月7日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。