86歳・仲代達矢、泥だらけの体当たり演技に挑んだ『帰郷』。特別功労賞授賞も。
11月4日、第32回東京国際映画祭にて、仲代達矢主演、時代劇専門チャンネル オリジナル時代劇『帰郷』が上映され、舞台挨拶が行われたと共に、映画祭から仲代達矢へ「特別功労賞」が贈られた。今回の映画祭では、大林宣彦監督にも特別功労賞が贈られている。なお、1985年の第1回東京国際映画祭のオープニング作品は、仲代達矢主演、黒澤明監督『乱』だった。(動画&フォト)
特別功労賞 受賞の言葉
仲代達矢
私はこんな素敵な、立派な賞をいただきました。長い間、70年近く役者をやってて、ほんとに良かったと思ってます。
どうもほんとにありがとうございます。
舞台挨拶レポート
『帰郷』を観客席で鑑賞して。
仲代達矢
先ほども申し上げたとおり、長い間役者をやっておりまして、今日改めて皆さんと一緒にこの『帰郷』を観たんですけれども、自分で出ていながら、一種の非常な感動を覚えました。
長い間、何十本となく時代劇はやってまいりましたが、出演している私が一種の感動を覚えたということは、今までやったことのない時代劇だと思っております。
素晴らしいのは、ここにいらっしゃる杉田監督、それからスタッフ、共演者、その皆さんのほんとに素晴らしい力だと思っております。
本作は、ヤクザの晩年を描いてますが、私もそろそろ役者の晩年を通り過ぎる。そういう状況でございます。それが故に一種の共感を持ったと思います。ちょっと、涙がこぼれました。
どうもありがとうございました。
仲代達矢との共演
常盤貴子
全ての出演者、スタッフの皆さんもそうだと思うんですけど、仲代達矢さんは圧倒的な存在感でいらっしゃるので、最初はそれはそれは震える思いでした。でも、仲代さんはほんとに優しくしてくださって、温かい眼差しで包み込んでくださったので、それは胸をお借りしてドンといかなければ、逆に仲代さんに失礼だろうと思って私の出来る限り、ささやかなんですけども、頑張って頑張って飛び込ませていただきました。
北村一輝(若き日の仲代達矢を演じる)
私は以前、仲代さんと親子の役で共演させていただいて、今回、仲代さんの若い頃の役ということで、こんなに役者冥利に尽きることはありません。プレッシャーもものすごくて、仲代さんの出演作をいっぱい観て、どういう風にしゃべればいいんだろうとか。
こういう幸せな機会を与えていただけたということと、今日皆さんに観ていただけるという、そしてここに私が立っているという、このことをすごい幸せに感じています。
杉田成道監督の元、新人俳優のように演出を受けた
仲代達矢
私は、12月13日で、87歳になります。現役もそろそろかなと思っておりますが、杉田監督の演出の元で私が演じますと、同じシーンの撮り直しを何度も要求されます。この歳の俳優ですが、まるで新人のような気持ちになって演出を受けております。
ほんとうにありがとうございます。
常盤貴子
ほんとに、仲代さん、たくさんやられてました。スタッフが見てて苦しいって思うほど。
杉田監督は、たとえば泥水にバシャっと倒れ込むようなシーンでも、「うん、今のも良かったんですけどもう1回!」っておっしゃるのがもう、この仲代さんが泥だらけで、グチャグチャになってまだ更に雨降らしで雨も降っている中で、もう一回、もう一回、もう一回って、すごい数をやられるんですね。
それはもうスタッフが「仲代さんがかわいそうで。。。」裏で言ってたのが印象的でした。
でもそれこそが「北の国から」の杉田監督なんだなっていうのを、私は間近で見れた気がして、すごく嬉しい瞬間でもありました。
で、緒形直人さんに「昔からこんな感じですよね?」って聞いたら、「昔はもっとひどかったよ」っておっしゃってたので、「監督にお会いするのが今で良かった」って思いました(笑)
受賞シーン&舞台挨拶全編は動画でもどうぞ!
時代劇専門チャンネル オリジナル時代劇最新作『帰郷』
史上初!雄大な自然を背景に“8K撮影”で挑む股旅時代劇
仲代達矢
常盤貴子 北村一輝 緒形直人 谷田歩 佐藤二朗
田中美里 前田亜季 /三田佳子 / 橋爪功 中村敦夫
監督:杉田成道
原作:藤沢周平「帰郷」(文春文庫『又蔵の火』所収)
公式サイト:https://www.jidaigeki.com/kikyo/
2020年1月 劇場上映予定
2020年2月 時代劇専門チャンネルにて放送予定
[動画・記事:Jun Sakurakoji/写真クレジット:©2019 TIFF]
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