台湾の観客に突撃インタビュー「この世界の片隅に」
2017年7月8日、台北Film Festival 2017にて、「この世界の片隅に」が上映され、主演の のんさん(本名・能年玲奈)と真木太郎プロデューサーが上映後に舞台挨拶をしました。
現地取材していた当サイトは、上映後のごった返す中、何人かの台湾の観客のみなさんに映画の感想を突撃インタビューすることができました。
戦争映画なのに普通の生活が描かれている新しい手法
いきなりにもかかわらず、声をかけるとみなさん、気さくに答えてくれました。
途中、割り込みで元気に映画のことや日本に行ったことあるよ!と話してくる方もいらっしゃいました。
まずは率直に映画の感想を聞いてみました。
みなさん、感じられていることは共通していて、次のようなコメントでした。
男性A(30代半ば風)
すごく平凡な日常生活を描いていて、戦争の時のことを表しているっていう手法はあまり見かけないのですごく素晴らしいと思いました。
男性B(20代後半風)
戦争の時は一般人はすごく大変だったんだなと思いました。
女性A(20代後半風)
世界平和が続いてほしいなと改めて省みらされました。
男性C(30代前半風)
観ていて、自分が予想していた戦争映画とはまったく違っていて、登場する家族は、最初はみんな楽しく賑やかにしていて時にはバカっぽいなと思っていたんですけど、シーンが変わって、身内が亡くなったりして、日常の平凡な生活を大事にしなくてはいけないなと思いました。
続いて、のんさんのことを聞いてみたら、なんと、5人中4人の方があまちゃんファンだと元気よく答えてくれました。
中には、
「あまちゃんは、シリーズを3回通して見たよ!」
「岩手県久慈市にも行きました!」
と、みなさん、あまちゃん愛を嬉しそうに語ってくれます。
「この世界の片隅に」を観に来たのは、「のんさんファンだから観たいと思いました」というのも一致した意見でした。
これは、日本の状況とよく似ているかもしれません。
舞台挨拶で、真木太郎プロデューサーは、
「この映画は観ないとわからないんです。なかなか映画の中身を宣伝だけでやるのは難しい作品なので、是非みなさんのクチコミをよろしくお願いします。日本でのヒットもそれがきっかけでした。」
と台湾の観客にアピールしていましたが、
のんさんファンで埋め尽くされた会場は、大きな拍手でそれに応えていました。
最後に広島県呉市について聞いてみたら、
みなさん、広島県は知っていて、中には平和記念資料館に訪れたことがある方もいらっしゃいました。
でも、呉市は知らなかったようで、今度是非機会があれば、映画のゆかりの場所も残っている呉市にも訪れてみてくださいとお話しさせて頂きました。
上映後舞台挨拶。真木Pのことば。
<作品について>
この原作のコミックは台湾でも発売されていますが、作者のこうの史代さんは、当時の呉を非常によく調べられて描かれたコミックですね。
そして監督の片渕さんもいろんなことを調べることにかけては、彼も非常に多くのこだわりを持っている方なので、そういう点でこうの史代さんと監督との共通点があったんだと思います。
この映画は日本では、日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
なおかつ、90年以上続いている歴史のある映画の雑誌(キネマ旬報)の賞ですけども、実写・アニメ問わずの日本映画ベスト10の1位に選ばれました。
まさに日本映画を代表した1本だと思っています。
先月のフランスのアヌシー映画祭でも長編審査員賞を受賞しました。
70年前の広島を舞台にした映画ですけども、日本以外、世界でもこの映画が通用するのではないかなと思っています。
この映画は最初はこんなにヒットするとは思っていませんでした。
まずは内容が地味で、なんかドキュメンタリーみたいな映画だったからです。
ただ、映画ができる前にクラウンドファンディングを日本で行って、3374人の方々が支援してくださいました。
映画ができた後、劇場公開した後は、いわゆる“口コミ”がものすごい勢いで日本全国に広がっていきました。
だからこの映画は「この映画が観たい」とか「この映画は観た方がいいよ」といったような、いわゆる市民が支えた映画です。
したがって、昨年の11月に公開しましたけれども、日本ではまだ映画館で上映され続けています。
観客とわれわれ作り手が、幸せな結びつきになったと思います。
是非台湾でも同じような勢いになってくれることを期待しています。
<のんさん起用について>
えと、30人くらいのオーディションをしましたけども、その中でダントツのピカイチがのんさんでした。
みなさん、もう映画を観たばっかりですから、その理由はわかりますよね?
(会場大拍手)
以上が、「この世界の片隅に」上映後の台湾のお客さんの反応のご紹介です。
上映後は、会場前で台湾版のフライヤーと特製森永キャラメルが配布されていました。
ちなみに、7月8日の台北の天気予報では、降水確率がかなり高かったですが、のんさんの舞台挨拶が終わるまでは、日差しが強い晴れの天気でした。
でも、その直後、激しい雨となっていました。
謝意
今回の台北Film Festival取材にずっとアテンドしてくださった通訳の方にこの場をお借りして感謝申し上げます。
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