謎めいた展開の物語に、黒木華&柄本佑の解釈は?映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』舞台挨拶
2021年10月3日、新宿ピカデリーにて、映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』の舞台挨拶が行われ、主演の黒木華、柄本佑、堀江貴大監督が登壇。公開から1ヶ月が経つロングランの中、さまざまな解釈が成り立つ本作についてあらためて振り返った。
舞台挨拶レポート
※ネタバレ満載の舞台挨拶でしたが、本レポートでは丸めています。ですが、鑑賞にあたって事前情報を完全にゼロとしたい方はこの先をご覧になるのはお控えください(文末のフォトギャラリーは是非どうぞ)。
黒木華(早川佐和子 役)
満席のお客さんとこの空間を共有できることを嬉しいなと思います。
柄本佑(早川俊夫 役)
一席空けじゃない客席の迫力に緊張しています。
-公開から1ヶ月、監督にはどういった感想が届いてますか?
堀江貴大監督
聞くところによると、劇場内で笑いが起きていることが多いということで、それは嬉しいと思います。
-ラストはいろんな解釈がある作品ですが、黒木さんが演じた佐和子が何を考えているのかわからないから怖いのと、俊夫に対して愛情があるという意見もありますが、佐和子を演じる上で心がけたことは?
黒木華
新谷先生(金子大地)とは一緒にいることが嬉しいと思っているように演じましたし、俊夫(柄本佑)さんといる時は、この人は今何を感がているんだろう?って動きを見るようにしていました。そういう差は監督が演出してくれました。
あと、トンネルを抜けた後の車の中のシーンは、目線をどうするか細かく演出がありました。
柄本佑
そこはかなり細かくテストしましたね。どこで目を合わせて、どこで目をそらすか。
堀江貴大監督
やりましたね。佐和子が俊夫を問い詰める最初の修羅場。ちなみにそのシーンは、近くにイノシシがいたんです(笑)
柄本佑
マジで!?
堀江貴大監督
スタッフは気づいていて、撮影をイノシシが静かに見守ってました(笑)
-この作品を何度か見ると、佐和子が俊夫にかけるセリフのひとつひとつに怖さも感じました。
黒木華
それは(浮気していることを)知っているんだぞっていう気持ちがありましたね。でもそうであてほしくないという両方の気持ちがあったと思います。でも、決定的なラブシーンを目撃してしまい・・・。
柄本佑
それにしても俊夫くんはツメが甘すぎるよね。駐車場のど真ん中でさ(笑)
なんかバレないつもりが無いって感じだもんね(笑)
俊夫はウソがつけない男、不倫に向いてない男がそうなっちゃって。
-衣裳にもいろんな意味を感じました。
柄本佑
衣装合わせは時間をかけてやりましたよね。
-佐和子は、夫の俊夫の前ではピアスをしてないですよね?
黒木華
してないですね。スカートを履いていることも夫は気づかないんですよね。お母さんの下條真由美(風吹ジュン)が気づくっていう。
柄本佑
そういう意味では、風吹さん演じるお母さんも怖い存在ですよね。
-お母さんはいつ俊夫の浮気に気づいたんですか?
堀江貴大監督
お母さんは、俊夫の浮気に気づいてからは、千佳(奈緒)が来た時に、何食わぬ顔で左手に鎌を持っているシーンがあります。
柄本佑
それ、気づいてなかった!
黒木華
私も気づいてなかった。
■黒木華&柄本佑が演じると予想外のことが。
-演出されていて、こうきたか!?という予想外のことはありましたか?
堀江貴大監督
お二人が演じられると、僕が思っていたイメージよりもっとおもしろい形で表れてくるんですが、中でも、佐和子が俊夫に「先生、私の隣に座っていただけませんか?」って言うところは、僕自身、ほんとに動かされたし、これでこの映画がほんとに終わる可能性があるぐらいの感動をしました。
ただ、そのあとに俊夫が「うそ?」っていうのは絶望をイメージしていたんですけど、柄本さんは、最初の時点で「うそん?」だったので、転げ落ちました(笑)
最高でした(笑)
柄本佑
台本には「うそ?」って書いてあって、でも最初に読んだ時からあの感じでした。俺、「うそーん?」って言ってます?(笑)
ただ、なんとも言えない感じだなと思っていたし、佐和子の選択に委ねるところがあるから、俊夫もちょっと何かほしいと思ったのかもしれない。俊夫は、絶望しているのか、この状況に笑ってしまっているのかという感じになったらいいかなと思って演じた気がします。
■ラストの解釈
-観る人の恋愛経験によって、ラストをどう解釈するかは意見が分かれるんだと思いますが、撮影現場でもその議論はされたんですよね?
黒木華
一応しましたね。私はこう思うとか。
柄本佑
佐和子の最後の仕草についても、俊夫に対する救済措置なのか、それとも足かせをつけることなのか、最初の本読みが終わった段階で話をしましたね。
その回答は、出演者それぞれが思うところを持って、撮影に臨みました。でも、ひとつ監督の解釈があって、それは今だに意見が分かれています。
堀江貴大監督
最後、佐和子は隣を見ずにまっすぐ見つめたまま、まさに自分で運転してどこにでも行けるというすごく前向きな終わり方もあったんですが、でも僕は隣の席を見るというところを見せたいと思いました。
■最後にメッセージ
柄本佑
改めて、全座席にお客さんがいらっしゃる目の数ってすごいなって思います。すごい熱量があって、映画館ってとてもいいなと思いました。
何度でもこの作品をご覧になって、いろんな解釈をして、友だちと語り合ってください。
黒木華
見どころはたくさんある映画ですので、是非何回でも観に来ていただいて、いろんな方と、こう思うよとか、お話していただけたらすごい幸せだなと思います。ありがとうございました。
■フォトギャラリー
[写真・記事:桜小路順]
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映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
「その不倫、ぜんぶ描く」
黒木華が柄本佑を追い詰める!爽快?嫉妬?絶句?漫画家夫婦の究極の心理戦!
INTRODUCTION
本作は、『嘘を愛する女』(18)や『哀愁しんでれら』(21)などクオリティの高い作品を輩出してきたオリジナル作品の企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2018」の準グランプリ作品を映画化。
本作で、漫画家の佐和子役を演じるのは、第44回日本アカデミー賞にて3度目の最優秀助演女優賞を受賞し、唯一無二の輝きを放つ女優・黒木華。佐和子の夫で、同じく漫画家の俊夫役には、『心の傷を癒すということ』(21)、『痛くない死に方』(21)と主演映画の公開が続き、TBSドラマ「天国と地獄」で話題をさらった演技派俳優・柄本佑。
物語
結婚5年目の夏。夫が不倫をした。それはよくある夫婦の出来事、のはずだった・・・
漫画家・佐和子の新作漫画のテーマは・・・「不倫」
そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、佐和子の担当編集者・千佳と不倫をしていた俊夫は、「もしかしたらバレたかもしれない!」と精神的に追い詰められていく。さらに物語は、佐和子と自動車教習所の若い先生との淡い恋へ急展開。
この漫画は、完全な創作?ただの妄想?それとも俊夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!?恐怖と嫉妬に震える俊夫は、
やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく・・・
爽快?嫉妬?絶句!?みる人の数だけ答えがある!夫婦の数だけ、【事件】がある!
出演:黒木華 柄本佑/金子大地 奈緒/風吹ジュン
脚本・監督:堀江貴大
劇中漫画:アラタアキ、鳥飼茜
主題歌:「プラスティック・ラブ」performed by eill
製作:「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給・宣伝:ファントム・フィルム
TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2018 準グランプリ受賞作品
(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会
公式サイト:https://www.phantom-film.com/watatona
公式Twitter:@watatona_2021
公式Instagram:@watatona_2021
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新宿ピカデリー他全国にて公開中!!
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