「貧困少女の事実を知ってほしい」中井友望 初主演映画『サーチライト‐遊星散歩‐』公開記念初日舞台挨拶
2023年10月14日、新宿K’s cinemaにて、映画『サーチライト‐遊星散歩‐』公開記念初日舞台挨拶が行われ、本作が映画初主演となった中井友望、そして、安藤聖、音楽・主題歌の合田口洸、平波亘監督が登壇。貧困且つヤングケアラーの状況にある少女を描いた本作の撮影エピソードなどを語った。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画
■テキスト&フォトレポート
‐台本を読んだときの最初の印象は?
中井友望(内田果歩 役)
一番最初に読んだのは3年前。今とはぜんぜん違う内容でした。その後どんどん変わっていくのを見ていました。最終的に今の台本になったときに、物語が見えて、自分がすんなりと入っていけるなと感じました。
‐最終的には中井さんを当て書きされたそうですが、いかがですか?
中井友望
当て書きだからこそ、無理なく(撮影現場に)居れたなと思います。
‐安藤さんは台本を読んだときの最初の印象はいかがですか?
安藤聖(内田貴子 役)
まず、ヤングケアラーの実情と、そんな頑張る彼女の青春と、最後には彼女の希望が描かれていて、読んでいる私はすごく悲しい気持ちになったり、逆にホッとしたり、自分の中の感情をいろいろ動かされる読み物だなと思いました。
‐中井さんと安藤さんの2人の親子の絆が感じられるシーンがたくさんありますが、共演してみていかがでしたか?
中井友望
撮影自体は2日か3日ぐらいでしたよね。
安藤聖
そうなんです。中井さんは出ずっぱりだったので、連日撮影だったんですけれど、私が中井さんにお会いするのは現場だけで、控室でも会わなかったので、そんなお話する機会もなく。
中井友望
机で2人で対峙するシーンはとても緊張感があって、良いシーンが撮れて良かったなと思います。
安藤聖
現場に行くと、中井さんはもう“果歩”なんです。遠くから見ててもその立ち姿さえも果歩そのものでした。
私がセリフを投げて果歩ちゃんが受け取るという芝居が多かったんですが、すべて受け止めてくれて、とても頼もしい存在でした。
そういう中、印象的だったのは、果歩が12、3歳の設定で写真を撮ったとき。家族写真用に。そのときの中井さんは、ちゃんと12、3歳になって、きゃぴきゃぴ騒いでくれるんです。
中井友望
なんか、あんまり嬉しくない(笑)
安藤聖
褒め言葉。ほんとに褒め言葉!
‐平波監督から見たキャスト2人の印象は?
平波亘監督
僕がこの作品の監督をやると決まったとき、中井さんが主演であることは決まっていたので、「中井友望ってどんな子だろう?」ってまず思いました。で、顔合わせしたときに「なるほどな」って納得しました。果歩としての説得力がすごくあるなと感じましたし、大丈夫だって安心感もありました。
実際、現場でもずっと果歩で居てくれて、役についてのディスカッションはそんなにせずとも、軌道修正をすることもほとんどなかったので、僕としてはとてもやりやすかったです。
平波亘監督
安藤さんは、僕が「お母さん役は安藤さんでお願いします」と提案しました。若すぎないかという説もありましたが、果歩と貴子は親子でありながら、姉妹にも見えたらという想いもありましたので、あとは安藤さんなら大丈夫だって確信していました。
貴子の病名は「レビー小体型認知症」なんですが、役を演じていただくにあたって、2人でここはこうかな?とか、やりとりを現場でできたので、その時間は貴重な経験になりました。
‐合田口さんは、劇伴、主題歌、エンディング主題歌と音楽周りをすべて担当されました。その中で主題歌の2曲へ込められた想いは?
合田口洸(音楽・主題歌)
もちろん、映画の主題歌で、エンディング曲であるということは大きな要素なので、果歩とお母さん、そして輝之(演:山脇辰哉)の気持ちをしっかり代弁できるようにという想いを込めました。
僕は、俳優でもなく、劇伴作家でもなく、アーティストだと自分のことを捉えていて、自分が歌う言葉にひとつも嘘が無いようにということを常に考えています。昔は違ったんですけれど、今はもうそういうのはやめようと思って、ほんとのことだけを歌おうと決めています。
仮にこの映画作品が無かったとしても、僕の歌として成立するように書きましたし、そこに込めた想いは大きく3つあります。
1つは、自分が自分のことをしっかり愛して、オリジナルの人生をしっかり生きているということ。
2つは、果歩のような、深い悲しみ、寂しさ、絶望に苛まれてしまって、目の前が真っ暗になっても、僕らが大丈夫なようにするからどうか生きてほしいということ。
3つめは、個人的な想いなんですけれど、僕は今でもあなたを愛していますという愛を込めています。
‐本作は、主人公の果歩が未来が見えない中、家族を守ろうと必死に奔走します。それにちなんで、皆さんの「これだけは譲れない、大切なもの」を教えてください。
平波亘監督
映画です!
中井友望
私も映画です!
安藤聖
私は家族です。
合田口洸
あると言えばあるし、無いと言えば無い。
僕は、生涯にひとりだけ、自分の人生全部を犠牲にしてでも守りたかった女性がいました。それは「アムネシア」などで歌っている“君”や“あなた”のことです。
でも結果、自分が壊れて、相手も壊してしまったということがあって。なので、自分を犠牲にして守りたいものがあったとしても、自分を犠牲にしては守れないと思っているので、「あると言えばあるし、無いと言えば無い」という、そんな禅問答のような答えとなっています。
‐最後にメッセージをお願いします。
中井友望
何年もの間、ずっと私の手元にあった映画が、今日やっと飛び立っていくんだなという保護者みたいな気持ちを初めて感じています。でも、公開して終わりじゃなくて、これからがほんとうに大事で、皆さんの力を借りながらこの映画の光をどんどん広めていければなと思います。
平波亘監督
昨年の2月、心身ともに冷える中撮影したこの作品が、ここまでこれたなとという実感がすごく嬉しいし、同時にいろんな気持ちが去来しています。小さな作品ですが、昨年末に一時上映したときも、受け取った方それぞれの熱い想いを感じられましたので、これからも頑張っていきたいと思います。
■フォトギャラリー
[記事・写真・動画:三平准太郎]
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映画『サーチライト-遊星散歩-』
この絶望を駆け抜けろ。
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少女の行き場のない想いが光を放つ。この真っ暗な世界で―。
INTRODUCTION
本作は一見普通の女子高生である内田果歩が、病を患った母・貴子との暮らしを守るために奔走する物語。大家族を養うためにバイト生活を送る同級生の輝之はそんな果歩の事情を知って気にかけるが、果歩はやがて禁断の「JK散歩」の世界に足を踏み入れていく…。そんな果歩が駆け抜ける街の空をサーチライトの光が射す。それは未来が見えない境遇の少女の道筋を照らす光なのか、それとも…。
主人公・果歩を演じるのは中井友望。ミス iD2019 でグランプリを獲得以降、昨年は立て続けに出演作が公開となり、来年2月には東京国際映画祭・アジアの未来部門に出品された『少女は卒業しない』の公開も控えるなど、女優として活動の場を広げている。輝之役に若手実力派の山脇辰哉、母・貴子役に映像や演劇で確固たるキャリアを築く安藤 聖。果歩をJK 散歩の世界へ誘う花先輩役にグラビアアイドルとして絶大な人気を誇る都丸紗也華。果歩と“お散歩”するサラリーマン・長谷川役を個性派の山中崇が演じて映画に奥行きを与える。他出演者に西本まりん、詩野、水間ロン、安楽涼など、多彩な顔ぶれが物語を彩る。
出演:中井友望 山脇辰哉 安藤聖 田口洸 都丸紗也華 安楽涼 西本まりん 詩野 大沢真一郎 水間ロン 橋野純平 / 山中崇
監督:平波亘
音楽・主題歌:合田口洸 Joseph Gen
企画・脚本:小野周子
企画協力:直井卓俊
配給:SPOTTED PRODUCTIONS|制作:800LIES PRODUCTION
© 2023 「サーチライト-遊星散歩-」製作委員会
公式サイト:https://searchlight-movie.com/
公式X:https://twitter.com/searchlight_DM7
予告編
2023年10月14日(土)より K’s cinema ほか全国順次公開
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