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映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

のん監督「憧れの皆さんの前で興奮してます!」女子美付属高校トークイベント

2022年5月11日、女子美術大学付属高等学校(東京都杉並区)にて、映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベントが行われ、映画を観た直後の200名あまりの学生たちに、映画を作ったきっかけ、自身の青春時代の思い出などを語った。

この企画は、同校の高校2年生を対象にした学年企画。生徒たちは各教室で作品を鑑賞後、「のん監督をお招きして」という用紙に、のん監督への映画の感想や質問を予め記載。その後、体育館に集合、のん監督を招く形でトークイベントが行われた。

トークイベントレポート

司会を務める竹組と桜組の2人がのん監督を会場である体育館に呼び込むと、集まった200名余りの学生たちは大きな拍手で迎えた。
大きな声を出せない中、「可愛い~」とつぶやくように思わず声が漏れる子も。まずは司会の2人が代表質問。

のん監督
皆さん、今日はほんとうにありがとうございます。とっても嬉しいです。
映画『Ribbon』は皆さんの青春を描けていると思うので、学生の皆さんに観ていただけてほんとうに幸せです。今日はよろしくお願いします。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

のん監督

-コロナ禍でのん監督が企画された『Ribbon』のきっかけを教えてください。

のん監督
コロナの第一波が来た時に、予定していた仕事が中止や延期になって、私が主催して準備を進めていた音楽フェスも中止の決断をして、その悔しさがずっとあったんです。
ニュースで毎日のように感染者数や死亡者数が報道される中、芸術やエンタメが不要不急のものとして選別されていくのを目の当たりにして、それもとても悔しくて、でも「そうではないんだ!」って声を大にして言う自信も無くなってしまってました。
おうち時間では、ただ寝て起きてを繰り返すだけの生活をしていたんですが、「こうしちゃいられない!」って気持ちになった時があって、そこからこの『Ribbon』の脚本を書き始めました。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

-劇中に出てくる“浅川いつか”の肖像画はのん監督が書いたそうですが、この絵を描いている時の心境や作品のアイディアをどのように生み出しているのか教えてください。

のん監督
私はあまり自画像や肖像画は描かないんですけど、今回の映画を撮るにあたって、“いつか”はどういう絵を描いているかなと想像する中、肖像画を描いていたらいいなと思うようになりました。
冒頭のシーンでリボンを全身にまとっている“いつか”が登場しますが、それが絵にもこめられたら映画として良い形として成立するかなと思ってあのような絵になりました。

個展「のん Ribbon展 不気味で、可愛いもの。」

いつかの肖像画。個展「のん Ribbon展 不気味で、可愛いもの。」にて撮影

■のん 青春時代の思い出

-のん監督はどのような学生生活を過ごされていたのですか?その時の経験は今のお仕事にも影響していますか?

のん監督
私は最終学歴が高校までですが、中学生の頃ことが自分の中で強く記憶に残っています。
中学生の時は友だちとコピーバンドを組んで、町のイベントなどに出たりとかしていて、その時の時間がすごく青春してたなと思います。
私はおうちで夕飯を作る当番の日があったんですが、それから逃げるために「バンド練があるから」って言い訳して、いつも練習している場所に逃げてギターの練習をしていました。バンド練は実は無いのに(笑)
高校は通信制で毎日通うわけじゃなく、月3回くらい登校日があってその間はレポートを書いて提出するという感じで時間があったので、コンビニでバイトをしたり、その合間にオーディションの話がきたら受けたり、おうちにいる時は絵を描いたり、ギターの練習をしたりしていました。
今もなんですがその時から、(動物の)キリンが大好きで、キリンをずっとデッサンしていました。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

■学生からの質問コーナー

-ここから私たち生徒が質問用紙に予め書いた質問をいくつかさせていただきます。

▼質問1:モデルさんから女優さんになったきっかけはなんですか?初めてのお芝居は緊張しましたか?

のん監督
私は「nicola」(新潮社)というティーン向け雑誌のモデルから始めたんですが、その時はとにかく雑誌に出ることが目標で、いろんな洋服を着るお仕事をしたい!という気持ちで芸能活動を始めました。
そうする中、演技のレッスンをやっているので見学していかないか?というお声がけをいただき、先輩方のレッスンを見ていて、「演技とはこういう感じなんだ!」っていうのを目の当たりにして、とても面白そう!と、俳優というお仕事にワクワクしたのがきっかけです。
そして、自分も演技のレッスンを始めたんですが、それがとても楽しくて気持ち良いっていう感覚をそこで掴みました。自分の感情を役のために無理やり動かして、いいシーンを作るのってこんなに素晴らしいことなんだってことをレッスンを重ねる中で感じるようになったんです。
初めて実際の作品に出演したのは、『告白』(2010/中島哲也監督)という映画で、セリフがない一生徒役でした。座っていたり、牛乳を飲んだりするだけのお芝居だったんですが楽しかったです。同世代の共演者の子たちと一緒に控室で待っている時、ワーッって盛り上がっていると、スタッフさんから「静かにしてください!」って言われて(笑)、でもまた騒ぎ出したりとか、そういう楽しい撮影現場でした。
一方で(画角の)後ろの方でホウキを持って立っているシーンでは、監督にすごい怒られたんです。「それじゃ『家政婦は見た』みたいになったるだろ」って(笑)
それがめちゃくちゃ悔しくて、お手洗いにこもって、ワーッて泣いちゃって。でも撮影を再開するからって泣きながら現場に戻ったり。そういう悔しい経験もありましたね。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

▼質問2:私は演出家、監督のお仕事を目ざしているのですが、演技ができないと難しいでしょうか?

のん監督
演出家を目ざされているってことで、素晴らしいですね。高校生の時から「撮りたい」って気持ちがあるのは、かっこいいなって思います。
演じることを知っているからこそできることもあるし、作り手側に徹しているからこそ見えているものもあるだろうし、どっちを好むかということかもしれません。
世の映画監督さんがどれぐらい演技を経験されたことがあるのかわかりませんが、もしかしたら自主制作映画とかを作っている時は、キャスティングが間に合わなくて自分も出たりとか、そういう方もいると思うんですが、自分が必要だと思ったら(お芝居の経験も)やったらいいんじゃないかなと思います。
『Ribbon』の撮影では、自分が演じる立場で現場に入っていた時のノウハウももちろん活かされています。脚本を書く時に、役者の視点で「自分がこのシーンを演じるとしたら、ここは表情で繋げるからセリフは要らない」ということも考えることができるからです。そういう意味では役者の経験は監督としても役立っている点はあります。
例えば塚本晋也監督は主演として出演されることもあって、独特の味わいを作品に込められています。
私は、自分が演技をしているのが好きで、自分は演技をする人だって強く信じ込んじゃっているところがあって自信もすごくあったんです。何者でも無い時から(笑)そのぐらい、自分が興奮できると思えたら、演技も経験したら奥深いものですし面白いんじゃないかなと思います。
ものづくりにおいて、表現することを経験するのは、なんであっても糧になると思いますから。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

▼質問3:観ている方に何を一番伝えようと意識してこの映画を作られましたか?

のん監督
“希望”が見える作品を作りたいと思っていました。
2020年のコロナ禍の第一波の直後に脚本を書き始めて、同じ年の年末には映画を撮り終わっているというタイトなスケジュールでしたが、その頃はまだコロナ禍の出口がまったく見えず、世界中の人がハードな経験をしていて、でも「辛いなぁ」ってことを突きつけるような、そして「キツかったんだよ」ってことを記録する映画にもしたくなくて、こういう状況下でも“いつか”がアートを続けていくと決めることが重要なんだっていう、どういう状況であっても、アートが人々にとって必要であってほしいという、そういう希望になるような映画にしたかったんです。
美大生の方がコロナ禍でどうされているのかなと調べていく中で、ある卒業生の方が、卒業制作展ができなくて、1年かけて作った自分の作品がゴミのよう思えてしまったというインタビューを見つけたんです。JQという雑誌のWeb記事で。
それにすごく衝撃を受けちゃって、自分のフェスを中止にした時も抗えない事態だから中止にするしかない。命を前にして強行突破できないという気持ちになって中止にしたんですが、その時の悔しいような悲しいような気持ちとすごく共鳴して、これを映画に残したいと思いました。
命は最優先なんだけど、このように悔しい思いをしている人たちの気持ちも報われなきゃいけないって思って、そういう映画を作りました。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

▼質問4:なぜ「リボン」を主題として選ばれましたか?

のん監督
私がリボンフェチだからっていうのがあります。可愛いし、自分の中でとても好きなモチーフなんです。
私は宇野亞喜良さんの大ファンで、宇野さんが描くリボンが好きです。可愛くもあるけど、不気味に見えたりとか、エロティックな女性なんだけど、リボンで飾っていたりとか、そういう一見相反する魅力がぶつかり合うところが好きなんです。
で、自分がリボンを表現するんだったら、負の感情がリボンで表れて、可愛いだけじゃないリボンを表現したいと思って、アイディアが湧いてきました。

▼質問5:なぜ美大生をテーマに作品を作ろうと思いましたか?

のん監督
私自身、美大生にすごく憧れがあって、高校を卒業する年に美大に行きたいって思ってました。
そして、まさに、ここ女子美大のオープンキャンパスに行って、デッサンの授業を受けたりもしました。その時はすごくガツガツしていたから、自分の描いた絵を先生に見てもらって「女子美に入れますか?」って聞いたり(笑)、それほど美大生にはずっと憧れがありました。
コロナ禍で芸術の優先度が下がっていく中、学生時代の1年、2年ってとても大きいのにって思って、これから翼を広げてやっていくぞ!って時に作品を発表する場が無くなるのは衝撃的だなと思っている中、先ほどお話しした美大生のインタビュー記事に出会ったんです。

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

■最後にメッセージ

のん監督
今日は皆さんとお会いできてほんとうに嬉しいです。感激です!
高校生の時から美術を学べているというのはほんとうに憧れで、憧れの方たちを目の前にしている気持ちで興奮しています。
『Ribbon』を観ていただけて嬉しいです。ありがとうございます。皆さんの中で希望の映画になっていたら嬉しいなと思います。また機会があればお会いしたいです。ありがとうございました!

映画『Ribbon』特別上映会&のん監督トークイベント

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■フォトギャラリー

[記事・写真:桜小路順]
撮影データ:Nikon Z9/Z6II

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映画『Ribbon』

Ribbonロゴ

2020年冬。コロナ禍により一年かけて制作した卒業制作は、発表の場が失われた。
家での時間があるのに、なにもやる気がおきない……。
表現の術を奪われ、自分のやるべきことを見つけだせずに葛藤する美大生“いつか”を女優・のんが演じます。
鬱屈とした現状を、のんが持ち前のパワーで痛快に打破していく“再生”の物語です。

あらすじ
コロナ禍の2020 年。
いつか(のん)が通う美術大学でも、その影響は例外なく、卒業制作展が中止となった。
悲しむ間もなく、作品を持ち帰ることになったいつか。
いろいろな感情が渦巻いて、何も手につかない。
心配してくれる父・母とも、衝突してしまう。
妹のまいもコロナに過剰反応。
普段は冷静な親友の平井もイライラを募らせている。

こんなことではいけない。
絵を描くことに夢中になったきっかけをくれた田中との再会、
平井との本音の衝突により、心が動く。
未来をこじ開けられるのは、自分しかいない―。

誰もが苦しんだ2020 年―。
心に光が差す青春ストーリー。

出演:のん 山下リオ 渡辺大知 小野花梨 春木みさよ 菅原大吉
脚本・監督:のん
製作統括:福田淳
エグゼクティブ・プロデューサー:宮川朋之
クリエイティブ スーパーバイザー:神崎将臣 滝沢充子
プロデューサー:中林千賀子
特撮:樋口真嗣
特撮プロデューサー:尾上克郎
音楽:ひぐちけい
主題歌:サンボマスター「ボクだけのもの」(Getting Better / Victor Entertainment)
企画:のん
配給:イオンエンターテイメント
制作プロダクション:ブースタープロジェクト
製作:日本映画専門チャンネル non スピーディ コミディア インクアンク
©「Ribbon」フィルムパートナーズ
作品公式サイト:https://www.ribbon-movie.com
のん公式サイト:https://nondesu.jp/
のん公式 YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCj4G2h4zOazW2wBnOPO_pkA
のん公式 Twitter:https://twitter.com/non_dayo_ne

主題歌入り予告篇(60秒)

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劇場公開中&デジタル配信中!
※デジタル配信については以下の記事も御覧ください。


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