【インタビュー】中井友望「こういう貧困と戦う女の子がいるんだっていうことを知ってほしい」
映画『サーチライト-遊星散歩-』(10/14公開)で映画初主演を務める中井友望(なかいとも)。映画・ドラマの出演が続々と決まり注目を集める彼女に、経済的貧困に陥った少女を描く本作のテーマについてや撮影秘話などを聞いた。(直筆サインプレゼントあり)
病気の母を抱え、一人で貧困と戦う主人公・果歩(演:中井友望)。まだ高校生の彼女は、先の見えない人生に夢や希望が持てず、天を仰ぐしかない…。ギリギリの状態で踏ん張って生きる姿は、儚くもありながら、凛とした強さを感じさせる。
大家族を養うためにバイト生活を送る同級生の輝之(演:山脇辰哉)は、果歩の事情を知って気にかけるが、周囲の心配をよそに、果歩はやがて禁断の「JK散歩」の世界に足を踏み入れていってしまう。そんな果歩が暮らす街の空をサーチライトが照らす。
中井友望 インタビュー&撮り下ろしフォト
■私への当て書きで書いてくださった役
‐長編映画初主演のお話をいただいた時はどうでしたか?
中井友望(内田果歩 役)
いつか主演に挑戦したいと思っていたので、とても嬉しかったです。
‐台本を読まれた時の最初の印象は?
中井友望
辛い環境にいる女の子だなと思ったのと同時に、そういう環境や立場を私は経験したことはありませんが、感情とか気持ちの部分では共感するところがあったので、難しいというよりは、この役をやれるんだなっていう嬉しさの方が大きかったです。
‐果歩は、難しい環境にいる女の子ということですが、どういうキャラクターだと捉えられましたか?
中井友望
プロデューサーのご提案で私のことを知った脚本の小野さんが、私への当て書きで改稿してくださったんです。だから、性格、人との関わり方、感情とか、役作りをしたというよりは、自分がやりやすいように思ったまま演じられた感じがあります。
‐平波監督のコメントにも、撮影中の中井さんについて「そこに果歩がいた」というのがありますね。
中井友望
嬉しいです。そんなふうに思っていてくださったなんて。
‐中井さんが演じる果歩をそのまま受け入れてくれた感じでしたか?
中井友望
はい、そうです。
‐平波監督との撮影はどうでしたか?
中井友望
その日その日で、セリフが加わったり、減ったりすることはありました。それは平波監督が撮りながら、軌道修正されていっているんだろうなって思いましたが、それらについて私もなるほどと思えて、共通認識はずっと持ったまま撮影を進められたのかなと思っています。
■もっと多くの方に知ってほしい事実
‐以前のインタビューで中井さんご自身も学生時代、いろいろ悩みがあったとおっしゃってました。高校生の頃って、ただでさえ、自分のことで精一杯な時期ですが、そういうときに果歩のように、父が他界し、母も若年性認知症を発症していて、自分のことだけでなく家族のことも心配しなければならないヤングケアラーの状況について思われたことは?
中井友望
私が学生時代のときは、私自身から生まれた生き辛さに悩んでいたんですけれど、果歩は自分というよりは、家族の問題など外的要素からくる辛い状況に置かれています。そう考えると、果歩はまっすぐで一生懸命な女の子だなと思いました。
私が学生時代に持っていたややこしい感情は一切除外して(笑)、子どもの心で演じるようにしました。
‐果歩は、ただただ、お母さんと一緒に暮らし続けたいという思いだけなんですよね。だから外部に頼るという行動にもなかなか至らない。
中井友望
そう、それだけなんです。
ヤングケアラーというものがあるんだよっていうことを、この映画を通してもっと多くの方に知ってほしいです。そういうきっかけになる作品になればなと思います。
そして、輝之(演:山脇辰哉)のように、手を差し伸べる側の人にもなってほしいなと思います。
■ほんとうに怖かった・・・
‐内面的なかっこよさを持つ輝之を演じられた山脇辰哉さんとの共演はいかがでしたか?
中井友望
不器用な感じの役をとても器用にやる方だなと思いました。だから、個性的な役が多いイメージもありました。でも今回のように、ただただカッコいい男の子も演じられているのを見てすごいなって思ったし、同時にとても柔軟に臨機応変に演じられる方なんだなとも感じたので、安心して委ねられました。
‐輝之は、一見すると不器用そうに見えて、でも内面に強く真っ直ぐな意志を持っていて、へこたれずに前へ進む姿がとてもかっこいいなって思いました。
中井友望
そうなんです。この物語の中でかっこいい存在になれているなって思います。
‐撮影の合間の、素の山脇さんにはどんな印象を持たれましたか?
中井友望
輝之のかっこいい部分を抜いた感じ(笑)でも、一見人のことを考えてなさそうで、でもちゃんと配慮されている方だなって思いました。
‐普通の状態と認知症が発症した状態が行き来するという難しい役の母・貴子を演じられた安藤聖さんとの共演はいかがでしたか?
中井友望
撮影の合間の安藤さんは、とても明るくてあっけらかんとされていて、姉御肌な雰囲気のテンションの方なんですけれど、いざ、果歩のお母さんになると、弱々しい、守りたくなるような存在になるので、すごい!って思いながら見ていました。
‐少しだけですが、安楽涼さんも登場します。安楽さんは映画監督もされている方ですが、彼の印象はどうでしたか?
中井友望
初めましてで、安楽さんは、ああいう役(=JK散歩を買う男性)だったので、私の中ではそういう印象が付いてしまったんですけれど(笑)、ああいう役を純粋に演じられるのって、すごいなって思いました。
‐そして、ゲスさ全開の役を演じられた山中崇さんとの共演は?
中井友望
ご本人はとても優しい方なんですけれど、お芝居に入った瞬間から、果歩としてはほんとうに怖かったです。
だからこそあのシーンは、いいシーンになったと思いますし、そのあとに続く大切なシーンのためにも、山中さんに居てもらえてとても良かったなと思います。
‐本気で怖さを感じるってすごいですね!
中井友望
はい。怖かったぁ~
■だし巻き卵に砂糖を入れる?入れない?
‐果歩は家庭生活を支えるということで、キッチンで料理するシーンが登場しますが、中井さんご自身はふだん、料理はされますか?
中井友望
ちょくちょくします。一番の得意料理はだし巻き卵です。
‐だし巻き卵って難しいですよね?
中井友望
難しいんですけれど、むちゃくちゃ上手いです!
‐中井さんは大阪ご出身ですが、ちなみに味付けは、お砂糖を入れる派?入れない派?
中井友望
入れない派です。
‐私も大阪出身なんですが、初めて上京したとき、だし巻き卵というか卵焼き?味が甘いのにビックリました。
中井友望
そうですよね。とても甘い卵焼きを作る友だちがいるんですけれど、その子は山口県出身でした。お砂糖を入れる、入れないは家庭にもよるのかな?
■初ジブリ作品は、20歳のとき。
‐先ほど、インタビュー前に中井さんが好きな映画作品の話題で雑談しているのが聞こえてきたんですが、映画『さかなのこ』がお好きなんですか?
中井友望
とても好きなんです!さかなクンの役を他の誰が演じられるんだろう?って思わせてくれる、のんさんの魅力が100%詰まった作品でした。
『さかなのこ』の舞台挨拶もプライベートで言ったんですが、そのとき、沖田監督が「さかなクンの役は男の子かな?って当初は考えていたけど、のんさんが候補になったときから、のんさんだったらこの映画を撮れる。」というようなことをおっしゃっていて、私も確かにそうだなって思いました。
‐そのほか、最近お気に入りの映画作品ってありますか?
中井友望
私が子どもの頃の家では、ジブリ作品を観る習慣がなかったんですよ。ジブリ作品には、幼いときから触れる子が多いと思いますが、私はほんとうにその機会が無くて、私にとっての初ジブリ作品は、20歳のときに観た『千と千尋の神隠し』なんです。そのとき、「ジブリ作品ってこんなに面白いんだ!」って知って、それから『もののけ姫』や『となりのトトロ』『ハウルの動く城』『天空の城ラピュタ』も続けて観て、最近は『君たちはどう生きるか』。
そういった中、一番好きなのは『耳をすませば』です。
■一歩ずつ進んでいきたい
‐俳優として今後の抱負はありますか?
中井友望
今年公開された作品の撮影は、昨年だったものがほとんどなんですが、とても自信がついた1年でした。その想いを途切れさせることなく、今年も、来年も、一歩ずつ進んでいけたらなと思います。
‐最後に、これから『サーチライト-遊星散歩-』をご覧になる方へのメッセージをお願いします。
中井友望
重くて難しいテーマの作品かなって思う方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を通して、こういう一人の女の子がいるんだっていうことを知ってほしいです。是非劇場で御覧ください。
中井友望(なかいとも) プロフィール
2000年1月6日生まれ。大阪出身。
オーディションプロジェクト「ミスiD 2019」で、3500名の中からグランプリを受賞。
2020年、TVドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」(日本テレビ)でドラマ初出演。
主人公の初恋の相手を好演し、一躍注目を集める。主な出演作として、映画『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』(2020年/齊藤工総監督・岩切一空監督)、『かそけきサンカヨウ』(2021年/今泉力哉監督)、『シノノメ色の週末』(2021年/穐山茉由監督)、『ずっと独身でいるつもり?』(2021年/ふくだももこ監督)、『少女は卒業しない』(2023年/中川駿監督)、『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023年/阪元裕吾監督)、『炎上する君』(23/ふくだももこ監督)などがある。また、舞台やアーティストのミュージックビデオにも多数出演し、音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB [JOINT] 2021-2022」のイメージキャラクターも務めた。
第15回下北沢映画祭では短編映画「LIKE THAT OLD MAN」(こささりょうま監督)が上映され多数の賞を受賞。
ドラマ「君には届かない。」(TBS)、「OZU~小津安二郎が描いた物語~」第3話『非常線の女』(WOWOW)など出演作が続く。
■中井友望さん直筆サイン入りチェキ読者プレゼント
中井友望さんの直筆サイン入り撮り下ろしチェキを抽選で2名様にプレゼントします。
NB Press OnlineのX(旧Twitter)アカウント(@NB_Press_Online)をフォローの上、本記事紹介&プレゼント応募告知ツイートのRP(リポスト)で応募完了。
当選者には、TwitterのDMにてお知らせいたします。(参考:個人情報の取扱いについて)
応募締め切り:2023年11月5日(日)23時59分
【インタビュー&撮り下ろしフォト】
映画『#サーチライト遊星散歩』(10/14公開)で映画初主演。#中井友望「こういう女の子がいるんだっていうことを知ってほしい」直筆サイン入チェキ🎁(2名)
応募:本ポストをRP&@NB_Press_Onlineフォロー
締切:11/5 詳細は記事https://t.co/YqeVQOt1ms— NB Press Online (@NB_Press_Online) October 13, 2023
※チェキプリンタでその場で出力したもので写真はすべて同じですが、サインはそれぞれに書いていただきましたので、メッセージの内容、書き方、インクにじみなどの違いがあります。ご当選した場合でも、チェキをお選びいただくことはできませんので予めご了承ください。
■撮り下ろしフォトギャラリー
[ヘアメイク:横山雷志郎(Yolken)/スタイリスト:粟野多美子/写真・インタビュー:三平准太郎]
<衣装クレジット>
ブランイリス(ブランイリス トーキョー):イヤカフ 18,000円、ネックレス 70,000円、リング 32,000円
ダイアナ(ダイアナ 銀座本店):靴 16,000円
その他スタイリスト私物
※価格は全て税抜
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INTRODUCTION
本作は一見普通の女子高生である内田果歩が、病を患った母・貴子との暮らしを守るために奔走する物語。大家族を養うためにバイト生活を送る同級生の輝之はそんな果歩の事情を知って気にかけるが、果歩はやがて禁断の「JK散歩」の世界に足を踏み入れていく…。そんな果歩が駆け抜ける街の空をサーチライトの光が射す。それは未来が見えない境遇の少女の道筋を照らす光なのか、それとも…。
主人公・果歩を演じるのは中井友望。ミス iD2019 でグランプリを獲得以降、昨年は立て続けに出演作が公開となり、来年2月には東京国際映画祭・アジアの未来部門に出品された『少女は卒業しない』の公開も控えるなど、女優として活動の場を広げている。輝之役に若手実力派の山脇辰哉、母・貴子役に映像や演劇で確固たるキャリアを築く安藤 聖。果歩をJK 散歩の世界へ誘う花先輩役にグラビアアイドルとして絶大な人気を誇る都丸紗也華。果歩と“お散歩”するサラリーマン・長谷川役を個性派の山中崇が演じて映画に奥行きを与える。他出演者に西本まりん、詩野、水間ロン、安楽涼など、多彩な顔ぶれが物語を彩る。
出演:中井友望 山脇辰哉 安藤聖 田口洸 都丸紗也華 安楽涼 西本まりん 詩野 大沢真一郎 水間ロン 橋野純平 / 山中崇
監督:平波亘
音楽・主題歌:合田口洸 Joseph Gen
企画・脚本:小野周子
企画協力:直井卓俊
配給:SPOTTED PRODUCTIONS|制作:800LIES PRODUCTION
© 2023 「サーチライト-遊星散歩-」製作委員会
公式サイト:https://searchlight-movie.com/
公式X:https://twitter.com/searchlight_DM7
予告編
2023年10月14日(土)より K’s cinema ほか全国順次公開
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