【池田朱那×簡秀吉×田淵累生インタビュー】映画『威風堂々～奨学金って言い方やめてもらっていいですか？～』

8月30日に公開された映画『威風堂々～奨学金って言い方やめてもらっていいですか？～』。【奨学金】の実態を描いた本作で、主人公を演じた池田朱那と、彼女に様々な影響を与える役の簡秀吉と田淵累生の３人に本作のことについて話を聞いた。

 

本作は、2022年夏に単館映画ながらに大きな話題を呼び、その後自主上映やTikTok、YouTubeのショートなどでも切り抜き動画が後を絶たず、今もなお日本中にじわじわと広がり続けている消費税問題をテーマに高校生たちが奮闘する社会派青春ストーリー映画『君たちはまだ長いトンネルの中』に続く第三弾で、奨学金制度の闇を、なるせゆうせい監督が描く。

 

主人公の平凡な大学生だったが、奨学金返済の為に裏バイトに手をだしてしまう少女、唯野空（そら）役を演じるのは池田朱那。

空の大学の同期で、一際異色で魔性な雰囲気を持ち惑わせる少女、九頭竜レイ役を演じるのは吉田凜音。

主人公と付き合う純粋無垢で心優しいが、お金の管理が全くできないダメ男の蛭間拓人役は簡秀吉。

空と同じく奨学金を背負うも、クラウドファンディングで一気に返済をしたミステリアスな雰囲気の青年、水江聡太役は田淵累生。

池田朱那×簡秀吉×田淵累生 インタビュー＆撮り下ろしフォト

 

‐池田さんは『17歳は止まらない』に続き長編映画の主演として、高校生から大学４年生までの演じ分けで意識したことは？

 

この映画をご覧になるいろんな経験をお持ちの方に共感していただくには、私自身が“空”として等身大の女の子でいることがとても大切だなと感じました。なので、気負うこともなく、何かを誇張するでもなく、本当にどこにでもいるような女の子でいることを特に意識しました。

‐簡さん、田淵さんが、それぞれ演じられたキャラクターの特徴と、演じるにあたって意識されたことは？

 

“拓人”はいろんなことに無頓着なんですが、ところどころに見せる可愛さを持ったキャラクターです。空ちゃんを困らせる存在の彼氏でもあるのですが、存在感を示すためにも、特にそこを意識して演じました（笑）

‐簡さんと拓人で似ている点はありますか？

 

まったく似てないですね。

 

えぇ～、そうかなぁ？

 

（笑）

 

“聡太”は、奨学金撤廃の活動をするんですが、そんな大学生はなかなかいないと思うんです。そういった変わったキャラクターを演じる上で、頭は良くて学歴は高いんだけど、変に早口だったり、人とのコミュニケーションが歪でちょっと異質な雰囲気の人物を想像しました。

‐なるせ監督の【社会派青春シリーズ】として、奨学金をテーマにした本作について、台本に接したときにどういう印象を持たれましたか？

 

奨学金という制度があることは知っていましたが、その実態については詳しくなかったので、台本を読んで衝撃を受けました。奨学金＝借金というイメージが私の中になかったからです。

そして、お金の困りごとに対する行政の支援制度って、奨学金以外にもいろいろありますが、自分で調べるようにしないと、知らないままだったりもしますから、なるせ監督のこの映画シリーズを通して、もっと教えてもらいたいなと思いました。

僕も、奨学金については詳しくなかったので、まず調べるところから始めて、その上で台本を読んだんですが、空ちゃんの等身大の姿を通して、とてもリアルに描かれているなと感じました。

奨学金制度について、賛成意見、反対意見といろいろあると思いますが、この映画を通して共感してもらえる点はきっとあると思いますから、幅広い世代の人に観ていただきたいです。

僕は大学に通っていたので、身近に奨学金制度を利用されている方はいたんですが、漠然と「奨学金を借りられる＝優秀な学生向けのすごいこと」という認識でしかなかったんです。なので、この映画の台本を通して、その認識が必ずしも正しくないってことを感じましたし、この映画を通して、特に学生の皆さんに奨学金制度の実態が伝わればなと思いました。

‐監督・脚本のなるせ監督からはどういう演出がありましたか？

 

私たちキャストにほとんど任せてくださっていたんですが、私の場合は「変顔してくれ」という演出がありました（笑）

たぶんですが、なるせ監督の中で、奨学金の重いテーマの作品だけど、ポップで明るい要素を入れて、中高生でも観やすくしたいというのがあったのかなと思っています。

本読みや衣裳合わせのときに、なるせ監督とお話して、僕が持ってきた拓人のイメージと、なるせ監督が思っている拓人のイメージとがマッチングしたので、撮影のときは特に何も言われませんでした。

 

‐衣裳と言えば、劇中、拓人は「貧乏神」というロゴが入ったTシャツを着ていましたね。

 

あれはたぶん、なるせ監督の趣味だと思います（笑）

僕がなるせ監督から撮影前に唯一言われたのは、「チェ・ゲバラ（※）みたいに」ということ。熱い闘志を持った革命家のイメージであってほしいということでした。

撮影現場では特に何も言われませんでしたので、たぶんできていたのかもしれません（笑）

‐簡さんと田淵さんの共演シーンはありませんので、池田さんから見た簡さん＆田淵さんの印象、そしてその逆についてもお聞かせください。

 

簡くんがさっき「拓人と僕は似ていない」と言ってましたが、私から見た簡くんはほんとうに真っ直ぐな方なんですよ。そういう真っ直ぐさは拓人には必要だなと私は思います。

そして、田淵さんですが、異質なインテリ学生を意識したと言ってましたが、お芝居を通してしか見てないので、本当にそういう人だと思っていました（笑）なので、今日のインタビューでお会いして、こんなに柔らかくて親しみやすい方なんだってことを知って安心しました（笑）

‐簡さんから見た池田さんの印象は？

 

僕と年齢が近いんですけど、テキパキとしっかりしていて明るい方で、お芝居の掛け合いでも、とても楽しかったです。可愛いくて頼もしい方です。

池田さんとのシーンは１シーンだけなんですけど、僕が演じる聡太（の一方的な論説）に、本当に悲しそうな顔をするんですよ（笑）

あまりにお芝居がリアルなので、本当に申し訳ないと思いながら演じてましたが、今日お会いして、改めて素敵な方なんだなと思いました。

‐最後の質問です。劇中、拓人はYouTuberになりますが、皆さんがもしYouTuberになるとしたら、もしくは見るのが好きなテーマはなんでしょう？

 

僕は旅するYouTuberが好きなので、旅のVlogを撮っているYouTuberになりたいです。

 

私は、かまいたちさんとNiziUさんが大好きで、この２つのYouTubeばかり見ています。

 

僕は、さらば青春の光さんのYouTubeをよく見ています。中でも「馬狼」が好きなんです。「馬狼」とは、７枚の馬券を買って、７枚の芸人に分配して、当たっている一人が誰か？を当てる、人狼ゲームの馬版です。これがめっちゃ好きで。

 

面白そう！！

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真：三平准太郎／ヘアメイク：稲富愛／スタイリスト：RYUSEI MORI]

 

2001年10月31日生まれ。群馬県出身。

『20歳のソウル』（22／秋山純監督）、大河ドラマ「いだてん～東京オリムピック噺～」(19/NHK)、「青天を衝け」(21/NHK)、ドラマW「インフルエンス」(21/WOWOW) 、よるドラ「ここは今から倫理です。」 (21/NHK) など映画からドラマまで話題作に数多く出演。2022年公演の舞台「群盗」（演出・小栗了）ではヒロインを務め、「ふたりの背番号4」（22/ABC）ではドラマ初主演に抜擢される。23年8月には初の主演映画『17歳は止まらない』（北村美幸監督）が公開。今年放送されたドラマ「東京タワー」(24/テレビ朝日)では怪演と話題になった。今、注目の若手女優。

 

簡秀吉（かん ひでよし）2002年10月23日生まれ。京都府出身。ドラマ「ナンパMG5」（CX）で俳優デビューし、ドラマ「仮面ライダーギーツ」（EX）でドラマ初主演、主な出演作品に映画「High&LOW THE WORST X」、主演ドラマ「好きやねんけどどうやろか」（ytv/NTV）など。

現在「君と行きて咲く 〜新選組青春録〜」（EX）、「伝説の頭 翔」（EX）に出演中。

 

1995年9月12日生まれ、石川県出身。舞台『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-より俳優活動を開始。2019年に舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち で和泉守兼定役に抜擢され、以降舞台『弱虫ペダル』巻島裕介役、舞台『文豪ストレイドッグス』太宰治役 など話題作に多数出演。2024年6月からは舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯 で再び和泉守兼定を演じ、同年9月には舞台「あの春は、いつまでも青い」-永南高校バスケットボール部-で主演を務める。

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