吉田美月喜

【インタビュー】吉田美月喜「絶対に負けないという強い気持ちが自分の中にある」

3月で20歳を迎える、俳優・吉田美月喜。Netflixオリジナルドラマ「今際の国のアリス」に続き、続々と主演映画が目白押しだ。そのひとつが、1月27日(金)公開映画『あつい胸さわぎ』。ずっと笑っていたという撮影現場のことなどを聞いた。

本作は、演劇ユニットiakuの横山拓也氏が、母と娘の視点から乳がんをテーマに描いた傑作舞台『あつい胸さわぎ』を、上海国際映画祭にてアジア新人賞を受賞した、まつむらしんご監督と、映画『凶悪』にて日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した脚本家、髙橋泉の手によって映画化。主演の千夏には吉田美月喜を抜擢。同じく主演の昭子役を常盤貴子が演じ、映画の舞台は和歌山県にて撮影された。

吉田美月喜 インタビュー&撮り下ろしフォト

吉田美月喜(よしだ みづき)プロフィール
東京都出身。19歳。
2016年にスカウトされ、芸能界デビュー。初めて受けたオーディションで、花王『リセッシュ』のCM出演決定!
過去にはNTVドラマ「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」、TBSドラマ「ドラゴン桜」、映画「鬼ガール!!」、映画「たぶん」、話題となっている Netflix オリジナルドラマ「今際の国のアリス」ではキーマン役で出演している。
現在、主演映画「カムイのうた」、「パラダイス/半島」の公開が控えており、2月25日から放送予定の日本テレビドラマ「沼る。港区女子高生」ではメイン出演か決定し、注目を浴びている。

吉田美月喜

吉田美月喜

■私のままで役として居ることができた

-『あつい胸さわぎ』の脚本を読んだ時の印象を教えてください?

吉田美月喜(武藤千夏 役)
この作品は病気のこと、初恋の甘酸っぱさ、親子のすれ違いとかなどが描かれていますが、同時にとても温かいものを感じて、読んでて心地良いなって思いました。

吉田美月喜

-どのあたりに温かさを感じましたか?

吉田美月喜
千夏がどんなことになっても、周りの人が誰も見放してなくて真剣に向き合ってくれていて、そこに温かさを感じました。

-撮影はいかがでしたか?

吉田美月喜
まつむらしんご監督にメイキングの映像を見せてもらったら、ほとんどのシーンの撮影で私が笑っていて、監督からは「仕事をしている人とは思えないくらい」って言われました(笑)
それぐらいひたすら楽しんで撮影していました。常盤貴子さん、前田敦子さんをはじめ、皆さんから全力で楽しめるように支えていただいていたんだなと思います。

-楽しみながら撮影されたとのことですが、その中で演じていて印象に残っているシーンについて教えてください。

吉田美月喜
私の中で印象に残っているシーンは、お母さん(常盤貴子)とぶつかるシーン、そして透子ちゃん(前田敦子)とぶつかるシーンです。
千夏からしたらどちらも大人ですが、お母さんとは家族としての甘えもあるぶつかり方、そして透子ちゃんは同じ大人だけど、女同士のぶつかり方という違いがあります。

あつい胸さわぎ

前田敦子(場面写真)©2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会

-この作品は、表情や所作など余白から感じられる部分が多くあると感じましたが、その点についてはいかがでしょうか?

吉田美月喜
演じた千夏は私と同じ年齢であることと、これまで生きてきた環境に共感できました。また、恋へのときめきや、乳がんのことなどそれまで知らなかったことが急に現実のこととなって、ワクワクと困惑が混在する気持ちにも共感できました。なので、私のままで役として居ることができました。

まつむらしんご監督
吉田さんにオファーした一番の理由は、彼女の強さです。18歳という年齢でいろんな現実に絶対に負けない千夏という女の子を体現できる方だと思いました。
(※そばでインタビューを見守っていたまつむら監督)

-その“絶対に負けない”という点について、吉田さんご自身はいかがですか?

吉田美月喜
小中とスポーツをやってきた中で、私は負けず嫌いなところはあるなと感じていました。それは、俳優として活動することになっても同じで、絶対に負けないという強い気持ちが自分の中にあるように感じています。

吉田美月喜

■母とは姉妹のよう

-千夏のようにいろんなことが噛み合わなくなってどうしようもなくなってきた場合、吉田さんならどうやって対応されますか?

吉田美月喜
今の私は母が一番話せる人なので、絶対に母に相談すると思います。でも、千夏と同じ境遇になったら、誰に相談したらいいかよいかわからなくなる気がして、そういう意味では千夏にすごく共感しました。

-吉田さんとお母様との関係はどんな感じですか?

吉田美月喜
他の方から言われて一番しっくり来たのは「姉妹みたい」って言葉です。あぁ、なるほど!って思いました。
自分のコンプレックスの話や、お互いの恋愛の話とかするので、お母さんの学生時代の恋愛の話とか全部知ってるんです(笑)
それぐらいなんでも話せる母なので、姉妹みたいかなって思います。ケンカも多いですけど(笑)

-仲良しだからこそケンカするんでしょうね。

吉田美月喜
はい、そうです(笑)

-この作品を通して、改めてご自分のお母様との関係性について、今後どうしていこうとか感じられたことはありますか?

吉田美月喜
たとえば私がモヤモヤしていることを相談するとちゃんと聞いてくれるんですけど、お互いそれぞれがモヤモヤしている時は、ケンカで終わることがあるんです。私も母も絶対に譲らないタイプでひたすらぶつかって、いつの間にか忘れるという感じで(笑)
でも千夏とお母さんは、最後はちゃんと向き合いますが、そこがとても大切だなと思ったので、私もしっかりと母の目を見て話し合うのは大切かなって思いました。
でも、今の姉妹みたいな関係はいいなって思っているので、これからもそうありたいですね。姉妹みたいって言ったら「私が面倒見てるんだから」って母に怒られそうですけどね(笑)

吉田美月喜

■常盤貴子さんはほんとうのお母さんみたいに。

-親子役として、常盤貴子さんとはどういうコミュニケーションをされましたか?

吉田美月喜
敢えて作品のことを話し合ったというよりは、「今朝何を食べたの?」とか何気ない日常の会話で話しやすい雰囲気を作ってくださったり、「ここ、座れるよ」って気を使ってくださったり、お母さんとしてはとても綺麗な方なんですけど、ほんとのお母さんみたいに接してくださいました。

あつい胸さわぎ

場面写真 ©2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会

-役と重なる感じということでしょうか?

吉田美月喜
はい、たぶんそうなるように配慮してくださったのかなと感じました。

-千夏の幼馴染で同級生・川柳光輝を演じられた奥平大兼さんとの共演はいかがでしたか?

吉田美月喜
奥平くんは1年年下なんですけど、全然年下に見えなくて、現場ではすごい堂々とされてました。彼は自分自身を強く持っている子で、見ていて、人としてカッコいいなって思います。それにすごく話しやすくて、音楽の話とかしてました。それこそ佐藤緋美さん(千夏の幼馴染・ター坊 役)も音楽をされているので、奥平くんと話が合うようで2人でよく音楽の話をされてて、でも私は知識ゼロなので横で「へぇ~」って聞いてました(笑)

あつい胸さわぎ

奥平大兼(場面写真)©2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会

あつい胸さわぎ

吉田美月喜/佐藤緋美(場面写真)©2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会

■キラキラしていたレッドカーペット

-今回、関西弁のセリフがあります。『鬼ガール!!』でも関西弁に挑戦されていて、その時は東京に戻っても関西弁がしばらく抜けなかったとおっしゃっていましたが、今回すぐに関西弁を思い出せましたか?

吉田美月喜
ちょっと忘れている部分もあったので、現場で常盤さんにが教えていただいたくれた部分もあったんですけど、関西弁を意識しすぎるのもよくないなって思ったので、なるべく自然体になれるように心がけました。

-この作品で2022年の第35回東京国際映画祭のレッドカーペットを歩かれましたが、いかがでしたか?

吉田美月喜
ほんとに、キラッキラした場所でした。東京国際映画祭にはいつか参加したいと思っていましたし、まつむら監督も「連れていきたい」と言ってくださっていたので、実際に叶うと、実感は正直あまり無いんですけど、すごくいい経験になったなって思いましたし、また来たいなとも思いました。

あつい胸さわぎ

第35回東京国際映画祭レッドカーペット

-最近、出演作、主演作も目白押しで、活躍されていますが、俳優としての手応えはいかがでしょうか?

吉田美月喜
まだまだです(笑)現場でも今日の取材でもおわかりのように(先ほどのまつむら監督の助言のように)、ほんとに未熟すぎて周りから助けてもらってばかりなんです。
でも、こうして主演映画が決まることは、自分の中ではひとつのチャンスだと感じているので、この経験を無駄にせず、より一層頑張らないとなって思っています。もう止まらないで行くぞ!!って(笑)

■まもなく20歳!

-3月で20歳となられますが、20代になるんだという想いなどはありますか?

吉田美月喜
高校を卒業したときも、もう学生じゃないから責任持たなきゃって思ったんですけど、やっぱり20歳になるって思うと、人として自立しなきゃってすごく思います。

-今はまだ自立できていないですか?

吉田美月喜
できてないと思います。家族に甘えっぱなしだし、これからはしっかりしなきゃって思います。

-20歳になってやってみたいことは?

吉田美月喜
母はあんまりお酒は飲まないんですけど、20歳になって母と一緒に飲むのは夢ですね。

-先ほど、お母様とは姉妹みたいとおっしゃってましたけど、一緒に飲むとどうなるでしょうね。

吉田美月喜
母が酔っているところはあまり見たことがないのでわからないんですけど、ケンカにならず良い話ができたらなって思います(笑)

-最近の好きな過ごし方は?

吉田美月喜
最近は運動も兼ねてよく一人で散歩をしています。往復10Kmとか。走るのはあんまり好きじゃないので歩いていますね。歩いていると街の景色の変化がよく見えるのでそういうことを感じながら。

吉田美月喜

■最後にメッセージ

-最後に本作をご覧になる方へのメッセージをお願いします。

吉田美月喜
病気もそうだし、いろんなコンプレックスや悩みがある時は、ぶつかったり、話し合うことはとても大切だなと思ったんですけど、私がこの作品に感じた温かさとは、誰もが見捨てないで千夏に向き合ってくれたこと。それは演じているときにも強く感じていました。
乳がんって聞くと重い話かなと思われる方もいるかもしれませんが、それだけじゃなくて、千夏と母の関係など、家族としての成長も見ていただけたらなと思います。

吉田美月喜

吉田美月喜

■撮りおろしフォトギャラリー

[ヘアメイク:田中陽子(Yoko Tanaka)/スタイリスト:岡本純子(Junko Okamoto)/写真・インタビュー:三平准太郎]

▼衣装クレジット
・ワンピース ¥52,800/アデュートリステス
・ピアスチャーム ¥18,700
・イヤリングベース ¥23,100/共にテイクアップ

映画『あつい胸さわぎ』

INTRODUCTION
舞台から映画へーー
iaku 横山拓也 × 監督 まつむらしんご × 脚本 髙橋泉
演劇ユニットiakuの横山拓也が作・演出を務め、各所で大きな話題を呼んだ傑作舞台『あつい胸さわぎ』を、上海国際映画祭アジア新人賞を受賞したまつむらしんご監督と『凶悪』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した髙橋泉とのタッグで映画化!“若年性乳がん”と“恋愛”をテーマに、揺れ動く母娘の切実な想いを繊細さとユーモアを持って描きだす。
母親を演じるのは、監督が『太陽のような温かい存在感』と出演を熱望した常盤貴子。主人公“千夏”には、圧倒的な眼差しを持ち『ドラゴン桜』で注目された吉田美月喜が18歳の不安定な気持ちをリアルに演じる。“恋”を刺激する相手役には『マザー』で賞を総なめにした奥平大兼と演技派俳優として存在感を示す前田敦子が物語を彩る。
また、親子二人に重要な関わりを持つ存在として、今や日本映画界に欠かせない三浦誠己と、アーティストとしても活躍する佐藤緋美。さらに、女優以外にもプロデューサーとしてマルチな活躍をする石原理衣。
「舞台を観ている時、客席から送れなかった“千夏”へのエールを映画を通して届けたい!」と言う、まつむら監督のあつい思いがこの映画を誕生させた。

STORY
物語は、灯台のある港町の古い一軒家に住む母娘の日常から始まる。
母の昭子と二人、慎ましくも笑いの絶えない日々を過ごしていた武藤千夏は念願の芸大に合格し、とても忙しい毎日を送る事となった。
特に大学から出された創作小説の課題「初恋の思い出」の事で彼女は頭を悩ませていた。
千夏にとって初恋とは幼なじみの光輝の事だ。
しかし中学生の頃、光輝から言われた一言が奇妙な“しこり”となり今でも彼女の胸に突き刺さっている。千夏はそんな感情を課題小説にぶつける事で、その高鳴る“しこり”を昇華しようと必死で足掻いていた。
ある日の事。母の昭子は千夏の部屋で一通のお知らせを見つけた。
それは娘が受けた乳がん検診の“再検査”に関わるお知らせだった。
娘の身を案じた昭子は本人以上にネガティブになっていく。
それとは裏腹に再検査に訪れた病院でも何故か気の乗らない様子の千夏。
娘の些細な変化に母は戸惑いを隠せない。
その返事はどこか他人事のように聞こえてしまう娘。
そしてそんな最中に訪れた2人の日常のちょっとした変化。
するといつの間にか胸のしこりが熱を持って小さな高鳴りに変わっていくのを千夏は感じた。けれど、その小さな胸の高鳴りは、いつしか“胸さわぎ“になっていくのだった・・・

出演:吉田美月喜 常盤貴子
前田敦子 奥平大兼 三浦誠己 佐藤緋美 石原理衣
原作:横山拓也
監督:まつむらしんご
脚本:髙橋泉
配給:イオンエンターテイメント、SDP
製作:映画『あつい胸さわぎ』製作委員会
©2023映画『あつい胸さわぎ』製作委員会
公式サイト:https://xn--l8je4a1a7e6m7952c.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/atsuimunasawagi_movie/
公式Twitter:https://twitter.com/atsuimunasawagi
公式Facebook:https://www.facebook.com/atsuimunasawagimovie

2023年1月27日(金)新宿武蔵野館、イオンシネマほか全国ロードショー!

あつい胸さわぎ

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